オケゲム&ジョスカン

今日はサリクスの第3回リハーサルでした。

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写真はジョスカンを練習しているところです。

輪になって練習しています。

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歌い手にとって、ネウマ的に、ピタゴラス音律で、そしてフレンチラテン&古いフランス語で演奏するのは容易くないようで、まだ慣れるのには時間がかかりそうでした。

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オケゲムも同様にフレンチラテン&古いフランス語、ピタゴラスですが、こちらは少数精鋭で演奏しますので、心配なさそうです。

いつもよく見るメンバーで演奏します(笑)。
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オケゲムの作品もジョスカンの作品も、先輩作曲家の死を悼んで作られた作品です。

オケゲムはバンショワの、ジョスカンはバンショワの死に際して作られました。
オケゲムの作品は、バラードの形式で書かれており、4声のうち最上声部だけがフランス語で歌い、他の3声はラテン語で歌います。
あえて古風な形式と書法で書いているのは、バンショワを懐かしんでのことなのでしょうか。
そしてそのオケゲムの死に際して作られたジョスカンの作品もまた、フランス語とラテン語で書かれています。
ジョスカンはオケゲムの作品を知っていたことでしょうから、その形式を念頭に置いたのかもしれません。
ところがジョスカンの作品はオケゲムのそれとは違い、5声で、ラテン語で歌うのはテノール一声部のみです。
そしてこの声部は有名なレクイエムの入祭唱の旋律を歌います。
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しかしこれをこのまま歌わせてくれないのがジョスカンのジョスカンたる所以、このパートにはこのようなカノン(演奏指示)が書かれています。

半音下げて歌え
どういうことかというと、ファソファファ、ファソララソファソソファを、ミから歌い始めろということです。
つまり、ミファミミ、ミファソソファミファファミです。
これはもう、別の旋律です。この旋律を聴いて、ああ、あの旋律ねってすぐ気付く人はいないのではないでしょうか?
いかにも安息が与えられそうなファソファファに対して、ミファミミのなんと悲しげに響くことでしょうか。
ジョスカンの哀悼の表現はこれにとどまりません。
彼の生きた時代、用いられていた記譜法は白色計量記譜法です。
白抜きの音符が用いられています。
ところがこの曲はこうです。
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真っ黒、、、、、、、。
黒色の時代に戻ったのか?もちろん違います。
白色計量記譜法でも、特別な時に、「コロル」と言って白い音符を黒く塗りつぶすことがあります。
完全なものを不完全にする時に、、、。
意味深ですよね。あなたのもとで完全であった音楽が、いまや不完全になってしまいました、と言わんばかりの。
まぁその深読みの前に、音符に黒い衣装をまとわせることで、オケゲムに対して哀悼の意を表しているのでしょう。
そしてもう1つ、計量記譜法に絶対になければならないものが2つ、この楽譜には欠けています。
それはクレフとメンスーラ記号です。
クレフは音部記号、メンスーラは拍子記号のようなものです。
クレフがなければ、どこがなんの音かわかりません。いわばクレフは音の導き手のようなものです。
これもまた、自分の導き手たるオケゲムを失ったことの表現なのだと思います。
(じゃあどうやって音高を読み取るのかというと、手がかりはフラットです。フラットはソルミゼーションでいうところのファを表しますから、現代的に言えば、1番上の線がF、真ん中の線がシBフラットだということがわかります。)
手が込んでます。手が込んでますが、こんなことは音にしたらわかりません。
楽譜を見ている人だけがわかることです。
聴き手にはただただ美しい音楽が聴こえるだけです。
聴こえないところになぜそんな苦労をするのか、
それは
聴こえないからこそイイ!
からなのです。
定旋律を使うこと自体、またそれを半音下げてみたり、全ての音をコロルで書くことは、作曲上の制限を自らに課すということです。
そして課された制限の中で、あたかも何にも縛られずに自由に作曲しているかのように聴かせるのが、作曲家の腕の見せ所なのです。
あ、ここに定旋律があるな、あ、半音下げてんのか、なんかへんな記譜で書いてんのかな、というのが聴き手にわかるようでは二流!ということなのでしょう。
その点ジョスカンは超一流です。
そんなカラクリは一切気にならないと思います。
聴き手はジョスカンのオケゲムに対する、ただただ真摯な哀悼の誠を聴くでしょう。
はぁ、だからジョスカンはやめられないヽ(´o`;
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