合唱発声の一般的傾向と対策3

3つ目の記事です。

過去の記事はこちら↓

合唱発声の一般的傾向と対策1

合唱発声の一般的傾向と対策2


傾向その6「狭母音が苦手」

これは発声というよりは発音なのですが、発声が発音に影響しているという意味で発声の問題に直結しています。

逆に言うと、発音を改善すれば、発声も改善する可能性があります。

母音は基本的に舌の位置(最も高い位置がどこにあるか)と唇の形(円唇か非円唇)かで決まりますが、狭母音というのは、舌の位置が高い母音のことです。

http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/vowel.phpより引用

今回ラテン語で用いた狭母音は非円唇前舌狭母音[i]と円唇奥舌狭母音[u]です。

非円唇前舌狭母音[i]

i母音は舌の前の方を口蓋に接近させて作ります。言い換えると前の方で口蓋と舌のトップとの間が「狭い」とiという母音になります。

その際舌の先端は舌の歯のあたりについたままです。前舌母音というと下の先端を口蓋につけようとする方がいらっしゃいますがそれは誤りです。

i母音で陥りやすい傾向は2つです。

1つ目は、口蓋と舌の狭さを作るために顎を狭くしてしまうこと。

特にクラシックの場合は、音色が変わりすぎてしまうことを避けるために、顎の広さを確保しておくことが必要です。

顎を広くしたまま口蓋と舌を狭くするには、舌の方をがんばって高く保つということが必要です。結構努力感必要だと思います。慣れないと。

2つ目は、おそらくだんご舌の影響で舌が奥に行ってしまい、i母音がe母音に近づいてしまうことです。

そしてiっぽさを作るために閉鎖を強めてしまって、さらに音が硬い印象になってしまうということがあります。

円唇奥舌狭母音[u]

u母音はi母音同様口蓋と舌の間を狭くしますが、iよりも奥の方で狭めをつくります。

なので、aの時よりも舌が高い位置にいなければならないのですが、ほとんどの方が、a→o→uと変化するにしたがって、舌が下がっていきます(同時に喉頭が下がります)。

これは、ラテン語のuは日本語の「う」と違って深いんですよ。と言われ続けた結果だと思います。

イメージだけで「深く」と思うと喉頭が下がって舌も下がります。

その結果uには聞こえない、ひいき目にみてo?のような発音になって今います。

深いというよりは、暗くこもった音です。


傾向その7「特定の子音が発音できない」

これも発声というよりは発音の問題なんですが、やはり発声と密接に結びついていますので、ここで取り上げることとします。

語末、音節末のn,mが発音できない

今回の曲、最初のところがSpem in alium nunquam habuiという歌詞なのですが、ほとんどの音節がnかmで終わるんです。これが言えない人が本当に多かった。

語末のn,mは次の単語が母音から始まる場合はくっつけていいよって言ってもできない方が多かったです。

特に多かったのはnunquamのnで、これは日本語の「ん」の発音にひっぱられていることが原因と思われます。

nの発音は歯茎鼻音といいまして歯茎に舌の先端をつける鼻音なのですが、日本語の「ん」は歯茎鼻音を含め5つの発音があるといわれています。

詳しい説明は他に譲りますが、例えば「日本」というときの「ん」と「日本橋」という時の「ん」へ別の発音です。

前後関係で発音が変わる「ん」のイメージに引っ張られてnの発音が揺れてしまうんですね。

またこうした鼻音が多いセンテンスでは、母音が鼻母音化してしまう人が多いです。

傾向その4「開鼻」とつながります。開鼻傾向のある方は、鼻音の多いセクションではより一層その傾向が強まります。

lが鼻音化する

これも開鼻問題とつながっています。

lは側音といいまして、舌の先端を歯茎につけて、舌の横から息を流すようにして発音します。

ここで開鼻になっていると、lが非常にあいまいになって、nのように聞こえます。

nは歯茎鼻音でした。下の付ける位置がlと近いので、lが鼻音化するとnに聞こえてしまうんです。

日本の英語教育では、rの発音は日本語と違いますから気を付けましょう的なことにはフォーカスしていると思うのですが、lの発音が日本語と違うということにはあまりフォーカスしていないという印象があるのですが、その影響も大きいかなと思います。

lの発音自体を誤解している方も多いのではないかと思います。日本語のらりるれろとはこれも違う発音なので、やはり練習が必要だと思います。

rは巻けるのにtrは巻けない

これ私最近自分の合唱団にこういう方がいて、ほーそういうパターンもあるのかと思ったのですが、今回の企画の中でも結構いらっしゃいました。

一般的傾向とまでは言えなくても、かなり多くの方に現れる症状としてここに書き留めておく価値があると思います。

どうなっちゃうかといいますと、r単体では普通に巻き舌ができるのですが、trになると、英語のtreeみたいな発音になっちゃうんです。tribulationeという単語でこれが起こる人が多かったです。

やはり外国語を発音する際に、子どものころに習った英語の発音にひっぱられてしまうということは結構あるようですね。

似たような例としては、音節末のlが英語のdark lのように母音化してしまうという症状や、ドイツ語でerとつづるときに母音化したrが英語のrのようになってしまうなどが挙げられると思います。


ビブラート問題

さて、これも傾向とは違うはなしなんですが、ビブラートについてです。これは昔からあらゆる合唱人を悩ませてきた根強い問題です。

ビブラートがかかっちゃう人自身が問題意識を持っている場合もあれば、仲間にビブラートがかかっちゃう人がいてどうしたもんかと気をもんでいる方も多いでしょう。

これがですねえ。ビブラートが起こる仕組みというのがイマイチよくわかってなくて、直し方もコレっていうのがないんですよね。私の知る限り。

ただ、

・例えばソプラノという声種を選択した方に多い(ほかの声種にいないわけではない)

・プリングチェスト傾向の方に多い(あるいは目立つというだけかも)

・音程と音量が両方著しく揺れる場合、音程はそれほど揺れていないのに音量が激しく揺れている場合がある。そして後者はあまり気にならない

ということに今回気づきました。

音程も音量も揺れが著しい
音程はそんなに揺れていない

波形を見るのがおもしろくて、途中から編集作業の中のちょっとした楽しみになっていました。ビブラート波形コレクターみたいな感じで、おおこれは!と思ったものはスクショ撮ったりしてました(笑)

謎深いビブラート問題ですが、最近試している方法で、少なくとも一部の方には効果が出ている方法を対策編ではご紹介しようと思います。


いやはや、またもや対策編に入れませんでした。

何しろ電車の中か出先のカフェとかでしか書けてないので、なかなか進まなくて申し訳ないです。

次回はいよいよ対策編です。

合唱発声の一般的傾向と対策2

合唱発声の一般的傾向と対策2

前回の記事からの続きです。

前回は、傾向1「高音域プリングチェスト&低音域ライトチェスト」についてお話しました。


傾向その2「声帯がstiffの状態」

これは傾向その1とも関連しているんですが、声帯がstiffの状態、つまり硬い状態になっていて、息もれになっている人が非常に多いです。

下の方がスカスカになってるのはこの声帯の状態が影響している人もかなり多いです。

これも男性女性共通でした。

倍音豊かな声を出すためには声帯は柔らかく使えた方がいいです。

もちろん表現として息もれ声を使いたいときはstiffの状態を作れるということも必要です。


傾向その3「裏声のない男性、地声のない女性」

これもその1とかかわっています。

男性の場合、声帯を薄くするということができない方は裏声を出すことができません。なので地声で張り上げたまま音域を上げていって、ある音程より上は全くでないという状態になっています。

女性の場合、裏声で歌うことに慣れてしまって、逆に声帯を厚く使うということができない方が多いです。

それで音が鳴らなくなってきて、声帯が硬くて薄いままただただ力んで声が震えちゃう。そういうパターンも多かったです。

先ほども書きましたが低い方は声帯を引き延ばす筋肉、縮める筋肉両方緩めなければならないので、その緩め方がわからなくなっているという感じでしょうか。


傾向その4「開鼻」

これまで書いた傾向も、「こういう声を出さなきゃいけない」「こういう声は出しちゃいけない」という強迫観念から生まれた傾向だと思います。

合唱の場合は、「邪魔になるような声を出しちゃいけない」ということが潜在意識に刷り込まれてる人が多いのではないでしょうか。

開鼻というのは喉頭から鼻腔への出口が空いている状態で、ここが空いていると鼻腔と口腔に共鳴腔が二股にわかれてしまって、エネルギーが減ります。

聴覚印象上はこもったような感じの声になります。

よく発声の指導で「鼻腔に響かせて」って指導されること、どなたでも一回はあるんじゃないかと思うんですが、その結果でもあると思います。

いわゆる鼻声ですね。ただ鼻声ってのも2種類あって、鼻にかかった声と、鼻詰まり声、これ両方「鼻声」っていうんですよね。

これまたややこしい。鼻詰まり声の方は「閉鼻」といって鼻腔への出口が閉じている状態です。開鼻の逆ですね。

それで、「鼻腔に響かせて」ということは開鼻ということになるのですが、これではさっき言ったようにエネルギーが分散してこもった感じになるんです。

ということは「鼻腔に響かせて」という言い方が間違っているかというとあながちそうとも言い切れなくて、鼻腔への出口がちょっとだけ空いているとシンガーズフォルマントが強調されやすいということもわかっているようなので、「鼻腔に響かせて」というのはおそらくそのことを言っているのだと思います。

ただまあ難しいんですよね。ちょうどよく隙間を開けるの。芯のある音を目指すなら、基本閉鼻気味で、ちょっとだけ開鼻でもいい。くらいに考えておくといいのではないかと思います。

ちなみに開鼻になっているかどうかを自分で判断するのは結構簡単で、鼻つまんで声を出せばいいんです。

声を出して、鼻をつまむ。鼻をつまんで音が変わる声は開鼻、変わらない声は閉鼻です。

説明が長くなりましたが、開鼻のこもった感じの音って邪魔にはなりにくいんですね。エネルギーが減っているので。

「鼻腔に響かせて」という指導言、そして邪魔にならない声を出そうという強迫観念の結果、開鼻になる人が多いのだと思います。


傾向その5「だんご舌」

クラシックっぽい音を作ろうとした結果「だんご舌」といいまして、舌が奥の方で固まって発音が不明瞭になるということがあります。これもまた聴覚印象上こもった感じの音声になります。

クラシック的発声の特徴として「舌の圧搾」というテクニックは確かにあります。

これがクラシックぽい発声の最も大きなファクターと言ってもいいくらいだと思います。(女性の場合はこれに加え、フォルマント同調)

舌の圧搾もまたいかに音量を稼ぐか(通る声にするか)という必要から生まれたテクニックだと理解していますが、これをすると確かにシンガーズフォルマントが強調されるそうです。

喉頭蓋の操作、ちょっとだけ開鼻、そして舌の圧搾によってシンガーズフォルマントを強調する、というのが男性クラシック歌手の特徴かと思います。

女性の場合はこれに加え(かあるいは喉頭蓋はやってないのかも?)フォルマント同調を使ってる。

そんな感じで私は理解しています。

でまあ問題は私たちがやっているようなジャンル、アカペラの合唱とかアンサンブルとかで、舌の圧搾が必要になるほど音量を出す必要があるのか。

多分ないと思うんですよね。

音量を出すために生まれたテクニックを音量がそれほど求められないジャンルで使う必要はない。

それに舌の圧搾は音量と引き換えに発音の明瞭さを損ないます。

母音は舌の位置によって決まるので、舌を圧搾しているとその動きが邪魔されるのがわかると思います。

更に、多くの方がこのクラシックっぽい音を作ろうとしてやっているのは、舌を奥の方で固める「だんご舌」であって、テクニックとしての「舌の圧搾」とはちょっと違うんですね。

こもった暗い音色で、その上発音の邪魔をしている。

いいことないのでやめた方がいいと思います。


さて、今回もまた長くなってしまったのでここまでにしたいと思います。

次回はこの流れで発音について、あとビブラート問題にも少し触れて、いよいよ対策編に入りたいと思います。

合唱発声の一般的傾向と対策1

タリスの企画、まだAチームBチームそれぞれの編集作業中ですが、出先では編集できないので、今仕事の行きかえりの電車でブログを書いています。

さて、この企画はEnsemble Salicusの4人で録音した40声のモテットに、アマチュアの方も歌を重ねていただいて一つの作品を作り上げるというものでしたが、特典して、希望者には30分オンラインレッスンをつけていました。

そこで50名の方がレッスンを受講してくださって、なんとなく合唱をやっているかたの発声の傾向がみえてきたので、ここにまとめておきたいと思います。

あと編集してる時も一人一人の声を最低一人につき30分は聞き続けているので、そこで分かったこともたくさんあります。

Ensemble Salicusと合わせて103トラックの記念写真↓

もちろん発声の傾向は百人百色なので、こういう一般化って結構危険です。

これらを自分だとは思わないでください。

そういう人が多いように櫻井といういち声楽家が感じた、というだけです。

何の意味もありません。マジで流し読みで十分です。


傾向その1「高音域プリングチェスト&低音域ライトチェスト」

これはつまり高音は叫んじゃうし低音はスカスカってことです。

女性も男性もこの傾向は一緒でした。

女性がこの傾向になる理由は私の中ではクリアーで、それはクラシックの合唱で使われる音域だと思っています。


女性の低音はなぜスカスカになりやすいのか

声明でも、インド古典声楽でも、イランの音楽でも、男性と女性の音域の差は約5度で、男性の最低音はD2、女性はその5度上のA2だと言われています。

それは声帯の長さの平均の男女比とも一致します。

ところがクラシックの場合、女性の音域って男性のオクターブ上なんです。

アルトはバスのだいたいオクターブ上、ソプラノはテノールのだいたいオクターブ上。

だからクラシックに慣れている歌い手の方に、じゃあ僕と同じ音で歌ってくださいというと、女性は何の迷いもなく僕のオクターブ上で歌い始めます。

あ、オクターブじゃなくて同じ音でお願いしますって言うと、「???」という顔をされる方も多いです。

女性にとっては、男性のオクターブ上の音が、「同じ音」という認識があります。

これがクラシック慣れてない方だと、同じ音で、というとほんとに同じ音で歌います。で、なんか低いですねえ?この音ですか?ってなります。

そういう方には、最初から私の方がオクターブ上で歌ったり、私のオクターブ上でお願いしますという必要があります。

育ってきた環境でそのくらい認識が違うんです。

私もクラシック以外の音楽をやっている人のレッスンを最初にしたとき驚きました。

というわけでクラシックの場合は女性は男性のオクターブ上っていうのが当たり前なんですが、これは先ほどの伝統音楽の例から考えても特殊なことで、生理的な自然からもズレがあります。

その結果男性は自分に与えられた音域のほとんどを地声で歌える(むしろ裏声で歌うのは困難)、女性は与えられた音域の多くを裏声でしか歌えないということになってしまった。

これも一般的には、という話ですが、女性の場合「歌の声」というのが「裏声」と結びついている人かなり多いんじゃないかと思います。クラシックの場合。

でこの「裏声」というのは「声帯薄め」ってことでくくってしまっていいのかどうかというのも微妙なところなのですが、少なくとも訓練を受けた声楽家はファルセットレジスタでは歌ってないと思うので、地声裏声をここではモーダルレジスタかファルセットレジスタかということではなく、その音域にしては薄めということで話を進めさせていただきます。

女性は書かれた音域の多くを裏声で歌うことになってしまったので、地声で出る音域も、音色をなるべく変えないように、できるだけ裏声で歌うということになった。

ブリッジは生理的には普通A-Cあたりと言われていますが、そのオクターブ下あたりまで頑張って裏声体感で歌っているのがクラシックでは普通です。

その結果低音域がスカスカになって、地声がないという人も多い。

しゃべり声も常に裏声。結構多いです。

以上が女性の低音域がライトチェストになる経緯として立てた私の仮説です。

クラシックの場合、裏声体感の声帯薄い声をブーストするためにフォルマント同調という技術を使います。

これは共鳴腔を広くとることで第1フォルマントを下げ、基音と一致させることで基音のエネルギーを増大させるテクニックなのですが、これをやると母音が曖昧になる上、混声合唱の場合、男性の音色との乖離が大きくなってしまって全然ブレンドしなくなります。

じゃあ男性もフォルマント同調で歌えばいいかというと、実はそれは物理的に不可能です。フォルマント同調は共鳴腔を広げることで第1フォルマントを下げるのですが、共鳴腔を広げるにも限界があって、男性の音域ではほとんど使えないのです。

なので別の方法で高音域をブーストしなければならないのですが、それがシンガーズフォルマントのブーストで、これは男性も女性も使えます。

シンガーズフォルマントというのは声に含まれる3000ヘルツ帯の倍音のことで、このあたりの倍音を強調すると、人間の耳に聞こえやすくなるといわれています。

そしてこのシンガーズフォルマントは喉頭蓋の狭めで作ることができることがわかっていています。


女性はなぜ高音域を叫んでしまいやすいのか

さて、では女性が高音域プリングチェスト、すなわち叫ぶ感じになってしまうのはなぜでしょう。

ちょっとこれなぜかわからないです。下の方がノーチェスト傾向ならそのまま上がっていって薄いままブリッジを越えられるのではないかと思うのですが、なぜかそうならずに、多くの場合喉頭が上がって仮声帯が接近してきて叫ぶ感じになっちゃう。

音の芯の作り方、エネルギーを無駄にせず倍音をブーストする方法がわからずに、声帯で頑張ろうとしちゃってるのかもしれません。


男性の場合

男性の場合も、女性同様高い方は叫んじゃって低い方はスカスカなことが多いのですが、女性の場合と原因は違います。

基本的に、音域が高くなってくると声帯を薄く引き伸ばしていかなければならないのですが、それが上手くできずに、下の発声のまま上に持ち上げてしまうことが多いです。

その際力みが出てしまって、高いほう叫ぶ感じになってしまいます。

おそらく男性の場合はその力みを引きずって、低い方が出なくなってしまっているのではないかと思います。

低い音域は声帯を引き延ばす筋肉も声帯を縮める筋肉も両方弛緩していかなければならないので、力みが残っていると低い方はうまく鳴らないんです。


まだまだ傾向は山のようにあって、対策までまだ書けていないのですが、あまりにも長くなってしまったので数回に分けようと思います。

ご興味のある方は次の記事をお待ちください。

第2回リモートアンサリ|終演

第2回リモートアンサリ|終演

昨日、第2回 “Remote” Ensemble Salicus Live 〈40声のモテット大発表スペシャル!〉が終演いたしました。

ご視聴くださいました皆様、誠にありがとうございました。

そしてタリスのモテットにご参加くださいました皆様、本当にご苦労様でした。

やってみないとわからないんですが、宅録ってほんと大変なんですよね。

何が大変って自分の下手さに正面から向き合わざるを得ないというところが一番大きいかと思うのですが、そこを乗り越えなければ得られないものがあります。そしてそういったある種のリスクを冒してまで、「合唱したい」という皆さんの熱量を感じました。

30分レッスンを希望者の方は受けれるようにしていて、50名の方のレッスンをしたのですが、ほとんど全員が、近ごろ歌ってないので自分の声が今どうなってるかわからない、という状況でした。

はじめましての方もかなり多かったのが印象的で、一気に50人分の合唱人のレッスンをするという機会も初めてだったので、私自身大変学びが大きかったです。

この学びを後日「合唱発声の一般的傾向と対策」というブログにしたためようと思います。

昨日の配信、やはりタリスのインパクトが強かったようで、前半にお聞かせした2曲の印象が薄くなってしまったようです。

6人でのグレゴリオ聖歌、パレストリーナ、アンコールのジョヴァンニ・ガブリエーリのモテットの音源を販売しています。

どれも本当にちからいっぱい作り上げた作品ですので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。(Tシャツはおかげさまで売れ行き好調でございます)

ここで得た収益をもとに、次回以降の企画の発展を考えています。

次回は8人でお届けできればと思っています。メンバーの録音環境を経費で賄わなければならないため、先立つものが必要です。どうぞよろしくお願いいたします。

同時視聴者数が400人を超えていて本当に驚きました。前回確か200人くらいだったはずなので。

演奏会でも400人は入らないのに(笑)

アーカイブは1週間限定で公開しますので、見逃した方はぜひご覧ください。

投げ銭も常時承っております。

ofuseの返信、欠かさずやってまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。(アカウント登録をされないと、返信はできないようです)

https://ofuse.me/users/salicuskammerchor


そして来週月曜日はカペラがカテドラルから無観客ライブを配信します。

今日もこれからリハーサルです。

こういう形の配信は初めてなので、とてもワクワクしています。

こちらもどうぞ応援よろしくお願いいたします。

https://www.facebook.com/events/743369583082081/

空前絶後のライブ配信

タリスのモテット、編集しています。

ようやく形が見えてきました。

本当に凄い作業でした。多分私が今までやった仕事の中で一番きつかった。

卒論よりも修論よりも大変でした。

参加者の録音をパソコン上で編集していくという作業、音程もタイミングもなんなら音色でさえ編集できるのですが、全部手作業なんですよね。結局耳で聞きながら一つ一つ修正していく作業。

AIにやらせれば似たようなことはできるんだろうけど、でも同じようにはできないと思うのは、価値観を数値化できないということと、やってるうちに価値観が変わっていくし、偶然起こった事故とかをうまく利用してみたり、時々見落としたり、そういうことが結局人間らしいものを作っていくのではないかと思います。

それで思い出すのは先日藤井聡太が棋聖戦だったっけ?AIが6億手読んだところで突如として最善手として弾きだす31銀という手を20分で指したという話。

これすごいのは藤井聡太は20分で6億手読んだわけじゃないってとこです。

AIが6億手読まなければわからないことが藤井聡太は6億手読まなくてもわかるんです。

直感精読という加藤一二三九段が揮毫に書かれる言葉がありまして、これただの直感でもない。こういう手もありそうだなって浮かんだ手を読んでいくわけですが、AIのようにしらみつぶしに読んでいくわけではなく、直感で浮かんだ手を中心に読んでいくんです。

でまあ何が言いたいかというと、録音の編集もこれに似ているなということです。

聴いて、直感的にああこうしたほうがいいなってことを中心に検討していくんですね。

直感だけでもないし、何から何まで修正してしまうわけでわない。

非常に総合力の問われる作業です。

まあ一番問われるのは精神力と忍耐と根気なんですけどね(笑)

7月9日どうぞお楽しみに。

きっとすごいものができます。

第2回 “Remote” Ensemble Salicus Live
〈40声のモテット大発表スペシャル!〉

日時:7月9日(木)20時-21時

曲目:
●グレゴリオ聖歌「主の昇天の祝日のミサ固有唱」より奉納唱「ガリラヤの人々よ」
●ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ「教皇マルチェルスのミサ」より「サンクトゥス」
●トマス・タリス「あなた以外に希望を持ちません」

出演:Ensemble Salicus

鏑木綾 渡辺研一郎 佐藤拓 富本泰成 櫻井元希 谷本喜基

Salicus KammerchorのYou Tubeチャンネルでのライブ配信です。
この機会にぜひチャンネル登録を!!
https://www.youtube.com/channel/UCeWlQtnOnETy6Q2uZUVq4jA


今日はカテドラルに行ってました。

7月13日、カペラがカテドラルで無観客ライブ配信を行います。

今日はそのリハだったのですが、いつものようにクワイヤブックで歌えるはずもなく、ソシアルなディス箪笥を保ったまま歌います。

今まで考えたこともなかったような新しい演奏スタイル。

楽しみです。

ところで今回演奏するミサ〈パンジェ・リングワ〉はもととなった聖歌の影響で全曲にわたってミ・ファが強調されるミサです。

今日ふとこのミ・ファというシラブル、実によくできているなあと思いました。

階名で出てくるシ(ティ)や半音上昇の変化音もこのミに倣ってディとかフィのように母音がイ母音なんですね。

ヘクサコルドが使われていた時代はこの6音の音階組織ドレミファソラの中に半音は1か所しかなく、しかも母音がイなのがミだけなので、非常にわかりやすいんですね。

ミは固い音、ファは柔らかい音というような言い方をしますが、これはもうシラブルそのものに現れている。

前舌狭母音の緊張感のある倍音構成の母音と鼻音の組み合わせ。

そこからfaという広母音と無声摩擦子音という母音自体が薄くなりやすい子音を組み合わせる完ぺきさ。

ミの緊張感というのは、蝉の鳴き声を思い浮かべていただくとわかりやすいかと思います。

ミーンミンミンミンミン、ミーンミンミンミンミン、ミーンミンミンミンミン

もう勘弁してくれえって思いますよね。

これが、

ミーンミンミンミンふぁ~~~

とかだったらなんと見事な緊張と緩和!とか思うのでしょうか。

ほんとこのシラブルを考えた人凄い。天才。

というミファの印象的なミサです。

皆様ぜひ配信ご覧になってくださいね。

https://www.facebook.com/events/743369583082081/