レクチャーコンサート「ザムエル・シャイトー『カンツィオネス・サクレ 』と『コンチェルトゥス・サクリ』

レクチャーコンサート「ザムエル・シャイトー『カンツィオネス・サクレ 』と『コンチェルトゥス・サクリ』

先月収録いたしました、Salicus Kammerchorによるシャイトの演奏がアップされました。

詳細は立教大学のHPからご覧ください。

http://rikkyo-kiriken.com/events/index.php?QBlog-20220310-1

米沢先生、大角先生による貴重なレクチャー動画もあります。

本来はこれらのレクチャーとともに一般公開で演奏する予定でしたが、それぞれ別の動画として公開されることとなりました。

演奏はやはり会場でお聴きいただきたかったという思いが強いですが、今回の録音録画も、いつもお願いしている新村氏による素晴らしいものです。


プログラム

①伝ガルス・ドレスラー《わが慰めと助けはただ神のみ》によるインタヴォリールング
オルガン独奏・編曲:米沢陽子

②伝ガルス・ドレスラー(1533-1580)
《わが慰めと助けはただ神のみ》

ザムエル・シャイト(1587-1654)

③『カンツィオネス・サクレ』より
 《心よりあなたを愛します、おお、主よ》SSWV28
 《たとい私の心がくずおれても》SSWV29

『コンチェルトゥス・サクリ』より
④シンフォニア SSWV423 (70のシンフォニアより)
⑤マグニフィカト第8旋法 SSWV81

⑥シンフォニア SSWV428 (70のシンフォニアより)
⑦《今日、五旬節の日が満ちた》SSWV75
《聖霊は彼らを全世界へと送り出した》SSWV76

①は米沢さんによるオルガン独奏、②は4声の合唱、③は8声の合唱、④と⑥は器楽によるシンフォニア(④は弦楽器、⑥は管楽器)、⑤と⑦は8声の声楽と8声の器楽による作品です。

非常に編成が多彩なプログラムである上、最大編成の作品は二重合唱が器楽により更に倍の声部になった16声の作品で、当時としても、現代でも(!)非常に豪華な編成です。

なかなかここまでの編成の作品を、それもツィンクやサクバットは国内に奏者が少なく、これほどの腕前の奏者を揃えて演奏することは容易ではありません。

普通経費がかさみすぎて無理です。

今回全ては立教大学と米沢先生のお力によって実現しました。心より御礼申し上げます。

メンバー
S: 鏑木綾 中須美喜
A: 金成佳枝 富本泰成
T: 渡辺研一郎 金沢青児
B: 鳳城昊 小藤洋平

Vn1: 遠藤結子 Vn2: 大光嘉理人 Va: 佐々木梨花 Vne: 角谷朋紀
Zink: 上野訓子 Sackbut A: 宮下宣子 Sackbut T: 南紘平 Sackbut B: 石原左近
Org: 新妻由加

指揮:櫻井元希


今回のメインとなるのは『カンツィオネス・サクレ』と『コンチェルトゥス・サクリ』の2つの曲集から取られた作品となります。

カンツィオネス・サクレの方は、7月に収録したレクチャーコンサートで沢山演奏いたしました。その時の録画は今月末までご覧いただけます。

http://rikkyo-kiriken.com/events/index.php?QBlog-20210802-1

ポリフォニックな部分とホモフォニックな部分がバランス良く展開され、非常に緻密な二重合唱の作品です。

それに対してコンチェルトゥス・サクリの方は、ソロや重唱とtuttiの交代によって展開する作品で、同じ二重合唱でありながら、声楽の扱い方は対照的です。こちらの方は緻密というよりはダイナミックです。

初期バロックでは、バロック的な要素(言葉を軸に和声的に展開される)とルネサンス的な要素(旋律を軸に対位法的に展開される)が混在していたり、書き分けられたりしているのですが、ざっくりいうとカンツィオネス・サクレの方はルネサンス的要素が強く、コンチェルトゥス・サクリの方はバロック的な要素が強いと言えます。

バロック的とは言っても、今回の2曲はラテン語による作品なので、ドイツ語の作品ほどは語感が強調されません。つまり「喋る」よりも「唱える」要素が強いと言えます。

この辺のバランスが非常に繊細で、表出的になりすぎてもおかしいし、旋律優位にしすぎてもおかしい。ちょうど絶妙なバランスが取れた時に初めて、この音楽が言わんとしていることが立ち現れます。

私たちSalicus Kammerchorのバックグラウンド的には言葉からのアプローチで育ったところがあり、サリクスが出来てからは、グレゴリオ聖歌の歌いまわしからヒントを得た旋律をいかに歌うかということに注力し、そこにアイデンティティを見出してきました。

これが、どっちかならともかく、どっちもというのがむっずいわけですね。いや常にそうなんですけど、大体これはこっち寄り、これはあっち寄りというのがあって、絶妙に両方の要素が必要、というのはそう多くはないのではないかと思います。

どの曲も日本でも世界でもそうそう演奏される曲ではないです。もう一生聴かない曲もきっとあるでしょう。ぜひ多くの方に聴いていただきたいです。


実は今回お願いした金管楽器の方は、秋のカンタータでもご一緒いたします。

そのためにツィンク1本、サクバット3本を使用するカンタータばかりを集めました。

今から楽しみです。

Salicus Kammerchor演奏会
J. S. バッハの教会カンタータvol.2

【日時・会場】
2022年11月25日(金)
日本福音ルーテル東京教会

2022年11月29日(火)
豊洲文化センター ホール

【曲目】
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
Johan Sebastian Bach

モテット
“Ich lasse dich nicht, du segnest mich denn” BWV Anh. 159

​カンタータ
“Christ lag in Todesbanden” BWV 4
“Gottlob! Nun geht das Jahr zu Ende” BWV 28
“Sehet, welch eine Liebe” BWV 64
“Christum wir sollen loben schon” BWV 121


その前に、5月には第7回定期演奏会があります。

シャイトの同時代人、シュッツと、彼に多大なる影響を与えたモンテヴェルディの作品を演奏します。

同時代で、しかも同じ地域で活躍したシャイト、シュッツ、それからシャインもですが、驚くほどこの3人の作風は個性が際立ってます。

個人的にはこの3人はイザーク(職人的で変人)、ジョスカン(ただの天才)、ラリュー(信じられないくらい流麗)の関係に似てるなあと思ってます。

前半プログラムではパレストリーナやチプリアーノ・デ・ローレ、コンペール、ジョスカンなんかもやりますので、ぜひお越しください。

Salicus Kammerchor第7回定期演奏会
ハインリヒ・シュッツの音楽vol.2
二人の天才
​〜モンテヴェルディ→シュッツ〜

【日時・会場】

5月20日(金)19時開演
日本福音ルーテル東京教会
チケット予約:https://tiget.net/events/160766

5月22日(日)14時開演
台東区生涯学習センター ミレニアムホール
チケット予約:https://tiget.net/events/160767

シャイトのレクチャーコンサート【延期】

Facebook、Twitterのほうではすでに告知させていただきましたが、2月29日似予定しておりましたシャイトのレクチャーコンサートが延期になりました。

こういう状況なので仕方ないとは思うのですが、ちょっとガクッと来ております。

大学主催のイベントということでいかにもそういうことになりそうだなと覚悟はしておりましたが、やはりこれまでの準備のことを思うと切ないものがあります。

しかし中止ではなく延期ということで、これまでの準備が全く無駄になるわけではないと信じて切り替えて行こうと思います。

昨日はこのコンサートのためのリハの予定でしたが、それもなくなってしまったので、市川のイタリアンに行ってきました。

前にエマルシオンのメンバーとも行ったお店で、それはもうめちゃ美味しかったです笑

こういうときは美味しいもの食べるに限りますね。


さて、演奏会がひとつとんでしまいましたので、次の私の演奏会は叔母との企画となります。

私の作曲する部分は7割方できているのですが、あともう少し!できたら楽譜を清書して練習します。

今回私が作曲するのは、
詩篇23の日本語訳のグレゴリオ聖歌風
如来唄の「色」の部分をラテン語訳したものをグレゴリオ聖歌風に
「講式」にラテン語の何かしらの単語でドローン
「中唄」をラテン語訳してもとの声明と合うようにグレゴリオ聖歌風に
となっております。

あまりにも大変すぎるのでもう二度と開催されないかもしれません。
この機会に是非!!

これは個人の企画なので、よほどのことがない限り予定通り開催すると思います。

シャイトはもともと無料のイベントですし、こちらの企画は予約制で事前にチケットを売るということをしていないのでまだいいのですが、もし5月のサリクスが中止や延期ということになると想像を絶する事態になると思います。

あまり想像したくないですが、想定しておかなければと思っています。

会場が使えなくなったりすることもあるかもしれないので。

こういうことが続くと我々演奏家は生きていけないです。

ネット配信でカンパを募るとか、音源を売るとかいうことを真剣に考えなければならないかもしれません。

とりあえず演奏会が結構中止や延期になっててオーディエンスとしてもがっかりな事があると思うので、この機会にサリクスのJ. S. バッハのモテットのCDはいかがですか?笑

https://salicus.thebase.in/

またYouTubeに昨年のEnsemble Salicusの動画も上げましたので、この機会に是非!

感染の心配なく音楽を楽しんでください!笑

グレゴもあるよ!


ということで、こういう状況ですが、美味しいもの食べて、よく寝て、演奏会が心配であれば、動画とかCDとかで音楽聴いて、心穏やかに、しかし逞しく過ごしていこうではありませんか。

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Salicus Kammerchor

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J. S. バッハのモテット全曲録音CD完成!

ウェブ販売を行っております!

https://salicus.thebase.in/

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演奏会情報

次回演奏会は

https://www.salicuskammerchor.com/concert

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サリクス通信

サリクスの最新情報や、ここでしか読めない特集記事を配信しています。

http://www.salicuskammerchor.com/mail-magazine-1

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