もうブログ書きたいネタが溜まりに溜まっているのですが、なかなか書く時間がなくて悶々とした日々を過ごしております。
溜まりに溜まったネタの中から、一番最初に書きたいのはrofuについて。
Swissbeatboxから動画が上がってから毎日数(億)回ずつ見てます。
動画そのものも観るし、リアクション動画もロシア語とかポルトガル語とかマレー語?とか全く意味は分からんけどrofuの動画を観て笑ってる人の顔を見るのが私の日課となりました(変態)。
いっそリアクション動画撮ろうかとも思ったのですが、めんどくさいのでやめました。。
ということで感想文を書いていこうと思います。ただの感想文です。ただし本職音楽家の。
Grand Beatbox Battle
あの、私ビートボックスにハマってから1年半とかのにわかなので、描写に不正確なことが沢山あるかと思いますがご容赦ください。何を隠そうrofuからビートボックスにハマったのです。
GBBというのはSwissbeatboxが主催するビートボックスの世界大会で、バトルという名称がついているのは、MCバトルってラップのバトルあるじゃないですか、ビートボックスはヒップホップ文化から生まれたものなのでこのバトルという形式があるのです。
予選(elimination)を突破した個人(solo部門、soloループ部門)、タッグ(タッグ部門、タッグループ部門)、クルー(クルー部門)がトーナメント形式で戦っていくというのが基本のかたちです。
GBBは2020年はコロナの影響で延期となり、つまりGBB2021は私がビートボックスにハマってから最初のGBBだったわけです。
Tag team elimination
rofuの出場するタッグ部門にもそれはそれは世界の激ヤバビートボクサーが出ています。rofuと比較するうえで最も特徴的なのはRogue Waveだと思います。
このタッグ凄くて、今回のsolo部門の1位と2位の二人が組んだタッグなんです。
彼らの予選動画はこちら
そしてsolo部門決勝はこちら
まあ世界1位と2位のタッグですから、もうそりゃすさまじいということはわかっていただけると思うんですが、以上を踏まえてrofuのeliminationをご覧ください。
Rofu GBB2021 Tag team elimination
スタイルの違いを感じていただけたのではないかと思います。
それで彼らは予選を3位で突破するわけですが、なぜ、なみいる強豪を抑えて彼らが予選を抜けられたのでしょうか。
ビートボックスのテクニックやスキルというと、どれだけ速く、ひとつひとつの音をクリアに出せるか、またほかの人ができないような特殊な音を出せるか、ということに目がいきがちですが、rofuはそういったものには当てはまらないと思います。そもそもfugaは(自分でも言ってますが)ほとんどビートボックスやってないし。
ただこの動画に映るオーディエンスを見ればわかりますが、観客を魅了するということにかけて、rofuの右に出るものはいなかったと思います。そしてそれこそがビートボックスのテクニックでありスキルだと私は思います。
オーディエンスをエンターテインするということに全振りしたタッグがrofuなのです。
そしてそのために極めて緻密なストーリーをこの4分間に描いています。
Gene Shinozakiが、歌を歌える他のタッグに対して、「でも君らは漫才できるじゃない」と言ったように、彼らのビートボックスにはボケとツッコミがあります。
漫才のツッコミの代わりに、ビートがあるという感じです。
緩急と緊張と緩和、これも非常に的確に計算されています。
そして言葉が通じなくてもわかるように考え抜かれています。
ネタ考察
イントロ
冒頭「we are rofu from Japan」と小声で繰り返すfugaのなんかのスイッチを押すと声でかくなる。ここにすでに緩急があり、めちゃくちゃわかりやすく、そしてボー(インワードリップベース)がここではツッコミの役割を果たしています。
このボー、ボーの前についてるなんだろうフィルイン的なやつ良いですよね。ただの「ボー」じゃなくて「ビユンボー」みたいな。
そして細かいですが、fugaの「we are rofu from Japan make some noise」の最後の伸ばしのところで「ミレドー」みたいに音程下がっていってるの面白いですよね。
ライオンキング
そしてこれ
元ネタを出すまでもなくみんな知ってるアレ、です。
このみんな知ってるアレ、の絶妙なチョイスも非常に巧みです。
もうすでにクラウドブチ湧き。
これブレスのときに何だろうドラッグって言っていいのか、音としてはハイハットの一種ですかね。この音でタイミングを取ってるんですけど、これにはタイミングを取るという役割だけじゃなくて、ブレスの後に絶妙な無音を生じさせて、その無音からのギャップでクラウドを湧かすというこれももう完璧な流れなんですよね。
でこれ2フレーズやることでこのブレスノイズの効果が倍増してる。「スッ」てブレスの音が聞こえた時点で聞き手は「く、来る!」ってなっちゃってやっぱりそれが期待通りに来ると。「く、来る!」からの「来たーーーー!」ですね。
もう鷲掴みですわ。あとfugaの絶妙に上手すぎない歌です。これは本当に重要。多分fugaさん普通に歌ったらもっと上手いと思うのですが、観客が求めているのが「上手い」ではないことを百も承知の上で、丁度いい、下手すぎず、上手すぎず、絶妙に笑えるクオリティにしている。これ以上下手でも笑えないし、これ以上上手くても笑えない。もうここしかない、という絶妙なライン。
フリップ(ひっくり返る)するところも全部計算してんじゃないかしら。完璧すぎる。
We will rock you
からの「シッ!」また緩急の緩を作ります。
ここからイントロ、キック2発にスネアというだけでrofuファンとしてはもうアレが来る!ってなっちゃうんですけど、そうでなければまだ何かわからないかも?
から小ボケの上着脱ぎ。
リアクション動画を山のように観ましたが、ここで笑う人が結構多いみたいです。
我々からしたらいつものタンクトップになっただけなんですけどね。
からのマイクチェック経てのクイーン。
これもオリジナルを貼るまでもないですね。
ここまでの「緩」がこのネタの中で一番長い「緩」かと思います。一回湧いたクラウドをクールダウンさせ、ちょっと長いなと思わせるくらいの長さで期待感を煽ります。
今気づきましたが、hiroはだんだんKスネアの音量上げてってますね。Kスネアの後のハイハットも途中からうっすら入れてってだんだん大きくしてからの2拍空振って歌に入ると。
いや構成完璧かよ。fugaの方に注目していると気づきにくいんですけどhiroの演出が凄腕すぎますね。
決してめちゃくちゃ難しい事しているわけではないんですけど音の選択から強弱からもう超繊細に作り込まれています。
で歌に入ってからのhiroのキックの音これなんていう名前何でしょう。スネアもPスネアにして、ビートは同じなんだけど音の種類を変えて更に緩急を出してます。
それでここでもまたfugaの「ちょうどいい」歌なのですが、特筆すべきはサビ前のall over the place、ここオリジナル通りに歌えば絶対ひっくり返るとこではないのですが、わざわざ上にフェイクを入れてわざとひっくり返ってますよね。これは明らかに故意。
からのサビ大合唱。
最強のドロップはクラウドの大合唱であるということを証明していますね。
それでこのサビのrock youのところで多分このネタで初めてfugaがビートボックスします。
おそらくハイハットだけなのですが、それだけでもビートがやたら分厚くなった気がします。なぜでしょう。
これタッグチームの部門なのに、ここまでビートをやっていたのはhiro一人なのです。だからなぜかhiroが二人分のビートやってるように感じてしまって、ただそこにハイハットが加わっただけで、あれ、クルーかな?ってくらい分厚く感じるんですよね。これもここまでfugaのビートボックスを温存するという、構成の為せる技。
それで個人的に好きなのは、ここでfugaがヘドバンして、帽子が脱げそうになって、脱いで投げるってとこです。良くないっすかこれ笑
もうrofu好きすぎてそんなところに萌え始めているのですよ。きもいですね。
からの裏声ゆっくりサビでまた溜めて溜めての帰るふりボケ。
うーん緩急♡
でこの最後の「Rock you」の前に、ライオンキングのネタのときと同じようなブレスノイズを入れてるんですね。しかし今度は間を殺したかわいい「Rock you」が来ると。これも聞き手に無意識レベルでの裏切りを感じさせます。
ふぃーふぉーふぃーふぉー
そして次のふぃーふぉーふぃーふぉーがこのネタのサビともいえる部分。
イントロが入るやいなや戻ってきて「no, no, no」とセルフでツッコミます。
それでこのネタは、アジア大会でも披露したrofuのキラーチューンで、もうこれ一本でアジアチャンプ、世界3位になったというと過言かもしれないけど、それくらいの代表作なのです。
本当によく出来たネタで、ちょっとこの感じは他のタッグでは出ないグルーブなんですよね。
rofuの二人の非常に繊細な音の組み合わせの妙、このタッグの魅力はここにあるんだぞってところをアピールできます。
fugaがまともにビートボックスをやり続けるのはここからの1分です。4分のネタのうち1分しかビートボックスやってないんですよね。だからこそ重みと厚みと化学反応が際立つ。
でこれも多分ですが、後半のドロップは今回初披露だと思います。
とっておきを出してきたなと言う感じです。しかもその間に水飲み休憩を挟むという小ボケまで入れて。小ボケ中のhiroのビートも完璧な長さと音質とビートの選択。
ここで某メイコゥさんが「がんばれー」っていってfugaが「あ、無理無理」って言ってるんですけど、世界大会の舞台でオーディエンスと普通に日本語で会話するってすごないですか。
Mask off
そしてここから流れでMask offにスイッチします。
ブログを書こうと思って初めて元ネタを検索しました。
ゴリゴリのヒップホップですね。彼らの音楽的バックグラウンドを感じさせる選曲です。
原曲ヒップホップなのに、一切ラップはしないし(片方がラップをやって片方がビートをやるというのはタッグの常套手段)、そもそもこの旋律原曲は笛なんですね。
それをベースとストリングスでやるってのも一捻り加わってるし、そこのfugaの代名詞でもあるパフパフを挟むというのも憎い。やはりこれが入ってないとちょっと物足りなく感じるし、かといって普通にやられてもはいはいいつものね、と思うだけので、入れ方がこれまた絶妙。
あとこのhiroのベースって私これまでアウトワードだとばかり思っていたのですが、今回の動画でインワードだと知り驚愕しました。インワードリップベースってこんなに息持つの?そしてこんな細かく音程動かせるの?まあ彼らはすでに人間ではないので人間の私には想像もできないことができるんですよね。知ってる。
いや、アウトワードだと多分息の音が入っちゃってノイジーになるんですよね。インワードだからこそのこのマットな質感かあ、と思いました。
このネタ自体は緩急でいうとどちらかというと緩だと思うのですが、やはり聞き手としてはここから最後の「急」が来ると期待するんですよね。あと20秒くらいあるし。
これを裏切るのは本当に勇気がいると思う。
来たのは最強のドロップではなくて渾身のボケ「タイム!タイム・・タ・タイ・・・」
これ制限時間を知らせる司会のスコットジャクソンの物真似なんですが、これもアジア大会でもやっていたはずです。
初めて見た時、おーーこれやったかあ、でこの後どうすんだ?って思いました。
やられましたね。まさかライオンキングリターンズ。
それも2つ目のフレーズだけ。天丼です。これが天丼です。もう隙がなさすぎる。
そして最後のボー、あれはどうなってんでしょうか。わからん。ライオンキングの時のボーと一緒?っていうかあれボー?両方インワードだったらブレスがうますぎるし片方アウトワードだったら質感が似すぎてるし。
まとめ
ということでこのネタをボケとツッコミにわけてまとめてみたいと思います。
ボケ1 we are rofu from Japan
↓
ツッコミ1 「ライオンキング」
↓
ボケ2 上着脱ぐ
↓
ツッコミ2 「We will rock you」
↓
ボケ3 帰ろうとする
↓
ツッコミ3 「ふぃーふぉーふぃーふぉー」(の中に小ボケ「水飲んで、あ、無理無理」→ツッコミドロップ)
→ツッコミ3 続き「Musk off」
↓
ボケ4 タイム!
↓
ツッコミ4 「ライオンキング」
見事だ。4分の間に4回のボケと4曲のツッコミビートボックスを配置し、中に小ボケを散りばめ最後天丼で締める。
しかも面白いだけでなく中にきっちりビートボックスのテクニカル、また音楽的な要素を入れてくる。
ここまで複雑でかつ一貫性のあるストーリーを準備してきたタッグが他にあっただろうか。なんて洗練されたネタなんだと感じました。
計算しつくされたおふざけ。ボケに対するツッコミをビートボックスに置き換えるという革命。これは新しいビートボックスのスタイルにとどまらない、新しいお笑いのスタイルなのだ。
そしてこれが評価されて世界3位として認められるビートボックスのコミュニティって素敵よね。
ビートボックスにとって一番大事なことは何か。クラウドをぶち上げるためには何が必要なのか。彼らはそれを問いかけた気がします。
今後その問いに、ビートボックスコミュニティがどう応えていくか。楽しみです。
さて本業の方では、先日Salicus Kammerchorのシャイトのレクチャーコンサート動画の収録が終わりました。
感染拡大でライブを一般公開できなくなってしまったことが本当に残念ですが、動画で3月上旬に公開予定ですのでどうぞお楽しみに。
素晴らしい器楽のみなさまとご一緒できて非常に贅沢な時間でした。
米沢さんと立教大学の皆様、誠にありがとうございました。
5月の定期演奏会のチケットも発売中です。
今回はモンテヴェルディとシュッツをメインで取り上げ、いつもの通低と歌に加え、ヴァイオリン2本も入った編成でお送りします。
先日楽譜を印刷したのですが、通常の約2倍の紙の量でした。。というのも今回声部が多い曲が多くて、1ページに1段なことが多いのです。時間はそれほどでもないはずです。。きっと。
それだけに華やかな曲が多いので、皆様ぜひともご来場くださいませ。
詳細↓
https://www.salicuskammerchor.com/concert