今日はヴェスプロのリハーサルでした。
本番の情報はきのう書きましたのでそちらをご参照ください。
http://ameblo.jp/carcass1031/entry-12039717298.html
今回僕はカントゥス・フィルムス(定旋律)を歌うことが多いのですが、非常にやりがいのある反面なかなかにきつい役回りです。
なにしろ音価が長い上、定旋律が詩編唱の旋律なので、動きが少なく同音連打が多いのです。それだけに聴き取りやすく、間違えたら一発でばれます(笑)。
しかも本番では立ち位置を定旋律部隊だけ離す可能性があり、そうなったらますますアンサンブルは難しくなり、冷や汗をかきまくることとなるでしょう。
カテドラルでは立ち位置を客席から離すと、細かいディティールが曖昧になる反面、音が天井をまわって、天から降ってくるような神々しい音色となり、定旋律の絶対的な支配感といいますか、より高次のものであるという印象をもたせる効果が期待できます。
動きが少なく、音を長く保っていなければいけないカントゥス・フィルムスですが、このパートを歌う醍醐味は、まさにそこにあります。作品が、定旋律をもとに多声に作曲されているので、自分が自転の軸になったような、あるいは自分が地球を回しているようなそんな気分で、音楽を動かすことが出来るのです。曲の進行、表情・内容、展開を自分が支配しているような感覚です。
ポリフォニーの音楽は、そもそも単声で歌われていた聖歌(テノール)の上(コントラ・テノール・アルゥス→テノールに対して高いという意味、現在はアルトと呼ばれる)と、下(コントラ・テノール・バッスス→テノールに対して低いという意味、現在のバス)さらにアルトゥスの上に、「より高い」を意味するスペリウス(現在のソプラノ)を加えることで現在のようなフォーマットとなりました。
ですので、まだモンテヴェルディの作品ではテノールに定旋律があるんですね。もとの聖歌を歌うパートをテノール(保つ)と定義したわけなので。
あれ?ちょっと待てよ?僕バリトンちゃうかったっけ?
まあ細かいことは気にしないの。
それが次第に旋律を聴き取りやすいソプラノに定旋律を置くようになって、例えばバッハのコラールカンタータなどは、ほとんどの場合定旋律のコラールはソプラノにあります。
ですのでバッハばっかり演奏する団体のソプラノはわりと頻繁に定旋律を担当していて、選曲に際しては、コラールカンタータばかりにならないように気を使ったりします。
いやー今回は、ソプラノさんの気持ちがわかりましたねーーー(笑)
それにしても、詩編唱という極めて単純な旋律(旋律というのもはばかられるほどおんなじ音ばっかり)を定旋律として、これほどまでに色彩豊かで変化に富んだ音楽を作り上げたモンテヴェルディのインスピレーションと作曲技法には驚かされます。
詩編唱というのはおそらく定旋律としてはもっとも制約の多い旋律ではないでしょうか。
それが逆に自身の作曲技法を示す上で格好の材料であったとも考えられます。
いやーすごいです。ほんと、すごいです。
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