〈インド古典声楽入門〉に参加してきました。

〈インド古典声楽入門〉に参加してきました。

先週の光岡英稔先生の武学講習会につづき、今週はバーンスリー奏者の寺原太郎さんの講座を受講してきました。

この講座は、先月私が講師を務めさせていただいた、コエダイr合唱団コブシ研究会の主催するワークショップシリーズです。

ちなみに来月はうちの叔母、桜井真樹子が講師を務める、「声明入門」で、こちらも私参加予定です。

ちょっと、よくよく考えたら私最近講習会通いまくり!

先週武学、今週インド音楽、来週とばして再来週武学(2回目)、再々来週声明。5週間のうちに4回講習会!

やば。スーパーインプット月間だわ。モチベーションどないなっとんねん。


ロングトーンによる瞑想

寺原太郎さんの講座は実は2年前にも受けているのですが、その時も大変感銘を受け、今回はことコブシにフューチャーした講習会ということで、あわよくばグレゴリオ聖歌の歌唱法のヒントになるかもと思い参加しました。

tanpura(開放弦5-6本で鳴らし続けるドローン楽器)がずーっと鳴ってる中で進められる講習会のスタイル。なんとi tanpuraというアプリだそうです。早速ダウンロードしました笑

今回の講習会は実際に受講生が歌ってみるという箇所が多く、大変実践的でありがたかったです。

朝イチにインド音楽の演奏者がやるという練習法、ひたすらに基音(sa)を出し続けるというのをまずやりました。

インド音楽では基準ピッチのようなものはなく、声域や楽器によって自由に変えていいそうです。

が、だいたい男性はD周辺、女性はA周辺がsaになることが多いそうで、今回はDを基音にしました。低い方からということで、なんとしょっぱなに発する音がLow D!朝だからギリ出るけど笑、いきなり凄い練習法とびだしました。

しかもなんとこれを1時間とか2時間やるそうで、もはや呼吸よりも自然に声が出る、という境地に至るそうです。

もうとにかくこういうゆったりとした時間の使い方って、私たちの体にとって本当に必要だと思います。

先週の武学の講習会でも、正座で体を観る、という観法を30分くらいやりましたが、途中でほんまに暇すぎて、現代に染まりまくった体には、拒絶反応が凄かったです。

でもそれをやってみて初めて、暇で暇でしょうがないという経験をすることができたし、本当に自分の体から目を離さないというのがどういうことかを学べました。

今朝早速1時間Low Dやってみました。30分正座に合掌で内観やりながら、30分は座禅のスタイルで。

いや、死ぬかと思いました。インド人すげえ。


インド古典声楽におけるコブシ

インドってデカい。なので一言でインド音楽といっても何を指すのかわからない。しかし古典音楽となると、ムガル帝国の影響があってそこまでの地域差はないそうです。

今回は北インド古典声楽ということで、古来のものと、ペルシャ系の文化が融合して発展してきたのだそうです。なんというか、インドって半島の端っこだし、いろんなものが流れ着くようになってるのかなあと思いました。

特徴としては、まずはなんといっても音の滑らかさに対するこだわり、ある音と、隣り合う音との間にある無限の音高、この「無限に一瞬で触る」というのが重要なコンセプトなのだそうです。

この滑らかな動き、にも3種類あって、初速が速くて後半減速しながら次の音に達するもの、初速はゆっくりで、加速して次の音に達するもの、それから初速速くて途中減速し、次の音に達する前にまた加速するものとを歌い分けるそうです。

しかもその途中に音の揺らぎを上につけたり、下につけたり、上下につけたり。こうした細かい動きがラーガによって規定されていて、それらを聞き分け、歌い分けできないとそのラーガは演奏できない。

そしてコブシにあたりそうなガマックとかムルキーをつけているときも、この滑らかな動きが失われないようにします。

ガマックは音と音の間を素早く行き来するのですが、隣り合うだけでなく跳躍音程でも普通にやるそうで、オクターブガマックがデフォルトの流派もあるそうです。

ムルキーは7個とかの音を一気にズラズラズラーっと歌うもので、それを知らないと、なんかしゃくったな、くらいにしかわかりません。あまりに瞬間的なので。しかしそう歌ってると言われて聞いてみると、不思議なことにそう聞こえてくるんですね。確かに音が7つ入ってる。

このムルキーもラーガによって入り方が決まっているそうで、その決まりの中で即興していくのだそうです。

https://youtu.be/76dGK1xcV2E

この動画の15分あたり、細かい音を鍵盤で後追いしてくれているのでわかりやすいです。


悠久のラーガ

このラーガの話で印象的だったのは、寺原さん自身が演奏に使うラーガは50種類くらい(メモってなかったので違ったらすみません)、聞き分けられるのは150種類くらい、ということでした。

旋律の微細な動きの差から、150種類聞き分けるってのも半端ないですが、それでもラーガって無数にあって(今ウィキで調べたら3万以上あるそうです)1人の人間が全てを習得できるということはないそうです。

全てを習得することをそもそも前提としていないというか、悠久の歴史の中でそれだけのものがあったということで、伝統の力強さを感じました。

それからこれも講座の後で個人的に聞いた話なのですが、大変印象的だったので書き留めておきます。

ラーガって一つ身につけるのにどれくらいかかるんですか?って私のしょうもない質問に対する答えとして話してくださった逸話です。

インドで国営放送が始まる時に、専属ミュージシャンのオーディションが行われた。気位の高いインドの音楽家は、なんもわからん役人に審査されることを嫌って誰も応募しようとしなかった。結局オーディションに来たのはいわゆる大御所とされる人ただ1人。一応決まりに従って口頭試問が始まった。「あなたはラーガをいくつ知っていますか?」という質問に、その大御所は「一つです」と答えた。「そんなわけがない。あなたほどの人が一つってことはないでしょう?!」、大御所曰く「知っていると言えるほどに身につけることができたのは一つだけです」

つまり一つのラーガを習得するには、(少なくとも)一生はかかる。

一つでも身につけてみたいなあと気軽に考えた自分が馬鹿でした笑


インド古典声楽における音律

グレゴリオ聖歌との共通点をいくつか感じることのできたインド古典声楽ですが、ここはかなり違うなと思ったのは、音程のとり方、音律についてでした。

グレゴリオ聖歌は基本的に音律はピタゴラス音律を用います。純正5度を使って積み上げた音律で、ドに対してファやソは純正になりますが、ミやシは純正長三度よりかなり高くなります。詳しくはコチラ

それに対しインド古典声楽では、純正調の考え方が基本的としては近いようです。純正調についてはコチラ

タンプーラが常にドローンとして鳴っているので、それに対して自然に音をとっていくと3度も純正にならざるを得ないという感じのようです。

ただいつもsa(ドレミで言うとドの音)を基準にした純正というわけではなく、ラーガによって同じ音でも高さを変えるということでした。

固定されているのはsa(ド), ga(ミ), ma(ファ), pa(ソ), dha(ラ)の5つ、動く可能性があるのはkomal re(レ♭), re(レ), komal ga(ミ♭), tivra ma(ファ#), komal dha(ラ♭), komal ni(シ♭), ni(シ)で、全部で(少なくとも)22個の音程があるのだそうです。

ちなみにここでレ♭という、移動ド固定ドのことをわかっている人からすると意味不明な書き方をしていますが、多分インド古典音楽的にはこの書き方が一番近いです。

これもかなり西洋音楽と違うなと思ったところのひとつで、インド古典音楽の階名は、西洋音楽の音名とも階名とも異なる考え方で、saの音高は適宜移動するのですが、saから階名は固定されていて、例えばkomal reの音もreの音も階名唱では同じreを用います。西洋音楽の階名の考え方だとミ-ファやシ-ドに読み替えるか、あるいはRaと言ったりしますよね。

階名唱に慣れている人にはかなり違和感がありますが、しかしシラブルが全然違うので、意外と慣れればできるものなのかなあとか考えていました。


講習会の後、コエダイr合唱団と、寺原夫妻と、イタリア料理のイベントに行き、たらふくうまいものを食い、コエダイの皆さんのテノーレスを聴くという、なんだかやたらと充実した1日でした。(広島のバルセロにいらっしゃった伊藤さんも料理を振舞われておりました)

https://youtu.be/HVyPQ34bhdM

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『スマメとニュウアイ 』KENTARO TAKASHI Exhibition PARTY|終演

昨日、バッハカンタータアンサンブルのゲネプロでカンタータ3曲を通した後、表参道のカフェにて、ノイズボイスデビューをしてきました。

(バッハカンタータアンサンブルの演奏会情報はコチラ

Kentaro Takahashiさんの展覧会の中でのイベントの一つとして、徳久さんに依頼があり、ノイズボイスカラオケの一員として乗っけていただきました。

ノイズボイスカラオケについては、以前の記事で書いていますので詳しくはそちらを御覧ください。

ようはカラオケをかけながら、ノイズボイスをやるということなのですが、これがなかなか奥深い。

カラオケというのは私たちが何をやろうが関係なく淡々と流れ続けるわけなんですね。こちらのやってることに全く影響されない。

絶対不変の音楽に対する即興。

これはまさに絶対不可侵のグレゴリオ聖歌に対して即興で対旋律をつけることから始まった多声音楽の起源そのもの。

ちょっとこじつけっぽいですが、結構腑に落ちてます。

と言えると思うのですが、ノイズボイスカラオケはカラオケと、「歌」というものに対するカウンターカルチャーなんだと思います。


まあゴタクはともかく、これねえ本当に楽しいんですよ。

やってみればわかります。

なぜ古楽を専門とする私がノイズをやるのか。

多分直感的にこれが自分の専門につながっていることがわかっていて、今はなかなか論理的には説明できないけれど、きっと10年後にはちゃんと説明できるんじゃないかな。

しかしね。いいんです。

楽しいからやる。やりたいからやる。


ただ、私がヴォクスマーナで歌っていたことと、少し関わりがあると思います。

ノイズでの即興ってある意味現代音楽のさきっぽにあるようなことだと思います。

バッハにしろジョスカンにしろ、彼らの音楽は、彼らの生きた時代にはキレッキレの現代音楽だったんですよね。

そしてその根っこには即興がある。

このことを忘れて古楽はできんのです。

古い音楽を相手にするときに、その音楽を「古い」と思ってしまったらその音楽の「芯」を見失ってしまうのです。

そういう意味で、古楽演奏家はキレッキレの現代音楽をやったほうがいいと思います。

いまここで生まれる自分でも予想のつかない音楽の流れに身を任せる感覚。

「与えられた楽譜から音楽を読み取って再現する」というだけの姿勢から生まれるものとは全く違うものが見えます。

またゴタクを並べました。

最近読んだ本の中に、

「深く掘るためには広く掘らなければならない」

というような一節がありました。

私がやってることってそういうことなのかなと思います。

掘り方はひとそれぞれなんでしょうけどね。


昨日の動画、徳久さんとのデュオです。

ご笑覧ください。

こちらは最後の曲で、徳久さんのソロに、3人でコーラスをつけています。

筑前琵琶奏者の守矢さんが撮ってくださいました。


さて、今週末はバッハカンタータアンサンブル。

オケも合唱もアマチュアで、バッハのカンタータ全曲演奏を遂行中の団体です。

半年に1回、3−4曲のカンタータを演奏し続けてきて、もう110曲くらい演奏しています。

今回は私が指揮します。

ソリストもいつものメンバーで、更に今回はフルートに同級生岩崎花保、オーボエにカンタータクラブの後輩倉澤唯子がオンステします。

ぜひご来場ください。

曲についてはコチラに少し詳しく書いています。

 

 

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刺激的な日々|ノイズボイス・カラオケに参加してきました

刺激的な日々|ノイズボイス・カラオケに参加してきました

8月3日に柳生田さんのリサイタル助演、5日にデュファイ祭出演と本番が続いたあと、一昨日7日には徳久ウィリアムさん主催のノイズボイス・カラオケに参加してきました。


ノイズボイス・カラオケ

実に刺激的でした。徳久さんの主催されるイベントはいつも刺激的です。

これまで、アガリアム合唱団(現コエダイr合唱団)主催のワークショップに講師として参加した他、同合唱団のワークショップ、「インド古典声楽」と「ブルガリアン・ヴォイス」に参加させていただきました。

インド古典声楽では「笛は吹くのではなく磨く」や「音程の移動は円運動」「歌用の声などない」など、私の音楽実践の中でも常に引用させていただいていますし、ブルガリアン・ヴォイスで印象的だったのは、「言葉、フシ、コブシ、ときてその次が声」ということで、やはり民族音楽においても大事なことは一緒なのだなあと再確認しました。

そしてアガリアム合唱団には一度歌い手として参加させていただいたこともありまして、その時に書いた記事がこのブログのアクセス数一位です笑

魅惑のカルグラ地獄

うーむ今聞いてもこの時の録音凄い。

今回のイベント(ワークショップ)は、このアガリアム合唱団でも見事なカルグラを披露しているあいさんと徳久さんがフェイスブックのライブ動画で配信してて、あまりに楽しそうだったので参加することにしました。

これを見て楽しそうだと思うところからがスタートですよ!皆さん!笑


声楽の最先端としてのノイズボイス

そもそもノイズボイスってなんぞやって方も多いと思うので、少しだけ説明します。

現代音楽の分野でノイズミュージック(wiki)ってありますよね。それを声でやります。

都市の民族音楽を標榜する徳久さんの考えでは、民族音楽というのは環境から生まれる。それが歌われる必然性がある。私達にとっての環境、都市の環境から生まれ、歌われる必然性のある音楽とは何か。そういう流れから生まれて来たのがノイズボイスだと私は理解しています。

私は普段古楽という今から400−1000年位前に作られ、歌われた音楽を実践していますが、同時に現代に生きる自分が現代を生きる皆さんとともに現代においてそれを実践するとはどういうことかということを模索しています。

簡単に言うと、1000年前に作られた音楽も、1000年前には現代音楽だったのです。それをリアルに実践するためには、それを古いものとして扱うわけにはいかないのです。

「歌の生まれる必然」を実感するためには、歌の生まれる現場に立ち会うのが一番カンタンです。

そういうわけで私も現代音楽を演奏することがありますが、このノイズボイスというジャンルは、声楽の最も最先端とも言えるのではないでしょうか。

ノイズボイスのソロで徳久さんの素晴らしいパフォーマンスはこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=Qz6dYvD1fNs&t=1154s


即興について

さらにこのノイズボイス、見ての通り即興です。今回のワークショップでも伺いましたが、何かやろうとしているというよりは「降りてくる感じ」なのだそうです。

グレゴリオ聖歌の伝説として、教皇グレゴリウス一世が聖霊(鳩)の声を聞いてできたものであるというのがありますが、近いものがある、というかそれそのものなんではないかなと思います。

自分で作ったんじゃなくて、自分ではないナニかからもたらされるものだということですね。

私達クラシックの業界の人は99%誰かが書いた曲を演奏します。今より前に、誰かが作った曲を演奏するんですね。でもね、私この「誰かが作った」ってのも嘘だと思うんですよ。その誰かも、自分ではないナニかからもたらされた音楽を書き留めているに過ぎない。

それで私の考えでは、そのナニか、というのは曲を作る人ごとに違うのではなくて、全人類、全世代共通なんです。

誰の肩にもグレゴリウス一世の肩にとまった鳩と同じ鳩がいて、その声を聞くのか聞かないのか、またどう聞くのか、というのはその人次第。

つまり受け取り方ひとつ。作曲家、あるいは即興演奏家というフィルターを通すことで一見全く別のものに見えるけれど、その根源は同じ、音楽はひとつなんだと思うんです。

で、それ以外のものは音楽とは呼ばない。私はそういうように音楽を定義しています。

この言い方でいうと、世の中には、音楽のようでいて、音楽でないものが溢れているということになってしまいますが。

というわけでですね、よりダイレクトに作曲家の見た景色に近づくためにはですね、自分も曲を作るかあるいは即興するかだと思うんです。

それもこのノイズボイスの企画に興味を持った動機のひとつです。


アンサンブルについて

さらにもう一つ、このところ考えていたのはアンサンブルについてで、前回のブログで最後に書いた、「シャーマンは孤独だ」というのは実はアンサンブルは本当に音楽的にあれるのか、という話題の中で叔母から出た言葉なのです。

叔母(桜井真樹子)も作曲するし、即興もする人なのですが、二人以上で即興するときの難しさ、限界を感じていて、もはやアンサンブルやんなくていいのではという境地に達しているそうです。

私は普段ほぼいつも、常にアンサンブルをやっています。全く一人で何かするということは記憶の限り100%ありません。

アンサンブルで音楽ができないとなると、私の活動はゼロになってしまいます笑

ノイズボイスに関しても、一人でもできますが、複数人でも出来ます。

以下に徳久さんと、素晴らしいパフォーマーの風人さんの動画を貼っておきます。2’20あたりから二人のノイズボイスデュオとなります。

https://www.youtube.com/watch?v=IFjcLLZ-6PA

ノイズボイス・カラオケのいいところは、ずーっときっかけが鳴り続けているところです。

ある意味カラオケの音源とのアンサンブルなんですね。音を感じながらそれに影響されつつ表現出来るというところで、初心者にも即興がやりやすい。そしてアンサンブルについても考えるきっかけがもらえる。

そう思ったんです。


いざ実践!

ワークショップでは初めに、徳久さんから惜しげもなくノイズボイスのテクニックについて教えていただきました。

徳久さんの音のパレットを覗いているようで楽しかったです。

それまで全くどうやってるのかわからなかった音も、レクチャーを聞いたあとだと大体7割位はわかります(それでも全くわからない音もあります)。

あと今回凄く面白かったのは、ノイズボイスってマイク1本でやるんですけど、つまりほとんどエフェクトかけないということなんですが、このマイクの使い方一つでできることの幅がめちゃめちゃ拡がるんですね。

それはもう感動しました。マイク一本でこれだけのことができるのか!と思いました。

普段マイク使わない上に、使うとしても、ノイズが乗らないようとか、ハウらないように使うじゃないですか。それがむしろノイズボイスではノイズを乗せるように、ハウったらハウったでそれを利用するんですって。んーー今までに全く無かった発想だ・・・。

ひとまずどんな音が出るのか試してみました。

これは、、、面白い、、、。

特にインヘイル(吸い)の可能性が凄い。普段吸って音を出すことがないので、吸ったほうが非日常の音が出ますね。

吐くと逆に普通の声になっちゃいそうで難しい。

で、これは音ですね。

今度はカラオケ音源の助けを借りながら即興やってみました。

曲は一青窈の「もらい泣き」

恥ずかしいので最後のサビのところだけ切り取りました。

どうでしょうか。これ見て皆さん何を感じられるでしょうか。

(ほとんどの方は嫌悪感を持たれるだけなんだろうなあ、変な人、のレッテル張りで終わりなんだろうなあ、辛いなあ)

凄く怖いような気もしますが、というのは結構私の本性が現れているようで、ざわざわします。

他の参加者の方の声も聞いていて、凄く思ったのは、これ、もんの凄く個性がでます。その人がどんな人なのかわかります。

あー、この人こういうこと考えながら生きてるんだなってのが、ビシビシ感じられます。これもワークショップの効果ですね。一人でやっていたら気づけなかったことだと思います。

でも動画だとそうでもないかな・・これやっぱりアイフォンの限界で、音の自動調整が凄いですよね。声のないところでは音源が際立って、声の大きいところは音源が全然聞こえなくなってますが、生で聞くとそんなことは起こりません。

だから判断難しいかもな。

私がやるとどうしても人間味が出ちゃって、そういう意味ではノイズボイスの理想とはかけ離れているかもしれません。

あとこれもやってみないとわかりませんが、曲を無視しているようで、めちゃくちゃ影響されます。

「もらい泣き」だからこういう感じになったんだと思います。

そしてせっかくなので、徳久さんとデュオもやらせてもらいました。アンサンブルに対する疑問は結構解決したように思います。まだ文章にするところまで消化出来ていませんが、そのうちかければと思います。

一つ言えるのは、アンサンブルはソロより難しい。ということです。アタリマエーーーー!笑

「気」が分散して、音楽に近づくのがより難しくなる。けどできないわけじゃない。ただしそれを可能にするには多様で物凄く精度の高いテクニックが必要。という感じでしょうか。

他の参加者の方のデュオも聞かせていただいて、やっぱりアンサンブル面白いなあと思いました。

影響を与えあって、一人ではできない表現が勝手に出てくる、そう見えました。

そんなわけで、合唱もやりたかったのですが、普通のカラオケでマイクを3本以上つなぐのは難しそうなので諦めました。

マイク無しで最後We are the worldをみんなで歌いましたが、やはりマイクがないと出来ることが3分の1くらいになりますね。

大勢でやるにはスタジオ行くしかないか。


最後に、皆さん心配されてるかと思いますが、適切な指導者がいれば、喉の健康は保たれます。

逆に言うと、指導者がいないところでこれをやるのはかなり危険です。

指導者がいても、ノーダメージというわけにはいきません。やっぱりちょっとは炎症起きます。

ただし喉の炎症よりも肉体疲労の方がえげつないです。

翌日睡眠時間を確保できるかどうか確かめてからやるべきだと思います。

特に、私の場合肋間筋が結構ヤラれました。鼻をすすったときに痛いので、息を吸う時の筋肉(外肋間筋)の方だと思います。

負荷かけながら全力で息吸うってことやらないですからね。普段。

逆にこういった普段使わない筋肉を使うことで、普段の歌がどう変わっていくのか、いかないのか、興味津々です。

今回このワークショップに参加して、普段の生活では得ることの出来ない非日常、心、頭、体に多大なる刺激を受けることが出来ました。

講師の徳久さんに改めて感謝したいと思います。

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料金表改定

料金表改定

このホームページに掲載しております、お仕事の料金表を改定させていただきました。

Work & Price

主な変更としては、レッスンや指導の1時間の単価を1000円だけ上げさせていただいたというところです。

理由は2つあります。

一つはわたしを取り巻く環境の変化です。あまり多くは語れませんが、これまでの料金設定ではやっていけなくなったという世知辛い理由です。

もう一つは、今までの料金設定は約1年半前に決めたもので、その頃に比べて私のレッスンの内容が変わってきているということです。

この1年半の勉強と技術の鍛錬によって、当時と比べてレッスンで教えることの出来ることが増えています。レッスン自体の価値も上がっていますので、その分を上乗せさせていただいたというイメージです。

逆に値段がいつまでもこのままだと、この1年半私のレッスンの価値がまるで上がっていないということにもなりかねないと思いますので、ご理解頂けるとうれしいです。


歌唱指導ということで言えば、教え子の一人がカンタータクラブのソリストオーディションに合格したりと、目に見える成果が上がってきていて大変嬉しいです。

また昨年11月には初めてオケも合唱もアマチュアという団体でバッハのカンタータとマニフィカトを演奏しまして、合唱やオケの指導という意味でも大きく成長できたと思っています。

主宰しているSalicus Kammerchorも今年4年目を迎えます。この3年地道にやってきたことが実を結び始めています。目指すところをメンバーと共有できて、今までにない演奏団体になってきていると思います。

それからEnsemble Salicusや八咫烏、シグナスやカペラでやらせていただいている、少人数でのアンサンブルということでも様々なテクニックを身につけながら成長できていると思います。それで実は私、Ensemble Salicusと八咫烏ではテノール、シグナスではアルト、カペラではバスを歌っています。このこともアンサンブルを学ぶ上で結構大きくて、私の特徴の一つになっているなあと思います。けっこう大変なんですよ笑、こうした少人数アンサンブルの中で色んな音域を歌っていくということは。

それでそのことを可能にしているのはやっぱり発声のテクニックで、そこには櫻田亮先生や、徳久ウィリアムさんや、トミーに紹介してもらって最近通っている小久保先生に教わったことがフルに生きています。

特にSLS(Speech Level Singing)というマイケル・ジャクソンも習ってたというメソッドを中心とした指導を小久保先生から受けることで、今まで疑問に思っていたこと、あるいは無意識にやっていたことがクリアーに分析できるようになったことは大きいと思っています。

SLS自体は主にポップスのジャンルから生まれた発声メソッドですが、それを取り入れながら櫻田先生のレッスンを受けることで、クラシック音楽にその考え方を活かしていくということができてきているように思います。

そしてそれらを可能にする土台、身体と心の扱い方を教えてくれたのは徳久ウィリアムさんです。徳久さんのメソッドは歌に限らず、生きていく上で切り離すことの出来ない自分の身体という大いなる未知に対して、どう対峙して、つきあっていくかということを教えてくれます。

これらはこの数年、「歌」という意味で影響を受けたことで、もちろんそれ以前に数多くの先生に様々なことを教わりました。

こうして蓄積された技術や知識を、自分のレッスンの中で還元していくというのは本当に喜ばしいことです。

自分の中に今まで沢山の先生から教わったことが積み重なっていて、それを自分が伝える側にまわるというのは、以前書いた「知のバトン」まさにそのことですが、とてもやりがいのあることです。

今年はこうした教える方の活動にもより力を入れていこうと思っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね!

定期会員締切 | アガリアム合唱団公演終了

定期会員締切 | アガリアム合唱団公演終了

9月30日をもちまして、Salicus Kammerchor2016-17年シーズン定期会員の申し込みを締め切らせていただきました。

沢山のお申込み、本当にありがとうございました!

最終的に、

定期会員45名様

ご寄付40口

のご支援を賜りました。

目標の定期会員50名様には達しませんでしたが、昨シーズンは、定期会員43名様、ご寄付33口でしたので、少しそれを上回ることが出来ました。

本当にありがとうございました!

皆様のご期待に応えられるようますます精進してまいります!

なお定期会員はお申込み締め切らせていただきましたが、ご寄付の方は年間通して受け付けております。

皆様のご支援心よりお待ち申し上げております。


 

さて、昨日はセアダス・フラワー・カッフェ様の3周年イベントに、アガリアム合唱団として参加させていただきました。

以前大きな反響をいただきました記事、魅惑のカルグラ地獄でも書いたイベントです。

実を言うと私以前からこのサルディーニャの男声合唱Canto a Tenoreに大変憧れを抱いておりまして、いつの日か、カルグラの5度上で喉詰めハモりてえなあと涎を垂れ流しておったのでした。

まさかこんなに早く、そしてまさかこんな素晴らしすぎるメンバーでそれが実現するとは夢にも思いませんでした。


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拓さんは私にCanto a Tenoreを教えてくれた張本人です。それまでホーメイにハマっていた私は度肝を抜かれました。何このハモりホーメイ!

まさに夢の組み合わせ、ホーメイと合唱がコラボってる!

しかもこれがコラボじゃなくて、伝統だというじゃないですか!しかもイタリアの!意味不明!そりゃあ世界無形文化遺産にも登録されらあな!

そして拓さん、センスがえげつなさすぎて、島のおじさんが地声で歌ってる感じの発声がすぐできちゃう(リードヴォーカルは特殊発声ではなく地声なのです)。このクウォリティたるや異常です。あとホーメイのアンサンブルの中で地声で高い声で歌う人がいるのですが、このパートもすげえ上手。どうなってるんでしょう。意味が分かりません。逆立ちしたって私にはできません。


e0303005_552371そして徳久さん。

喉詰め、カルグラを教えてくれた僕の師匠です。普通のヴォイトレも習っています。

不思議な縁で、もともと叔母さんのさんの紹介で、大学1年生の時にTokyo Death Metal Festivalで知り合ったのですが、そのころはヴォイトレを習う事になるなんて考えもしなかったし、一緒に歌うことになるとは想像もしませんでした。

とにかく徳久さんのパフォーマンスはいつもえげつないんですが、今回は口琴のソロが特に凄まじかったです。

口琴1本でここまでのパフォーマンスが出来る人、他にいるのかなあ。正統派でありながら革新的でギャラクシーって感じでした。


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アイケイイチさんは、とにかくカルグラが凄いです。飛び抜けまくってます。

1つの曲の中でいろんな技術を披露する系の曲では、カルグラだけ飛び抜けすぎていて、カルグラになった瞬間ぶったまげます。音量が5倍くらいになります。

あと音域がかなり広いです。カルグラって仮声帯を鳴らすので、声帯で作る声の音域がいかに広くても、仮声帯の音域が狭いと使える音域が限られてしまうんです。

例えば僕がカルグラで基音Cで出すと、仮声帯はオクターブ下のCで振動します。これ成功です。しかし5度上のGが基音だと、仮声帯はそれについて来れなくて、オクターブと5度下のCが鳴っちゃうんです。これだとカルグラとしては機能しないんですね。

確か昨日の演奏ではアイさんはlow G(いわゆるlow Cの4度下)からそのオクターブ上のGまで使っていたと思います。

いやーうらやましい限り。

こんなクウォリティの高いカルグラの上で喉詰めでハモれて、超幸せでした。

終わってしまってとても残念!


本来なら僕の専門はバロック以前のクラシック声楽なので、ホーメイやらCanto a Tenoreなんかはやらなくたっていいんです。趣味の延長と言って差し支えないでしょう。

しかし!アンサンブルにかけては私はプロです。今回はそこんところのプロの矜持をもってこの本番に臨みました。

そういう意味ではお役にたてたと思います。

本番前日お風呂でカンズック(カルグラでスグットやる唱法)をやってたら妻に、

「上手くなったねえ、やっぱり本番があると違うんじゃねえ、特殊唱法は伸びしろがあるけえねえ」

と感心されました。確かにこの2週間くらいでカルグラの技術は向上していると思います。

でも自分としては喉詰めの方がまだまだ納得のいくものにはなりませんでした。

このリハが始まるまでは、カルグラより喉詰めの方が得意だと思っていたのですが、、、。

今度もし機会を頂けるようであれば、喉詰めのクウォリティを上げていきたいです。

徳久さんもよく言ってますが、人間の喉は、私たちが考えるよりよほど柔軟で、可能性に満ちています。

特にクラシックの声楽の人は、喉をガラス細工か何かのように扱って、大事に大事にした結果ボロボロに痛めてしまう人も少なくありません。

大事にするから壊れるんです、僕も学部の頃は真夏でもマスクをお風呂と食事の時以外ずっとつけ続け、年中4-5種類以上の薬漬けで、なるべく人ともしゃべらないようにしていた結果何度も結節を作りました。

今はこんなにワイルドに喉を使ってますが、もう2年以上耳鼻科に行ったことすらありません。

あれしちゃだめ、これしちゃだめ、これは良くない、という制限を喉にかければかける程、それを破った時に、その暗示によって声帯にダメージが加わります。

大概のことは屁でもないと思っていれば、大概のことは屁でもないのです。

今回の本番のためのリハを午前中にやって、午後ジョスカンを歌う、という日がありましたが、何という事はありませんでした。

この体を使って、人間の可能性の奥深さ、幅広さを証明していければと思います。

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