ヴォクスマーナ | カペラ | 計道会

ヴォクスマーナ | カペラ | 計道会

今日は朝ヴォクスマーナでテノール、昼カペラでバス、夜計歌会×FF古楽道場でヴァガンス(という謎のパート)を歌った日でした。

計歌会×道場は長いので計道会と呼ぶことにしました(私の中で)。ヤクザみたいですね笑


朝はヴォクスマーナ

ヴォクスマーナは先週ついに近藤譲さんの曲が届き、本プロの曲が出揃いました。

近藤譲さんの曲はほんと、THE Jo Kondoという感じで、最大のデュナーミクがmpです。

以前歌った「薔薇の下のモテット」の要素はありながら、今回演奏する嗟嘆(といき)の方がよりシンプルでわかりやすい構造をしています。

現代音楽の演奏会ですが、耳が痛い系とか、気持ち悪くなっちゃう系の曲は今回ありません。

どの曲も何かしら琴線に触れるところが見つけられると思います。

何より現在ご存命の作曲家の作品を、ご本人のトーク付きで聴くことのできる機会というのはほんとに凄いです。

普段古楽をやってる人間からするとほんとありえないくらいすんごいです。

想像して見てください。

バッハのトーク付き演奏会。(!)

凄さ伝わりましたでしょうか笑

演奏会は7/20です。


昼はカペラ

カペラが今回メインプログラムとして取り上げるジョスカンの聖母ミサは、今カペラが出しているCDの中で最新のものに含まれています。(私が録音に参加したCDはこの次に発売予定です)

カペラはこの曲を結成当初にも取り上げていて、私が参加してからも、キリエとグロリアは確か何かの機会で歌いました。

そしてアラミレでも演奏したので、なんというか、花井先生は勿論のこと私も、メンバーも体の中に染み付いた自家薬籠中の曲です。

他にもモテットをいくつかやりますが、やっぱりミサになるとこう、みんな体にフィットしてるというか、うん、他の曲はこのフィットさせるという時間が必要なのですが、このミサの場合はそれが必要ないという感じです。

また今回は若手とベテランが半々くらいで混合していて、4声の曲も11人で歌ったりしてます。響はゴージャスで新鮮なものになろうかと思います。


夜は計道会

今日は自主練で、SanctusとAgnusをやりました。Missa Virgo prudentissimaですが、なんとこのミサのSanctusは見開き9枚もあります。

Sanctusって普通、テキストが少ないのでGloriaやCredoに比べると曲も短くなる傾向にあるんですね。

この曲の場合Gloriaは9枚Credoはなんと13枚!!

これと比べてもSanctusはGloriaと同じ枚数ですから、かなり大規模だと言えると思います。

6声で、とっても豪華な写本なので、紙を贅沢に使っているため枚数も増えるのですが、それにしてもこのSanctusは極めて壮大です。Benedictusの後に繰り返すOsannaも、Sanctusの後に歌った同じものを繰り返す場合が多いのですが、この曲は新しいOsannaを歌います。そしてこの最後のOsannaに2枚費やしています。

それに対してAgnusは、なんと2枚、、。それも本来Agnusは第1.第2がmiserere nobis、第3がdondnobis pacemと、3曲必要なのですが、このミサのAgnusは1曲しかありません。

これはどうしたことでしょう、、。力尽きたんでしょうか、、。それとも伝承の過程で失われてしまったのでしょうか。

しかも、このミサはグレゴリオ聖歌の定旋律に基づいて作曲されているのですが、Agnusの最後、定旋律は途中で終わってしまっているんです。

これは、、続きがあったに違いない、、。

実はアラミレでやっている同じくイザークのMissa comme femme deconforteeもAgnus問題があるのですが、これはまた別の人機会に、、、。

計道会の本番は11/23です。その時にはきっとこの謎も解決していることでしょう。

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Salicus Kammerchor

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藤井聡太四段 連勝記録更新

藤井聡太四段 連勝記録更新

とんでもないことになりましたね。

ほんと凄い。もうずっと、これがどれくらい凄いことなのか将棋を知らない人にわかるような喩えを考えているのだけど、全然思いつかないくらい凄い。

レスターのプレミアリーグ優勝とカープのセリーグ優勝を掛け算したより凄い。このくらいしか私には思い浮かびません。

ほんとに比類ない記録なので、喩えられないんです。

で、YouTubeさんがオススメしてくる動画にこういうのがありました。

https://www.youtube.com/watch?v=3VPHW7jYaJk

マンガなら怒られるレベル。これはなかなかいい喩えですね。

お話にならないくらい凄いってことですね。事実は小説よりも奇なり、といいますが。


ただレスター優勝のときもカープ優勝のときも、ほんとにその日が来るまで、「大丈夫かなあ、今日は負けるんじゃないかなあ」って不安だったんですが、藤井聡太四段の場合はそうじゃないんです。

10連勝くらいまでは、ま、そういうこともあるよね。くらいに思ってたのですが、彼の棋譜を幾つか見ているうちに、「あ、こりゃあ勝って当然だわ、全くもってC級2組のレベルじゃない」って思うようになってきたのですね。

だからといって羽生善治でさえ3局に1局は負けるわけで(今まで500回以上負けてる)、誰だって負ける時は負ける。

どんだけ強くたって絶対に負けるんです。にも関わらず29連勝。

記録を塗り替えたということで話題になってますが、これデビューからの連勝記録ですからね。

今まで連勝記録1位だった、神谷八段の記録はデビューから6年とかたってるわけですから。

デビューからの記録でいうと今までは10連勝とかですからね。もうデビューからの連勝記録という意味ではこれまでの3倍くらい記録を伸ばしてるわけです。

もう意味わかりませんよね。


今将棋界って、誰が一番強いかというと、AIが一番強いんです。ポナンザ・チェイナーという将棋ソフトは今まで一度も人間に負けてないようです。https://ja.wikipedia.org/wiki/Ponanza#.E7.AB.B6.E6.8A.80.E4.BC.9A.E6.88.90.E7.B8.BE

もう人間は、「うーんこれは大変難解な局面ですねえ。ポナンザ先生に聞いてみましょうか」て、AIに教えを乞うレベルです。

AIが人間に活用になったのはこの5年くらい。藤井四段が将棋を覚えたのが5歳の頃だそうなので、将棋歴は9年ということになります。

これ改めて凄いことだと思うのですが、つまりどういうことかというと、今から出てくる世代というのは、AIが育てた世代、いわゆるデジタルネイティブ世代だということなんです。

興味深いですよね、AIに育てられた人間はAIを超えることができるのか。

藤井四段がポナンザ先生と対局する日が待ち遠しいです。


デジタルネイティブといえば、そのことが一つのテーマになっている曲がありました。

北爪裕道さんの“Multiplex”という作品です。

この曲については以下に記事を書いているので是非ご一読ください。

ノイズ カットアップ | ヴォクスマーナ

動画も上がっています。

 

ヴォクスマーナは明日からまたリハが始まります。こういう音楽、興味のある方は是非演奏会にお越しください。

第38回定期演奏会
2017年7月20日(木)19:00開演
東京文化会館小ホール

一般3,000円(当日3,500円)、大学生1,500円、高校生以下1,000円

近藤 譲(b.1947)/ 嗟嘆(といき)(委嘱新作・初演)  詩:ステファンヌ・マラルメ 訳:上田敏
大胡 恵(b.1979)/ ずっと月がキレイ (委嘱新作・初演)
山根明季子(b.1982)/ 水玉コレクションNo.15 (2012委嘱作品・再演)
横島 浩(b.1961)/ Interval Ⅱ「泣いてみたくなった ~“I felt like crying”」(2013委嘱作品・再演)

お問合わせ:ryuta0530nishikawa@gmail.com

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カリグラフィーのGloria Patri

カリグラフィーのGloria Patri

借りぐらしのアリエッティをもじってみました。

今日はアラミレで歌うIntroitusに貼っつけるGloria Patriの楽譜を作ってみました。

元の写本の雰囲気がこういう感じなので↓

字体はゴシックにしてみました。

しかしまあ、全然違いますね!笑

似せるならもうちょい似せればよかった。イニシャルとかも工夫すればよかったな。

ただまあ今回ゴシック初挑戦だったので、それにしてはよく出来た方でしょう!

ちなみにいつもはこういう感じ↓

わかりやす画像探してて見つけたのですが、これやったのもう2年前なんですねえ。

下に書いてあるのは、「テノールよ、フォーブルドンしたまえ」(意訳)です。

これもアラミレの演奏会で使ったのですが、今度のもアラミレです。

演奏会は9月24日ですが、チケットはもう発売開始しています。

詳細→http://www.geocities.jp/alamirejp/concert.html

それで、より似てるカリグラフィーのフォントないかなあと思ってネットを見てみると、こんなサイトを見つけてしまいました。

http://free-style.mkstyle.net/web/free-font/black-letter-free-font-collection.html

おおういええ!!!!!もう手書きする必要ないぜえええ!

ワードで打ち込んでプリントアウトして貼っ付ければしまいだぜええ!

ウソウソ。手書きにこそ意味があるんですよ。

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Pulchra ut luna electa ut sol

今日は午後カペラ、夜計歌会×道場でした。

カペラは今日も新曲がありました。ジョスカンのVirgo prudentissimaです。

そう。このブログを見てくださっている方にはお馴染みですね。ですか?ですよね!

今このブログを「Virgo prudentissima」で検索すると6件ヒットしました。今年1月からですから、月に1回は書いてることになりますね。

イザークとモンテヴェルディ

メモリアルイヤー | イザーク&モンテヴェルディ

イザーク | 鼻血

モンテヴェルディ→ジョスカン→イザーク

コンテンポラリー→ルネサンス 再び

ジョスカンとイザーク

そして改めてこのブログ読み返してみて、キモイですね!ひきました笑

マニアック過ぎ。誰が読むんだ笑

もっと美味そうなランチプレートとか載せてアクセス数を稼ぐんだオレ!


とりあえず写真フォルダにあった一番美味そうなものの写真↑(広島ラーメン)


さて、本題はここからです。

Virgo prudentissimaはカペラでイザークのモテット、ジョスカンのモテットを演奏します。

そして計歌会×道場ではこのグレゴリオ聖歌を定旋律としたMissa “Virgo prudentissima”を演奏します。

つまり都合3曲同じ定旋律をもとにした作品を同時進行でリハーサルしている訳ですが、こと3曲には定旋律以外に共通した特徴があります。

タイトルのPulchra ut luna electa ut sol(月のように美しく、太陽のように選ばれた)は、Virgo prudentissimaの最後のテキストなのですが、この最後の部分に用いられたモチーフが共通しているのです。

コンテンポラリー→ルネサンス 再び

でも書きましたが、この最後のテキスト「ut sol」はソルミゼーションでいうところの「ド ソ」に対応します。

そこでこのドソがまるで階名唱をしているかのようにしつこく繰り返されるというのが共通するモチーフなのです。

イザークのモテットの場合


ドソド!ドソド!ドソド!ドソド!

これは非常ーにしつこいですね。しかもこれは半拍遅れの同度カノンで2パートによって繰り返されます。

そしてイザークのミサの中のサンクトゥスの場合(曲の最後で定旋律がelecta ut solを歌う部分)。


先程よりは多少控えめですね。1段目と3段目にこのモチーフが見られます。この場合はミサのテキストで歌われますので、階名唱にはなりません。そういった意味でも暗喩的な感じですね。

というかこっちの方が気になりますよね!↓


花井先生曰く「マントヒヒ」だそうです笑

そしてジョスカンのモテットの場合


こちら印刷譜ですね。同じようにut sol ut solでドッソードッソー…テオイちょっと待て!

お分かりでしょうか。確かに同じ5度跳躍なのですが、これ、ちっともドソじゃない!

左側をご覧下さい。調号がついています。フラットがひとつ。ヘクサコルドではこのフラットのついた音をファと読むため、この5度跳躍はドソではなくレラなのです!

レラーレラーと歌いながら歌詞はドソードソー…これは…気持ちが悪い!

さすがジョスカン。やることが違う。捻りが効いてる。ユーモアセンスが半端ない。

皆様ぜひ今度のカペラの演奏会、そして計歌会×道場の演奏会では、この5度跳躍にも注目してみてください!


詳細はコチラ→http://www.cappellajp.com/

計歌会×道場は11/23です。

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胸熱のグレゴリオ聖歌

胸熱のグレゴリオ聖歌

今日はアラミレのリハーサルでした。

今度のコンサートでは聖母の七つ御悲しみの祝日のミサ固有唱を歌うのですが、今回歌うのはLiber Usualisなどに載っているものではなく、1496-1534年に成立したとされる写本に載っているものです。花井先生が見つけてくださいました。

この写本以外にこのグレゴリオ聖歌が載っているのを見つけられていないのですが、ほんとに変わったグレゴリオ聖歌です。

上の写真がそれなのですが、うっつくしいですよねえ。カラーで。

この写本、前半はポリフォニーがずーっと掲載されていて、最後にちょろっと、この祝日の聖務日課とミサ固有唱のグレゴリオ聖歌が載ってるんです。

以下はこの写本の冒頭、ラリューの同祝日のためのミサです。KyrieのKをかたどった絵が物凄いですね(下のはTenorのT)。

この写本、さらに同じ祝日のためのミサ曲が1曲(作者不詳)、Matheus Pipelareという人のモテットが1曲、そしてジョスカンのStabat Materが収められ、その後にグレゴリオ聖歌が掲載されています。

どうやらこの祝日に特化した写本のようです。

(上の赤字の署名はPipe (La) (Re)となってますね)

ジョスカンのスタバトは2月の古楽院発表会で演奏しましたが今度の演奏会でも演奏します。

この曲の定旋律は今度の演奏会のメインプログラムであるイザークのミサの定旋律と同一です(同写本より↓)。

話をグレゴリオ聖歌に戻しましょう。

この聖歌、テキストも旋律も普通とは違うのですが、それだけでなくかなりトリッキーです。

グレゴリオ聖歌っぽくないと言えると思います。

まず音域が異常です。入祭唱は低いラの音から始まるのですがこれが全体の最低音です。それが最後の拝領唱では1オクターブと7度上の高いソまで到達します。

これはヤヴァイです。もちろん前後のミサ通常文との関係でピッチはいろいろなのですが、それにしても記譜上これだけ音域が広いのはすんごい。

音域の変化はテキストに依拠しているようで、入祭唱、昇階唱、アレルヤ、奉献唱、まではこの祝日のテーマ、聖母の悲しみを表現して比較的沈んだ音域で歌われるのですが、最後の拝領唱に至って、テキストがキリストの復活に触れるところでこの異常な高音域が用いられるのです。

全体の旋律もキャッチーでありながら、意外性に富みまくっていてエキサイティングです。歌ってて途中で、この曲何旋法だっけ!?ってこんがらがります笑。そのくらい変化が激しいです。

文章で表現するのはほんとに難しくてもどかしいですが、もう、聴きに来て!としか言えないです笑

ほんとに面白いです。ワクワクとニヤニヤが止まりません!

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