私の職業は主に1750年以前のキリスト教声楽作品を演奏することなのですけど、このブログにいろいろ書いてる通り、他にも好きな音楽がたくさんあります。
ホーメイ、テノーレス、ヨーデル、インド音楽、ビートボックスなどがその中心ですが、中でも最も理解されにくいのが、グラインドコアとブラックメタルでしょう。
ジャンルの名前で書きましたが、どうも最近はっきりしてきたのは、私はこれらの「ジャンル」が好きなわけではないということです。
私はグラインドコアが好きというよりは、そういうジャンルに分類されているCarcassというバンドの1-3rdアルバムが好きなのであり、ブラックメタルが好きというよりは、そういうジャンルに分類されているGorgorothというバンドのUnder the sign of hellというアルバムが好きなのだということが、最近わかってきました。
グラインドコアなんか、Carcass以外に一個もバンド知りません。
で最近ブラックメタルの歴史を記したごっつい分厚い本をたまたま雨宿りした紀伊國屋で買いまして、端から端まで読んで、登場するバンド片っ端から聴きましたが、いいと思うバンド、アルバム、曲はひとつもありませんでした。
いや、そこそこいいなと思うものはあるんですけど、2回以上聴きたいかというとそういうのはなかったんです。
それではっきりしました。別にブラックメタルが好きなわけじゃない。
では一体Gorgorothの、それもUnder the sign of hellというアルバムが、他と何が違うのか。
ドラムなんです。これを叩いてる人、それが、このブログのタイトル、Grimという人です。
聴いていただければ一瞬でわかります。こんなスネアの音は聴いたことがないと、
スネアがなかったからトタンで代用した、そんなような音です。
錆びたノコギリみたいなギターやネズミの断末魔みたいなヴォーカルも素晴らしいですが、それはあくまで普通のブラックメタルの様式の域を出ないかなと思います。
ただこのスネアの音だけは、多分これまでブラックメタルのアルバム100枚以上聞きましたがこれっきりです。
これっきりというのは、Grimは彼は1999年に30歳で自殺してしまって、生前公式にリリースされたアルバムはこれ1枚なのだそうです。
参照元:https://metal.fandom.com/wiki/Erik_%22Grim%22_Br%C3%B8dreskift
2017年になってÖrthというバンドの音源がリリースされて、youtubeに上がっていますが、コメント欄のBuy CDのリンクは死んでました。
それでそのアルバムもこんなスネアの音ではないんですよね。
だからもう本当に、Grimのあのスネアが聞けるのはGorgorothのUnder the sign of hellだけなんです。
それで例のブラックメタルの歴史の本にも特にそのことには触れていないし、誰もこのスネアの音どうなってんねんというのを見たことがないのが本当に不思議で、こんな凄い音出してる人ひとりもいないのになぜそれに誰も触れないのだろう。
ということで、Grimが死んじゃったので、もう自分でやるしかないなと思って、ドラムをはじめました。
といってもまだ1回スタジオ入っただけですが。
ジョスカンフェスが終わったらやろうと思っていたことの一つです。
こう見えてめっちゃ楽しかったです。
右手は叩くところ間違えてますし、左手は笑っちゃうくらい暴れてます。Grimまでの道は遠い。