ヴォクスマーナ第37回定期演奏会 明後日

ヴォクスマーナ第37回定期演奏会 明後日

今日は朝サリクス、昼ヴォクスマーナでした。

サリクスはバスのパート練でしたが、もう、安定の、史上最強のバスだと思います。

松井さんは今回実は初サリクスですが、流石の対応能力です。柔軟性の高さにビビります。

演奏会の詳細はコチラ→http://www.salicuskammerchor.com/concert

 


その松井さんと一緒に移動し(富士そばを掻き込んで)午後のヴォクスマーナのリハに向かいました。

ヴォクスマーナはいよいよ明後日本番です。今日は本番前最後のリハーサルでした。


全部通すとやっぱりしんどい!すんごいエネルギー必要です。

青児さんいわくヴォクスマーナ史上最もしんどいプログラムじゃないか、とのことです。

とにかく吸い取られます。どの曲も、作品そのものの持つの引力が凄い。


私が乗るのは近江典彦さんの「Khon-mXahuvona」以外の3作品です。

今日は近江さんの作品も聴きましたが、ヴォクスマーナであんまり聞かないタイプの曲だなぁと思いました。複雑で音程難しくて大変そうだけど、聴いてる分にはノリが良くて爽やかで理知的でsooo cooooool!な曲だと思いました(個人の感想です)

近江さんと指揮の西川さんとの対談動画がアップされています。


藤井健介さんの「Sèlèh II」は楽譜が来た時は、男声の音数(おとかず)が少なすぎてぶったまげましたが、やっているうちに、そして藤井さんのお話を聞き、インタビュー動画をみたりしているうちに、その世界にガッと入り込めるようになりました。

今日聞いたガムランの、大きい曲をやる時に、その前奏・後奏として演奏する「パテタン」をイメージして作ったというお話も実に興味深かったなぁ。

インタビュー動画はコチラです。


北爪裕道さんの「Multiplex」は兎に角自分としてはどれだけえげつないノイズを発することができるか、ということがテーマで、徳久門下としては大変やりがいのある作品です。

瞬間に全細胞をその音に反応・反射させて、全細胞を反応・反射させて音を持続させ、全細胞を反応・反射させて音を切る、の繰り返し、みたいな曲です。

徹底的に人間的な要素を排して、まるで機械のようにノイズを生成するという書き方で書かれていますが、人間的な部分を排除しようとすればするほど、それでもなお滲む人間らしさ、デジタルになりきることによってデジタルに抗っているような、そんな作品だと思います(個人の感想です)。

「人間だ!人間なんだー!」という叫びのように、僕には聞こえます。(ちなみにVox humanaというのはラテン語で「人の声」を意味します)

僕は「生きてることを思い出させてくれるものでなければ、それは芸術とはいえない」と思ってますが、この作品はそこんところ、ビシビシ感じさせてくれます。

この曲に関しては前にも記事を書きましたのでこちらもどうぞご参照ください。

「ノイズ カットアップ | ヴォクスマーナ」http://wp.me/p7Ktcz-Hq


川上統さんの「怪獣」は、チラシデザインのインスピレーションとなった作品ですが、多分タイトルから想像される感じとは違うと思います。

人間の中の怪物、というか、もっと精神的で抽象的な、人間の中にあって、あるのはみーんな知ってるけど見てしまうととても生きてはいけないから見ないようにしてる部分、というか。テキストはある意味直接的だけど、必ずしもそのテキスト自体に意味があるわけではなくて、そのテキストを通して見える地獄絵図、というか。そんな作品です(あくまで個人の感想です)

ちょっと飛躍しますが、僕がデスメタルが好きなのは「それも人間だ」と思うからです。「直視したくないものを、直視しようぜ。目をそむけていたら、ほんとのところはわかんないぜ」って。言葉にすると恥ずかしいけどそう思います。

この作品はそういう観点から、とても好みです笑

川上さんのインタビュー動画はこちらです。


演奏者も作曲家も、音楽に挑んでいる、食らいついていってる、そういうことが感じられる演奏会になると思います。

皆様ぜひ明後日日曜日、文化会館までお越しくださいませ。

チケットはぜひとも私からお求めください!(切実)


ヴォクスマーナ第37回定期演奏会 (創団20周年シリーズVol.3 未来を担う男性作曲家)

3月5日(日)14:30開演 東京文化会館小ホール

一般3,000円(当日3,500円)、大学生1,500円、高校生以下1,000円

 

川上 統(b.1979)/ 怪獣 (委嘱新作・初演)

藤井健介(b.1979)/ 「Sèlèh II」 ヴォーカルアンサンブルのための(委嘱新作・初演)

近江典彦(b.1984)/「Khon-mXahuvona」 pour vocal ensemble (2014委嘱作品・再演)

北爪裕道(b.1987)/ 「Multiplex」 for 12 voices (2013委嘱作品・再演)

 

指揮:西川竜太

演奏:ヴォクスマーナ

ソプラノ:稲村麻衣子/花嶋千香代/日野祐希

アルト:入澤希誉/神谷美貴子/高橋陽子

テノール:金沢青児/清見卓/櫻井元希/初谷敬史

バス:小野慶介/松井永太郎

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Salicus Kammerchor第3回定期演奏会

『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』

チケット発売中!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

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Salicus Kammerchor主催第3回ワークショップ

参加者募集中!

http://www.salicuskammerchor.com/workshop

ご好評いただいておりますサリクスのワークショップです。毎回早い段階で応募上限に達しております。

お申込みはどうぞお早めにお願いいたします。

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櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

クワドラプルヘッダー?!

クワドラプルヘッダー?!

今日は朝 ヴォクスマーナ、昼 サリクス、夕 旧岩崎庭園、夜 カンタータクラブOB役員会でした。

ダブルヘッダー、トリプルヘッダーとはいうけど、四つはなんていうんだろうと調べたら、トリプルの次はクワドラプルというそうです。

そしてそんな予定が詰まりまくった今日は、妻の誕生日でした。罪悪感…(´△`)

明日ケーキでも買って帰ろうと思います。


しかしまー今日は色々歌いました。

ヴォクスマーナではばりばりの新曲

サリクスではグレゴリオ聖歌、ラリュー、ドレスラー、バッハ

旧岩崎庭園のリハではペルト、ラインベルガー、オルフ、メシアン、高田三郎、信長貴富、木下牧子

を歌いました。

いやー我ながら流石にいろいろやりすぎですよね。

しかしオルフとかメシアンとかはまだしも信長、木下牧子なんかはほんと久しぶりで、なんだか新鮮でした。

それぞれの価値観があって、実に興味深いです。

こ、これがロマン派の価値観か!と普段ロマン派やらないと思ったりします。

今日は特にラインベルガーのミサのテキストの扱い方にちょっとした衝撃を受けました。

自分の普通は他人の異常。自分の価値観を基準にしてはいかんのです。古楽の基本ですね。

僕が珍しくロマン派やなんかを歌うのは、「3/18の旧岩崎庭園 午後のミニコンサート」です。

メンバーもみんなサリクスのメンバーなので、「そういう」演奏になると思います笑


夜のカンタータクラブOB役員会では主に8月に行われる小林道夫アカデミー in 下田の打ち合わせをしました。

今年は現役が沢山参加してくれるように画策していきます。

道夫先生と1人でも多くの現役部員が触れ合える機会になればと思います。

OB会は最近FacebookとTwitterを始めました。皆様よろしければフォロー、いいね!よろしくお願いいたします。

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Salicus Kammerchor第3回定期演奏会
『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』
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時代・地域・様式(雑感)

時代・地域・様式(雑感)

今日は朝ヴォクスマーナ、昼カペラでした。

作曲家藤井健介さんの立会いのもと先週あたりに出来たばかりの曲を歌い、かたやカペラでは没後500年のイザークと生誕450年のモンテヴェルディを歌う。

こんな贅沢なことができるのは今生きている我々だけですよね。


私たちのもっているレパートリー

グレゴリオ聖歌が記譜されたのが10世紀ごろと言われてますので、私のレパートリーは約1100年間の作品ということになります。

それに対し、例えばイザークの生きた時代は今から500年前ですから、グレゴリオ聖歌から数えてレパートリーは600年分と言えるでしょうか。

単純に考えて我々の約半分です。

もちろんイザークの時代にどれだけ広範囲に過去の作品を演奏していたかはっきりとはわかりませんが、まぁほぼ同時代の作品とグレゴリオ聖歌、というか感じだったでしょう。

つまり歌い分けなければならない様式はグレゴリオ聖歌とポリフォニーという二本立て、この二つさえうまく演奏できればよかったのだと思います。

あれやこれやといろんな様式のものを歌わなければならない私たちとは違い、この二つに専念していた当時の人たちの演奏、さぞかし素晴らしかったんだろうなぁ。


サリクスの場合

例えばサリクスのレパートリーで言えば、グレゴリオ聖歌からバッハまでですので約800年間です。それもイタリア・フランス・フランドル・イングランド・ドイツと様々な地域のものを歌いますので、その歌い分けの大変さときたらもう。

ラテン語の発音一つとっても発狂的に複雑です(今回はイタリア式・フランス式・イギリス式を用います)。

まだ今回は扱う言語がラテン語とドイツ語の二ヶ国語だけなのでマシな方です。

これに音律、旋法感、調性感、和声感、編成、通奏低音との関係などが複雑に絡み合って、ほんとなんでこんな大変なことになっちゃったんだろうというくらいこれらの歌い分けは絶望的に困難です。

その多様な様式が混じり合った末にできた音楽としてバッハを捉える、というところに面白みを感じてもらえればと思っているので、是非ともこの困難は乗り越えなければならないのですが。

というわけでバロックまでの音楽でさえこれだけ様々な様式に対する感受性というか、知恵と技術のストックみたいなものが必要なわけですが、いわんや現代をや、というわけです。


現代音楽の様式感

現代の音楽ってほんとに多様で、作曲家一人一人に様式があり、もはや個人の様式を作ることが作曲家にとって課せられた義務のようになっていて、しかも人によっては曲ごとに全く違った様式を用いたりしてきます。

例えば今回ヴォクスマーナで演奏する川上統さんがそうで、前回ヴォクスマーナで演奏した海藻大聖堂は今回演奏する怪獣とは全く違う語法で書かれています。「怪獣」は「海藻大聖堂」にあった様々なな要素のうちの一つに拘って、純化させたような印象があります。あくまで語法について言えば、ですが。テーマはもちろん全然違います。

僕が普段演奏しているバロックまでの音楽はその点、同じ地域、同じ時代では、大体同じ様式の中で音楽を書いているので、時代と地域を限定してしまえばある程度一つのやり方で演奏できます。

その中に、たまにバッハみたいな飛び抜けて変な人がいたりして、ビックリするような音楽を書くけれど、まるっきり別の様式で書いているわけではないんです。同じ様式の中で、これだけ強烈な個性を炸裂させることがむしろ凄いというか。

現代とは根本的に作曲に対する態度が違うんですね。

現代音楽を演奏する場合、まずはその作品の様式(価値観と言った方がいいかもしれません)を体にインストールしなければなりません。スマホにアプリを入れるようなもんでしょうか笑

一つのアプリで沢山の作曲家の作品が演奏できる古楽に対して、一つのアプリにつき一人の作曲家、あるいは一つの作品しか演奏できないのが現代音楽、という感じでしょうか。

このアプリの数を増やすこと、またたまにアップデートすること、そして必要な時にすぐ起動できるようにすることも演奏家の仕事の一つといえると思います。

これって日々自分の価値観をぶっ壊して再構築するようなもんなんですよね。

 


カペラの場合(イザークとモンテヴェルディ)

今日のカペラのリハはイザークとモンテヴェルディでしたが、この二人、見た目同じような書き方で書いてるように見えて、全然違います。

どのくらい違うかというと、茶そばとロリポップぐらい違います(どっちがどっちかは深く考えないでください)

具体的にいうと、外面的な違いだけでも、

【イザーク】

時代と場所:15世紀フランドル

ラテン語の発音:フランス式

音律:(基本的に)ピタゴラス音律

編成:4声
【モンテヴェルディ】

時代と場所:17世紀イタリア

ラテン語の発音:イタリア式

音律:ミーントーン

編成:6声

という違いがあります。

私の場合、イザークのモード(アプリ)はすぐ引き出せるんですが、モンテヴェルディの方が大変難しい。というのもイザークのモードはジョスカンのモードに非常によく似ているので、同じモードをマイナーチェンジすればいい感じなんですね。

それに対してモンテヴェルディの方はというと、マドリガーレやヴェスプロのような新しいタイプの音楽は度々演奏しているのではいはいこのモードねって引き出せるんですが、モンテヴェルディのいわゆるプリマプラティカ(バロック期にできた新しい技法に対して古い技法のことをこう呼びました)はなんというかこう、わかるところも、あるけど、んー、これは、ほんとのとこ、どうなってんの?!て感じです笑笑

正直すぎますね笑

本番までにはアプリ完成させますんで笑


まとめ♡

ダラダラとすみません。

とりとめがないかんじになっちゃいましたが、実はほんとに言いたいのは、この、様式によるモードのチェンジっていうのは、何も演奏家に限った話ではないということです。

聴き手にも、その音楽を聴くにあたって、それにふさわしいモード、というものがあると思うんです。

モード、というのは体と心の状態をいうと思うんですが、その音楽の価値観を自分のものに出来ているかどうかで、聞こえ方は物凄く変わります。

カツ丼食いてえなぁって思ってたら口がカツ丼になるじゃないですか。その口でシュークリーム食べても微妙でしょう?

ロマン派の交響詩を聞く耳でグレゴリオ聖歌を聴いたらやっぱり微妙だと思うんです。

で、その価値観、モードを培うには、実際に歌ってみる、演奏してみるのが一番の近道だと思います。

その当時の人がどういう生活をしていて、どういう価値観をもって、何を考えて生きていたのかを勉強する、というのもいいと思いますが、とりあえず歌ってみる、というのが早いと思うんですね。

そんなわけでフォンスフローリス古楽院でそれができますよってのが今日の結論です笑笑笑

結局それかい!?という突っ込みがきそうですが笑

私はこれを知って人生変わりました。

「俺は今まで一体歌の何を学んでいたんだコンチクショウ」と思いました。

あなたも人生変えてみませんか?!(☆∀☆)キラキラ

(アヤシイ宗教ではありません)


フォンスフローリス古楽院2017年東京講座

詳細は以下のリンクよりご覧ください。

http://www.fonsfloris.com/k/2017tokyo.html

◆春期集中講座

Gs|初めてのグレゴリオ聖歌

Rs|初めてのルネサンス音楽

S|ソルミゼーション入門
Ms|初めての中世音楽

◆入門講座(通年)

Gn|グレゴリオ聖歌入門

Rn|ルネサンス音楽入門

◆歌唱実践講座(通年)

G|グレゴリオ聖歌演奏法

M|中世の音楽

トロープスとオルガヌムを歌う

R1|ルネサンス1 イザークのミサ曲

R2|ルネサンス2 イザークのモテット
◆発声講座

V|合唱のための発声法
◆音楽史講義

L|ルネサンス音楽の曙

FB|フランス・バロックの舞踏

 

◆夏期合宿

◆専門家のための特別講座

計歌会

FF古楽道場

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私の担当する講座は【ルネサンス音楽入門】です。

Rn ルネサンス音楽入門

講師 花井哲郎、櫻井元希

全10回と発表会土13:30-16:00
4月8日 5月6日 6月3日 7月8日 9月9日
10月14日 11月11日 12月16日
1月13日 2月10日

一般:35,000円
学生:20,000円

ルネサンス音楽を、当時の楽譜で使われていた白色計量記譜法で歌う、初心者のための入門講座です。合唱団などでルネサンスの音楽は歌ったことはあるが、オリジナルの楽譜は使ったことのない方、古い音楽のア・カペラのアンサンブルは初めての方など歓迎です。ハインリヒ・イザーク Heinrich Isaac のモテットを教材として学びます。歌唱・合唱などの経験のある方ならどなたでも受講できます。


 

あ、あとサリクス主催のワークショップでもグレゴリオ聖歌とルネサンス・ポリフォニーが学べます。

古楽院の方は日程が合わないという方、また1回ちょっと試したいという方はこちらも是非どうぞ。

定員まであと8名ですので、お申込みはお早めにお願いいたします。

Salicus Kammerchor主催ワークショップ第3回

グレゴリオ聖歌とルネサンス・ポリフォニー

〜古ネウマをポリフォニー演奏に生かす〜

講師:櫻井元希(Salicus Kammerchor主宰)
渡辺研一郎

サポート歌手:鏑木綾、金成佳枝

日時:2017年4月9日(日)10-17時

会場:えびらホール(東急池上線・大井町線 旗の台駅東口より徒歩6分。プライベートホールのため、詳しい場所はお申込み後のお知らせとなりますことをご了承ください。)

詳細はこちらのリンクよりどうぞ!

http://www.salicuskammerchor.com/workshop

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Salicus Kammerchor第3回定期演奏会

『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』

チケット発売中!

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ノイズ カットアップ | ヴォクスマーナ

ノイズ カットアップ | ヴォクスマーナ

今日はヴォクスマーナのリハーサルでした。

今回演奏する、北爪裕道さんの“Multiplex”という作品は2013年にヴォクスマーナによって委嘱初演された作品で、今回はその再演となります。

初演の際には私は乗っていなかったので、私にとっては初演です笑

初演の録音がyoutubeに上がっています。


この曲は、電子機器(等)の出すノイズが素材になっていて、北爪さんの楽譜の序文にあるように「デジタルネイティヴの感性に即した音楽の在り方が模索」されています。

どこかで聞いたことのあるコンセプトではないでしょうか。

そう。「都市の民族音楽」を標榜する、我が師徳久ウィリアム幸太郎のコンセプトに非常に似通っているのです。

民族音楽というのは、その土地に生まれ、その土地で生まれるべくして生まれ、その土地でしか生まれようのない、その土地ならではの音楽、と言うことができると思います。それが、私達の生きる都市でもし生まれるとするなら、それはどういったものになるだろう。ということ「年の民族音楽」なのだと私は解釈しています。

そしてこの2人、北爪裕道さんと徳久ウィリアムさんが辿り着いた音楽も、なかなか親和性があると思います。

北爪作品では、無機的な音、人間的なモーションを排した音が求められていますが、これがノイズミュージックで言うところの「カットアップ」という手法にとても似ているのです。

「カットアップ」というのは、音がバーっとなってパッと切れる、まるで電源をオン!オフ!したように一瞬にしてゼロから100に、100からゼロに、というやり方で音を出したり切ったりという手法です。

北爪作品ではこのカットアップのキレが非常に重要なファクターとなっています。

準備があって、音に対するモーション(ある種の振りかぶり)があって、それから音になる、そしてその音が減衰してから切れる、という有機的で人間的な音の処理の仕方を拒絶し、まるで機械のように音を出すことが求められます。


そして出す音そのものの中にも、ノイズミュージックで使うような技術がいくつか用いられます。

声を使ったノイズミュージックというのがどういうものか、徳久さんの演奏を見てみてください↓

すごいでしょ?特に3’01からの数秒間とかマジで何がどうなってるのかサッパリわかりません。

この演奏ではカットアップはあまり使われていませんが、最後の最後の数秒間にすこしそれに近い手法が見られます。

徳久さんの声のバックグラウンドは非常に広く、ハードコアデスメタルで使う発声や、サッチモトム・ウェイツの発声、それにホーメイカルグラスグット等の中央アジアの民族音楽で使われる発声も用いています。

北爪作品では喉詰めと言われる、ホーメイや浪曲などで用いられる発声、それに、デスメタルで用いるグロウルという発声が指定されている箇所があります。(他にもサイン波やノコギリ波、三角波のような音、という指示もあります)

グロウルは割と昔からよく使っていたし、徳久門下としては気合が入らざるをえないので笑そのやり方でやっていたのですが、どうもちょっとイメージと違うらしかったので、今日はフライスクリームという別の発声に変えてみました。

どうもこちらの方が近いっぽいので、フライスクリーム、本番までにしっかり練習しようと思います笑。

フライスクリーム、スクリーチ、グロウル、ピッグスクイールなどのいわゆるデス声について、徳久さんと、同じくノイズヴォーカリストの風人さんが対談している動画がありますのでこちらもごらん下さい。

風人さんもマジで凄いです。2人のデュオも載せておきます。演奏は以下の動画の2’20あたりからです。

凄いですね。まさにノイズ。彼らが使っているのはマイク一本で、エフェクターは使っていません。

ここまではできないかもしれませんが笑、3/5のヴォクスマーナ第37回定期演奏会では近い音が出せるよう頑張りますで、どうぞ皆様演奏会にお越しくださいませ。

現代音楽好きだけでなく、ハードコアやメタル、ノイズ好きの方にも楽しんで頂ける演奏会になると思います!

最後に、徳久さんはヴォイスだけでなく口琴も演奏されます。これまた最高に上手いので紹介させていただきます。

ヴォクスマーナ第37回定期演奏会

(創団20周年シリーズVol.3 未来を担う男性作曲家)

2017年3月5日(日)14:30開演
東京文化会館小ホール

一般3,000円(当日3,500円)、大学生1,500円、高校生以下1,000円

川上 統(b.1979)/ 怪獣 (委嘱新作・初演)
藤井健介(b.1979)/「Sèlèh II」 ヴォーカルアンサンブルのための(委嘱新作・初演)
近江典彦(b.1984)/「Khon-mXahuvona」 pour vocal ensemble (2014委嘱作品・再演)
北爪裕道(b.1987)/「Multiplex」 for 12 voices (2013委嘱作品・再演)

チケット取扱
東京文化会館チケットサービス
0356850650
http://www.t-bunka.jp

ヴォクスマーナ公式ホームページ

http://vox-humana.wixsite.com/vox-humana

 

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Salicus Kammerchor第3回定期演奏会

『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』

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Hiroshima→Tokyo

Hiroshima→Tokyo

昨日広島での本番を終え、今日東京に帰ってきました。

みんなに「史はどうしとるんかー?」「史ちゃん元気ねえ?」ともれなく聞かれるので、今度帰る時は一緒に連れて帰らなあかんなと思いました。

あ、そうそう、私が妻と出会ったのも合唱団そらなのです。

私がそらに入ったのが13の時、そらには17年分の恩があるのです。恩返しのつもりで歌いに帰るのですが、いつも恩を上乗せされて、あるいは借りを増やしに帰る思いです。

今回もそらにはテノールソロを歌う機会をいただいて、いつになったらほんとうの意味で恩を返せるのかなあと遠い目・・・。

あ、でもひとつだけ胸を張って自分の手柄と言えるのは、野間ちゃんをそらに紹介したことです。

初めて紹介したときからそらにはバッチリフィットしたようですが、その頃よりも遥かに彼女は実力をつけて、もうほんとに素晴らしい。なぜか私が誇らしげ笑

音楽の良し悪しを決める基準ってとっても難しいんですが、私が今まで聞いたもののなかでしっくりきたのが2つあります。

一つは作曲家の湯浅譲二先生が仰っていた、

「品があるかどうか」

もう一つはTokyo Voiz Choirのメンバーで、占星術師でもある方の仰っていた、

「気合いがあるかどうか」

です。

湯浅先生は、混沌としていて価値基準のはっきりしない現代曲の作品についての文脈でのお言葉だったので、こと演奏については、後者の「気合いがあるかどうか」というのが私にとっての大きな基準になっています。もちろんそれだけではないですが、私の物差しの8割強はこの尺度によっていると思います。

で、野間ちゃんの歌には「気合い」があります。他にも何人か、私が気合いを感じる歌手はいますが、実はそれほど多くありません。

いま身近でぱっと思いつくのは一人しかいませんが、きっと忘れてるだけで数人はいると思います。


さて、打ち上げでしこたま飲んで今朝飛行機で東京に戻りました。

↑打ち上げにて

そして13時からヴォクスマーナのリハに出て、夜はカンタータクラブOB会の役員会です。

なんだか急に日常です。


ヴォクスマーナは今3月の定期演奏会に向けてリハーサルしています。

前回の伊左治定期は比較的全曲聴きやすい作品でしたが、今回は「通常営業」です笑

最先端の合唱作品に興味のある方は、ぜひ演奏会に足をお運びください。

第37回定期演奏会 (創団20周年シリーズVol.3 未来を担う男性作曲家)
2017年3月5日(日)14:30開演
東京文化会館小ホール

一般3,000円(当日3,500円)、大学生1,500円、高校生以下1,000円

川上 統(b.1979)/ 怪獣 (委嘱新作・初演)
藤井健介(b.1979)/「Sèlèh II」 ヴォーカルアンサンブルのための(委嘱新作・初演)
近江典彦(b.1984)/「Khon-mXahuvona」 pour vocal ensemble (2014委嘱作品・再演)
北爪裕道(b.1987)/「Multiplex」 for 12 voices (2013委嘱作品・再演)

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『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』

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