デスヴォイスとはなんぞや

昨日、Twitterでつながっているいわおさんというデスヴォイスを探求する人の講座に参加してきました。

普通の発声ですらまだまだ謎深いのに、デスヴォとなるともうブラックボックス。なにがなんだかわからない。それを解明しようとする人も少ない。

いわおさんはそれに医学的なアプローチで真っ向から挑んでいる人です。

昨日の講座はもうのっけから超マニアックで、脳みそがフル回転で焦げ付きそうでしたが、大まかに私の脳みそが理解した内容は以下のようなものでした。

披裂軟骨の上部にくっついてる小角結節、そこを起点に喉頭蓋に走る披裂喉頭蓋ヒダ、そしてその披裂喉頭蓋ヒダの中間にある楔状結節。これらの「揺れ」がデスヴォの形成に重要な役割を果たしている可能性がある。

コチラのページからお借りしました。

デスヴォの種類

デスヴォイスには大きく2つの出し方がありまして、フォルスコードとフライという2つの名称がついています。

フォルスコードとは仮声帯のことで、この仮声帯が接触して振動していることから、フォルスコード(仮声帯の)・スクリーム(叫び)などと呼ばれます。

フライは揚げ物のパチパチした感じの音の印象からつけられたらしく、この発生のときは仮声帯は振動していません。

2つの名称が、ひとつは振動体から、ひとつは音の印象からつけられているという時点で、なかなか混乱してる感じ伝わってきますよね。

こういうジャンルの人って基本バイブスで生きてるんで、定義付けの曖昧さとかどうでもいいんですよね。ジャンルとかの定義も人によって違ったりして、いまいち釈然としません。

それで、こういう混乱した状況をなんとかしたいというのもいわおさんの目的のひとつなのだと思います。

なので、私がここで書いているのも、あくまでもいわおさんの見解を私が解釈したものだということを付言しておきます。(なんかいつもこんな事言ってるような笑)

私フォルスコードに関しては結構実感としてピンときてて、ようはカルグラと同じような仕組みなので、やり方分かる感じなんですね。

ところがフライについては、いわゆるヴォーカルフライ(エッジヴォイス)を音程上げていくとか、いまいちよくわからんことしか言われてなくて、全然できる気がしませんでした。

そもそもヴォーカルフライとエッジヴォイスって同じなの??それもよくわからん。フライが音印象からきた命名で、エッジは振動部位っぽいけど多分それも感覚的なもんだと思う。昨日質問すればよかった笑

私の理解では、ヴォーカルフライとかエッジヴォイスとかって、輪状甲状筋(CT)も甲状披裂筋(TA)も脱力した状態で外側輪状披裂筋(LCA)のみが働いてる状態なのだから、そこから音程上げていったらTAが入って普通の声になるだけなんじゃねえの?って思うわけです。

それで、今回のいわおさんの説明では、披裂喉頭蓋ヒダが共鳴腔として生体に影響を与え、声帯の正常な振動を妨げた結果ノイズが発生しているのかもしれない、ということでした。共鳴腔が声帯振動そのものに影響を与えるというのは普通のボイトレ業界でも言われていることで、共鳴腔を操作することで、声帯がうまく振動できるようにするのが、いわゆる普通のボイトレアプローチです。

フライスクリームをやるにはつまりそれの逆をやると。

共鳴腔を操作し、声帯振動がうまく「いかないように」する。バグを起こさせることでノイズを作る。

私にとってはこの説明のほうがよほど納得がいきます。

やっぱり私理系の人間なので、理解できないとできる気がしないんですよね。

まあ今回も理解できたかという意味では「謎が深まった」という方が正しいですが笑、声帯と仮声帯で全部説明しようとする従来の考え方で止まっていたことから考えればすごい進歩だと思う。

デスヴォの分類

今回の講座では今まで知らなかったことがいっぱい知れたのですが、そのひとつがデスヴォイスの分類についてです。

大まかには上記のフォルスコードとフライなのですが、このそれぞれに「スクリーチ」「スクリーム」「グロウル」「ガテラル」など、音高や倍音の構成(音色)の変化をもたせることで、分類してるそうです。

今までグロウルやガテラルはフォルスコードで、スクリーチやスクリームはフライだと思ってのですが、フライ・ガテラルもあるし、フォルスコード・スクリーチもある、ということなのだそうです。(まあこの分類も人によるそうですが・・・)

それから、フライとフォルスコードは行き来できなくない。むずいけど。

あと、フォルスコードは脱力系だけど音でかい。フライは緊張系だけど音小さい。そして燃費がいい。。

それで、まだまだわからないことがたくさんあるので、ここに書いておこうと思います。


1.フォルスコードスクリームとカルグラの違いは?

これは昨日質問したのですが、結局良くわかりませんでした。ただ、講座後に以下の動画をいわおさんに送って、5’20あたりの音声の解説を頂いたところによると、カルグラの音にブレがある瞬間、披裂喉頭蓋ヒダが揺れてる。つまりカルグラのときは披裂喉頭蓋ヒダは揺れてなくて、フォルスコードスクリームのときは揺れてる。その、差なのかもしれない。。。。

2.吸い(インヘイル)の時にノイズになりやすいのはなぜか。

これに対するいわおさんの答えは、吸いで声帯を正常に振動させることになれていないから、バグが起こりやすいのではないか、ということでした。
うむ。それもあるけどそれだけじゃないような、、、、。
私吐き(エクスへイル)のフライって苦手なんですけど、吸いだと簡単にノイズ入れれるんですよね。謎い。

これとかそうです。これは以前徳久さんのワークショップに行ったときの音声です。吸いのノイズと普通のボイトレのアルペジオ練習を交互にやってます。
このときの記事はコチラ

3.仮声帯接近の例で出される、平泉成やお相撲さんの声の感じが、音声からも、発声体感からも、フォルスコードやカルグラとかけ離れすぎている。

いわおさんいわく、確かに平泉成は仮声帯接近しているが、他の要素がフォルスコードとかけ離れているからそう感じるのではないかということ。
私の今の感覚だと、平泉成はどちらかというとフライスクリームの感覚に近いんですよね。
このあたりも今後検証していきたいところ。

何しろ内視鏡やMRIで実験したい。
いろんな声で、いろんな人で実験したい。
わからないことだらけです。


こちらの動画は講座後にいわおさんがシェアしてくださった動画です。
上の私の音声、これの6’40あたりに出てくるPig squealに似てると思うのですがいかがでしょう?Pig squealは舌と鼻腔を使って倍音を操作してますが、私はしてません。そこの差はあるのですが、原音レベルではかなり近いと思います。
これ見ると振動してるのは声帯だし、披裂喉頭蓋ヒダも揺れてないように見えます。

いや、ほんと自分どこへ向かってるんだって思いますが、なにしろ言えるのは楽しかったし、手応えがあったってことです。

またひとつ、声の神秘に近づいた。

むしろ謎は深まったって、それはそうなんですが、私にとって「圧倒的なわからなさ」というのは「圧倒的面白さ」と同義なので。

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インプットな週末|BUGAKU→暗闇のボイトレ

インプットな週末|BUGAKU→暗闇のボイトレ

光岡英稔|BUGAKU講習会

今週末もなかなか濃い2日間でした。

土曜日、光岡英稔先生のBUGAKU講座に参加してきました。

1.2月は予定が合わず参加できなかったので、昨年12月以来3回目の参加でした。

武術の講座なのですが、ほんと変わってると思うのは、ほとんど動かないんですよね。特に今回は半分くらいは座ってたんじゃないでしょうか。

正座でおそらく1時間近く観法をやっていたような。とはいえ観法やってると時間の感覚がなくなるので、手がかりになるのは足のしびれ具合くらい笑

さらにあぐらで、しゃがんだ状態で、立ち上がった状態で1時間くらいやっりましたかね、、。

動きらしい動きがあったのは、シラットの型をやった時くらいで、ものの5分程度だったかと。

普通だったら「何が武術や金返せ」なのかもしれません笑

ところがこれで武術の講座が成り立ってしまう、成り立つどころかものすごく示唆に満ちていて発見に溢れているのが光岡英稔の光岡英稔たる所以。

今回私3回目の参加にして、成長を感じることができました。

今まではほんと「はっはっはっ!わからん!」

だったのですが、今回初めて「あ、それ、わかる」ってことがありました。

それは「亅観(かぎみ)」と先生の名付けられた観法の1つで、左右表裏と前後表裏の表から表、裏から裏へとL字のような感じで観る(「揃え観」、表から裏、裏から表を観るのは「まだら観」)というものだったのですが、確かに、表から表は観やすい。観やすいどころか自然とそっちに目がいくという感じで、実感としてそれがわかって感激しました。

わかっちゃったのが可笑しくって、爆笑してました一人で。


左右表裏や観法などについては以前のブログをご覧ください↓

その1https://wp.me/p7Ktcz-cpK

その2https://wp.me/p7Ktcz-dGh


今回理解が進んだのは、まず「気と血」について。

気は見えない、けどある。気は流れない。「気の流れ」という表現は一つの方便であり、正確ではない。気は偏ってある。その偏り方によって血(感覚世界)が変化する。

気は見えないけれど、見える血に影響を与える。しかし気が見えないがために、なぜ血(現象、効果)に変化が起きたのかにわかには理解できない。

気は見えないし、触れることもできないし、感じることもできないけれど、観法によってその偏り方を変えることができる。

気の偏り方が変わることによって、血が変わる。

ちょっと私勘違いしてたのは、観法って気を観ることではない。観法で観るのはあくまで「からだ」であるということのようです。だって気は見えないから。

っていうのも私の勘違いかもしれないので鵜呑みにしないでくださいね笑。これあくまで私の気づき、学びのメモですからね。本当に自分で理解したい人は光岡先生のとこ行ってくださいね。他人のブログなんか信用しちゃだめですよ笑


次に印象深かったのは、型について。

型って「観法」に対して「動法」といって、これも気の偏り方を変えて、血を変える効果があります。

で、この型を繰り返していると、型を通らなくても気の偏り方を変えることができる、というようなことのようなのですが、ただ型を反復してるだけで強くなるかと言うとそうでもない。

型の反復では浅瀬を泳ぐのは上手になるけど、深く潜れるようにはならない。という感じなんだそうです。


もう一つ「定位」と「不定位」について結構重要な学びがあったはずなのですが、、、、忘れました笑

定位ってのは例えば左右表裏と前後表裏が揃った状態で、これは安定して構造がしっかりする。不定位はその逆で安定しないのだけど、後退するときには不定位のほうが力を発揮する。

それでこれは前から関連があるんじゃないかと自分で思っているんですが、例えば横笛、フルートとか篠笛とか龍笛とかバーンスリーとか、これみんな右側に、右手が外側になるように構えるじゃないですか。これって右手のひらが前、左は手の甲が前になってて、これって不定位なんですね。

またヴァイオリンなどの弦楽器も左手の甲が前向いてて、右手のひらが前を向いている(下向いているのでわかりにくいですが)。

つまり楽器を弾くのって不定位の方がどうも都合がいいようだ。ってことなんです。

後退する時に不定位が力を発揮するといいましたが、後退って他の動物からするとかなり異常なことで、人間ほど上手に後退できる動物って他にいないんですって。確かに後ろ向きで疾走する馬、とか見たことないですよね。あるいは後ろ向きで飛ぶカラスとか。

そこで、楽器を弾く時に不定位がいいという話に戻るんですが、音楽もある意味動物が生き伸びるという文脈からはかなりかけ離れた異常な行為だと思うんですよね。

だから不定位の方が都合がいいのではないか。ということです。

そこでちょっと疑問に思ったのは、チェロとヴィオラ・ダ・ガンバの弓の持ち方、あるいはコントラバスの2種類の弓の持ち方です。

チェロの場合、手の甲が前に来るように弓を持ちますが、ガンバは逆です。手が下に来ている状態での表裏の関係については講座でやってないので、ちょっと自信ありませんが、多分甲が前なので定位だと思われます。対してガンバは不定位ということになるでしょう。

この二つの楽器のキャラクターの違いって、こういうところから来てるのかなあとぼんやり考えています。(コントラバスについては両方の持ち方があります)

両方弾く某S根さんとかにお話うかがってみたいなあ。


あ、そうそうそれから今回、光岡先生が出版された本の即売会とサイン会もございまして、わたくしもサインをいただいてしまいました。ありがたや~。


徳久ウィリアム|暗闇のボイトレ

日曜日はアラミレのリハーサルの後、蕨(!)のタタミスタジオに伺って、徳久さんの暗闇のボイトレに参加してきました。

完全な暗闇を体験できるスタジオ、タタミスタジオについては以前から「蕨といえばタタミ」的な感じで徳久さんから伺っていたのですが、蕨に住んでいた期間にはついに足を踏み入れることがありませんでした。

それが船堀に引っ越してきた途端に蕨のスタジオにお邪魔する機会が訪れるというのは、なんとも不思議な縁です。

暗闇って言っても多分今みなさんが想像されたような空間ではないと思います。ほんとのほんとに暗闇。真っ暗闇。エアコンも切ってエアコンが動作してる時についてるちっちゃい光すら消します。

真っ暗になってすぐに感じたのは足裏の感覚の変化です。

というか足裏の感覚しかない。って感じになります。入ってくる情報がそこだけ。もちろん聴覚の情報もあるんですが、そこはあまり変化しなかったように思います。触覚の方が大きな変化がありました。そしてそれは「今も」続いています。

今回私がお題として取り上げたのは、「普通の発声練習」と「インヘイル(吸い)のノイズヴォイス」です。それぞれに課題があるということと、常々私声の幅ってことに興味があって、色んな種類の声を即座に引き出しからパッと出して使えるようになりたいんですね。で、この二つの声の出し方は真反対の特徴を持ってるので、この二つが自在に扱えるようになればかなりそれに近づけるのではないかと思ったのです。

でまずビフォーですが、前のリハーサルの疲れもあって、普通の発声についてもめっちゃフリップするしそれをごまかすために仮声帯寄ってくしって感じでもう全然ダメ笑。ノイズの方も日常的に練習しているわけではないので、自分が思ったような声は全然出ない。またカットアップ的に音を出したいのですが、全然そうならない。その前にまず声帯にダメージがきすぎて、そのあと普通の声がでない。声帯が合わない。という状態でした。

アフターはどうなったかっていうともう音源あげちゃいます。恥を忍んで。

他の受講生の方の声も入っちゃっててごめんなさい。二つの声を交互に出しています。

これほんと自分でも驚くくらい破綻なく出来てる。あの、音程とか適当、とかそういうのはもちろんあるんですが、声のクオリティ的に眼目があるということでご容赦下さい笑。

まさかここまでできるとは思いませんでした。

インヘイルのノイズなんかやったら普通の声が出にくくなるのは当たり前だという先入観がありましたが、むしろ普通の声も最初より全然いい。滑らか。

いやなんかもう不思議としか言いようがないんですがもうアレ、神秘、人体の神秘。

ただまあ暗闇になった時に何が変わったかということはメモしておこうと思います。


①身体のポジションが変わった
暗闇になった時、見えないということによる影響が大きいと思っていたのですが、私の場合はむしろ逆で、見られていないということによる影響のほうがずっと大きかったです。なんというか自分の性分として、頑張ってる風に見せたくないというか、何気なくさり気なくやることを是としているようなところがあるということに気づきました。その無意識の自意識が、発声に適した身体の状態に入るの自然な働きを邪魔していたと思います。

②顔の表情が変わった
これも①と同じですが、無意識で状況に応じて顔を作ってました。それが暗闇で関係なくなってしまうと、本当に必要な筋肉しか動かさなくてよくなる。無駄がなくなった感じがしました。

③自宅で声出してるみたい
ふっと体感が降りてきたのは、自宅で声出してる状態です。なんか匂いとか空気感まで再現されて、ほんとに家で何気なく声出してる気分になりました。で、そういうときって身体が少し揺れてる。それも右側に。そういう気付きがありました。

④肌の感覚の違い
諸々終わって、明かりを徐々につけていった時に感じたことです。先程足裏の感覚が鋭くなると言いましたが、これってむしろ足裏以外の肌の感覚がなくなってるってことだったようです。明かりがついてまわりが見えるようになると、光を肌が感じている。また視線を肌が感じている。ヒリっとした感じ。この感覚の違いは結構大きい。
心理的なものも大きいとは思いますが、肌も光や視線を感じてる。それがパフォーマンスに影響を与えてる。


暗闇の時に感じた自分の身体の透明感、心の滑らかさ、またやってることに対する手応えのなさ、これを日常に持ち帰るのが今後の課題になると思います。

いずれにせよ、暗闇恐るべし。こんな体験は他ではできない。

薄明かりが付いてから動画を撮ってもらいました。
恥ずかしいのでここでは静止画をアップします。

こういう人生を刷新するような、それまでの自分には戻れなくなるような、世界や自分自身の見え方が変わるような、そういうチャンスって、多分探せばまだまだあるんだろうと思います。

臆せずチャレンジしていきたいです。

あ、ちなみに今回出したノイズヴォイスですが、私のレッスンでは今の所まだ取り入れてません。

興味のある方は専門家をご紹介いたします笑

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