刺激的な日々|ノイズボイス・カラオケに参加してきました

刺激的な日々|ノイズボイス・カラオケに参加してきました

8月3日に柳生田さんのリサイタル助演、5日にデュファイ祭出演と本番が続いたあと、一昨日7日には徳久ウィリアムさん主催のノイズボイス・カラオケに参加してきました。


ノイズボイス・カラオケ

実に刺激的でした。徳久さんの主催されるイベントはいつも刺激的です。

これまで、アガリアム合唱団(現コエダイr合唱団)主催のワークショップに講師として参加した他、同合唱団のワークショップ、「インド古典声楽」と「ブルガリアン・ヴォイス」に参加させていただきました。

インド古典声楽では「笛は吹くのではなく磨く」や「音程の移動は円運動」「歌用の声などない」など、私の音楽実践の中でも常に引用させていただいていますし、ブルガリアン・ヴォイスで印象的だったのは、「言葉、フシ、コブシ、ときてその次が声」ということで、やはり民族音楽においても大事なことは一緒なのだなあと再確認しました。

そしてアガリアム合唱団には一度歌い手として参加させていただいたこともありまして、その時に書いた記事がこのブログのアクセス数一位です笑

魅惑のカルグラ地獄

うーむ今聞いてもこの時の録音凄い。

今回のイベント(ワークショップ)は、このアガリアム合唱団でも見事なカルグラを披露しているあいさんと徳久さんがフェイスブックのライブ動画で配信してて、あまりに楽しそうだったので参加することにしました。

これを見て楽しそうだと思うところからがスタートですよ!皆さん!笑


声楽の最先端としてのノイズボイス

そもそもノイズボイスってなんぞやって方も多いと思うので、少しだけ説明します。

現代音楽の分野でノイズミュージック(wiki)ってありますよね。それを声でやります。

都市の民族音楽を標榜する徳久さんの考えでは、民族音楽というのは環境から生まれる。それが歌われる必然性がある。私達にとっての環境、都市の環境から生まれ、歌われる必然性のある音楽とは何か。そういう流れから生まれて来たのがノイズボイスだと私は理解しています。

私は普段古楽という今から400−1000年位前に作られ、歌われた音楽を実践していますが、同時に現代に生きる自分が現代を生きる皆さんとともに現代においてそれを実践するとはどういうことかということを模索しています。

簡単に言うと、1000年前に作られた音楽も、1000年前には現代音楽だったのです。それをリアルに実践するためには、それを古いものとして扱うわけにはいかないのです。

「歌の生まれる必然」を実感するためには、歌の生まれる現場に立ち会うのが一番カンタンです。

そういうわけで私も現代音楽を演奏することがありますが、このノイズボイスというジャンルは、声楽の最も最先端とも言えるのではないでしょうか。

ノイズボイスのソロで徳久さんの素晴らしいパフォーマンスはこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=Qz6dYvD1fNs&t=1154s


即興について

さらにこのノイズボイス、見ての通り即興です。今回のワークショップでも伺いましたが、何かやろうとしているというよりは「降りてくる感じ」なのだそうです。

グレゴリオ聖歌の伝説として、教皇グレゴリウス一世が聖霊(鳩)の声を聞いてできたものであるというのがありますが、近いものがある、というかそれそのものなんではないかなと思います。

自分で作ったんじゃなくて、自分ではないナニかからもたらされるものだということですね。

私達クラシックの業界の人は99%誰かが書いた曲を演奏します。今より前に、誰かが作った曲を演奏するんですね。でもね、私この「誰かが作った」ってのも嘘だと思うんですよ。その誰かも、自分ではないナニかからもたらされた音楽を書き留めているに過ぎない。

それで私の考えでは、そのナニか、というのは曲を作る人ごとに違うのではなくて、全人類、全世代共通なんです。

誰の肩にもグレゴリウス一世の肩にとまった鳩と同じ鳩がいて、その声を聞くのか聞かないのか、またどう聞くのか、というのはその人次第。

つまり受け取り方ひとつ。作曲家、あるいは即興演奏家というフィルターを通すことで一見全く別のものに見えるけれど、その根源は同じ、音楽はひとつなんだと思うんです。

で、それ以外のものは音楽とは呼ばない。私はそういうように音楽を定義しています。

この言い方でいうと、世の中には、音楽のようでいて、音楽でないものが溢れているということになってしまいますが。

というわけでですね、よりダイレクトに作曲家の見た景色に近づくためにはですね、自分も曲を作るかあるいは即興するかだと思うんです。

それもこのノイズボイスの企画に興味を持った動機のひとつです。


アンサンブルについて

さらにもう一つ、このところ考えていたのはアンサンブルについてで、前回のブログで最後に書いた、「シャーマンは孤独だ」というのは実はアンサンブルは本当に音楽的にあれるのか、という話題の中で叔母から出た言葉なのです。

叔母(桜井真樹子)も作曲するし、即興もする人なのですが、二人以上で即興するときの難しさ、限界を感じていて、もはやアンサンブルやんなくていいのではという境地に達しているそうです。

私は普段ほぼいつも、常にアンサンブルをやっています。全く一人で何かするということは記憶の限り100%ありません。

アンサンブルで音楽ができないとなると、私の活動はゼロになってしまいます笑

ノイズボイスに関しても、一人でもできますが、複数人でも出来ます。

以下に徳久さんと、素晴らしいパフォーマーの風人さんの動画を貼っておきます。2’20あたりから二人のノイズボイスデュオとなります。

https://www.youtube.com/watch?v=IFjcLLZ-6PA

ノイズボイス・カラオケのいいところは、ずーっときっかけが鳴り続けているところです。

ある意味カラオケの音源とのアンサンブルなんですね。音を感じながらそれに影響されつつ表現出来るというところで、初心者にも即興がやりやすい。そしてアンサンブルについても考えるきっかけがもらえる。

そう思ったんです。


いざ実践!

ワークショップでは初めに、徳久さんから惜しげもなくノイズボイスのテクニックについて教えていただきました。

徳久さんの音のパレットを覗いているようで楽しかったです。

それまで全くどうやってるのかわからなかった音も、レクチャーを聞いたあとだと大体7割位はわかります(それでも全くわからない音もあります)。

あと今回凄く面白かったのは、ノイズボイスってマイク1本でやるんですけど、つまりほとんどエフェクトかけないということなんですが、このマイクの使い方一つでできることの幅がめちゃめちゃ拡がるんですね。

それはもう感動しました。マイク一本でこれだけのことができるのか!と思いました。

普段マイク使わない上に、使うとしても、ノイズが乗らないようとか、ハウらないように使うじゃないですか。それがむしろノイズボイスではノイズを乗せるように、ハウったらハウったでそれを利用するんですって。んーー今までに全く無かった発想だ・・・。

ひとまずどんな音が出るのか試してみました。

これは、、、面白い、、、。

特にインヘイル(吸い)の可能性が凄い。普段吸って音を出すことがないので、吸ったほうが非日常の音が出ますね。

吐くと逆に普通の声になっちゃいそうで難しい。

で、これは音ですね。

今度はカラオケ音源の助けを借りながら即興やってみました。

曲は一青窈の「もらい泣き」

恥ずかしいので最後のサビのところだけ切り取りました。

どうでしょうか。これ見て皆さん何を感じられるでしょうか。

(ほとんどの方は嫌悪感を持たれるだけなんだろうなあ、変な人、のレッテル張りで終わりなんだろうなあ、辛いなあ)

凄く怖いような気もしますが、というのは結構私の本性が現れているようで、ざわざわします。

他の参加者の方の声も聞いていて、凄く思ったのは、これ、もんの凄く個性がでます。その人がどんな人なのかわかります。

あー、この人こういうこと考えながら生きてるんだなってのが、ビシビシ感じられます。これもワークショップの効果ですね。一人でやっていたら気づけなかったことだと思います。

でも動画だとそうでもないかな・・これやっぱりアイフォンの限界で、音の自動調整が凄いですよね。声のないところでは音源が際立って、声の大きいところは音源が全然聞こえなくなってますが、生で聞くとそんなことは起こりません。

だから判断難しいかもな。

私がやるとどうしても人間味が出ちゃって、そういう意味ではノイズボイスの理想とはかけ離れているかもしれません。

あとこれもやってみないとわかりませんが、曲を無視しているようで、めちゃくちゃ影響されます。

「もらい泣き」だからこういう感じになったんだと思います。

そしてせっかくなので、徳久さんとデュオもやらせてもらいました。アンサンブルに対する疑問は結構解決したように思います。まだ文章にするところまで消化出来ていませんが、そのうちかければと思います。

一つ言えるのは、アンサンブルはソロより難しい。ということです。アタリマエーーーー!笑

「気」が分散して、音楽に近づくのがより難しくなる。けどできないわけじゃない。ただしそれを可能にするには多様で物凄く精度の高いテクニックが必要。という感じでしょうか。

他の参加者の方のデュオも聞かせていただいて、やっぱりアンサンブル面白いなあと思いました。

影響を与えあって、一人ではできない表現が勝手に出てくる、そう見えました。

そんなわけで、合唱もやりたかったのですが、普通のカラオケでマイクを3本以上つなぐのは難しそうなので諦めました。

マイク無しで最後We are the worldをみんなで歌いましたが、やはりマイクがないと出来ることが3分の1くらいになりますね。

大勢でやるにはスタジオ行くしかないか。


最後に、皆さん心配されてるかと思いますが、適切な指導者がいれば、喉の健康は保たれます。

逆に言うと、指導者がいないところでこれをやるのはかなり危険です。

指導者がいても、ノーダメージというわけにはいきません。やっぱりちょっとは炎症起きます。

ただし喉の炎症よりも肉体疲労の方がえげつないです。

翌日睡眠時間を確保できるかどうか確かめてからやるべきだと思います。

特に、私の場合肋間筋が結構ヤラれました。鼻をすすったときに痛いので、息を吸う時の筋肉(外肋間筋)の方だと思います。

負荷かけながら全力で息吸うってことやらないですからね。普段。

逆にこういった普段使わない筋肉を使うことで、普段の歌がどう変わっていくのか、いかないのか、興味津々です。

今回このワークショップに参加して、普段の生活では得ることの出来ない非日常、心、頭、体に多大なる刺激を受けることが出来ました。

講師の徳久さんに改めて感謝したいと思います。

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Salicus Kammerchor

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次回はEnsemble Salicusの演奏会です!

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八咫烏×八重桜×柳嶋耕太終演→イケダギャラリー東京「小池隆英展」

ベランダのプランターに思いつきで植えたマンゴーの種から芽が出ました。

311以来何も植えてなくて荒れ放題だったプランターに異国情緒あふれる芽が出てきてテンションが上りました。


一昨日は実に刺激的な一日でした。

まず昼間は八咫烏×八重桜×柳嶋耕太のジョイントコンサートでした。

ご来場下さいました皆様、誠にありがとうございました。

今回初めてトップテナーということでプレッシャーも大きかったのですが、相方がトミーなので安心でした。声の区別がつかないくらいブレンドしていたというお客様からのお言葉をいただけてホッとしています。

八咫烏のステージは、個人的にはあの5倍位ハジけたいと思っていましたが、そこのところは今後の課題といたしまして、精進いたします。

合同ステージは本番が一番良かったと思います。柳嶋さんの指揮に導かれて音楽が引き出されていました。ただ指揮者と歌い手の関係が普通の合唱団とのそれに近く、私個人としては、アンサンブル的に一人ひとりの音楽がバチバチぶつかりあうような音楽がしたかったかなと、反省しております。つまりそれまでのステージに比べ、歌い手が受け身になりがちだったのではないかと。これも今後の課題としたいと思います。

とは言うものの八咫烏も八重桜も毎回演奏会ごとに成長を感じられます。確実に毎回、前回よりもステップアップしていっていると実感できます。中で歌っていてそう思います。

アンサンブルのレベルアップは個人のスキルアップにかかっている部分が大きいので、今後より一層努力をしていきたいと決意を新たにいたしました。

今回も平舘平さんが素敵な写真をたくさん撮ってくださいました。

私の足の曲がり方が気持ち悪い・・・笑


演奏会の打ち上げを1時間で切り上げて(すごい勢いで食べた)大井競馬場前駅近くのイケダギャラリー東京で行われたブルードレスプレゼンツのイベントに行きました。

ブルードレス→http://www.bluesdress.com/

たまたま本番の日と重なってしまって、泣く泣く打ち上げを切り上げたのですが、それを補って余りある刺激的なイベントでした。

小池隆英さんという抽象画の方をイケダギャラリーは以前よりかなり力を入れて紹介されているようで、今回はその旧作、近作を集めた展覧会でした。

そして作家さんご本人をお招きして、自ら作品についてお話しいただくという滅多にない機会で、大変興味深いお話が聞けました。

この感覚は現代音楽のリハーサルで、作曲家をお招きしてお話を伺うという感覚に近かったです。そういうときも思うのですが、普段古楽をやっている身からすると本当に贅沢なことで、いわばジョスカンやバッハに、これってどういうこと?とか聞けるということなので、ほんと最高です。

ただ作品を見ているだけでは絶対にわからない、作品のおもしろさや、何を考えながら描き進めていったかなどのお話を聞けたのですが、お話を伺いながら、例えば演奏会プログラムの解説やMC、ブログやなんかで音楽の情報を発信するということについても考えさせられるものがありました。

人間ってほんと単純なもので「ここはこうやりました。こういうことです」と言われると、ほんとにそういうふうに受け取ってしまうんですよね。

初めに10分くらいざっと作品を見させていただいてから、解説のコーナーになったのですが、解説を聞いてからもう一度同じ絵を見ると、まったく違うように見えてしまうのです。

これは「良し悪し」だな。と思いました。

こういう技法で、こういうことをやってみようと思って描きました。と言われると、相当意識していても、「そこ」を見てしまうんです。

それで、なんかわかった気になっちゃう。

でもそれって作品のほんの一側面であって、言葉に出来ない精神的な世界の広がりを矮小化してしまいかねないな。と。

大体より核心的なことって、言葉には出来ないところにあるのだから。

逆に解説を聞くことで、「うわーそんなことになってるんだ!面白い!」って思ってそこから作品を見る目が変わったり、それまでの自分にはなかった価値観に触れられたり、素晴らしい面ももちろんあって。

核心的なことって、言葉の意味そのものからよりも、それを話している人から出るなにがしかのエネルギーから感じ取るものなんですよね。だから解説を聞いている方も、言葉の意味内容そのものを聞くということもさることながら、同時にその人から溢れ出る、滲み出すそのなにがしかを感じ取ろうとしなきゃいけない。

むしろそっちのほうが大事。話の内容は実は二の次だったりする。極端な話、「あー」とか「うー」でもいいんです。「この作品はですね、うーー、あーーー、えーー」「ありがとうございます。伝わりました」でいいのです。

言葉を発する方としては、何を言うにしても、その言葉からに滲み出るなにがしかを感じてもらえるような喋り方をしなければ、言葉の内容がどんなに正しくても、聞き手に核心的なことを伝えることはできないのだと思いました。

それって書き言葉でももちろんあって、僕が一番それを感じたのはこのブログでもなんども紹介している、古東哲明先生の本です。

最初読んだときは、はっきり言って半分も意味わかりませんでした。でもね、物凄く感動したんです。これは凄い。なんだかよくわからんが凄い。絶対凄い。この人の言ってることがわかるようになりたい!そう思ったんですね。

もうそれはそれは凄いですよ。文章から出てくるエネルギーたるや。それまで感じたことのないエネルギー量でした。

というわけで、そんな文章が書けるようにならなければ、いつまでたっても発信するものが「情報」で終ってしまう。

そんな文章が書けるようになりたいと思います。(これを読んでくださっている皆様にはどれだけ伝わっているでしょうか)

MCなんかもそうで、予め内容を決めて、それを喋ったほうが絶対わかりやすいし、評判もいいんですが、情報量は少なくとも、そのなにがしかが伝わるようなやり方のほうがいいのではないかと思うようになりました。しかし、本当に難しいです。つまんないって思ってそもそも聞くのをやめてしまうような話でもいかんし。


個人的に小池さんに質問することも出来たので、ちょっと思い切って失礼なことを聞いてみました。

「小池さんの一番の武器ってなんですか?」

失礼ですよね笑。わかってます。

小池さんは「色」に執着があって、どちらかというとそれに対しては苦手意識を持っていたし、今も持っているそうです。しかもそこにこだわりを持っていてもにわかには評価されない。まず線とか、形とか、デッサン力的なところが評価の対象になるので、色なんかこだわってても評価されない。でもだからこそそこにこだわっている人がいなかったのだそうです。自分はそこにこだわり続けたことが武器になっているのではないか。そういうお話が聞けました。

凄くよくわかります。なんか色んな人をディスりまくることになりそうなのであまり詳しくは語れませんが、芸大在学当時、やはり評価されるのは「声の大きい人」でした。というかまずそこをクリアしないと評価の対象にさえ入らない。そういう感じでした。だから、どんなに繊細に言葉の抑揚、旋律の息遣い、音楽のカラーや雰囲気などに強いこだわりがあっても、それが評価はされることはないんですね。

非常に重なる部分がありました。

小池さんにはあと2つ質問したいことがあったのですが残念ながら今回は時間切れ。またの機会があるかどうかわかりませんが、温めておきたいと思います。


今回主な参加者はブルードレスの顧客だったのですが、櫻井家の最先端アンダーグラウンダーである叔母をぜひ長坂さんに紹介したくて、妻と3人で参加させていただきました。

叔母と話しているとほんと話題が尽きないので(このコミュ障の私が)いつも蕨駅まだ話が終わらずにさようならになります。

昨日も、抽象画は即興に似てる、グレゴリオ聖歌の即興性という話から、結局「シャーマンは孤独だ」というところで駅についてしまったので(謎)、この話題は次回に持ち越しになりました。

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豊島さん棋聖獲得おめでとう!→八咫烏&八重桜

いやー。羽生さん負けちゃいましたね。

またもタイトル通算100期おあずけ。

タイトルも竜王だけになってしまいました。

しかし今日も凄い手が見られましたね。4七角打。これからめっちゃ研究されるんだろうな。というかもうされてるんだろうな。

あそこで持たれた角もさぞ驚いたに違いない。「えっ?!俺っすか?!隣の歩と間違えてへん?!」とか言ってたことでしょう。

2勝2敗で、通算100期のかかったタイトル戦の決着局でこういう手を指せるところが、羽生の羽生たる所以なのだと。物凄いメッセージのある手でしたね。

羽生さん、なぜそんな誰にも指せないような手を指せるのかと聞かれた時に「ぼくは、これで行けるというハードルが他の人より低いんだと思います」的なことを仰ったそうです。

また「怖いものはなんですか?」との問いには「常識」と。

これが羽生っすよ。目先の勝負に囚われてないんですよね。

加藤一二三九段が、「ぼくは相手のことが気になったことは一度もない」と言ってましたが、やはり通じるものがあるように思います。

彼らには「将棋」しか見えていない。


さあ豊島新棋聖と羽生竜王に非常に力をもらいまして、今週末は楽しみにしているコンサートに出演します。

昨日単独ステージの最終リハーサルを(21:30まで笑)やりましたが、また一皮むけた演奏ができそうです。

昨日初めて気づいたのですが、今回単独ステージで歌う5曲は、なんと全部スイング系の曲でした笑

全く意図していなかったのですが、更に5曲全部違う言語です。

英語、スウェーデン語、フランス語、ドイツ語、日本語です。

5ヶ国語で5曲、それも全部スイングしてるって相当面白くないですか?笑

そのどちらも選曲コンセプトでないというところがなお面白い。

選曲コンセプトは何かと言うと「大騒ぎ」です笑

ジョイントで1ステージを選曲するにあたって、あらためて八咫烏の持ち味、魅力ってなんだろうと考えた末の結果がこれです。

みんなはしゃいだ性格してるので笑

その結果みんなスイング系の曲、というのは、飲めや歌えのときにスイングは必須なんでしょうかね。

興味深いです。


そして合同ステージでは、以前サリクス通信に記事をお願いした、柳嶋耕太さんに指揮をお願いして、(ほぼ)近代ドイツもののプログラムを演奏します。

マーラー(って打つと麻辣って変換するのやめてくれ)、エルガー、レーガー、リゲティです。

凄くいい曲なんですけど、やっぱりこのあたりのものは歌っていてひじょーに体力を消耗します。

特に今回は15人で8声なので、なおさらです。

音楽自体の流れとそれぞれのパートのフレーズが一致していて(ようはホモフォニックで)そのフレーズが長ーいんですよね。

あとは8声もあるのに、同時に鳴っている音が多いもんだから休符が少ないという特徴もありますね。

私はJ. S. バッハ以前の音楽が専門なので、自分のレパートリーとどうしても比べてしまうのですが、近代ドイツってこういう特徴があるのだなと思いました。

例えばルネサンスのポリフォニーって音楽のフレーズはかなり長いものも多いですが、各パートにそれが分散されているので、それぞれのフレーズはそれほど長くないんです。あるいはフレーズは長くともモチーフに分解するとそれほど長くない(テノールが定旋律の場合はまた別ですが)。

そんなことを思いながらリハを重ねています。合同ステージのリハはあと1回残ってるので、より深めていきたいです。

なかなか演奏機会の少ない曲を、なかなかない演奏で聴けるチャンスだと思います。

我が事ながら、1回しか公演がないのがもったいないなあと思っています。

この機会に是非!

 

 

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金沢青児テノールリサイタル|拝聴して参りました

昨日、青児さんのリサイタル聴きに行ってきました。

いやあ近年稀に見るすばらしい演奏会でした。

何から何まですばらしい。

ものすごく時間をかけて準備されたのだと思います。脱帽です。


まずプログラムが素晴らしかった。

まずバロックの作曲家の作品をブリテンがリアライズ、あるいは編曲した、「《ハルモニア・サクラ》から5つの歌」

もとは通奏低音と歌という編成なのでしょうが、ハープ用に編曲されていて新鮮でした。

そしてここからカンティクルが5曲連続するのですが、これまさかブリテンは一夜にして演奏することは想定してないですよね・・・。

全部で2時間を超すプログラムで青児さん歌いっぱなし。編成もバラバラだし、普通は連続して演奏するものではないのだと思います。

演奏する方としてはものすごく大変だと思いますが、しかし聴く方としては素晴らしいプログラムでした。

変化に富んでいて聞き飽きないし、休憩入れるところまで含めて完璧というか、素晴らしい並びでした。

カンティクル1番はテノールとピアノという編成、

2番はアルトとテノールのデュエットとピアノ、

3番はホルン、テノール、ピアノ、

4番はカウンターとテノールとバリトンとピアノ、

5番はテノールとハープ。

一つとして同じ編成のものがない。5番はブリテンが病気によってピアノが弾けなくなったためにハープのための作品となったそうです。

最後にミニマルな編成に戻って、しかも最初に演奏したハルモニア・サクラと同じ編成ということで、見事なダ・カーポ感。

アンコール的な風情もあって非常に演奏会がしまりました。

カンティクル3番は後に朗読も含めたより大規模な作品「問題の核心」として改定され、今回そのバーションで演奏されたのですが、これは日本初演ということでした。

ピアノ、ホルン、テノールの演奏に朗読が加わって、なんとも不思議に説得力のある上演でした。

そしてこのホルンを担当したのは広島大学時代の後輩近藤圭くん。ものすごく難しそうなパッセージに挑んでいました。ホルンってほんとなんでもできるけど、なにをするにも非常に困難を伴う楽器って感じで、そういう意味でもハイリスクハイリターンなテノールとの相性というか、ひりひり感が楽しめました。

時系列じゃなくてすみません。

2番はカウンターの武川くんが加わった二重唱でしたが、これは出色の出来でした。武川くん芸大ではテノールだったそうですが、ほんとそんじょそこらのカウンターじゃあ足元にも及ばないくらい凄いです。ぶったまげました。

いい意味でカウンターらしくないというか、フォルマント同調ほとんど使わないし、閉鎖のコントロールも自在だし、もともとテノールということもあってトゥワングが効いてて素晴らしい倍音でした。

だからこそテノールとの二重唱のブレンド具合が半端ない。ユニゾンもほんとに美しかった。

4番はバリトンの春日さんも加わって三重唱、テーマが東方の三博士のイエス来訪ということで、3人の男性歌手が配役されていました。春日さんが出演なさったのはこの曲のみ。なんという贅沢な使い方笑

春日さんってもうほんとなんでもできちゃうオールマイティープレイヤーというか、こういうのを実力って言うんだろうなって感じ。

そしてこの4番のピアノパートに、アンティフォナ“Magi videntes stellam”の旋律が使用されているということで、カンティクル4番の演奏に先立って、このグレゴリオ聖歌を舞台袖から演奏されました。

この部分のレクチャーを私やらせていただいたのですが、ものの40秒くらいのこの聖歌のために、1時間を2回、レクチャーに伺いました。40秒に2時間ですよ。それも青児さんだったら結構散々サリクスとかでグレゴリオ聖歌歌ってるから自分でもリハーサル出来たであろうというところをわざわざわたくしを呼んでくださって、この労力とかけた時間たるや、脱帽です。

この部分だけでこの調子ですから、他の曲にかけた労力と時間は推して知るべしでございます。

本当にお疲れ様でした。


そしてこのリサイタルのためになんと三ヶ尻正さんが発音指導、対訳制作に加えなんと字幕提供(プロジェクターとスクリーン自前)、更に字幕操作までやられていました。

何という贅沢なバックアップ体制。そして三ヶ尻さんの愛とバイタリティ。

脱帽。

何個帽子かぶっててもかぶり足りないくらい脱帽です。もう4・5個帽子脱ぎました。

 

三ヶ尻さん、私と並んでチラシの片隅に・・・。

素晴らしい演奏会でした。この劇団で全国巡業して欲しいくらい素晴らしかった。

皆様お疲れ様でした!万雷の拍手喝采を!!!

 

 

やりたいこと

今日から8月5日の第3回デュファイ祭のためのリハーサルがはじまりました。

カペラとして出演します。

デュファイめっちゃ面白いです。とんでもなく複雑で変化に富んでいて、時に相当トリッキーで意外性あってスリリングです。

なかなかまとまって演奏する機会というのもないので今回とても楽しみです。

超どうでもいいですが、今日生まれて初めて楽譜に丼(どんぶり)を発見したので御覧ください。

見てくださいどう見ても丼(どんぶり)。


今回私は基本的にはバスを歌いますが、バランスの関係でコントラテノール(アルト)も歌います。

あんまり普通のことではないかもしれませんが、自分としてはいろんなパートが歌えるようになりたいなあと思っているので、そういう意味でも楽しみです。

あ、それより圧倒的に凄いのは7月21日の八重桜×八咫烏のコンサートでトミーがやる、女声合唱のアルトと男声合唱のトップテナーと混声合唱のアルトとテナーを歌うってやつですね。八面六臂とはこのことか・・・。

私は男声合唱でトミーと一緒にトップ歌うのでぜひ聞きに来てくださいねーー。

チケットひょっとしたら売り切れちゃうかもしれないのでお早めにご予約ください。


最近加藤一二三先生の「鬼才伝説」を読んでるのですが(そのうち読書感想文書きます)、本当に凄いです。まえがきから鳥肌が止まりません。

全人類、全人類史上彼しか経験のしていないことがあって、そういう人の文章は実に力強く美しい。

彼の残した数々の記録の中でも、公式戦2505対局、1180敗は特に未来永劫破られることのない記録なのではないかと言われています。

14歳でプロデビューして(藤井聡太に破られるまで半世紀以上最年少記録を保持)以来77歳で引退するまで不戦敗が一つもないそうです。鉄人ですよ。63年間一度もですよ。

普通の人から見ればただの変人なのかもしれないけど、道を極めようと一心不乱な姿勢というのはもう、人の心を打ちますよ。

というわけで私がネクタイをちょーっと長めにしてるのはひふみんリスペクトってことですので笑


最近思うんですけど、世界中の誰もできないorやったことがないってのは、自分ができないorやらない理由にはならないんですよね。

音楽で言えば、だれも音楽の真髄、本当の音楽、音楽そのものにはたどり着いたことがないし、そんなことは不可能なのだからといって、それを求めないという理由にはならないんです。

将棋もそうで、天文学的な手のバリエーションを前に人間は全てを読むことはできないんですって。将棋を指すことは宇宙の真理へ至る道を追求することだと。

私達のやっていることとよく似ています。

誰もできないこと、やったことのないことを追い求めるのが私達のやってることなんですよね。

三十路にもなって何夢みたいなこと言ってんだって笑われそうですけど、(”But I’m not the only one”)現状維持の向上心のない年寄りにはなりたくねえなって思います。

「ネウマ的にJ. S. バッハを歌うという」のもその一つですが、最近は「バーバーショップのアンサンブルクォリティでポリフォニーを歌う」ってのを思ってます。

バーバーショップカルテットって、世界で最もアンサンブルに対して厳しい耳をもったジャンルなんじゃないかなと思います。

そういうクォリティでポリフォニー聴けたら最高だろうな。デュファイとかね。

Ensemble Salicusでは、グレゴリオ聖歌ももちろんだけど、そういうところも目指していきたいです。

こういうのあったらいいなあってのが世の中に無いんだったら、自分でやるしかないですよね。ワクワクします。

昔声楽の先生に、「君にできるかどうかわからないけど、僕にもできなかった」という最高に誠実で、体の奥底から熱いものが湧き出てくる素晴らしい御言葉をいただいたことがありました。

逆に言うと「僕にはできないけど、君にはできるかもしれない」ってことも言えますよね。

しかしまあ「僕にできないから君にできるわけない」と思ってる人の方が多いように思います。

そんなやつおらへんやろ、ちっちきちーってやつですね。

自分のモノサシで他人を計るのやめて欲しいですよね。

ホント。

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