金沢青児テノールリサイタル|拝聴して参りました

昨日、青児さんのリサイタル聴きに行ってきました。

いやあ近年稀に見るすばらしい演奏会でした。

何から何まですばらしい。

ものすごく時間をかけて準備されたのだと思います。脱帽です。


まずプログラムが素晴らしかった。

まずバロックの作曲家の作品をブリテンがリアライズ、あるいは編曲した、「《ハルモニア・サクラ》から5つの歌」

もとは通奏低音と歌という編成なのでしょうが、ハープ用に編曲されていて新鮮でした。

そしてここからカンティクルが5曲連続するのですが、これまさかブリテンは一夜にして演奏することは想定してないですよね・・・。

全部で2時間を超すプログラムで青児さん歌いっぱなし。編成もバラバラだし、普通は連続して演奏するものではないのだと思います。

演奏する方としてはものすごく大変だと思いますが、しかし聴く方としては素晴らしいプログラムでした。

変化に富んでいて聞き飽きないし、休憩入れるところまで含めて完璧というか、素晴らしい並びでした。

カンティクル1番はテノールとピアノという編成、

2番はアルトとテノールのデュエットとピアノ、

3番はホルン、テノール、ピアノ、

4番はカウンターとテノールとバリトンとピアノ、

5番はテノールとハープ。

一つとして同じ編成のものがない。5番はブリテンが病気によってピアノが弾けなくなったためにハープのための作品となったそうです。

最後にミニマルな編成に戻って、しかも最初に演奏したハルモニア・サクラと同じ編成ということで、見事なダ・カーポ感。

アンコール的な風情もあって非常に演奏会がしまりました。

カンティクル3番は後に朗読も含めたより大規模な作品「問題の核心」として改定され、今回そのバーションで演奏されたのですが、これは日本初演ということでした。

ピアノ、ホルン、テノールの演奏に朗読が加わって、なんとも不思議に説得力のある上演でした。

そしてこのホルンを担当したのは広島大学時代の後輩近藤圭くん。ものすごく難しそうなパッセージに挑んでいました。ホルンってほんとなんでもできるけど、なにをするにも非常に困難を伴う楽器って感じで、そういう意味でもハイリスクハイリターンなテノールとの相性というか、ひりひり感が楽しめました。

時系列じゃなくてすみません。

2番はカウンターの武川くんが加わった二重唱でしたが、これは出色の出来でした。武川くん芸大ではテノールだったそうですが、ほんとそんじょそこらのカウンターじゃあ足元にも及ばないくらい凄いです。ぶったまげました。

いい意味でカウンターらしくないというか、フォルマント同調ほとんど使わないし、閉鎖のコントロールも自在だし、もともとテノールということもあってトゥワングが効いてて素晴らしい倍音でした。

だからこそテノールとの二重唱のブレンド具合が半端ない。ユニゾンもほんとに美しかった。

4番はバリトンの春日さんも加わって三重唱、テーマが東方の三博士のイエス来訪ということで、3人の男性歌手が配役されていました。春日さんが出演なさったのはこの曲のみ。なんという贅沢な使い方笑

春日さんってもうほんとなんでもできちゃうオールマイティープレイヤーというか、こういうのを実力って言うんだろうなって感じ。

そしてこの4番のピアノパートに、アンティフォナ“Magi videntes stellam”の旋律が使用されているということで、カンティクル4番の演奏に先立って、このグレゴリオ聖歌を舞台袖から演奏されました。

この部分のレクチャーを私やらせていただいたのですが、ものの40秒くらいのこの聖歌のために、1時間を2回、レクチャーに伺いました。40秒に2時間ですよ。それも青児さんだったら結構散々サリクスとかでグレゴリオ聖歌歌ってるから自分でもリハーサル出来たであろうというところをわざわざわたくしを呼んでくださって、この労力とかけた時間たるや、脱帽です。

この部分だけでこの調子ですから、他の曲にかけた労力と時間は推して知るべしでございます。

本当にお疲れ様でした。


そしてこのリサイタルのためになんと三ヶ尻正さんが発音指導、対訳制作に加えなんと字幕提供(プロジェクターとスクリーン自前)、更に字幕操作までやられていました。

何という贅沢なバックアップ体制。そして三ヶ尻さんの愛とバイタリティ。

脱帽。

何個帽子かぶっててもかぶり足りないくらい脱帽です。もう4・5個帽子脱ぎました。

 

三ヶ尻さん、私と並んでチラシの片隅に・・・。

素晴らしい演奏会でした。この劇団で全国巡業して欲しいくらい素晴らしかった。

皆様お疲れ様でした!万雷の拍手喝采を!!!

 

 

バッハ→ブリテン

バッハ→ブリテン

風すごいですね。

台風来てるんでしょうか。

今日の午後はバッハカンタータアンサンブルのリハでした。

今度の演奏会はまた私が振らせていただくことになったのですが、また選曲がイイ!

102.177.180です。

102は確か学部4年の時にカンタータクラブでやりました。

g-mollミサの元曲です。

バッハにとってミサって、ざっくり言うと彼のお気に入りのカンタータの詰め合わせ的な風情なので、その元曲のカンタータって名曲揃いなんですよね。

102はその中でも一二を争う私のお気に入り。

学部の時は合唱を歌っていたので、今回振れることになって、非常に楽しみです。

180番は私が演奏委員長になった年の定期演奏会で時にやった曲で、一言で言うと天国みたいな曲です。

リコーダーとオーボエのハーモニーの中をユニゾンで進む高弦が美しい。

177は今回初めてやりますが、なんとファゴットとヴァイオリンオブリガートのテノールアリアがあります。

200曲以上近くあるバッハの声楽作品の中でこんな変態な編成はこの曲1曲です。

しかしそれにしてもバッハの作品は比類なく複雑。

絶対に聞き取れないに違いないという細かな工夫がとんでもない数散りばめられていて、それら全てに気を配りながら演奏するのは至難です。

うおおおおそこまでする必要あったかあああ?いえ、必要なくてもやるんです。聞き取れなくてもやるんです。それがエンターテインメントでない音楽の真髄なのです。

これをオケも合唱もアマチュアで、半年で演奏しようというのだから気合いが半端ないです。


夜は会場を移動して、いつも一緒に演奏している金沢青児さんのリサイタルのお手伝いに伺いました。

ブリテンのカンティクルをやるそうなのですが、それにグレゴリオ聖歌が使われていて、それをカンティクルの前に演奏するのでレクチャーして欲しいとのことでした。

今日はその2回目だったのですが、ブリテンの方の発音指導に三ヶ尻正さんがみえていて、伴奏の寺嶋陸也さんとさらに歌い手の方には春日さんがいる中で私がグレゴリオ聖歌をレクチャーするというとんでもないイベントでした(爆笑)

いやー緊張した笑

歌い手は金沢さん、春日さんに、カウンターの武川くんという編成なのですが、本当に音色が素晴らしくて柔軟性もあって、素晴らしい出来栄えになっております。

7/10の本番には私も伺わせていただきますが、非常に楽しみです。

 

そしてもう一つ運命の巡り合わせを不思議に思うのは、このリサイタルに教音(広島大学教育学部第四類(生涯活動教育系)音楽文化系コース)の後輩である近藤くんが出るということです。

金沢さんから近藤くんを紹介してほしいと言われた時はビビりました。なぜそこが繋がるのか笑。面白いですね。(一番右が近藤くんです)

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Salicus Kammerchor

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公演情報

次回はEnsemble Salicusの演奏会です!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

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CD・DVD発売中!

昨年10月に開催されたLa Musica CollanaとのジョイントコンサートのライブCD

第2回定期演奏会のライブDVD

をウェブ販売しております!

http://www.salicuskammerchor.com/goods

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サリクス通信に加藤拓未、渡辺研一郎が登場!

http://www.salicuskammerchor.com/mail-magazine-1

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コントラポント | シャルパンティエ公演 リハーサル開始

コントラポント | シャルパンティエ公演 リハーサル開始

今日から12/23のシャルパンティエ公演のリハーサルが始まりました。

いきなり12-17時の5時間!笑

疲れました、、。でも時間が過ぎるのがあっという間!シャルパンティエマジックですね。

今回のコントラポントでは、村上惇さんと福島康晴さんと、初めてご一緒させていただきます。

村上さんは古楽科の大先輩で、カンタータクラブでも一緒に演奏させていただいていました。卒業後は、まさにフレンチバロックの本場に留学されて、昨年でしたっけ?満を持して帰国されて、活躍されています。

今日のリハーサル中も、微妙な発音の仕方について、「そっちではどうやってる?」と花井先生に質問されたりしていて、大変頼もしい存在です。

福島さんはイタリアバロックのイメージが強いです。合唱団エクス・ノーヴォを主宰されています。

アンサンブルでご一緒させていただくのは、私は初めてなのですが、チャーミングなキャラクターに魅了されました!笑

謙虚で、音楽に対して真摯な方なのだなぁという印象を受けました。

その他のメンバーは、コントラポントではお馴染みの、安定のメンバーです。このメンバーで、どんなシャルパンティエになるか、とても楽しみです。

器楽の方には、先日Salicus Kammerchorとジョイントコンサートを行ったLa Musica Collanaの主宰、丸山韶も参加しております。

いつにも増してアツい演奏になることと思います。

今回会場は石橋メモリアルホールですが、指定席となっております。

いい席から無くなっていきますので、どうぞお早めにチケットをお求めください。

私も何枚かいい席のチケットを預かっておりますので、私にご連絡下さっても大丈夫です。


【古楽アンサンブル コントラポント】

第22回定期公演「華麗なるシャルパンティエの音楽2」

2016年12月23日(金・祝)午後2時開演 上野学園石橋メモリアルホール

http://www.fonsfloris.com/c/schedule.html
フランス・バロックを代表する宗教音楽作曲家シャルパン ティエによる、クリスマスのための楽しい作品を集めた演 奏会です!

フランスのクリスマス・キャロルである「ノエル」の旋律 をふんだんに織り込んだ「真夜中のミサ」は、聖夜の神秘 と喜びに満ちあふれた名曲中の名曲です。

そこに登場するノエルの器楽編曲とその原曲のフランス語 のノエル、降誕祭直前の夕べの祈りのための「待降節のア ンティフォナ」、そして華やかな聖母の歌「マニフィカト 」と、洗練されたフランスのクリスマス音楽をたっぷり堪 能できるプログラムをどうぞお楽しみください!
演奏曲

マルカントワーヌ・シャルパンティエ

待降節のアンティフォナより

器楽のためのノエル

マニフィカト

主の御降誕の歌より「夜」

真夜中のミサ

Marc-Antoine Charpentier (1643-1704)

Salut de la veille des O H.36-41

Noël sur les instrments H.534

Magnificat H.78

“Nuit” – In Nativitatem Domini Canticum H.416

Messe de Minuit H.9
演奏

古楽アンサンブル コントラポント

ソプラノ dessus 花井尚美 染谷熱子 鏑木綾

アルト hautes-contres 上杉清仁 小沼俊太郎

テノール tailles 福島康晴 村上惇

バス basses 春日保人 櫻井元希

ヴァイオリン・ヴィオラ violons 小野萬里 丹沢広樹 丸山韶 大西律子 上田美佐子

バス・ド・ヴィオロン basse de violon 西澤央子

リコーダー flûtes á bec 太田光子 辺保陽一

ファゴット basson 鈴木禎

テオルボ theorbe 金子浩

オルガン orgue 上尾直毅

指揮 direction 花井哲郎
チケット

全指定席 一般4,500円 ペア8,400円 学生: 2,500円*

*学生券は、学生証を提示のうえお求め下さい

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演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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主宰団体Salicus Kammerchorホームページはコチラ

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