先週金曜日に、また光岡先生の講座に出てきました。
今回もめちゃめちゃ面白かった。
いつものようにレポートしていきたいと思います。
過去の記事はこちら↓
BUGAKU1回目 https://wp.me/p7Ktcz-cpK
BUGAKU2回目 https://wp.me/p7Ktcz-dGh
BUGAKU3回目 https://is.gd/Gm9C17
韓氏意拳講座1回目 https://is.gd/D3RjiJ
BUGAKU4回目 https://is.gd/37Oxg1
BUGAKU5回目 https://ux.nu/AmsQM
韓氏意拳講座2回目https://is.gd/G7l53a
BUGAKU7回目https://is.gd/xiBfFB
養生功
今回参加したのは養生功というクラスで、ようは健康な身体をつくりましょう的なことだと思うのですが、あまりいい加減なことを言うのもアレなので、詳しくは日本韓氏意拳学会のサイトをご覧ください。
今回は站椿と健身功をやる予定だったみたいですが、あまりに内容が濃すぎて站椿までしかできませんでした。あいかわらず濃ゆい。
何しろ2時間半の講座のうち1時間半は「立つ・座る」ということに費やされました。
いかに人間は「立てていない」「座れていない」かということを、四足歩行から二足歩行への移行をヒントに学んでいきます。
中国文化の身体観
まずこの体系が中国文化・武術における身体性/身体観であることを確認します。無極(0)・太極(1)・両儀(2)・三才(3)・四象(4)etc.数について中華文化圏でどのように考えられているか。
陰陽は両儀の範疇だが、一般に浸透している陰陽太極図(点が入ってるやつ)は両儀ではなく四象になるのだそう。
ちなみに合唱団エレウシスのロゴマークはこの太極図をデザイン化したものだって、知ってました??(しらねー)
かっちょいいだろ。めっちゃ気に入ってます(笑)
生と死、豊穣の象徴の麦などいろいろ詰め込まれてます。
四足歩行→二足歩行
陰陽の基本的な考え方として、陽の当たっているところが陽、当たってないところは陰となります。当たり前か(笑)
四足歩行の場合陽が当たっているのは背中側、これは二足歩行になったときもその傾向を残していて、たとえば鍼灸の世界では背中側を陽経というそうです。
立ち上がった時に前側が陰、後ろ側が陽というのはちょっと一般的イメージと異なるというか、どうしても目で見えている前側を陽のように感じてしまいますよね。表裏でいうと前側が表、後ろ側が裏と感じますもんね。
このように二足歩行になった人間も四足歩行であったころの身体の傾向を残していて、前足と後足の連動なんかも四足歩行の名残があって、それが韓氏意拳でいうところの「同歩」ということになるのだそうです。(うろ覚え)
「進化の過程」みたいな図で四足歩行から二足歩行にだんだん変わっていく絵がありますよね。
あれってこう前に歩きながらだんだん立ち上がっていくようになっていますが、あれはあくまでイメージ。実際前に歩きながら立ち上がるというのは相当困難、というか無理、やってみればわかります。
実際は後足に体重を乗せていかなければならないので、まずは後足が止まって、重心を後にずらしながら、後方向に立ち上がっていきます。
これはゴリラなんかを見ているとわかります。
立つ/座る
というあたりを確認したところで、「立つ稽古」としての站椿に進むかと見せかけてさらにその前段階の「立つ」ことそのものについて。
「立つ」とはどういうことなのかを、今度は椅子から立ち上がるという動作の中で探っています。
詳しくは割愛しますが、この「座る」→「立つ」の間に、四足歩行の身体観を経由しています。そして安定して立つためには、四足歩行と二足歩行のちょうど間の身体観で立ちたい。
ということでちょっと猿人みたいな、膝をちょっと曲げてちょっと前かがみな感じの格好になるんですね。
膝のラインがつま先のラインと同じあたり、そして3メートル先あたりの地面に目線がいく感じです。結果的に目線が下に行くということで、棒立ちで目線だけ下にいってもしょうがないよというのもポイントです。
自然でリラックスしててどこにも力みがないけど安定してる。という姿形です。
それでその際前重心にしたいのですが、そのやり方もなかなか独特で、背中側を感覚するようにすると重心が前にいきます。
ちょっと意外な気がしますが、BUGAKUでやった感覚方向と運動方向のズレがそうさせます。
感覚方向を後ろにすると運動は前に行こうとする。
で、この後ろを感覚するというのはつまり、陽の側を観るということです。
ここで引用された老子の一節が秀逸でした。
万物は陰を負いて陽を抱き
沖気を以って和を為す
身体の前側、すなわち陰はそのままにしておいて、陽の側を観る(抱く)ことで、両極のちょうど真ん中をとることができ、バランスよく立てる。
みたいなことですね。
上の一節を知っていても、こういう身体経験を伴わなければ、それが自分のものとしては感じられないと思います。
感覚を後ろに出して重心が前に行って安定する。という意味には取れないですよね。普通。でもやってみると、ほう、なるほど、と腑に落ちる。
実感を伴わない言葉は伝わらない、とよく言いますが、身体観を伴って初めて自分の経験となるという感じでした。
ありがたい言葉を知っている、唱えることができる。ということと、身体観を伴って経験があるというのは全然別の事柄なのですね。
站椿
はい。ここまで1時間半でした。残りの1時間で站椿を教わりました。
韓氏意拳で最も重要とされ、最も韓氏意拳の考え方を色濃く表すのは站椿だと思います。
なにしろ「立つ」ことを主眼においた稽古なのです。
前も書いたかもしれませんが、光岡先生はハワイ時代、この站椿を1日平均6時間、長いときは8時間やっていたそうです。
しかもですね、これは講座の後ピザを食べながら聞いたことですが、站椿八式を何巡もするというやり方ではなく、1つを2時間!とかやっていたそうです。いや、もう笑いますよね。変態すぎ( ´∀` )
というかそのころは站椿が八式あって、それを流れるようにやるということも知らずに、独学で3つくらいをただただ静止状態でやっていたそうです。
もう同じ人間とは思えないです。
やってみればわかります。八式を15分やるのでも一般人にはかなり大変です。なんかわあ!ってなります。辛抱できないです。
でもそれをやりだしてから不思議と怪我をしなくなったと。
それで後に韓星僑老師に站椿をみてもらったときに、始めて二週間で「基本はできている」と言わしめたそうです。
当時は「なんだ、基本だけか」と思ったそうですが、站椿って奥深すぎて、基本ができるってもうそれはそれは果てしないものなのです。
それを二週間で習得したというのは、ハワイでの独学での稽古(というか研究?)の成果だったと。
そういうわけで站椿というのはそういうものなのですが、私も実は八式全てを教わるのは初めてでした。
前回は形体訓練(の最初の2つ)、前々回は站椿の最初の3つだけだったので。
時間の関係でそれほど微に入り細に入りという感じではなかったですが、大まかに何に注目しながらやっているか教えていただきました。
「普通にやればいいんだよ」
というその人の言う普通とは何か。その人が普通にできるようになっている、その要因(ファクターX)はなんなのか。それを見つけないと永遠に普通にはできない。
また普通にできなければ意味がない。形だけ真似て、やろうと思ってそれをやるんでは使い物にならないんですね。
今回目から鱗だったことがもう一つ。重心に関して。
站椿で手を挙げていくときに、手が前にいくとその重みで重心が後ろにいきます。
それって普通に考えて足の後ろに体重が乗るって思うじゃないですか。
違うんですって。足の前半分の後ろ側に重心が移動するのだそうです。
だから韓氏意拳でいうところの後ろ重心というのは結局前重心なんですね!
そんなんあるんかあと思ってこれはもう目玉飛び出ました笑
上にも少し書きましたが、この日は講座後にピザ(うまい)を食べに行きまして、そこでも超絶面白い話が聞けましたが、普通の人が理解できる話ではないのでオフレコで笑
気になる方はぜひBUGAKUの方の講座に出てみてください。
というか一緒にやりましょう。
おしらせ
今週からSalicus Kammerchorのカンタータのリハーサルが始まります。
光陰矢の如し、もうそんな季節なんですねえ。
5月の演奏会が延期になって、そして他の演奏家もことごとくとびまくった私たちのなんやらいろんなものが大爆発する演奏会になります(確信)。
こういうこと(音楽家の鬱憤がこれほどまでに高められる機会)って滅多にないのでぜひ生で聴きにこれる方はぜひお越し下さい。
Salicus Kammerchor演奏会
J. S. バッハの教会カンタータ vol.1
日時・会場:
11月10日(火)19:15開演(18:30開場)
武蔵野市民文化会館小ホール ※200席限定
チケット:前売り 一般5,500円/学生2,500円
https://tiget.net/events/104835
11月13日(金)19:15開演(18:30開場)
日本福音ルーテル東京教会 ※70席限定
チケット:前売り 一般6,000円/学生3,000円
https://tiget.net/events/102915
ライブ配信:
11月13日の公演はライブ配信(有料)を予定しています。
詳細は近日中に公開いたします。
曲目:J. S. バッハ
カンタータ第78番「イエス、私の魂よ」 BWV 78
カンタータ第99番「神の御業は正しきこと」 BWV 99
カンタータ第103番「あなた方は泣き喚くだろう」 BWV 103
カンタータ第182番「天の王よ、あなたを歓迎します」 BWV 182
第1回 プライバックSalicus
この懐かしいチラシはSalicus Kammerchorの第1回定期演奏会のときのものです。
今回このデビューコンサートの音源を聞きながら、メンバーと当時の思い出話裏話を語るライブ配信を企画しました。
ラジオ感覚でお聴きいただければと思います。
You Tubeチャンネル登録もどうぞよろしくおねがいします!
10月22日(木)20時より
Salicus KammerchorのYouTubeチャンネルにてライブ配信
https://www.youtube.com/channel/UCeWlQtnOnETy6Q2uZUVq4jA
出演:櫻井元希 谷本喜基 中須美喜 前島眞奈美