amarcord クリニック in Tokyo | 八咫烏特別賛助

amarcord クリニック in Tokyo | 八咫烏特別賛助

昨日、

軽井沢国際合唱フェスティバル 2017 サテライト講習会
amarcord クリニック in Tokyo
〜ドイツロマン派音楽の実践〜 特別賛助:男声アンサンブル八咫烏

に参加してきました。

ドイツの5人組男声アンサンブルamarcordの中心レパートリーである、ドイツロマン派のアカペラ作品を題材に1時間ほどのレッスンでしたが、私たちにとってとても収穫の多いレッスンでした。

私たち八咫烏(というかトミー)のやっていることは間違っていない。この方向でいける、ということを確信させてくれるようなレッスンだったと個人的には思いました。


こういう経験は私過去に2回ありました。

1つは広島大学に入った時、古東哲明先生の哲学の授業、初回の冒頭で先生はこう言いました。

「皆さんご存知のように、私たちが生きている意味は、ネー」

ああ、やっぱりそうだったんだ。僕は間違ってなかったんだ。そう思いました。

もう一つはカンタータクラブで演奏委員長1年目の時、小林道夫先生が練習を見に来てくださった時。

下谷教会から上野の駅に向かう道すがら、

「いいリハーサルをしているね、信じて、続けなさい」

どれだけ自分に確信があっても、これでいいんだって思っていても、他人から「それでいいんだよ」と言われることで救われます。

というかそもそも自分にそんな承認欲求があったんだということにそこで初めて気づきました。

誰にも認めてもらえなくても自分の信じたことをやる、というのが基本のスタンスなので。

誰にも認めてもらえなくてもいいけど、誰かに認めてもらいたいんですよね。


今回八咫烏はスケジュールの都合で4人での参加になりました。

事前に2回練習をして、さかんに「普通に喋るくらいのエネルギーで、軽く、自然に」ということをやりました。

そしてレッスンの最初の通しでも、ほんと、びっくりするくらい小さな声で歌いました。

それほど大きな会場ではありませんでしたが、それでも、ほんとにこれ聞こえてる?っていうような音量です。

しかし彼らからは「出だしはもっとソフトに、軽く、小さくしたほうがいい」

とか、全然そんな強くしていた自覚はなかったのに

「クライマックスのところで強くしていたのは良かったね」

などでした。

マジでビビるくらい蚊の鳴くような声で歌い始めていたのに、更にですか!

彼らの「軽く」のレベル、我々とぜんぜん違う!

結構ショックでした。でも彼らが実際に歌っている声もすんごく軽くて小さいので、やっぱりこれでいいのだと納得しました。

フォルテの箇所も、amarcordは実際に5人全員がフォルテで歌うことは基本的にはなくて、内声の3人はバランスをとってリアルなフォルテでは歌っていない、5人のブレンドした音がフォルテで聞こえればいいのだ。

ピアノも同様で、一人ひとりがピアノであるということよりも、5人の音が一つになった時に、それでもピアノに聞こえる音量、バランスで歌うことが重要だということでした。

わかっているつもりでも、声楽科で培ってきた強固な先入観がまだとけていないんだと思いました。ホールで聞こえるピアノってこのくらいっていう自分の線引があって、でもそれはソロで歌うときの線引なのであって、アンサンブルで歌う時はそれを変えなければならないのだと思います。

1人で歌うピアノと5人で歌うピアノは違う。単純に5分の1ではないにしても。

もちろん彼らのレッスンは音楽的なことがメインで他にも沢山有意義なアドヴァイスをいただきましたが、八咫烏のコンセプトに関わる部分で、それを肯定し、更にドラスティックにおしすすめていくことに励ましをいただいたようで、とても嬉しかったです。


私たちのレッスンを1時間ほどやったあと、公募の受講生たちによる混声と男声のレッスンがありました。

そこでも印象的だったのは、声を軽くしていくということで、

「軽いテノールを支えるためにはバスは声を重くしてはいけない、チェストヴォイスではなくヘッドボイスを使おう」

ということで、これも八咫烏がやろうとしていることの1つです。

やはり声楽科で学んでいると、アルトやバスは声を重く、暗くしていく傾向にあるので、ソプラノやテノールの声と分離してしまうんです。特に音域の近いアルトとテノールの分離はよく問題になって、内声のブレンドが合唱の鍵をにぎるとよく言われます。

私は2年前までバリトンだったのでよくわかるのですが、誰かがそう言ったわけじゃないのに、そういう重くて暗い声が求められている気がして、そういう声を目指さなければいけない気がして、自分の首を絞めてきました

それで、自分の声は「軽い」と思い込んでいたのですが、テノールに転向して初めて、「自分声おも!」ということに気づきました。それだけ先入観が強かったということだと思います。

それから声を明るく、軽くしていく方向で努力してきましたが、彼らの求めている「軽さ」のレベルに驚愕しました。

バスやバリトンでさえ今の私の声よりはるかに軽く、明るい。

というか、暗さ、重さの要素を全く感じない

フワーーーって高級羽毛掛け布団か!!ってくらい軽いです。

それでも、毎日、10年練習すれば絶対に出来るようになると言っていただけたので、これを励みに精進したいと思います。

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Salicus Kammerchor

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公演情報

次回公演は10月18日、Ensemble Salicusのデビューコンサートです!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

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DVD発売中!

第2回定期演奏会のDVDをウェブ販売しております!

http://www.salicuskammerchor.com/goods

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http://www.salicuskammerchor.com/mail-magazine-1

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櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

シグナス録音→下田サマーアカデミー

みなさまお久しぶりです。

先週、広島、下田を訪れていました。


広島はシグナス ヴォーカル・オクテットの2枚目のCDの録音でした。

なんと私がアルトを歌ったCDが出ます。たまげますね。テノール歌ったCDはまだありません。なぜかアルトのが出ます。

北欧の現代の作曲家の作品ばかり集めたCDです。名曲アルバムみたいな感じになります。

2泊3日で、1日目はリハーサルのみ、2日目の午後から録り始めて、3日目の午後に録り終わりました。

ハードだった。特に2日目。朝の9時から夜の9時まで歌って、そのうち2/3は録音だったので。

なんというか、その、芸の幅が広がった気がします。人間、為せば成る。成ったかどうかは定かではありませんが。


そして録音を終えた翌朝始発の新幹線で下田に向かいました。


ここが閉まってるの初めて見ました。


6時間かけて下田までたどり着きました。

下田では3泊4日で小林道夫先生のサマーアカデミーに参加しました。

午前中は公開個人レッスン、なにも仰らなくてもただただ先生のピアノを聴いているだけでビシビシ感じます。

2日目のレッスンでは、先生の弾く後奏のあまりの美しさに受講生も聴講生も号泣。レッスン続行不可になり、休憩がとられるということもありました。


午後はバッハのカンタータとモーツァルトの器楽曲のリハーサル。

器楽曲のリハ中は基本的に合唱分奏をしていたので、きちんと聴いたのはゲネプロだけでしたが、もう先生のピアノが、全くピアノの音とは信じられない、というかもはや音なのかということさえ信じられないことになっていて、「これが音楽だ」と思いました。


カンタータは36番と80番、どちらも(特にテノールにとっては)大変難易度の高い冒頭合唱を持った作品で、この作品を松原友さんという素晴らしい先輩と共に演奏できたというのは自分にとって大変な財産になりました。

軽くて柔らかくて豊かで伸びやか。本当に素晴らしいです。

サマーアカデミーはここ数年自分がOB役員になったということもあって毎年参加させていただいていますが、弛んだ気持ちに喝を入れてもられる得難い機会になっています。(滝行のような)


音楽に対して真摯であるということは、自分にも他人にも厳しくならざるを得ないのだと思います。

音楽に近づこうとすることは、太陽に近づこうとするようなもので、直視もできなければ、触ったら死にます。

凄く、怖いことなんです。

でも、そこがどうなってるか知りたいんです。

あるいは垂直に海に潜っていくようなもので、重力に任せて沈んでいったが最後、もう戻ってこれないんです。その上潜れば潜るほど暗いんです。

浅瀬でパチャパチャやってる方が楽だし楽しいんです。

でも潜らずにはいられないんです。

素潜りの競技やってる人、凄く共感できます。

そこに何かあるのは確かだけど、何があるのか誰も知らないんです。ロマンありますよね。


そんなわけで先週はアルト、テノールと歌いまして、今からバリトン歌いに八咫烏のリハに行ってきます。

8/30にドイツのヴォーカルグループamarcordのアンサンブルクリニックのモデル団体として参加するため、そのリハーサルです。

昨年シグナスで呼んでいただいた軽井沢国際合唱フェスティバルの一環のようです。

https://www.facebook.com/events/1435865923158653??ti=ia

八咫烏とはいえその日参加できるのは4人、メンバーの都合で私がバリトンを歌うことになりました。

まあしかし、大いなる音楽の前では、私がどのパート歌うかなんてことは、ほんとに些細なこと。

そう思うことにします。

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Salicus Kammerchor

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公演情報更新しました!

次回公演は10月18日、Ensemble Salicusのデビューコンサートです!

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ヴォクスマーナ第37回定期演奏会 明後日

ヴォクスマーナ第37回定期演奏会 明後日

今日は朝サリクス、昼ヴォクスマーナでした。

サリクスはバスのパート練でしたが、もう、安定の、史上最強のバスだと思います。

松井さんは今回実は初サリクスですが、流石の対応能力です。柔軟性の高さにビビります。

演奏会の詳細はコチラ→http://www.salicuskammerchor.com/concert

 


その松井さんと一緒に移動し(富士そばを掻き込んで)午後のヴォクスマーナのリハに向かいました。

ヴォクスマーナはいよいよ明後日本番です。今日は本番前最後のリハーサルでした。


全部通すとやっぱりしんどい!すんごいエネルギー必要です。

青児さんいわくヴォクスマーナ史上最もしんどいプログラムじゃないか、とのことです。

とにかく吸い取られます。どの曲も、作品そのものの持つの引力が凄い。


私が乗るのは近江典彦さんの「Khon-mXahuvona」以外の3作品です。

今日は近江さんの作品も聴きましたが、ヴォクスマーナであんまり聞かないタイプの曲だなぁと思いました。複雑で音程難しくて大変そうだけど、聴いてる分にはノリが良くて爽やかで理知的でsooo cooooool!な曲だと思いました(個人の感想です)

近江さんと指揮の西川さんとの対談動画がアップされています。


藤井健介さんの「Sèlèh II」は楽譜が来た時は、男声の音数(おとかず)が少なすぎてぶったまげましたが、やっているうちに、そして藤井さんのお話を聞き、インタビュー動画をみたりしているうちに、その世界にガッと入り込めるようになりました。

今日聞いたガムランの、大きい曲をやる時に、その前奏・後奏として演奏する「パテタン」をイメージして作ったというお話も実に興味深かったなぁ。

インタビュー動画はコチラです。


北爪裕道さんの「Multiplex」は兎に角自分としてはどれだけえげつないノイズを発することができるか、ということがテーマで、徳久門下としては大変やりがいのある作品です。

瞬間に全細胞をその音に反応・反射させて、全細胞を反応・反射させて音を持続させ、全細胞を反応・反射させて音を切る、の繰り返し、みたいな曲です。

徹底的に人間的な要素を排して、まるで機械のようにノイズを生成するという書き方で書かれていますが、人間的な部分を排除しようとすればするほど、それでもなお滲む人間らしさ、デジタルになりきることによってデジタルに抗っているような、そんな作品だと思います(個人の感想です)。

「人間だ!人間なんだー!」という叫びのように、僕には聞こえます。(ちなみにVox humanaというのはラテン語で「人の声」を意味します)

僕は「生きてることを思い出させてくれるものでなければ、それは芸術とはいえない」と思ってますが、この作品はそこんところ、ビシビシ感じさせてくれます。

この曲に関しては前にも記事を書きましたのでこちらもどうぞご参照ください。

「ノイズ カットアップ | ヴォクスマーナ」http://wp.me/p7Ktcz-Hq


川上統さんの「怪獣」は、チラシデザインのインスピレーションとなった作品ですが、多分タイトルから想像される感じとは違うと思います。

人間の中の怪物、というか、もっと精神的で抽象的な、人間の中にあって、あるのはみーんな知ってるけど見てしまうととても生きてはいけないから見ないようにしてる部分、というか。テキストはある意味直接的だけど、必ずしもそのテキスト自体に意味があるわけではなくて、そのテキストを通して見える地獄絵図、というか。そんな作品です(あくまで個人の感想です)

ちょっと飛躍しますが、僕がデスメタルが好きなのは「それも人間だ」と思うからです。「直視したくないものを、直視しようぜ。目をそむけていたら、ほんとのところはわかんないぜ」って。言葉にすると恥ずかしいけどそう思います。

この作品はそういう観点から、とても好みです笑

川上さんのインタビュー動画はこちらです。


演奏者も作曲家も、音楽に挑んでいる、食らいついていってる、そういうことが感じられる演奏会になると思います。

皆様ぜひ明後日日曜日、文化会館までお越しくださいませ。

チケットはぜひとも私からお求めください!(切実)


ヴォクスマーナ第37回定期演奏会 (創団20周年シリーズVol.3 未来を担う男性作曲家)

3月5日(日)14:30開演 東京文化会館小ホール

一般3,000円(当日3,500円)、大学生1,500円、高校生以下1,000円

 

川上 統(b.1979)/ 怪獣 (委嘱新作・初演)

藤井健介(b.1979)/ 「Sèlèh II」 ヴォーカルアンサンブルのための(委嘱新作・初演)

近江典彦(b.1984)/「Khon-mXahuvona」 pour vocal ensemble (2014委嘱作品・再演)

北爪裕道(b.1987)/ 「Multiplex」 for 12 voices (2013委嘱作品・再演)

 

指揮:西川竜太

演奏:ヴォクスマーナ

ソプラノ:稲村麻衣子/花嶋千香代/日野祐希

アルト:入澤希誉/神谷美貴子/高橋陽子

テノール:金沢青児/清見卓/櫻井元希/初谷敬史

バス:小野慶介/松井永太郎

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Salicus Kammerchor第3回定期演奏会

『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』

チケット発売中!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

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Salicus Kammerchor主催第3回ワークショップ

参加者募集中!

http://www.salicuskammerchor.com/workshop

ご好評いただいておりますサリクスのワークショップです。毎回早い段階で応募上限に達しております。

お申込みはどうぞお早めにお願いいたします。

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櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

HPレイアウト変更しました→カペラ

HPレイアウト変更しました→カペラ

新しい年を迎えるということで、ホームページのレイアウトを変更してみました。

背景はBWV232の”Et ressurexit”です。それでヘッダーの写真には、先日のジョイントコンサートのゲネプロの写真を。


あと今更気づいたのですが、ホームページのタイトルと副タイトルが逆だったので直しました笑

タイトルがServus Musicaeで、その説明が、「指揮者・声楽家 櫻井元希のウェブサイト」ですよね。なんで今まで気づかなかったのでしょう笑。

そしてサイドバーも編集して、人気の投稿なるものと、SNSのボタンをつけました。あとメニューにサリクスのホームページのリンクを単独で載せました。

これからも皆さまこのウェブサイトをどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m



(この写真は、1/8の公演でお世話になる、由比ガ浜教会で撮ったものです。そういえば上のヘッダーの画像も由比ガ浜教会です)

さて、今日もカペラのリハでした。

今回のカペラは、いつもグレゴリオ聖歌で歌っているミサ固有唱を、イザークのコラーリスコンスタンティヌスより、ポリフォニーで演奏します。

ただし、コラーリスコンスタンティヌスにはグラデュアーレとオッフェルトリウムがないので、この2つだけはグレゴリオ聖歌で歌います。

そして最後にイザークのモテットを歌いますので、全体の構成は以下のようになります。

(コラーリスコンスタンティヌスをコラコン。ミサ《カン・ジェ・オ・クール》をミサカンと表記しています。そして例によって朗読等は省略しております)

Inteoitus(イザーク/コラコン)

Kyrie(イザーク/ミサカン)

Gloria(イザーク/ミサカン)

Graduale(グレゴリオ聖歌)

Alleluja(イザーク/コラコン)

Credo(イザーク/ミサカン)

Offertorium(グレゴリオ聖歌)

Sanctus(イザーク/ミサカン)

Agnus(イザーク/ミサカン)

Communio(イザーク/コラコン)

Anima mea(イザーク/モテット)

こうして並べてみると凄いですね。ほんと、イザーク祭りの名にふさわしい。イザークまみれ。

ただイザークってほんとにいろんな顔があって、変化に富んでいるので、飽きることはないです。

むしろ同じ作曲家のいろんなタイプの曲を聴くことで、何者にも邪魔されることなくつつがなく、がっつりとその世界に浸れると思います。

こういうプログラムかけがえないですよね。どこかとは大違い!(自虐です。サリクスはまた全く違うコンセプトでプログラムを構成していますので)

歌っている方も幸せです。

色んな作曲家の曲を同じプログラムの中で演奏するのって結構大変なんです。なんだか普通にやっているように見えるかもしれませんが、内心大変なんです。

大なり小なり、演奏家は作曲家の人生に入りこんで、作曲家の視点を借りながら音楽に向き合う、という作業をするので。

沢山の作曲家を相手にしていると、そこから抜け出して、また別の作曲家の人生に入り込むのが大変なんです。手間なんです。

でもその手間を惜しまず、そうすることでしか見えてこない音楽の姿を、お客様と共有するというのがサリクスの狙いな訳で。

でもちょっと無理はあるんですよね。それはわかってます。人一人の一生を背負うのにはそれ相応の覚悟とエネルギーが必要です。

だからかどうかわかりませんが、サリクスの本番が終わったあとは3ヶ月くらい廃人です。

そう。廃人なうです!イェイ!

そしてサリクスの前3ヶ月くらいは、準備に追われて廃人です。

そう。年2回公演だと、年中無休で廃人です!オーゥイェイ!

話が逸れました笑


イザークのミサ通常唱、固有唱、モテットという3種類をお聴きいただける今回のカペラですが、イザークといえばコラーリスコンスタンティヌス、略してコラコンですよね!

年間の祝日すべての固有唱をポリフォニーにしたこの作品(群)は、音楽史の中でも相当エポックメイキングです。

その中で、今回面白いなと思ったのは、Communioについてです。

イザークは固有唱すべてを作曲するつもりでいたので、1曲1曲は、通常唱やモテットなどと比べると短くなりがちです。

ましてコムニオってもともとグレゴリオ聖歌の段階で短いものが多いので、コラコンのコムニオも大体は見開き1枚なのですが、今回演奏するコムニオは見開き3枚もあります!

内容は、イエスの行った最初の奇跡に関するもので、テキストが多いので、長くなるのは仕方ないにしても、3枚というと、その後に演奏するモテット”Anima mea”と同じ枚数です。

曲想も大変凝っていて(明らかに奇跡感出まくってる)、重厚な1曲のモテットを聴いたような気分になるのではないでしょうか。

今回のプログラム、そういう意味でも隙がないです。尻尾までアンコ詰まってます。



↑この裏面の写真も由比ガ浜教会ですね。いつもお世話になっております。本当に素敵な教会です。

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演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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主宰団体Salicus Kammerchorホームページはコチラ

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ジョイントコンサート千秋楽

ジョイントコンサート千秋楽


本番から一夜明けました。

ジョイントコンサートにご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。

ここ1ヶ月ほど朝起きて頭の中が無音ということはなかったのですが、今朝は久しぶりに無音でした。

でも、あ、今日無音だなぁと思ったら、47番のバスアリアが流れだしました。


今回、ほとんど身内のようなものとはいえ、プロのオケを相手に指揮をするということ自体初めてでしたし、プロの団体どうしのジョイントコンサートというのも初めてだったので、音楽、運営両面で大変でした。

本当に鍛えられました。

ここまで追い込まれることも初めてで、しかも相手にしているオケは自分の団体ではないので、どれくらいやろうと思っていることをやってくれるかもわからないし、言い方も凄く難しかったです。

底力みたいなものがまだ自分には足りないと思いました。意地と負けん気だけで押し通していては、本当にはうまくいかない。心から協力はしてもらえない。そう思いました。

あと、まぁこれは言うまでもないですが、指揮のテクニックを早急にモノにしなくてはいけない。まだ自分の思うように手が動きません。

ただ今回、サリクス単独のステージが25分程しかなかったので、1曲1曲を結構細かく練習できました。

今まで決してできなかったことが、ところどころ出来そうだったり、出来たりしたところがあって、そう意味で収穫はあったと思います。

ネウマ的に歌うと、一言にいっても、そこには普通に考えられている声楽のテクニックとは違う発想と、違う発声が必要で、それをモノにするよりも、それまでの発想、発声を破壊するということの方が、歌い手にとっては難しいのだと思います。

僕には初めからプライドというか、自分が今までやってきたことに対する自信みたいなものがなかったので、新しい価値観に対応するのがそれほど抵抗なくできたのかもしれません。

ある価値観の中で評価されてしまうと、それとは違う価値観を受け入れるのが難しいのかも。

僕はそもそもそういう世界では評価されなかったから。未練がなかったんだと思います。

でも思うに、普段に価値観を破断していくことを、成長っていうんじゃないかな。

自分がやっていることが、いつも、根本的に間違ってるのかもしれないということを頭の片隅に置き続けて、そのことに対する扉をいつも開いておく。

それで、自分を変えることに努力を惜しまないという態度が、音楽やるに必要だよなぁ、などと思いました。

僕がやっていることも、明日には僕自身が否定しているかもしれません。

いつも自分が正しいと思っている人は、変わらないし、変わらないというのは、つまんないですよね。

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最新動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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