カペラ | ジョスカン・デ・プレ モテット・シャンソン連続演奏会3

カペラ | ジョスカン・デ・プレ モテット・シャンソン連続演奏会3

カペラの6月公演のリハーサルがスタートしました。

今回はジョスカンのモテット・シャンソン連続演奏会の3回目です。1回目は2014年、2回目は2015年だったので久しぶりですね。

今回もなかなか歌いがいのあるプログラムです。

前半は1曲10分以上あるモテットを3曲と短めのものをもう一曲、プラスグレゴリオ聖歌です。

後半はシャンソンを6曲ほど歌います。

グレゴリオ聖歌を定旋律に持ったシャンソンなんかもあって大変興味深いです。

いつものミサと違って、モテットもシャンソンもとにかくテキストが多くて、しかもシャンソンはフランス語なのでもう脳がぱんぱんになります。


今回私が個人的に楽しみなのは、前半のモテットセクションの最後、Pater noster / Ave Mariaの三連ちゃんです。

1つ目はグレゴリオ聖歌で単旋律です。

2つ目はジョスカンの作品で”O bone et dulcis domine / Pater noster / Ave Maria”

これはテノールがPater nosterを歌い、バスがAve Mariaを歌い、アルトとソプラノはまた別の歌詞でO bone et dulcis domineと歌うという非常に複雑な曲です。それぞれの定旋律、そして自由に作曲された高声2声部それぞれ聴き取れるでしょうか?

まず無理だと思いますが、こういうのは演奏効果というよりはこの構造原理自体に意味があるのです。私たちはただジョスカンの技法に感嘆すれば良いのです。そういう意味では簡単です!

そして3つ目は同じくジョスカンによる”Pater noster / Ave Maria”です。

これは去年のSalicus Kammerchorの演奏会でも取り上げた曲で、ジョスカンが自身の追悼行事の際、行列が自分の自宅の前を通る時に歌ってほしいと言い残して作曲した作品です。

こちらは2つの定旋律を組み合わせるのではなく、Pater nosterの後に、第二部としてAve Mariaが歌われるという曲で、それぞれ定旋律がカノンになっています。

この曲に関してはサリクスのブログにも書いているのでよろしければこちらもご覧ください。https://goo.gl/Jpvdeh

世界広しと言えど一つの演奏会でPater nosterとAve mariaを3回ずつ聴くっていう機会はなかなかないんではないでしょうか。

歌っててどういう気分になるのか予想がつきません。楽しみです。


そしてもう一つ、楽しみなのは、渡辺研一郎と富本泰成によるコントラテノールペアです。

カペラでこのペアがコントラを歌うのは初めてだと思います。

新しい響きになるかと思います。

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Salicus Kammerchor

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公演情報

次回定期公演は5月の第4回定期演奏会です!

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昨年10月に開催されたLa Musica CollanaとのジョイントコンサートのライブCD

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櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

Salicus Kammerchorリハーサル開始

Salicus Kammerchorリハーサル開始

昨日はサリクスのワークショップ、今日は第4回定期演奏会に向けての初回リハーサルでした。


ワークショップは久々に満員御礼、沢山の方にお申し込みいただけました。

今回初の試みとして発声のテクニックの面からネウマ的に歌うということにアプローチしました。

充実した時間になったのではないかと思います。

終了後はこれもはじめての試み、受講生の皆さんと打ち上げに行きました。

講座中に話しきれなかったことを話せて良かったです。

みなさんがどんなことに疑問を持っているかというようなことも聞くことができてよかったです。

やっぱりアンケートとるより直接話を聞いた方が早いですね笑

これは次回以降も継続していきたいです。


そして今日は5/20.23の定期に向けての初回リハでした。

初回からなかなかいい感じです。

もうなにより選曲が素晴らしすぎて笑笑(自画自賛)

もーほんっといい曲。どれも。

楽しい!

今回は音色の面でも前回より成長したいと思っています。

ご期待ください。

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ラ・リューのミサ《ロム・アルメ》がヤバすぎる件について

ラ・リューのミサ《ロム・アルメ》がヤバすぎる件について

※この記事における「ヤバい」はいわゆるポジティブな意味での「ヤバい」であり、伝統的正統的な意味においての「ヤバい」ではないことをお断りしておきます。


ヤバいです!!!!!

ヤバすぎます!!!!

これはもう!ヤバいです!!!!

アラミレ で9月に演奏するラリューのミサロムアルメ、練習すればするほどヤバいです!!!


まずはわかりやすいところから。

ラリューといえばカノンなのですが、第2アニュスはなんと4声のメンスーラカノンです。

メンスーラカノンとは、複数のパートが同じ1つの楽譜を見ながら、それぞれ違うメンスーラで歌う、つまりは違うスピードで歌うということで成立してしまうスタイルのことです。

ミサロムアルメの第2アニュスの楽譜は以下の通り。

楽譜は1つしかありませんが、4声の曲です。ソプラノは上から3番目のCに棒、アルトは一番上の◯、テノールは一番下のCに棒に3、バスは上から二番目のCのメンスーラで歌います。

ソプラノのパートを基準にすると、バスは1/2、アルトは1/3、テノールは3/2のスピードとなります。

それで、クレフ(音部記号)ですが、書いてないですが、♭の位置が(ヘクサコルドで言うと)ファなので、それをもとに推理すると、ソプラノはテノール記号のオクターブ上、アルトは低バス記号(ヘ音記号が一番上の線になります)のオクターブ上、テノールはテノール記号、バスは低バス記号となります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E9%83%A8%E8%A8%98%E5%8F%B7

それだけ聞くと、まあなんかそれなりになんとかなりそうな気がするじゃないですか。

僕もそう思ってました。

ところがラリューはそれほど甘くなかった、、。

これを現代譜に起こしたものが以下です。

テノールのパート、エグい。

現代譜だととにかく全部3連符で書くことになるのですがこのシンコペーション、付点の複雑さよ、、。

特にソプラノとの関係がすんごいシビアです。

でね。まあでもこのくらいだったら現代音楽に慣れている人にとってはお茶の子さいさいで初見で歌うでしょう。

ところがですよ。これクワイヤブックで歌うんですよ。しかもフランドルの様式の中でうねうね歌うんですよね。

パキパキのリズムでは歌えない。

これはね。ヤバい。

最高にヤバい。

どれだけヤバいかっていうと、ヤバすぎてミディ作っちゃうくらいヤバい。

こちら↓

ぜひ聴いてみて下さい。ゾクゾクします。


で、ここまでがわかりやすい方。

もっとヤバいのはクレドです。クレドはヤバいです。もうただの傑作です。凄すぎます。

メンスーラカノンはないですが、同じような2連符と3連符が拮抗するような箇所が随所に散りばめられていて(まとまってではなく所々にあるのがミソ!)、これが意外とテキストを際立たせる効果もあるのです。

普通は2分割のセクションと3分割のセクションというのははっきり分かれていて、4声が揃って切り替わるのですが、この曲の場合、まずソプラノのが3分割になって、2拍遅れてバス、4拍遅れてテノール、アルトは変わらないとかそういうことが起こってもう最高に複雑。

このリズムのヒリヒリ感がたまりません。

全体としてはテノールに定旋律のロムアルメが来ることが多いのですが、この定旋律もリズム的に相当工夫されていて、拡大縮小自由自在でテノールだけ見ると5拍子になっちゃってるとことかあります↓

こちら↓はリガトゥーラで3拍子っぽくなっているところ。

白眉は最後のセクション。預言者についてテキストが及ぶ部分では突然tuttiで同じリズムでホモフォニックに喋り、死者の復活の場面では3声の一拍遅れのカノン(カノンの技法の中ではカノンのスパンが短ければ短いほど高度とされています)からのフォーブルドン(3声が4度と3度の関係で平行進行する技法)!からの3分割に流れ込んで4声のポリフォニーでアーメン!

激ヤバです。このあたりは楽譜の見た目でも言葉でも伝わりきらないと思うのでぜひ演奏を聴いてほしいです。

演奏会詳細はコチラ→http://www.geocities.jp/alamirejp/concert.html

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花の写真がたまったので

春が来ましたね。

というかもう桜も散りますね。

あちこちで撮った写真がたまったのでこちらにも貼っていこうと思います。

これ雪の降った日です。

結構前ですね。

うちの前ですが、雪と桜と同時に撮れました。


先週妻と二人で草津に行ってきました。ほんとに純粋なただの旅行です。

二人でただの旅行にいくのは10年ぶりくらい。結婚してから初めてのことです。

だから新婚旅行ということになるのかも。

花の写真じゃないですが、きっとこの写真には湯の花が写っていることでしょう。

西の河原露天風呂が最高でした。温泉の川が流れてて、川底の石に湯の花がびっしり。


こちらは某旗の台の某えびらホールで某リハーサルを行った際の某桜です。

何のリハーサルかは今月末にはきっと明らかになることでしょう。


アラミレの窪田さんのご子息がチェリストで、自由学園明日館でコンサートがあるということで伺ってきました。

もうロケーションが最高過ぎました。

会場に入った途端息が止まりました。窓の外にライトアップされた桜がどーん!

いいなあこの季節にここで演奏会するのはお得だなあ。

終演後超美味しい紅茶と超美味しいお茶菓子まで頂いてしまって、贅沢な時間でした。


こちらは上野公園です。

芸大に調べ物をしに行った時に撮りました。

芸大の図書館は昨年建て替えて、書庫に自分で入れるようになったのですが、2.5階にたどり着く難易度が高いです。何回行ってもエレベーターどっちの扉が開くのかわからないし笑

あとこれはただのクレームですが、ニューグローブ音楽辞典だけは一階に置いてくれ。あのクソ重い辞典を何冊も持って1階と2階を往復するのはつらいです。学生の向学心を奪います。

きっと本館?のほうがオープンしたら改善されるに違いない。


こちらはアラミレのリハで行った大森です。

貝塚のところは公演みたいになってて、物凄い大きな画角に入りきらない桜がありました。

アラミレは今年はラ・リューのミサ「ロム・アルメ」をやってるのですが、第2アニュスのメンスーラカノンの難易度が想像以上でした。

多分私が取り組んできたフランドルのポリフォニーの中で一番難しいです。

オケゲムより難しい。

並の現代音楽の方がマシですね。

うーむ。本番は9月ですが、この曲だけは楽譜通り音を出せるかさえ怪しい。対策を考えねば。ねばねば。


 

動画ってワードプレスに上手く貼れなかったので、Facebookの投稿を貼り付けてみました。

こちらは昨日合唱団フォンスフローリスの練習で訪れた都立大学駅付近です。

菜の花が電車の風圧で揺れるのをスローモーションで撮ってみました。

フォンスフローリスは今年はシャルパンティエ祭りですが、1曲6声の曲があって、今までになく声部が多いので苦労しています。ソプラノが3声に分かれるんですよね。声部の名前が面白い。

上からHauts-dessus / Dessus / Bas-dessus / Haute-contre / Taille / Basseです笑

合唱指導しながら、えーではおーとどぅすゅとばすどぅすゅとおーとこんとるでやってみましょうとかってもう舌噛みそうというか笑っちゃいそうです。ばすどぅすゅて笑

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ボイトレにも洋の東西がある?

なんか煽り系の記事の見出しみたいになってしまいましたが、はじめに断っておくと、東洋の声楽に用いられるボイトレと、西洋の声楽に用いられるボイトレの話ではありません。

そもそも東洋の伝統音楽に、ボイトレの概念があるかどうかさえ怪しいです。

インド古典声楽では「歌の声」というものはない、と言うそうですし、日本の徒弟システムの中にボイトレの入り込む隙間はなさそうに感じます。


2種類のボイトレメソッド

この記事は、私が使っている2種類のボイトレメソッドのお話です。

レッスンの初回ではその2つがあるということを断った上で、人によって反応を見ながらピンと来てそうな方を中心にやっています。

ひとつは徳久ウィリアムさんから教わった、最近「メタ発声」という言い方をされているメソッド、もうひとつはいわゆる「ハリウッド式」と呼ばれる、小久保よしあき先生や、トミーから教わったメソッドです。


「メタ発声」

徳久さんのメソッドは、サリクスのメルマガでも紹介しましたが、発声にとどまらず、心から湧き出て、頭で思い描いたことを体でアウトプットする全ての「行動」に応用することのできるものです。

その意味で「メタ発声」というネーミングは凄くピッタリきてるなと思います。

このメソッドについて、説明は難しいですが、端的に言うと「心気体を一致させること」と私は解釈しています。

いかにこの三者のギャップを埋めるか、というのが肝です。

究極的にこのメソッドをマスターすると、思ったことをそのまま実現できるという境地に達することができると思います。(飯伏幸太さんというプロレスラーの方がそんなことをおっしゃっていました)

徳久さんはかなり体を酷使する系のアヴァンギャルド系ヴォーカルパフォーマーなので、健康を保ちながら思い描いたことを実現するということに長けたメソッドを確立することができたんだろうと思います。

このメソッドは、その多くの部分を「韓氏意拳」という中国武術から発想を得ています。

そういうこともあって、このメソッドは東洋的だなあと感じています。


いわゆる「ハリウッド式」メソッド

それに対していわゆるハリウッド式と呼ばれるメソッドは、その名前からしてもそうですが、実に西洋的だなあと思います。

私の認識ですが、未知のものに対するアプローチの仕方の違いというか、西洋の考え方ってとにかく分節して名前をつけるという形で迫っていきますよね。

東洋の場合もう少しおおらかというか、全体を捉えて、ぼんやりとそのつながりと中にあるものの流れを俯瞰するようなやり方だと思うんです。分からないものは、無理に分かる必要はなくて、分からないままにうまく付き合っていくような。

ハリウッド式はまさに西洋的で、発声にかかわる体の器官を一つ一つ分けて捉えて、何がどのように作用しているか、ということを科学的に追求しています。

この筋肉を作用させるためにはどういう母音と子音を組み合わせたエクササイズをすればいいのか、ここの共鳴腔を狭くするためにどこをどのように動かすか、声帯振動を促進するような共鳴腔の形をどうやって作るか、いわゆる「通る声」を作るためにはどの周波数帯の倍音を強調するべきで、そのためにはどういうエクササイズが必要なのか。などなど。

西洋のやり方は即効性があるし、因果関係を説明できるので、理系的な方には効果が高いように思います。

ただし、発声器官と声については、まだわかっていないことも山のようにあるので、あまり断定的に説明できないことも多いです。

逆に言うと、断定的な言い方しかしないボイストレーナーには注意が必要です。

今まで常識と思われていたことが、まるっきり間違いでした、ということもよくあることのようです。


東洋医学と西洋医学

私の使っている東洋的・西洋的なボイトレメソッドのこの関係って現代医療にも通じるものがあるなあと思います。

東洋医学と西洋医学の関係です。

例えば風邪ひいて内科や耳鼻科にいくと、症状にあわせて西洋医学の新薬と、漢方と両方もらうことがありますよね。

それで人によっては新薬は体に合わないけど漢方だったら大丈夫とか、漢方はあんまり効かないとか、そういうことがあると思うんですけど、ボイトレもそういうところがあるんです。

漢方効かないって人に漢方処方し続けても効果は薄いだろうし、新薬の副作用がつらいって人にその副作用を抑える別の新薬を処方するってこのループも、よくある話ですよね。

私はこのボイトレの漢方も新薬も、両方効いた実感があるので、どちらかを選択してどちらかを捨てるということはせずに、場合によって使い分けるという形をとっています。んーと、使い分けるというか、同時に使ってますね。常に。

アプローチする意識の層が違うという感じもします。


合唱ボイトレの難しさ

医療に譬えになったので、ついでに合唱のボイトレの話もしたいと思います。

私もよく集団でのボイトレをやってますけど、これってさっきの風邪の喩えでいうと、症状の違う様々な風邪の人全員に、同じ薬を処方するようなもんなんです。

凄く乱暴ですよね。だから難しいんです。熱のある人には解熱剤を出すけど、熱のない人にも同じ解熱剤を飲ませたら、体温下がり過ぎて症状は悪化します。

それに今風邪で譬えましたが、中には風邪じゃない人もいるんです。インフルエンザかもしれないし、肺炎かもしれないし、花粉症かもしれないし、あるいは全く健康な人もいるかもしれない。

健康な人は治療する必要がないんです。

だから合唱ボイトレの場合は、ほとんど多くの人に役に立つ、ビタミン剤的なものを処方する(エクササイズを選択する)か、あるいは、「ここに2種類の薬があります。こっちはこういう症状、こっちはこういう症状に効きますので、どっちかを自分で判断して持って行ってください」みたいなことになってしまいます。

つまり処方箋ではなく町の薬局のようなものですね。何を買って帰って飲むか、自分で判断するんです。

この「自分で判断する」というのがボイトレの場合実際凄く難しくて、結構な方が自分に合わない薬を持っていかれます。

低血圧の人が降圧剤を飲むようなものです。ぶっ倒れますよね。

だから本当に間違いなく声をよくしようと思ったら、レッスンに行くしかありません。

一度医者にかかっておけば、同じ成分の薬を町の薬局で買うときもある程度自信を持って買えるかもしれません。

つまり、一度レッスンに行けば、自分の発声の傾向がわかって、それに応じたエクササイズを自分で組める可能性があります。

ただその場合でも、注意しなければならないのは、自分の発声の傾向は、日に日に変わるということです。

薬の譬えで言うと、医者に行った日は熱が39度あって、解熱剤を処方されたとしましょう。その後解熱剤の効果で熱が下がり、平熱になったとします。

そうすると普通は解熱剤を飲むのをやめますよね。

ところがボイトレの場合、その日のレッスン生の状態に合わせたエクササイズを組みますが、その後その状態が改善されたのに、自主練で同じエクササイズやり続けると、ちょうどいいバランスを通り越して、今度はレッスン前の状態の反対の傾向になってしまうことがあるんです。

高熱の人に解熱剤を処方して、平熱になったのにまだ飲み続けて、熱が35度とかになっちゃうようなもんです。これは危ない。

だから通常は、継続的にレッスンに通うことをお勧めします。

それが難しい方であれば、エクササイズの継続によってバランスをかえって崩してしまうようなエクササイズはやらないようにしています。

結局ボイトレって超ムズイ。みたいな話になってしまいましたが、私のやってることって東洋的なボイトレと西洋的なボイトレの二本立てなんだなあと思ったので、書き留めてみました。

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