先週末、日本ビートボックス界のレジェンド中のレジェンド、Afraさんのワークショップに参加してきました。
まさか僕みたいなもんがAfraさんから直接ビートボックスを教わる日が来ようとは夢にも思わなかったのですが、徳久さんが過去に共演経験があったそうで、コエダイ主催のWSが実現しました。
教わった内容は基礎音と簡単なビートの組み合わせだったのですが、生音とマイク通した音と比べながら、一つ一つ丁寧に教えていただいて、Afraさんの基礎音が私が想像したものと結構違って、なかなかショッキングでした。
キック
普通のBのキックですが、めっちゃAfraさんの喉頭上下に動いていて、これノーワードでやってたんですね。
ノーワードというのは、(私の理解では)肺からの呼気や吸気を用いずに喉頭か舌のポンプで呼気圧か吸気圧を作ることです。
(私の理解がビートボクサーの一般常識と異なる場合があることをご了承ください。)
喉頭が上下しているということで、声帯を閉じて喉頭を上下させて気圧を作っているということがわかります。
多分私が思い込んでただけなんでしょうねえ、改めてOnii-chanのチュートリアル見たら、口の中に空気の玉を作ると言っているので、これノーワードですね。後半のSxinのデモンストレーションでもはっきり喉頭の上下を見て取れます。
そしてなんでこれアウトワード(吐き)じゃなくてノーワードの方が良いかというと、まず唇に圧力をかけやすいです。肺で作る圧力よりも、喉頭や舌で作る圧力の方が強いんです。これはSpitzスネア(ハンドクラップ)をやってみるとわかります。アウトワードでもSpitzスネアできるんですが、めっちゃ筋力必要な上に、舌でやってるときのようなクリスピーな音はしません。
momimaru先生も解説しております。
あとノーワードの利点は、キレがいいところですね。アウトワードだと発音のあとに呼気が出て、余韻が残る感じ(アスピレーションの感じ)になるのですが、ノーワードだと音がピタッと切れる感じになります。
なので硬い印象の音を出すにはノーワードの方が良いのだと思います。
そしてAfraさんのキック、生音で聞くと、わりと「プッ」くらいの感じで軽いんですが、マイク通すとカッチカチです。
こういうのは動画ではわからないところなんだろうなと思います、動画だといずれにせよマイクを通しているので。
ハイハット
ハイハットも私全くアウトワードでやってましたが、Afraさんがやってたのはノーワードでした。
よく考えたらアウトワードでやるとオープンハイハットになりやすいですよね。これもキレの問題で、ノーワードの方がキレが良いです。
あとハイハットを”t”でやる人と”ts”でやる人といると思うんですが、いや、これただの表記の問題で、音は殆ど同じなんじゃないかとも思うのですが、実は前から気になってるんですよね。
Afraさんは”t”で表記されていました。
あとt派で面白いのは、ロシアのビートボクサーImproverで、彼は右手に”b t k t”というタトゥーをしていて、ハイハットをtで表記しています。
Rofuは「ツ」だ!以上!と言ってますね。
そして上のOnii-chanは”tz”と表記してます。ドイツ人なんで!
いやしかしこれ最終的には同じような音になるとしても、入り口がtかtsかって結構な違いな気がするんですよね。
(この件についてAfraさんに質問しようと思ってたけどすっかり忘れていたよ。というか質問いくつか用意してたのに、質問ありますかって言われた時に頭が真っ白になったよ。)
Pスネア
今回習った基礎音はこの3つですが、Pスネアだけアウトワードでした。
そしてアタクシはこの3つ全部アウトワードだと思ってたので、bとtをノーワードにするというだけで完全に脳と口まわりがバグりまして、何もできなくなりました笑
たったこれだけのことでバグっちゃうんだなあとわがことながら感心しておりました。
今ちょっとやってみてもtがアウトワードになっちゃったりpがノーワードになっちゃったり(これはもはやスネアではない)、結構長い間自己流で全部アウトワードでやっててこの習慣はなかなか抜けないものだなあと思います。
あとFugaさんも言っていますが、Pスネアは個性が出る。AfraさんのPスネアは結構高めの音で、真似しようと思っても全然その高さ出ませんでした。唇つよつよです。
いや、Pスネアに限らず、ビートボックスってドラムとは比較にならないくらい個性が出て、それがヒューマンだなあと思うのですが、多分私音質にもよりますが、so-soのハイハットは聞き分けられます。あとFootbox GとかHeliumのハイハットも好きで、多分これも聞き分けれると思う。
効きビートボックスやってみたいな。いろんなビートボクサーのキックだけとか、ハイハットだけとか集めて、あてっこすんのね。超楽しそう。
ビートボックスの歴史
今回の講座は実践だけでなく、ビートボックスの歴史も教わりました。レジェンドによるビートボックスの歴史。えぐい。
私は新参者のビートボックスファンなので、最近の事しか知らなかったので、とても興味深かったです。
特に黎明期の全部勢いでやってます!みたいなビートボックス、激アツでした。
やっばいですよねこの気合い。つよい。めっちゃつよい。
いやデスメタルとかもそうなんですけど、テクニックは時代とともに向上していくんですけど、こういう気合いのパフォーマンスって減ってくんですよね。余裕でできるようになっちゃってさあ。
ギリギリのところで千切れそうになりながらやってるのがいいんじゃんねえとかデスメタルの場合は思います。
あとデスメタルでプチョヘンザとか言い出したら世も末(ry
脱線しましたが、現代のガッチガチにテクいビートボックスもいいけど、黎明期の気合いと勢いのパフォーマンスもいいですよね、という話で、初心忘るべからずという話でございます。
というわけで様々な発見のあった講座でしたが、Afraさん、実際にお会いすると音はカッチカチなのに物腰は柔らかすぎてこちらが恐縮するほどでした。
こんな柔らかいレジェンドいる〜〜〜?って感じでした。
また講座第二弾やってほしいなと思うと同時に、最近のビートボックスについてもどう思ってるかなどお話聞いてみたいなと思いました。
さて本業の方ですが、Salicus Kammerchorが先月収録しましたシャイトの動画が公開になりました。
無料でご覧いただけますので是非多くの方に聴いていただきたいです。
大角先生、米沢先生の解説動画も、こちらからご覧いただけます。
http://rikkyo-kiriken.com/events/index.php?QBlog-20220310-1
Salicus Kammerchorは5月に第7回定期演奏会を開催いたします。
こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
Salicus Kammerchor第7回定期演奏会
ハインリヒ・シュッツの音楽vol.2
二人の天才
〜モンテヴェルディ→シュッツ〜
【日時・会場】
5月20日(金)19時開演
日本福音ルーテル東京教会
チケット予約:https://tiget.net/events/160766
5月22日(日)14時開演
台東区生涯学習センター ミレニアムホール
チケット予約:https://tiget.net/events/160767