ノイズのライブに行ってきました

ノイズのライブに行ってきました

さる3/16、大久保水族館というライブハウスに、ノイズのライブを見に行ってきました。

https://www.facebook.com/events/617156565775235/

風人さんという、徳久さんの元生徒さんで、今ドイツを中心に活躍されているノイズ・パフォーマーが帰国されて、企画されたライブでした。

風人さんがドイツに行く直前に私一回Tokyo Voiz Choirという徳久さん主宰の団体の練習にお邪魔させていただいたことがありまして、そこで一度お会いしてました。

そこではじめて、アイケイイチさん、そして本業占星術師のノイズ・パフォーマー、一樹さんとも出会いました。

その時も風人さんのパフォーマンスは度肝抜くレベルで、その後の飲み会兼反省会での真面目っぷりとの対比がエグかったんですが、今回のパフォーマンスはもう完全に別の世界に行ってしまわれたのだなという感想でした。

一部を切り取りました。全体は15分くらいでした。

なんていうんでしょうね。もう開いた口が塞がらなかったです。

控えめに言って人生変わった。

それで、これ5組出演のオープニングアクトなんですよね。

トリでいいじゃんって感じでしたが、この後出演の並びを考えると、オープニングでよかったですね。一番刺激が強くてストイックなのを最初に置くというのが、もう、ぬるま湯で生きてんじゃねえよって言われてるかのようでもうシャキッとしました。

ド頭にこれをやるというのが一番効果的だったと思います。

これ小さなピックアップマイク(徳久さんいわく)を2個口に加えてやってるみたいなのですが、見た目イアホン加えてるみたいで、片方壊れたイアホンとかでやってみようかなあとか思いました。

声、というか口から出てる音だけでここまでできるのは本当に凄いです。

エフェクターなし、操作してるのはゲインとイコライザだけだそうです。

とにかく本当に丁寧に丁寧に自分の身体と向き合いながら、丁寧に丁寧に音を紡いでいってるのが印象的で、嘘を言わない覚悟みたいなものを感じました。


続いて肩書きにはviolinistと書いてあったRohcoさん。

後で聞いた話では、先日叔母が行った「ノイズ白拍子」に出演されていたようで、これまたご縁を感じました。

こちらの動画はTwitterにあがっていたものを引用させていただきました。

左手側にプリペアドヴァイオリン(?)右手側に弓が置いてあって、真ん中にミキサーと髭の生えたまな板みたいなのが置いてありました。

ヴァイオリンは主に手で擦ったり弾いたりしていて、弓はまな板の髭を弾くというそっちかーーいなスタイルでした。


続いて徳久さんとコバさんによるノイズボイスカラオケ。

今回は仕上がった内容でしたねーーかなりアイデアが練られた様子でした。

最高に笑えました。

こちらコバさんのTwitterから。

まずは挨拶代わりの春の小川デュエット。

ていうか、

「コバ何歌う?」

「じゃ春なんで春の小川で」

って流れでふたりとも歌い出すのおかしくない?笑

とにかくノイズボイスカラオケってカラオケのユルさとノイズの対比が肝なんですけど、今回は曲間のやり取りまでそのユルい流れがうまく続いててよかったです。

照明もまたミラーボール的なのがぴったりあってましたね。

続いて最近の曲が歌いたいという流れからBillie EilishのBad guy。

これも当たり前のようにデュエットなんですが、なんとミニマルノイズでした。

今までなぜこのスタイルなかったんだろうと思うくらい当たり前といえば当たり前のやり方なんだけど、めちゃめちゃ笑えました。

コバさんは吸気のキュルキュルドローンずっとやってるし、徳久さんはマイクを近づけたり遠ざけたりしながら「ギャイギャイギャイギャイ」みたいのずっとやっててもうなんか後半笑いが止まりませんでした。

右キュルキュル、左ギャイギャイ、真ん中ビリー・アイリッシュ。意味わかんねえ。

続いて軍歌で微音。やられましたね。まさか軍歌で微音とは。

微音っていうのはまあ聞こえるかどうかのギリギリの音量でやるノイズなんですけど、徳久さんはずっとイビキみたいな「ゴル、ググ、、」ってやってるし、コバさんはフルボイスシャウトのモーションでほぼ無音っていうこれもまた対比が見事で、素晴らしいアンサンブルでした。

バックで流れてる軍歌は音質が悪すぎてそれだけでノイズとして成立してるし。

ビジュアルの対比もやっぱり結構大事ですね。面白い。

それでここからの流れが非常に秀逸。

「腹減ったね。すみませんカレー2つくださーい」

からのカレー食いながらカルグラドローンしながら会話はカルグラのまましゃべるという。

カラオケとして流しているのはエル・システマのドキュメンタリー的な映像。

なんだこれ。

結構つらそうに食べながら声出して、むせたりしてるのほんと面白かった。

途中ビール追加したりね。

そして最後は徳久さんのYouTubeの動画を使ったやつ。

もうなにがなんだかわかりませんが、倍音漫談ですかね?倍音猥談?を流しながらホーミーやりながら、途中からその猥談動画と夏の終りのハーモニーのカラオケがオーバーラップしてきてその上普通に二人でカラオケで歌うというもうわけわからん。

普通にカラオケしてるのがもはやノイズに聞こえる。

畳み掛けのトランス。

ノイズボイスカラオケの奥深さを見せてもらいました。


最も意味のわからんノイズボイスカラオケの後は、biology of the futureという方。

めちゃめちゃちゃんとしてる笑

ギャップがエグい笑

Cの音をドローンにしてその倍音を操作しながら展開させていく、途中にふりかけみたいに他の要素も入れていきながら、おそらく20分くらいかな、C音はなり続ける。

これもかなりヤバかったですね。あーこれ気持ちいやつやーって感じで。

ヒーリング的な、口から涎出る的な。

sound cloudに音源があがってて、いくつか聴かせてもらいましたが、どれも素敵。初心者にもおすすめです。

作業音楽にぴったりかも。今こうして記事を書きながら聴いてますが、これ、いいですね。気持ちいい。

あ、ちなみにちょっと興味があってスペクトログラムで音をみてみました。

左側です。綺麗ですよね。とても。倍音のゆらぎと、基音の安定感と。

比較のために右側にノイズボイスのも載せてみました。これはこれで綺麗笑

基音がそもそもめちゃめちゃ高くて幅ひろい笑
多分徳久さんのリップハーシュだったと思います。

ほんと人生いろいろ、ノイズもいろいろですね。


さて、トリは山下哲史さん。

この方ほんとに素晴らしかった。

直球のノイズ。ユーモアと、ピュアさと、可愛らしさがありつつ、様式美と、構成感、偶然と必然の混交。

すごいちっちゃなターンテーブルに最初はレコードのせてスプーンでこっすったりなんかしてるんですが、それはもう前戯みたいなもんで、レコードがどっか飛んでっちゃってからがもうほんと素晴らしかった。

ドタバタ、叫び、悶え、八つ当たり、土下座、土下寝、地団駄。

なんだろう、やりたくてもできないこと全部やってくれたって感じなのかな。

これの素晴らしさを表現する言葉がない。

自分でも動画撮ってて、見返してみると、自分

「ま、祭り、、祭りだ、、」

って言ってるんですよね。語彙喪失。

ちょっとあれに近いかも。ビルとか橋とか古くなった建造物を爆破して解体するやつ。あれ、気持ちいいですよねなんか。ちょっとあれに近い。

それかシャーマン。現代における祈りの儀式。やっぱ祭りだな。うん。祭りだと思ったんだもん。

とんど焼きとか、キャンプファイヤーとか、なんかそんな感じ。


とにかくこのイベントはほんとに凄かった。

風人さんのテンプルにカチーンってくるノイズに始まり、怪しげなviolinist、ユルすぎ意味不明のノイズボイスカラオケ、ヒーリング系ドローン、祭り。

流れが完璧。これ以外の順番は考えられないほど。

それで翌日徳久さんが言ってたのは、こういうイベントにEnsemble Salicusとかでバッハ歌ってよって。ゾクゾクしますよね。たぶんね。あんまりいないんですよね。こういうアンダーグラウンドミュージックに本意気のリスペクトを持ってる古楽演奏家。みんな心の底では下に見てるでしょ。クラシックのほうが偉いって思ってるでしょ。なのに、同じ土俵で戦うの、怖いでしょ。

先日叔母とやった「ダヴィデの声明・如来のイムヌス」も相当アンダーグラウンドでハードコアでしたが、これからもジャパニーズネオアヴァンギャルドエクストリームプログレッシブブルータルミクスチャークロスオーバードゥームコアクラシカルミュージシャンとして、怖くてできないことをやっていこうと思った次第であります。


というわけでね。

話題のライブハウスでですね。

話題のコロナをね。

2本も飲んでやりましたよ。

ははは


昔ね。「私、普通の人が好き」ってふられたことがあったんですよ。

雷に打たれたような衝撃の後に、うん。なら、しょうがないね。って、めちゃめちゃ諦められたよね。

ノイズ カットアップ | ヴォクスマーナ

ノイズ カットアップ | ヴォクスマーナ

今日はヴォクスマーナのリハーサルでした。

今回演奏する、北爪裕道さんの“Multiplex”という作品は2013年にヴォクスマーナによって委嘱初演された作品で、今回はその再演となります。

初演の際には私は乗っていなかったので、私にとっては初演です笑

初演の録音がyoutubeに上がっています。


この曲は、電子機器(等)の出すノイズが素材になっていて、北爪さんの楽譜の序文にあるように「デジタルネイティヴの感性に即した音楽の在り方が模索」されています。

どこかで聞いたことのあるコンセプトではないでしょうか。

そう。「都市の民族音楽」を標榜する、我が師徳久ウィリアム幸太郎のコンセプトに非常に似通っているのです。

民族音楽というのは、その土地に生まれ、その土地で生まれるべくして生まれ、その土地でしか生まれようのない、その土地ならではの音楽、と言うことができると思います。それが、私達の生きる都市でもし生まれるとするなら、それはどういったものになるだろう。ということ「年の民族音楽」なのだと私は解釈しています。

そしてこの2人、北爪裕道さんと徳久ウィリアムさんが辿り着いた音楽も、なかなか親和性があると思います。

北爪作品では、無機的な音、人間的なモーションを排した音が求められていますが、これがノイズミュージックで言うところの「カットアップ」という手法にとても似ているのです。

「カットアップ」というのは、音がバーっとなってパッと切れる、まるで電源をオン!オフ!したように一瞬にしてゼロから100に、100からゼロに、というやり方で音を出したり切ったりという手法です。

北爪作品ではこのカットアップのキレが非常に重要なファクターとなっています。

準備があって、音に対するモーション(ある種の振りかぶり)があって、それから音になる、そしてその音が減衰してから切れる、という有機的で人間的な音の処理の仕方を拒絶し、まるで機械のように音を出すことが求められます。


そして出す音そのものの中にも、ノイズミュージックで使うような技術がいくつか用いられます。

声を使ったノイズミュージックというのがどういうものか、徳久さんの演奏を見てみてください↓

すごいでしょ?特に3’01からの数秒間とかマジで何がどうなってるのかサッパリわかりません。

この演奏ではカットアップはあまり使われていませんが、最後の最後の数秒間にすこしそれに近い手法が見られます。

徳久さんの声のバックグラウンドは非常に広く、ハードコアデスメタルで使う発声や、サッチモトム・ウェイツの発声、それにホーメイカルグラスグット等の中央アジアの民族音楽で使われる発声も用いています。

北爪作品では喉詰めと言われる、ホーメイや浪曲などで用いられる発声、それに、デスメタルで用いるグロウルという発声が指定されている箇所があります。(他にもサイン波やノコギリ波、三角波のような音、という指示もあります)

グロウルは割と昔からよく使っていたし、徳久門下としては気合が入らざるをえないので笑そのやり方でやっていたのですが、どうもちょっとイメージと違うらしかったので、今日はフライスクリームという別の発声に変えてみました。

どうもこちらの方が近いっぽいので、フライスクリーム、本番までにしっかり練習しようと思います笑。

フライスクリーム、スクリーチ、グロウル、ピッグスクイールなどのいわゆるデス声について、徳久さんと、同じくノイズヴォーカリストの風人さんが対談している動画がありますのでこちらもごらん下さい。

風人さんもマジで凄いです。2人のデュオも載せておきます。演奏は以下の動画の2’20あたりからです。

凄いですね。まさにノイズ。彼らが使っているのはマイク一本で、エフェクターは使っていません。

ここまではできないかもしれませんが笑、3/5のヴォクスマーナ第37回定期演奏会では近い音が出せるよう頑張りますで、どうぞ皆様演奏会にお越しくださいませ。

現代音楽好きだけでなく、ハードコアやメタル、ノイズ好きの方にも楽しんで頂ける演奏会になると思います!

最後に、徳久さんはヴォイスだけでなく口琴も演奏されます。これまた最高に上手いので紹介させていただきます。

ヴォクスマーナ第37回定期演奏会

(創団20周年シリーズVol.3 未来を担う男性作曲家)

2017年3月5日(日)14:30開演
東京文化会館小ホール

一般3,000円(当日3,500円)、大学生1,500円、高校生以下1,000円

川上 統(b.1979)/ 怪獣 (委嘱新作・初演)
藤井健介(b.1979)/「Sèlèh II」 ヴォーカルアンサンブルのための(委嘱新作・初演)
近江典彦(b.1984)/「Khon-mXahuvona」 pour vocal ensemble (2014委嘱作品・再演)
北爪裕道(b.1987)/「Multiplex」 for 12 voices (2013委嘱作品・再演)

チケット取扱
東京文化会館チケットサービス
0356850650
http://www.t-bunka.jp

ヴォクスマーナ公式ホームページ

http://vox-humana.wixsite.com/vox-humana

 

――・――・――・――・――

Salicus Kammerchor第3回定期演奏会

『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』

チケット発売中!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

――・――・――・――・――

Salicus Kammerchor主催第3回ワークショップ

参加者募集中!

http://www.salicuskammerchor.com/workshop

ご好評いただいておりますサリクスのワークショップです。毎回早い段階で応募上限に達しております。

お申込みはどうぞお早めにお願いいたします。

――・――・――・――・――

櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。