ラインベルガー校訂『ミュンヘン写本』第1集 4−5声のドイツ語モテット

ラインベルガー校訂『ミュンヘン写本』第1集 4−5声のドイツ語モテット

今日は少し冷えますね。

まいどまいど宣伝すみません。宣伝が増えるのは私ががんばってる証でもあるので、暖かく見守っていただけると嬉しいです。

今日紹介するのは、

ラインベルガー校訂『ミュンヘン写本』第1集 4−5声のドイツ語モテット

という楽譜です。

なんとわたくしの名前が、「監修」ということで載っております。

ラインベルガーの楽譜で櫻井が監修?!

ちょっと説明が必要かと思います。

この「ミュンヘン写本」というのは、ラインベルガーが、先人の作曲家の声楽作品を書き写し、その際移調したり、デュナーミクを追加したり、ラテン語の作品にドイツ語の訳を(おそらく自作して)付記した手稿譜集です。

この手稿譜集には、35の作曲家の49の作品がラインベルガーによって「校訂」され、収められています。

ラインベルガーが先人たちの声楽作品をどのように捉えていたのか、歴史的に非常に興味深いのですが、これまで出版されたことがなかったのだそうです。

そこで今回これを出版する運びとなったのですが、何しろ49曲もあって、一度にそれを出版するのも難しいということで、これを数曲ずつ、合唱団による実用について考えながら、一つのステージとして演奏会で取り上げやすように選曲する、この作業を私が担当しました。

ということで、「監修」というのはいささか大げさなのですが、ここに含まれる作曲家の多くがルネサンス期、バロック期の作品ということで私が選曲作業をさせていただきました。

第1集となる今回、選曲したのは以下の6曲、

Gallus Dressler / Ach Herr in deine Hände

Leonhard Lechner / Allein zu dir

Christoph Thomas Walliser / Der erste Psalm (Beatus vir)

Andreas Hammerschmidt / Zion spricht der Herr hat mich verlassen

Antonio Scandello / Lasset die Kindelein zu mir kommen

Giovanni Pierluigi da Palestrina / Das Wiederfinden

このうち最後のパレストリーナはラテン語のモテット “Veni, dilecte mi”のドイツ語訳で、ラインベルガーの物凄い走り書きの読みにくい字を解読するというのも私が担当しました。

なんだかタイトルが不統一なのですが、ラインベルガーの書いたそのままを採用しています。

あちこちでお買い求めいただけるようですが、私のところにもあと2冊だけ在庫がありますので、ご入用の方はぜひ私にお問い合わせください。


さて直近の演奏会ですが、今週末、アラミレの演奏会がございます。

昨年一昨年の録音がアップされていますので、よろしければご覧ください。

Heinrich Isaac (1450/55-1517), Kyrie from “Missa Comme femme desconfortee”

Josquin des Prez (1450/55?-1521), “Stabat Mater dolorosa”

Adam Rener (ca.1485-ca.1520), Credo from “Missa de Beata Virgine”

Facebookのイベントページはコチラです。
https://www.facebook.com/events/421379221680984/

公式ホームページはコチラ。
http://www.geocities.jp/alamirejp/concert.html

この演奏会に関して以前に書いたブログを再掲しておきます。

特に一つ目の記事は私の書いた記事の中で最もアクセス数の多い記事です。

ラ・リューのミサ《ロム・アルメ》がヤバすぎる件について
https://goo.gl/CnDWX4

アラミレ合宿2018
https://goo.gl/wMUQd8


そしてアラミレの演奏会の2日後、17日の月曜祝日には長野県は原村で演奏会がございます。

今年の3月にオルガン研究会例会でお世話になった、米沢さんのレクチャーコンサートにお邪魔させていただきます。

グレゴリオ聖歌のキリエ、ラ・リューのSalve regina、コラールの”Vater unser”などをオルガンと交互に演奏いたします。

米沢さんによるレクチャーも楽しみです。

避暑にいかがでしょうか(最近涼しいけれど)


Salicus Kammerchor2018-19年シーズンサポート会員ですが、只今33名の方に定期会員にお申し込みいただいております。お申し込みくださいました皆様、誠にありがとうございます。

目標の定期会員100名様まであと67名様!まだまだまだまだでございます。

拡散にご協力いただけると本当に嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします!

https://www.salicuskammerchor.com/support


ワークショップの受講生も募集中です。こちらは10/14です。

腰を据えてネウマと自分の声とに向き合う良い機会になると思います。

定員がありますのでぜひお早めにお申し込みくださいませ。

https://www.salicuskammerchor.com/workshop

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Salicus Kammerchor

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公演情報

次回はEnsemble Salicusの演奏会です!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

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CD・DVD発売中!

昨年10月に開催されたLa Musica CollanaとのジョイントコンサートのライブCD

第2回定期演奏会のライブDVD

をウェブ販売しております!

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サリクス通信に加藤拓未、渡辺研一郎が登場!

http://www.salicuskammerchor.com/mail-magazine-1

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櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

9月というやつは

9月というやつは

先週末は、ちょっとここのところの私からすると忙しい週末でした。


金曜、10時半に家を出て、合唱団フォンス・フローリスのリハーサルのために私のローランドちゃんを旗の台から両国のリハ会場まで運びました。

この日はその後調布でチラシ挟みもしなくちゃいけなくて、600部のチラシを2部、そのうち1部はSalicus Kammerchorのサポート会員募集チラシだったので、A4二つ折り、つまり重量2倍なのですね。重さ計ってみたら12キロありました。ぎょえーーローランドのキーボードとほぼ同じ重さ・・。

それでそのチラシを手に旗の台にあるはずのキャリーカート(こういうやつ)が無い・・・。

チラシがなければなんとかギリ死ぬ気になれば背負って運べなくないのですが、12キロのチラシを手に12キロのローランドを背負って(あといつも持ってるでっかいリュックもあるよ)両国まで行くのはマジで極悪人が地獄の底で鬼にやらされるやつや・・・と思い、家主Kに連絡、車でホームセンターに連れて行ってもらい、おニューのキャリーカートを購入。

チラシとローランドをくくりつけようとするもダイゴサーーン!!(大誤算)ローランドとチラシを一緒にキャリーにくくりつけるのは無理でした。

仕方なくダンボールにまとめていたチラシをバラバラにし、ローランドのケースの隙間にちょっとずつ詰め込み、残りはいつも重荷を負わされて可愛そうな私のリュックに詰め込んで両国へ。

この日は暑い日でね・・・もうこの時点で滝汗で自分臭い臭い。

シャワー浴びてええ着替えてええ。と思いながら両国でローランドをおろし、チラシをまた詰替えキャリーに載せ、調布へ。

チラシはさみを終え、調布にユニクロあったらTシャツ買って着替えよう、とか思ってましたがユニクロ見当たらず、諦めてビショビショのまま両国へ(今思えばこれがまずかったのかも・・)。

夕方から合唱団のリハに加わりました。普段リハって疲れるもんだと思うんですが、この日はその前がハードすぎて、リハ後体力がリハ前より回復しているという稀有な体験をしました。

リハ後はまた旗の台にローランドを返しに行きました。トラブル無く運び終え、旗の台駅前のファミリーマートのビールコーナーへ直行。大井町線のホームで飲んだプレミアムモルツ〈秋〉香るエールのうまかったこと。


土曜、この日は結成から8年間お世話になった合唱団、ノヴァ・ヴォーチェの最後の公演。モーツァルトとミヒャエル・ハイドンを歌ってきました。

東京に来てすぐ、青木さんに誘っていただいて最初は合唱エキストラとしてお世話になりました。その後はアシスタントとして合唱指導に加わらせていただきましたが、練習が金曜ということで、私はカンタータクラブのリハがあり、夏休みや冬休みなど、ワンポイントで指導させていただくことが続きました。カンタータクラブを引退してからは月に1・2回、多いときは3・4回指導させていただくようになって、地道に地力を上げていくようなジリジリとした練習をやらせていただいて、はっきりいって演奏会に向けての効率的な練習とは言えなかったと思うし、なかなか進まない練習にひょっとすると不安を覚えられた方もいらっしゃったかもしれないけど、2年3年後に効果が出るような、そういう指導をしていきました。

それが、ノヴァ・ヴォーチェは今年限りということになって、とても残念だったけれど、これまで自分がお伝えしてきたことが、少しは役に立ったろうかと、思える演奏だったように思います。

最後の演奏会のあと、翌日の本番のためにみなとみらいから中目黒にフォンス・フローリスの通しリハに向かいました。雨が降っていました。

多分ですが、ノヴァ・ヴォーチェの打ち上げに出れなかったのは最後にして初めてだったんじゃないかな。

もう、ちょっと本番で燃え尽きてしまって、フォンスの方ではあまり歌えずご迷惑をおかけしました。

そのあたりからちょっとおかしいなと思っていたのですが、その夜ザッパーって喉に炎症がきまして、あ、これはあかん、明日目が覚めへんかもしれん、とか思いながら寝ると、翌朝には炎症は引いていました。


日曜、この日はフォンスの本番のあと、アラミレのリハーサルの予定でしたが、アラミレの方はお休みさせていただきました。申し訳ない。

痩せてる人って、風邪をひくとやたら心配されるので、というか心配されるだけならいいけど信頼を失いかねないので、おいそれと風邪もひけないんですが、やっぱりどんなに気をつけていてもダメなときはダメですね。

一応言い訳しておくと、風邪ひいたのは去年の4月、サリクスの本番以来です・・あの時は死ぬかと思った。ああ、言い訳がましい。

でも本番はトバすわけにいかないので、俺の情熱でウィルス燃やし尽くす気合で本番は歌いました。なんとか声は出ましたが、頭がグラグラしてて何箇所か間違えました。申し訳ない・・。

しかし今回の演奏会、今までで一番説得力のある演奏だったんではないでしょうか。

長年の積み重ねが実を結びつつあるなと実感しました。

めっちゃ声出てましたね、出過ぎなくらい笑。

今後はいかに繊細にコントロールしていくかという方向にシフトしていければと思っています。


というわけで各方面にご迷惑をおかけいたしましたが、もう大丈夫と思います。かなり回復してきました。

9月はアラミレの本番、原村での本番それからサリクスのサポート会員締切、10月のワークショップの準備と、めちゃくちゃ忙しいので、早く全快したいと思います。

さらに会員特典CD制作、昨年のEnsemble SalicusレクチャーコンサートのライブCD、それからロンT制作もあって目が回ってます。(嗚呼健嗣さんほんとこきつかってごめんなさい)


皆さんにお願いです。

Salicus Kammerchorはサポート会員様のご支援で活動が成立しています。特に来年は積年の夢であるCD制作を控え、この9月末締切の2018-19年シーズンの会員募集はいつにも増して重要なのです。

SNS等騒がしくなりますが、どうぞご容赦ください。また情報拡散にご協力いただけると本当に助かります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

夏の終わり

夏の終わり

もう8月が終わりますね。

今年は猛暑とタイフーンが交互にやってきて、もう疲れましたね。

もう、夏ってほんと、息してるだけで疲れますよね。

疲れるくらいならいいんですが、暑いと人が死にますからね。ほんと恐ろしい。

皆さま引き続き猛暑とタイフーンにお気をつけてお過ごしください。


8月が終わりますと、Salicus Kammerchorにとっては勝負の月、9月がやってまいります。

なぜ勝負かと申しますと、サリクスは年度の区切りを10月始まりにしておりまして、9月は来シーズンのサポート会員締切があるのです。

というわけでSNSのタイムラインが騒がしくなるかと思いますがどうぞご容赦ください。

2017-18シーズンは、おかげさまで68名の方に定期会員にお申込みいただき、ご寄付も42口賜りまして、無事シーズンを終えることができました。

皆さま応援誠にありがとうございました。

来シーズンは念願のバッハのモテット全曲演奏会、全曲録音を控えております。

目標を定期会員100名様に定めまして、より一層のご支援を賜れますよう努めてまいりたいと思います。

定期会員特典のCDを目下製作中ですが、なかなか豪華な内容になりそうです。

非売品ですので、こちら入手されたい方は是非定期会員にお申込みください。

詳細はこちら→https://www.salicuskammerchor.com/support


さて、わたくし櫻井はといえば、先週毎年恒例の、サマーアカデミーに行ってまいりました。

どうしても外せない仕事が複数重なりました関係で初日と二日目のみの参加となり、特別演奏会には参加できませんでしたが、客席よりリハーサルを見学させていただきました。

舞台上からはわからない小林先生の挙動、ステージを覆う音楽の全体像を垣間見た気がいたしまして、特に二日目のリハーサルでの45番のコラールは本っ当に素晴らしく、先生の音楽の真髄を見た思いでありました。

本質をしかと見据え、枝葉を枝葉として扱うという、基本的な姿勢を貫くことの大切さを改めて実感いたしました。


全然関係ない話ですが、先日私のTwitter投稿がプチバズりました(私にしては)

これです↑

このブログ記事自体は半年くらい前の記事なのですが、ちょっとキャッチコピーを思いついたので、Twitterにコピーとともに投稿してみました。

私のブログ更新のお知らせなんて、いつもはリツイート多くて5、とかなんですが、ほんとキャッチコピーって凄いですね。

コピーライターという仕事が存在する意義を実感しました。

アクセス数も、それまでトップだった「魅惑のカルグラ地獄」をあっという間に抜いてしまいました。

やってることには自信があっても、それをどう伝えるかということにもっと注力していかなければと思いました。


お知らせ

重ね重ねで申し訳ありませんが、Salicus Kammerchor2018-19シーズンサポート会員、是非ともよろしくお願いします。

https://www.salicuskammerchor.com/support

Salicus Kammerchor第6回ワークショップの募集を開始しております。

あなたもレッツネウマ

https://www.salicuskammerchor.com/workshop

Ensemble Salicus演奏会チケット発売中です。

今回は席数が少ないのでお申込みはお早めに!

https://www.salicuskammerchor.com/concert

アラミレ合宿2018

アラミレ合宿2018

昨日まで、長野県諏訪郡原村に合宿に行っていました。

ヴォーカル・アンサンブル アラミレはいつもこの時期原村の教会にお世話になって、2泊3日で合宿させていただいています。

毎年このアングルで写真をアップしてる気がする笑

夢みたいなとこです。

外観はこんな感じです。

ペンションから教会へ通じる小径。

ペンション近くのまるやち湖。


今回のラ・リューのミサ「ロム・アルメ」はもう形容し難く凄い作品です。

一生の内で3回は再演するでしょう。

以前のブログでクレドとアニュスについてはその凄さを書きましたが(貼ってる音源ぜひ聞いてみてください)、その他も本当にスキがないというか、全ての楽章が複雑怪奇で脳の糖分持ってかれる感じです。

全楽章が全部違って音楽的にも全部物凄く充実しています。

それで全ての楽章で一貫してロム・アルメの旋律が流れているというのが本当に凄い。全ての楽章で同じ旋律を使っているのに全ての楽章が全然違うんです。そして違うだけでなくそれぞれに非常に魅力的であると。

これはもうただごとではない。天才です。この作品に出合えてよかった。

そのわりにあんまり有名じゃないですよね。不思議。黒ラ・リューだからかな。

演奏会の情報はコチラ


合宿最終日は午前で練習を終えて、山に行きました。入笠山(にゅうがさやま)、標高差700メートルのロープウェイに乗りました。うぇい。

この日は降水確率100%だったんですが、念の力によってわりと晴れ間が出てました笑

湿原です。

なんかしらの高山植物。

もう花火そのもの。

なんかしらの高山植物。

なんとかユリ。

ボロボロの木。

切り株に苔。


帰りのロープウェイが雷雲の影響でストップするという一瞬遭難体験もして、ルバーブのソフトクリームを食べて帰りました。

こんなんなってましたが、ものの8分くらいでこうなりました↓

山の天気ですねえ。


最後に、たてしな自由農園にあったポップ。

めちゃめちゃ高級なぶどう、ナガノパープルなのですが、どう見てもナカツパープルですね。


最後に、家に帰ったらベランダのマンゴーの葉っぱが、4枚から6枚になってました。

ちょっと茶色い葉っぱ。


最後に、全然関係ないですが、合宿行く前に秋葉原の万世橋から撮った写真。

水に見えないですよね。タールでも流したかのような。

東京・・・。


あ、そういえば来月も原村に行きます。

原村とってもいいところなので、よろしければお越しくださいませ。

 

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刺激的な日々|ノイズボイス・カラオケに参加してきました

刺激的な日々|ノイズボイス・カラオケに参加してきました

8月3日に柳生田さんのリサイタル助演、5日にデュファイ祭出演と本番が続いたあと、一昨日7日には徳久ウィリアムさん主催のノイズボイス・カラオケに参加してきました。


ノイズボイス・カラオケ

実に刺激的でした。徳久さんの主催されるイベントはいつも刺激的です。

これまで、アガリアム合唱団(現コエダイr合唱団)主催のワークショップに講師として参加した他、同合唱団のワークショップ、「インド古典声楽」と「ブルガリアン・ヴォイス」に参加させていただきました。

インド古典声楽では「笛は吹くのではなく磨く」や「音程の移動は円運動」「歌用の声などない」など、私の音楽実践の中でも常に引用させていただいていますし、ブルガリアン・ヴォイスで印象的だったのは、「言葉、フシ、コブシ、ときてその次が声」ということで、やはり民族音楽においても大事なことは一緒なのだなあと再確認しました。

そしてアガリアム合唱団には一度歌い手として参加させていただいたこともありまして、その時に書いた記事がこのブログのアクセス数一位です笑

魅惑のカルグラ地獄

うーむ今聞いてもこの時の録音凄い。

今回のイベント(ワークショップ)は、このアガリアム合唱団でも見事なカルグラを披露しているあいさんと徳久さんがフェイスブックのライブ動画で配信してて、あまりに楽しそうだったので参加することにしました。

これを見て楽しそうだと思うところからがスタートですよ!皆さん!笑


声楽の最先端としてのノイズボイス

そもそもノイズボイスってなんぞやって方も多いと思うので、少しだけ説明します。

現代音楽の分野でノイズミュージック(wiki)ってありますよね。それを声でやります。

都市の民族音楽を標榜する徳久さんの考えでは、民族音楽というのは環境から生まれる。それが歌われる必然性がある。私達にとっての環境、都市の環境から生まれ、歌われる必然性のある音楽とは何か。そういう流れから生まれて来たのがノイズボイスだと私は理解しています。

私は普段古楽という今から400−1000年位前に作られ、歌われた音楽を実践していますが、同時に現代に生きる自分が現代を生きる皆さんとともに現代においてそれを実践するとはどういうことかということを模索しています。

簡単に言うと、1000年前に作られた音楽も、1000年前には現代音楽だったのです。それをリアルに実践するためには、それを古いものとして扱うわけにはいかないのです。

「歌の生まれる必然」を実感するためには、歌の生まれる現場に立ち会うのが一番カンタンです。

そういうわけで私も現代音楽を演奏することがありますが、このノイズボイスというジャンルは、声楽の最も最先端とも言えるのではないでしょうか。

ノイズボイスのソロで徳久さんの素晴らしいパフォーマンスはこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=Qz6dYvD1fNs&t=1154s


即興について

さらにこのノイズボイス、見ての通り即興です。今回のワークショップでも伺いましたが、何かやろうとしているというよりは「降りてくる感じ」なのだそうです。

グレゴリオ聖歌の伝説として、教皇グレゴリウス一世が聖霊(鳩)の声を聞いてできたものであるというのがありますが、近いものがある、というかそれそのものなんではないかなと思います。

自分で作ったんじゃなくて、自分ではないナニかからもたらされるものだということですね。

私達クラシックの業界の人は99%誰かが書いた曲を演奏します。今より前に、誰かが作った曲を演奏するんですね。でもね、私この「誰かが作った」ってのも嘘だと思うんですよ。その誰かも、自分ではないナニかからもたらされた音楽を書き留めているに過ぎない。

それで私の考えでは、そのナニか、というのは曲を作る人ごとに違うのではなくて、全人類、全世代共通なんです。

誰の肩にもグレゴリウス一世の肩にとまった鳩と同じ鳩がいて、その声を聞くのか聞かないのか、またどう聞くのか、というのはその人次第。

つまり受け取り方ひとつ。作曲家、あるいは即興演奏家というフィルターを通すことで一見全く別のものに見えるけれど、その根源は同じ、音楽はひとつなんだと思うんです。

で、それ以外のものは音楽とは呼ばない。私はそういうように音楽を定義しています。

この言い方でいうと、世の中には、音楽のようでいて、音楽でないものが溢れているということになってしまいますが。

というわけでですね、よりダイレクトに作曲家の見た景色に近づくためにはですね、自分も曲を作るかあるいは即興するかだと思うんです。

それもこのノイズボイスの企画に興味を持った動機のひとつです。


アンサンブルについて

さらにもう一つ、このところ考えていたのはアンサンブルについてで、前回のブログで最後に書いた、「シャーマンは孤独だ」というのは実はアンサンブルは本当に音楽的にあれるのか、という話題の中で叔母から出た言葉なのです。

叔母(桜井真樹子)も作曲するし、即興もする人なのですが、二人以上で即興するときの難しさ、限界を感じていて、もはやアンサンブルやんなくていいのではという境地に達しているそうです。

私は普段ほぼいつも、常にアンサンブルをやっています。全く一人で何かするということは記憶の限り100%ありません。

アンサンブルで音楽ができないとなると、私の活動はゼロになってしまいます笑

ノイズボイスに関しても、一人でもできますが、複数人でも出来ます。

以下に徳久さんと、素晴らしいパフォーマーの風人さんの動画を貼っておきます。2’20あたりから二人のノイズボイスデュオとなります。

https://www.youtube.com/watch?v=IFjcLLZ-6PA

ノイズボイス・カラオケのいいところは、ずーっときっかけが鳴り続けているところです。

ある意味カラオケの音源とのアンサンブルなんですね。音を感じながらそれに影響されつつ表現出来るというところで、初心者にも即興がやりやすい。そしてアンサンブルについても考えるきっかけがもらえる。

そう思ったんです。


いざ実践!

ワークショップでは初めに、徳久さんから惜しげもなくノイズボイスのテクニックについて教えていただきました。

徳久さんの音のパレットを覗いているようで楽しかったです。

それまで全くどうやってるのかわからなかった音も、レクチャーを聞いたあとだと大体7割位はわかります(それでも全くわからない音もあります)。

あと今回凄く面白かったのは、ノイズボイスってマイク1本でやるんですけど、つまりほとんどエフェクトかけないということなんですが、このマイクの使い方一つでできることの幅がめちゃめちゃ拡がるんですね。

それはもう感動しました。マイク一本でこれだけのことができるのか!と思いました。

普段マイク使わない上に、使うとしても、ノイズが乗らないようとか、ハウらないように使うじゃないですか。それがむしろノイズボイスではノイズを乗せるように、ハウったらハウったでそれを利用するんですって。んーー今までに全く無かった発想だ・・・。

ひとまずどんな音が出るのか試してみました。

これは、、、面白い、、、。

特にインヘイル(吸い)の可能性が凄い。普段吸って音を出すことがないので、吸ったほうが非日常の音が出ますね。

吐くと逆に普通の声になっちゃいそうで難しい。

で、これは音ですね。

今度はカラオケ音源の助けを借りながら即興やってみました。

曲は一青窈の「もらい泣き」

恥ずかしいので最後のサビのところだけ切り取りました。

どうでしょうか。これ見て皆さん何を感じられるでしょうか。

(ほとんどの方は嫌悪感を持たれるだけなんだろうなあ、変な人、のレッテル張りで終わりなんだろうなあ、辛いなあ)

凄く怖いような気もしますが、というのは結構私の本性が現れているようで、ざわざわします。

他の参加者の方の声も聞いていて、凄く思ったのは、これ、もんの凄く個性がでます。その人がどんな人なのかわかります。

あー、この人こういうこと考えながら生きてるんだなってのが、ビシビシ感じられます。これもワークショップの効果ですね。一人でやっていたら気づけなかったことだと思います。

でも動画だとそうでもないかな・・これやっぱりアイフォンの限界で、音の自動調整が凄いですよね。声のないところでは音源が際立って、声の大きいところは音源が全然聞こえなくなってますが、生で聞くとそんなことは起こりません。

だから判断難しいかもな。

私がやるとどうしても人間味が出ちゃって、そういう意味ではノイズボイスの理想とはかけ離れているかもしれません。

あとこれもやってみないとわかりませんが、曲を無視しているようで、めちゃくちゃ影響されます。

「もらい泣き」だからこういう感じになったんだと思います。

そしてせっかくなので、徳久さんとデュオもやらせてもらいました。アンサンブルに対する疑問は結構解決したように思います。まだ文章にするところまで消化出来ていませんが、そのうちかければと思います。

一つ言えるのは、アンサンブルはソロより難しい。ということです。アタリマエーーーー!笑

「気」が分散して、音楽に近づくのがより難しくなる。けどできないわけじゃない。ただしそれを可能にするには多様で物凄く精度の高いテクニックが必要。という感じでしょうか。

他の参加者の方のデュオも聞かせていただいて、やっぱりアンサンブル面白いなあと思いました。

影響を与えあって、一人ではできない表現が勝手に出てくる、そう見えました。

そんなわけで、合唱もやりたかったのですが、普通のカラオケでマイクを3本以上つなぐのは難しそうなので諦めました。

マイク無しで最後We are the worldをみんなで歌いましたが、やはりマイクがないと出来ることが3分の1くらいになりますね。

大勢でやるにはスタジオ行くしかないか。


最後に、皆さん心配されてるかと思いますが、適切な指導者がいれば、喉の健康は保たれます。

逆に言うと、指導者がいないところでこれをやるのはかなり危険です。

指導者がいても、ノーダメージというわけにはいきません。やっぱりちょっとは炎症起きます。

ただし喉の炎症よりも肉体疲労の方がえげつないです。

翌日睡眠時間を確保できるかどうか確かめてからやるべきだと思います。

特に、私の場合肋間筋が結構ヤラれました。鼻をすすったときに痛いので、息を吸う時の筋肉(外肋間筋)の方だと思います。

負荷かけながら全力で息吸うってことやらないですからね。普段。

逆にこういった普段使わない筋肉を使うことで、普段の歌がどう変わっていくのか、いかないのか、興味津々です。

今回このワークショップに参加して、普段の生活では得ることの出来ない非日常、心、頭、体に多大なる刺激を受けることが出来ました。

講師の徳久さんに改めて感謝したいと思います。

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