イザークとジョスカン

昨日は午後カペラでイザークを歌い、夜アラミレでジョスカンを歌いました。

以前の記事でも紹介しましたが、カペラでお正月に歌うイザークのミサはほんと聴き所満載で歌いごたえ満点な曲です。

この曲には珍しいメンスーラ、テンプスインペルフェクトゥム・プロラツィオマヨール・ディミヌートゥムが登場します。

以下の写真の箇所(第2キリエ)です。 

美しいカリグラフィーのKのあとにクレフがあり、調号のフラットがあって、その隣りにあるのがメンスーラ記号です。Cに棒に点ですね。

Cに棒というのは現代の拍子記号にも名残を留めるいわゆるAlla Breveの記号ですが、これはテンプスインペルフェクトゥム・プロラツィオミノル・ディミヌートゥムです。

点がつくとプロラツィオがミノルからマヨールに変わるんですね。これがなかなか珍しい。はない先生も20年やってきて初めて見たと仰っていました。

詳しくはこちらのサリクスのブログ記事をご覧ください→第13回 記譜法の歴史(その2)

ま、ようは現代の感覚でいうところの8分の6みたいな感覚ですね。ざっくり言うと。

この画像の右の方見ていただくと白塗りの8分音符みたいな記号(フーサといいます)が現れているのがわかると思います。

これはプロラツィオがマヨールな時に特有かと思います。プロラツィオが3分割なので、セミブレヴィスとミニマがコロルになる可能性があって、ミニマがコロルになってしまうと、見た目上セミミニマと同じになってしまうんです。ですがミニマがコロルになってところで音価は変わらないので、ミニマより小さな音価を表すためには旗をつけるしかないと。その結果白塗りフーサになってしまうということなんですね。

はい。上の文章は人類の1%位にしかわからないと思いますので、わからない方は是非、フォンスフローリス古楽院の講座を受講してください笑

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夜間のアラミレで練習したジョスカンのStabat materは、2月の古楽院発表会で演奏します。

以下の演奏、団体名がかぶってますが、私たちじゃない方のアラミレです笑

JOSQUIN DESPREZ: Stabat mater dolorosa

ALAMIRE, directed by David Skinner

バンショワのシャンソンComme femmeを定旋律とした5声のモテットです。

以前の記事でも書きましたが、以下がバンショワの原曲です。

commefemme

このモテット、お聴きになって、わかると思いますが、とんでもない名曲です。

もう心臓鷲掴み、血の気も失せるような名曲です。

こんなに静かに心をかき乱されることはありません。

もうこの、定旋律の凛とした佇まい。宿命的とでも言えばいいんでしょうか、絶対的なナニカに対する真摯な祈り。諦観にも似ているけれど、喜んでそれを受け入れるような、海のような音楽です。

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演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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主宰団体Salicus Kammerchorホームページはコチラ

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櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

来年のアンサンブル・アラミレ

来年のアンサンブル・アラミレ

今日はアンサンブル・アラミレのリハーサルでした。

来年のアラミレは、イザーク没後500年を記念して、イザークのミサを取り上げます。

取り上げるミサは、Missa “Comme femme”というバンショワのシャンソンを元にしたミサ曲です。

例によって典礼形式で、「聖母マリアの七つの御苦しみの祝日」のミサ固有唱をグレゴリオ聖歌で歌います。

この祝日には有名なセクエンツィア、Stabat materが歌われますが、それを今回はジョスカンのポリフォニーで歌います。このジョスカンの作品には、ミサの定旋律と同一のComme femmeのシャンソンが定旋律として使われています。

今日初めて音出ししましたが、凄い曲です。もう、天才!笑

そして最後にイザークのAngeli Archangeliを歌いますが、この6声の大規模なモテットも、定旋律はComme femmeです。イザークと言うと、どっちかというと地味っていうか、滋味っていうか、じんわり系?スルメ系?な作風を想像しますが、この曲は全然違います。ものごっつい壮麗で、躍動的です。

あ、上の画像がそのComme femmeです。

今回の演奏会はこのシャンソンで統一された演奏会になりそうです。

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演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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