Ensemble Salicus第3回演奏会

Ensemble Salicus第3回演奏会

常日頃から、「いい音楽家の条件の第1番目は暇であることである」と言っている私ですが、今の私はいい音楽家ではありません。

10月からやばい忙しいです。クソです。クソ音楽家です。

ブログの更新も滞っておりました。

この間セアダスでライブをしたり


アラミレの演奏会があったり

コエダイのWSをやったり


京都でもWSやったり


トムウェイシのライブをしたり


富士山でレクイエムを歌ったり


長野でWSをやったり


オケゲムのレクイエムを歌ったり


エレウシスの公開WSをやったり

しておりましたが、今週末はEnsemble Salicusです!


没後400周年の記念の年に3声のミサを3人でやるなんて、これを聴かない手はないと思うのですが、なんとまだ出演者の5倍のチケットしか売れておりません(掛け算してね)

OVPP(1人1声)で3声(しかもクワイヤブックで演奏)というのはある意味ではスリリングだけれども、自由度が非常に高いので、ならではの演奏ができると思います。

こういう演奏はこの人たちしかできないねっていう演奏をしますのでぜひ皆様お越しください。

何卒!

何卒!!

https://tiget.net/events/264218

「旋法とヘクサコルド」ワークショップ

著者の予想を遥かに上回る反響を頂いております教本「旋法とヘクサコルド」ですが、この本を使用したワークショップの日程が決まりました。

各回数名お申し込みいただけます。

約80名で予定調整をした結果、第1回を9回に分けて開催することとなりました。

いずれも内容は同じ【第1回】ですので、ご都合の良い日程を選んでご参加いただければと思います。

ベーシックコース
8/27(日)14-17時 
8/28(月)18:30-21:30 
9/3(日)14-17時 
9/7(木)18:30-21:30 
9/10(日)14-17時 
9/12(火)18:30-21:30

アドヴァンスコース
8/28(月)14-17時 
8/31(木)18-21時 
9/2(土)18-21時

関東講座お申し込み↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSesWlDzbuyYFQ44zzTcYQnzdnmDrxID-PFWAcO1-l2P4PwDoQ/viewform

関西でも9/16(土)に講座を行います。
関西講座についてはこちらからお申し込みください↓
https://7houdou.com/230718/

また長野でもお声がけいただいております。

こちらはまた決まり次第情報をアップしていきます。

「旋法とヘクサコルド」教本事前予約開始

いよいよ教本が完成します!

これさえやればあなたも旋法とヘクサコルドマスターになれる!

産業革命以前の音楽を演奏する方の必携の書となると自負しております!

序文はこちらで読めます→https://bit.ly/3lVSQRd

完全自主制作のため、事前に印刷部数をある程度把握したく、事前予約をすることにいたしました。

事前予約は7月15日で一旦募集を締め切り、部数を決定の後、印刷を発注します。

皆様のお手元には7月末にはお届けできるはずです。

教本だけでも買えますが、ワークショップとセットでお安くすることにしました。

自分だけでも練習できるけれど、より効果的に効率的に身につけるためには、櫻井のワークショップを一度は受けておくといいかと思います。

その後は自主練でがんばるというのもいいし、継続的にワークショップは行おうと思っているので、5回セット券もご用意いたしました。

頭でわかるというよりは、「型」みたいなもので、身体に経験させていって、その経験が身体に勝手に歌を歌わせる、という類のものなので、ワークショップ継続受講はおすすめです。

この本が完成した2023年は古楽元年だ!と豪語するくらい気合いが入った教本です。

ぜひお求めください!

教本のみのお申し込み→https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfDBQIjLixXTHLk15M7Vjb4PNbhSPOPPH29U9xtFA-FFTnpcw/viewform

ワークショップとセットのお申し込み→https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSesWlDzbuyYFQ44zzTcYQnzdnmDrxID-PFWAcO1-l2P4PwDoQ/viewform


WS料金表


同じテキストを使ってワークショップしますので、ベーシックコースとアドヴァンスコースとで内容は変わりません。ただ進度と深度は変わると思いますのでクラス分けしています。

教本はムタツィオなしの聖歌を使ったセクションが第1・2・4・6・7・8旋法とありまして、その後ムタツィオありの聖歌を使ったセクションが第3・5・1・2・4・6・7・8旋法と続きます。

最初の方は3時間のワークショップでムタツィオなしの1つの旋法をやるので終わってしまうと思います。ですので継続受講がおすすめです。1回目「ムタツィオなしの第1旋法」、2回目「ムタツィオなしの第2旋法」のように進みまして、おそらく3回目くらいから、3時間で2つの旋法くらい進める様になると思います。

1回WS受けてみて、その後自分で進められそうであればそれもありかと思いますが、人によっては難しいかもしれません。

5回セットとしていますが、5回で教本全て終わるというわけではありません。単に5回先払いでお安くなりますよということです。

グレゴリオ聖歌を使った課題がメインですが、ルネサンス・ポリフォニーやバロックの作品にどう活かせるかということも興味のある方がいらっしゃると思うので、毎回1曲はポリフォニー作品にも少しは触れる予定です。

こちらでのお申し込みは東京での講座ですが、関西でもWSを企画中です。既にワークショップをお申し込みの方で、関西講座に振り替えたいという方は、関西講座の詳細が出ましたら、お知らせください。

旋法とムタツィオに親しむ音階練習

ある日のこと櫻井さんはタートを順番に上下する練習をしておりました。

白が長音階、オレンジが半音下げ、緑が半音上げ

「ええやん。楽しいやん。むずいやん。この練習ええやん。めっちゃええやん。」

と思った櫻井さんはこれをヘクサコルドでできないか考えました。

各旋法で考えられるムタツィオを含む上行下行スケールを作ったところ、

●旋法の特徴を捉えることができる
●ムタツィオの練習にもなる
●楽しい

練習方法ができましたとさ。 めでたしめでたし。


ちなみにアプリはこちらを使っております↓

https://apps.apple.com/jp/app/itablapro/id337350026

すべての能力を開放するには4,000円かかりますが、タンプーラだけだと1,800円くらい?のようです。

https://apps.apple.com/us/app/itanpura/id326115058

タンプーラだけでも楽しいけど、タブラがあるとさらに楽しいです。

ちなみにポリフォニーとの相性も大変良いです。

旋法とヘクサコルド〜歌と音楽に対する感受性を養うために〜

という題名で本を書いています。

以前このブログでも大島俊樹さんの「階名唱(いわゆる「移動ド」唱)77のウォームアップ集 」を紹介させていただきましたが、これのヘクサコルド版を書かねばならんという使命に駆られたからです。

大島さんの本はマジでゼロから読譜を始める人にとっても、また固定ドから脱却したい人にとってもめちゃくちゃ優秀すぎるテキストなので、もう全ての音楽(特に西洋音楽)に関わる人に手にとっていただきたいです。私自身大島さんからまとめ買いして、現在までに89冊売ってます笑

この本はドレミを学ぶのにこの上ないテキストだと思うのですが、調性音楽を前提としたコンセプトで書かれているので、旋法(教会旋法)の音楽のドレミ(Ut Re Mi)が学べる同種の本があればいいなと思ったのですが、どうもなさそうなのです。

無いなら書いてしまえ。むしろそれがお前の役目だと私の中の私が私の尻を叩きまして、誰に頼まれるわけでもなく執筆中しておるわけです。

大島さんの本くらいコンパクトで手に取りやすく、取り組みやすい本にしたいと考えているのですが、3章だての2章の途中ですでに42ページ、大島さんの本が32ページですからもうちょっと長すぎる笑。

しかし調性音楽は長旋法と短旋法の2種類しかないのに対し、旋法(教会旋法)は8つあるので、4倍位の分量になる分には許容しようかと思っています。

それで、序文なんか後回しにすればいいのに序文を先に書いてしまって、我ながら暑苦しい文章が書けたので、ここに紹介しようと思います。

これを読んで、この本完成したら買いたいな!と思った方はぜひ私を励ましてください。

今のところ出版社からお声はかかっていないので、出版関係の方は今がチャンスです。

お誘いがなければキンコーズで印刷します笑。


序文

 声と歌とを分かつものはなにか、音と音楽を分かつものはなにか。学校でそれを教わった記憶はなく、おそらく「それはセンスであり、センスは教えることができない」ということで片付けられていたように思う。

 筆者はそうは思わない。少なくとも歌を歌うために、音楽を理解するための重要なヒントを先人は我々に遺している。その最も基礎にあるのが階名(ドレミ)である。残念ながら日本を含む一部の国では、この最重要の基礎が誤解されて教えられている。すなわち音名と階名が混同されて教えられているのである。そもそもグイド・ダレッツォが階名を紹介するはるか以前から音名は存在しており、もし音楽を理解するのに音名で充分であるならば、あえて階名など考え出されるまでもなかったはずである。本文中で詳述するように、調性音楽であるならば、長旋法と短旋法の二種類の音階とその構成音の特徴を経験すれば済むはずなのに、音名で音楽を捉えようとするならば、異名同音を含めた30種類(旋律短音階、和声短音階を含めると60種類)の音階とその構成音の特徴を覚えなければならないのである。

 レにはレの、ミにはミの感触がある。楽譜から読み取って歌う際に「この曲はGes-Durだから第2音はAsで、長調の第2音の感じというのはこんな感じだから」というのは本当に手間と時間がかかる上に頭による理解が先立って音楽を感じ取るのにまたひとつ段階が必要になる。階名唱に熟達すると「レはレとして聞こえてくるのでレのように歌う」ということがごく自然に行われる。「レのように歌おうとする」までもなく「レでないように歌うことのほうが難しい」と感じるようになるのである。

 それが自然と和声感、調性感を生むのであって、それらの実現のためには和声や調性を学ぶ必要はない。ただ、階名で歌えばいいのである。

 以上は調性音楽における7音による階名(ヘプタコルド)についての話であるが、調性音楽成立以前の音楽は(教会)旋法によっており、その時代には6音による階名(ヘクサコルド)が用いられていた。よく似たシステムに思えるが、実践してみるとその違いを明確に感じられることと思う。ヘクサコルドにはヘクサコルドでしか捉えることができない音楽の姿があり、バロック以前の音楽家は皆そのようにして音楽を捉えていたのである。

 ヨーハン・ゼバスティアン・バッハは「平均律クラヴィーア曲集」という名で本邦では知られている曲集の表紙に下記のように記した。

よく調律されたクラヴィーア あるいはすべての全音と半音、すなわち全ての長三度つまりUt Re Mi、また短三度つまりRe Mi Faによるプレリュードとフーガ

 ドレミではなくUt Re Mi、ラシドではなくRe Mi Faとあるので、バッハがヘクサコルドを意図していることは明らかである。バッハが用いたツールを使って、バッハの書いた音楽に取り組もうとすることは、ごくごく自然なことではないだろうか。

 バロック以前の音楽が演奏される機会はますます多くなり、古楽を専門とする演奏団体のみならず、一般の合唱団等のレパートリーとしても親しまれている。その基礎の基礎であるヘクサコルドを実践的に学ぶことのできる教本が必要とされていると考え、本書の執筆に至った。

 本書がバロック以前の音楽を演奏する人、また指導者にとって、音楽を味わう上でのひとつの手がかりを与えるものとなることを願ってやまない。