稲葉浩志、もはやHaute – contreなんじゃないか説

稲葉浩志、もはやHaute – contreなんじゃないか説

みなさんはHaute – contreという声種をご存知でしょうか。

フォンスフローリス界隈ではよく知られていますが、一般には認知度のない声種だと思いますので簡単に解説しておきます(ウィキにもないし)。

オートコントルというのはバロック時代フランスで重用された男声の最高声部です。音域で言うと超高いテノール、という感じなのですが、オートコントルの音域はオートコントルの音域でしかないので例えようがないですね。

「はい、これテノールだよーテノールのみんな歌ってねーって」言うと、テノール全員にぶっ殺されるくらい高いです。

高い方の音域はアルトくらいなんですが、アルトではどうにも低すぎるという音も普通に出てきますので、カウンターテナーが歌うのも低くてちょっと違う感じになっちゃいます。

ようはべらぼうに高いけど裏声使わずに歌うテノール、みたいなもんでしょうか。

手っ取り早くお聴きいただきましょう。

バロックの末期に活躍したJean-Joseph Cassanéa de Mondonvilleという作曲家のDe profundisというです。

6分8秒からオートコントルのソロです。(全体的にすんごいいい曲なのでよかったら全部聴いてね!)

https://www.youtube.com/watch?v=gtXBqXCZXv4

楽譜はこんな感じ。高いですねーー。しかも高い音の扱いが凄い軽いので(音楽的に重い音が求められていない)より難易度は高いです。

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他にもっと超絶凄いのあったと思いますが、この曲が好きなんです。超いいですよねーーフレンチバロックいいなーって思ってくれる人が増えたらいいなあという思いもあるので、もう聴いて一発で惚れる曲を選びました。


そう。前フリはここまで、それでは以下の動画をご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=0eg5pePdIdI

皆さんご存知B’zのギリギリchopです。(何を隠そうB’zの曲の中でこの曲が一番好き)

公式のヴィデオも貼っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=yKBUCY3Y1tU

上の動画だと3分19秒下の動画だと5分33秒からの、最後のサビの部分を譜面に起こしたものが以下です。

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はい。みなさんこれで否が応でも稲葉浩志の凄さわかったのではないでしょうか。

あ、同じく鬼畜曲「Liar! Liar!」についてはコチラに書いてございます→結局、稲葉浩志最強説

ハイツェー(high – C)が10回以上、Dが一回、最後はEです。ハイツェーというのは有名な「誰も寝てはならぬ」の最高音の半音上です。

https://www.youtube.com/watch?v=QtlgzFKWZKE

2分50秒あたりがそれです。

クラシックで有名なハイツェーはこれです。3分35秒あたりです。

https://www.youtube.com/watch?v=I0aBWRmeJTY

いやー凄いですよねえ。もう胸のすくとはこのことですよ。気持ちがいい。ほんとに凄い。稲葉浩志は1回のサビで10回以上出してるけど。

high – Eを出してるクラシックの動画は、冗談みたいなものしかありませんでした。以下の動画の2分20秒あたりです。

嗚呼、冗談とか言ってすみませんでした。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。


そして、皆さんお気づきでしょうか。

一番上の動画のアウトロで稲葉浩志がシャウトしてるんですけど、そこの音程はこうです。3分50秒あたり。

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はい、もう意味わかんないですねー。この音は以下の動画の1分40秒あたりなどに出てきます。


Haute – contreなんじゃないかということで進めてきたこの記事ですが、最終的にマリア・カラスを引き合いに出してしまってのでもう私の負けです。

彼は、声種や性別までをも超越した、ちょうすごい「Singer」ですね。もうほんと、すごい。ちょうすごいがひらがなになっちゃうくらいすごい。

もう、すごい。

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演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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主宰団体Salicus Kammerchorホームページはコチラ

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イザークイヤー開幕に向けて

カペラのリハーサルが始まりました。

来年はイザークの没後500年のメモリアルイヤーで、世界各地でイザークフェスティバルが行われません。

行われるのは僕の心の中でだけです。

イザーク、好きなんですよねー。なぜか肌に合うんですよねー。

1月のカペラで演奏するミサは、イザークイヤーの開幕に相応しい素晴らしく奇想天外摩訶不思議出前迅速落書無用な曲です。

カペラは大体、初回のリハーサルで楽譜が配られて、初見大会が行われるのですが、これがあっし好きでがしてね。知らない音楽が楽譜からふわーっと溢れ出して、楽譜の謎を一つ一つ解きながら音にしていく、というのがえも言われぬ快感でありんす。

イザークって、職人気質で、言われた通りにちゃんと書いて、律儀できっちりしたイメージがありますが、意外とお茶目なところとか、いたずらっぽいところ、シュールなジワジワ系の味わいとかあったりします。

ミファーミファーミファミファーミファミファミファーみたいな、おいおいマジかよなんてシツコイんだ!とか

ゼクエンツといって同じ音形で順次上がっていったりするセクションをやたら長く続けたりして、あーっ恥ずかしい!とてつもなく恥ずかしい!恥ずかしいけどそれが気持ちいい!

という変態的な感覚をくすぐられる部分があったりします。

今回のミサはそんなイザークの面白さがここぞ、というところに現れていて、秀逸です。


例えば見た目で面白さが伝わるのは、


名付けて「ジッパーの音形」です。

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このように音符をくっつけて書くことを「リガトゥーラ」といいますが、リガトゥーラの元となったのは、グレゴリオ聖歌のネウマなんですね。

もしこれの元になったネウマを名前で呼ぶなら、「ポレクトゥスフレクススレスピヌスフレクススレスピヌスフレクススレスピヌス」ということになるのでしょう。最っ高に面白いですよね!

(この面白さがわかりたい方は、是非フォンスフローリス古楽院のグレゴリオ聖歌入門を受講下さい。詳細はコチラ

続きまして、


二度上がって四度下がる、を4回繰り返した末にオクターブ跳躍してロンガで順次進行!おもろい。


溢れ出す「谷」感。


あとこのミサにはカノンが沢山あります。カノンというのは現代ではカエルの歌みたいな、追いかけっこのことを言いますが、もともとは、演奏に際しての但し書き、あるいはモットーのようなものでした。

img_4833

例えばこれは”fuga in diapente pausando unum tempus”「五度下で、1テンプス(1ブレヴィス)休んでフーガ(追いかけること)せよ」


これは”fuga in diatesseront pausando unum tempus”「四度下で、1テンプス(1ブレヴィス分)休んでフーガ(追いかけること)せよ」


そしてこれは、”Qui me barritonare cupit in decimis intonabit”「10度の音程でバリトナーレすること」とでも訳すんでしょうか。ソプラノの10度下で、ずーっと平行でバスが歌います。これ、このミサのいっとう最後の部分、第2アーニュスです。これでこのミサおしまいです。

最早パンクですね、反骨精神すら感じます。

4度、5度のカノンはよく見ますが、10度で平行せよ、というのは初めて見ました。

オモロイやないか。イザークさん。

このミサの他に、イザークの代表作、コラーリス・コンスタンティヌスより固有唱を歌い、そこにない固有唱(GradualeとOffertorium)をグレゴリオ聖歌で歌います。そして最後に、モテットを1曲歌う予定です。

いやー楽しみですねーイザークイヤー!


演奏会詳細はコチラ

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ドン・ジョヴァンニ 千秋楽!

ドン・ジョヴァンニ 千秋楽!

北とぴあ国際音楽祭《ドン・ジョヴァンニ》公演、終わりました。

着替えてちょっと舞台出て、着替えてちょっと舞台出て、着替えてちょっと舞台出て、というモデルみたいな生活が終わりました笑

買ったっきり一度も着なかったこのNOIDとLOADEDのコラボシャツ↓が着れて良かったです笑


いやーいつか着るだろうと思ってセールで買って以来3年くらい経ってやっと陽の目を見ました。

派手過ぎですよねどう考えても。でも舞台上だと普通だったそうです笑

さて、明日からはカペラのリハが始まります。毎年恒例の成人の日の本番です。

今回は、来年没後500年を迎えるイザーク!イザーク超好き!来年はイザーク祭りですよ!みなさん!


詳細はコチラ

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ドン・ジョヴァンニ 初日終演!

ドン・ジョヴァンニ 初日終演!

本日北とぴあ国際音楽祭「ドン・ジョヴァンニ」初日でした。

開演18:00と、平日にしては早い開演時間でしたが、1300名収容のさくらホールが一杯で、大変驚きました。

すごいなー二回公演で1300席が埋まるんだなーオペラってすげえなぁと思いました。

しかしながらパンフレット記載の協賛欄を見ると、営業努力が尋常じゃないことがわかります。見習わなければ、、。

演奏はもう器楽がすんごい。変わりようがすごい!本番めっちゃいい!凄い迫力!

もうさすがですね。百戦錬磨です。ほんとすごい。

あと残すは日曜日のみ。

死体運び→結婚式に参加→通行→パーティに参加→ドン・ジョヴァンニ討伐→地獄落ち

だけの出番ですが、頑張ります!

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ドン・ジョヴァンニ ゲネプロ終了

ドン・ジョヴァンニ ゲネプロ終了

北とぴあ国際音楽祭のドン・ジョヴァンニ公演、ゲネプロが終了しました。

この写真は昨日のものです。この状態だと殺風景ですが、本番は衣装と照明によって素敵になります!

ソリストみなさんほんとに素晴らしいですが、私は特にレポレロ役のフルヴィオの声が本当に好きです。

ほんと「これぞイタリア人」みたいな声(と性格)で、もうとにかく明るい。キラッキラです。

それでいて全然うるさくなくて耳に心地いい。暑いけど湿度低い、みたいな感じなんでしょうか。

演技も超上手くて、めちゃくちゃ忙しいはずなのにタイミングから何からいつも完璧。ほんと凄いです。

そのくせ「いやー僕は大した歌手じゃないから」とか言って見ちゃったりなんかしたりして謙虚な一面出してきたりします笑

櫻田先生曰く「ああ見えて意外と繊細」なのだそうです笑


それからまたドン・ジョヴァンニプチ情報。

合唱の出番が少ないというのは以前の記事で書きましたが、同じように出番の少ないパートがあります。

それはトロンボーンパートです。トロンボーンが登場するのはドン・ジョヴァンニが遂に地獄へ落とされるラストのシーンのみ!

1幕まるまる、2幕も半分以上は待機です。

しかし!小節数でいうと100小節以上はあるそうで、僕らよりは多かったです笑

トロンボーンが音数少ないのはフォーレクで、35音だそうです。1音あたりのギャラが最も高い仕事なのかな?

テノールミサのテノールもそんな感じですよね。あれはあれで大変ですが、、音符あたりのギャラはコントラテノールとかと比べると、5倍くらいかも笑

以上豆知識でした。


明日は雪が降るそうですね。

ドン・ジョヴァンニの本番は明後日ですが、明後日は大丈夫でしょうか。ご来場の皆様はくれぐれもお気をつけください。

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