ハイパー能「菖蒲冠」|終演

少し時間が空いてしましましたが、6月4日に開催されました、ハイパー能「菖蒲冠」について振り返ろうと思います。

菖蒲冠の概要については、叔母桜井真樹子と撮った宣伝動画がありますので、よろしければご覧ください。

叔母との共演は2回目ですが、ハイパー能は初めて、吉松章さん、灰野敬二さんとの共演は初めて、地謡も初めてという初めてづくしの公演でした。

私もたいがいいろんな声で歌っておりますが、能の声は実は一番苦手といっていいほど苦手で、結構不安がありましたが、私が特に苦手なのはどうやら囃子方の声の方で、地謡の方はそうでもないということがわかりました。

そもそも叔母から「ポリフォニーと地謡ができる人」という発注で話があったのですが、「そんな人いません」で終わらないのが叔母の凄いところ。

よく考えてください。

1.新作能を

2.屋外(菖蒲園)で

3.灰野敬二を囃子方に

4.地謡がポリフォニーを歌い

5.テーマがLGBTで

6.心が女性の男性というシテ役を女性の叔母がやる

という頭のてっぺんから足の先までイカれた公演なのですから。

これ思いついても実現できませんよ普通。

制作のマリプラ、まりあさんもさぞ苦労されたことでしょう。

常人には思いつきもしないことですが、実現するのは超人です。心から尊敬します。

おかげさまで満員御礼で、全く得難い経験をさせていただきました。

満開の菖蒲。これだけ満開なのはこの数日くらいだったらしく、お世話している方がこの日に合うように育ててくれたのだそうです。本当に様々な方の努力によって奇跡的な舞台となりました。


今回初共演の灰野敬二さんは、言わずと知れたアンダーグラウンドの帝王なのですけれど、近年は私の父の作ったポリゴノーラという楽器を気に入ってくださって、よく演奏してくださっています。

楽器の特質を際の際まで見定め、製作者の意図を圧倒的に超える音を出しています。

凄すぎる。

今回灰野さんはハープ、フレームドラム、カンテレ、ポリゴノーラを演奏し、カンテレの時は歌も歌っていました。

中でもポリゴノーラの演奏は圧倒的で、もう完全に異世界。まさに能そのものという世界を作り出していました。

個人的に印象的だったのは灰野さんの歌で、これも灰野さんにしか作り出せない世界でした。

あれですね、最近流行りの呪術廻戦的にいうと、領域展開ですね笑


叔母のやっていることは凄すぎて常人には理解しがたいところがありますが、小1時間よくよく話を聞いてみるとおもろいやないかいと思えるようなことをやっています。

そういう意味で上記の宣伝動画を撮れたのはよかったと思っています。

40分という結構な長さになってしまいましたが、全部見ていただければ、叔母のやろうとしたことがわかっていただけるのではないかと思います。

叔母とは12月にグレゴリオ聖歌と声明のコンサートをやる予定です。

これからも注目して頂けると幸いです。

引っ越しました

更新が滞っておりまして申し訳ありません。

先日のカペラの公演、お越しくださいました皆様、誠にありがとうございました。

ビュノワのミサを全曲演奏するのは初めてのことで、大変素晴らしい経験をさせていただきました。

この曲の一部を今秋のEnsemble Salicusでも演奏する予定ですのでどうぞご期待ください。

ほんとに変わったミサで、この動画はクレドの最後の部分なのですが、リズムが拮抗しまくってもうカオスそのもの。しかも最後は定旋律のテノールが沈黙し3声のオクターブで終結します。5度もなしです。全くただのオクターブ。

前半がこれでおしまいだったのでとーっても拍手しづらそうでした笑

そもそも曲の最後でパートが欠けてるのってかなり斬新というか、滅多にお目(お耳)にかからないですよね。

フォンスのスタッフの方がなんとも素敵すぎるものを作ってくださいましてみんなで写真を撮りました。インスタ蝿〜


さて、カペラの公演翌日朝から引っ越しして、江戸川区民になりました。

最大の利点は自宅レッスンが可能になったこと!

これはデカイ!

ということで皆様こぞってうちにレッスンに来てください笑

あと寒くない!前の部屋は二階建ての二階だったので、冬寒く夏暑かったんですよね。

今の部屋はこの時期でもエアコン付けずに生きれます。

ゴイスー!

日当たりが良くて日のあるうちはほんとあったかいです。(夏が心配)


あとね、個人的にものすごい大ニュースなんですが、将棋がアマ二段になりました。

多分もう2年くらい初段で足踏みしてたので、昇段の瞬間は震えました。

やっぱり引っ越しで気が上向いてたんだと思います。


さて本業の方は次は2/10.11に本番があります。

フォンスフローリスの発表会なのですが、今回はアンサンブルグループと古楽院と2日に渡っての発表会です。

10日はヴォーカル・アンサンブル アラミレと、Coclicoというグループのエキストラで参加します。

アラミレはオケゲムの5声のモテット”Intemerata Dei mater”を演奏します。

もーオケゲム!まさにオケゲム!という曲です。すんごいオケゲムです。

今日もリハだったのですが、複雑なうねりに心躍ります。引っ越しの疲れが吹っ飛んで目がギンギンになります笑

Coclicoではラリューのモテット”Considera Israel”を演奏します。3部構成の壮大な作品です。昨年ラリューの没後500年で、古楽院でも集中して取り組んできました。

Coclicoは茨城のグループで、今度リハーサルで茨城まで伺います。楽しみです。

そして11日は古楽院の方の発表会。私はルネサンス音楽入門の皆さんと、ラリューの”Absalon fili mi”を演奏します。

この曲はまさに黒ラリュー筆頭の曲で、入門の講座で扱うにはなかなかハイレヴェルだと思いますが、皆さんがんばってます!

また今回ヴォーカル・アンサンブル カペラが11日の方に特別出演します。

ラリューのミサ「アヴェ・マリア」を歌います。こちらはいかにも白ラリュー、名曲です。

古楽院受講をお考えの方も、出演者のお知り合いの方も、カペラの演奏をお聴きになりたいという方も、皆さまこぞって足をお運びください。

お待ちしております。


おまけ

私の父が作った楽器「ポリゴノーラ」のウェブサイトoto-circleのメルマガに寄稿しました。

題して「櫻井家のおかしな人々」

今回は(序)ということで、私がいかにニッチな業界にいるかということを切々と語っております笑

よろしければご覧ください。

https://t.co/Jo15YJYsJX?amp=1

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Salicus Kammerchor

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公演情報

次回は第5回定期演奏会

J. S. バッハのモテット全曲演奏会です!

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昨年10月に開催されたLa Musica CollanaとのジョイントコンサートのライブCD

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ヴォーカル・アンサンブル カペラ「ラ・リューの聖母ミサ」終演

ヴォーカル・アンサンブル カペラ「ラ・リューの聖母ミサ」終演

昨日まで3日連続で行われました、カペラのラ・リュー公演終演いたしました。

お越しくださいましたお客様、誠にありがとうございました。


初日は鎌倉の由比ガ浜教会。いつも寒いイメージがあって防寒対策完璧で行ったら、エアコンが新しくなっていて、とっても暖かく快適でした。

ありがたやー。

由比ガ浜教会はほんとにいつもお世話になっていて、美しい教会で、行くたびにパワーを貰えます。

凄く短いですが、動画を撮りましたので貼っておきます。

ラ・リューの3重カノンのモテット”Ave sanctissima Maria”です。


二日目は九段教会でした。初めて使わせていただく会場で楽しみにしていましたが、快適な響きで非常にあたたかな雰囲気の教会でした。

演奏会後には、カペラの会員の方々とのパーティもありました。この日は父が広島から出てきていたので私は中座させていただいたのですが、そこで思いがけず父とともに一言スピーチすることに・・・笑

ポリゴノーラの宣伝をさせていただきました笑

ポリゴノーラの演奏動画はこちら。レクチャーの最初の部分です。

素晴らしい演奏です。

そしてこの夜は父と叔母と渋谷でサルディーニャ料理を食べました。

3人で話していると、本当に血は争えないなあ、という感じで、永遠に喋れます。

叔母は今サリクスのメルマガにも記事を寄せてくれていますが、声明やユダヤ教の聖歌ディワンなどを演奏するパフォーマーで、かなり私たちのやっていることと共通する部分があります。

今回話したことも、そのまま文字に起こしてメルマガに載せても、サリクスのファンの方は喜んでくださるだろうなというような内容でした。私たちはある意味クラシック音楽の脈絡からは孤立したアプローチをしていますが、クラシック音楽以外の視点からその意義を認めてもらえるような気がして、とても心強かったです。

父は科学者ですが、音楽と科学って、真理を追求するということではとても共通していて、根本的なところではつながっているので、それもまた心強いです。

一見価値があるようには思われなくて、見向きもされないようなことでも、それを信じて追求するということそのことに価値があるのだと(たとえそれが後に完全に否定されたとしても)、そういうことも話しました。


3日目は近江楽堂でした。

近江楽堂はカペラがジョスカンのレクチャーコンサートをやっていたころは頻繁に使わせていただいていたのですが、最近はなかったのでとても久しぶりでした。

近江楽堂は響きがかなり独特で、お客さんのいない時は響きすぎるくらい響くのですが、お客さんが入るとそうでもなくて、しかも演奏している方と聴いている方ではかなり聞こえ方の違うという難しさがあります。

しかしここにしかない独特の魅力というのもたしかにあって、お客さんとの距離の近さ、音に包まれるような感覚、現実世界から抜け出たような特殊な雰囲気というのがなかなか他では得難いものがあるなあと思いました。

6月の公演でご一緒する佐藤裕希恵さん(芸大古楽科の先輩でもあります)と、以前北とぴあのオペラでご一緒させていただいた高橋美千子さん(それ以来私は彼女のただのファン)がお客さんとしていらしていて大変ドキがムネムネしました笑


ラ・リューのメモリアルイヤー最初のコンサートが終了しましたが、今年はラ・リューの作品を集中して勉強、演奏出来る年になりそうです。

フォンスフローリス古楽院でも新年度からはラ・リューに取り組む予定です。

またヴォーカル・アンサンブル アラミレでも、秋の演奏会に向け準備をスタートしています。前回の記事にも書きましたが、ミサ「ロム・アルメ」、非っ常に興味深い作品です。また紹介していければと思います。

この機会を逃さないようにしっかりやっていきたいと思いますので、ぜひ一緒にこのメモリアルイヤーを楽しみましょう!

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Salicus Kammerchor

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ナマコとスイカとシューマンと

こう並べるとシューマンがシューマイに見えますね。

今日は浅草の雷門で親父と待ち合わせをし、とろろ屋さんでとろろのフルコースをいただき、ナマコの研究者の方とお茶をしました。
なんて日だ!!!
予想に違わず雷門はスンゲー観光客でごった返しておりました。
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とろろのフルコースはほんとにとろろばっかりで、前菜からデザートまでとろろ尽くしだったのですが、アイスクリームとお茶だけはとろろ入ってませんでした。
研究者仲間(?)とこの後会うことになってるから、会ってみないか?と言われ、面白そうだったので同席させてもらったのですが、予想を超える面白さでした。
まず、ナマコ、ナマコそのものが面白い。ナマコは危機を感じると、腸をビロンと出して、捕食者が腸を食ってる間に逃げるそうです。
あるいは捕食者に噛まれると、噛まれた部分のあたりにヒビが入って、ぼろっと切り離して逃げるそうです。トカゲみたいですね。
あるいは人が肩こりになるのと同じようなメカニズムで体を固くすることができ、外敵から身を守るのだそうです。しかしそうなったナマコを更にグニャグニャと曲げていると、今度は自らドロドロに溶けるんだそうです。
それで、また再生するんだそうです。
ナマコは視覚は無いそうですが、聴覚があるのかどうか、まだわかってないそうです。
触覚と嗅覚はどうやらあるっぽいそうです。
なんじゃそりゃーーーー!!!!
めっちゃおもろい!めっちゃおもろいやないけーー!
こんなに面白いナマコなのに、イギリスと日本に研究室が1つずつしかなくて、世界中に研究者が20人くらいしかいないそうです。
お金にならないから研究されないそうです。
嗚呼、身につまされる(T▽T)
それで、今やってる研究というのが、ナマコがどうやって外敵を察知したり、餌場を見つけたりするのかということで、振動を感知することが出来るかどうか、ということをやっているそうです。
その為にナマコの水槽にスピーカーを突っ込んで、様々な音楽(バッハやシベリウス、AKBなんかもありました)を聴かせたそうなのですが、シューマンの交響的練習曲op.13を聴かせると、動いたやつがいたそうです(笑)
ナマコは我々の預かり知らぬ時間軸で生きているようで、反応も微妙、あるいは時差があるようで、音と動きの因果関係を証明するのが難しいということでした。
しかし!ナマコがアクロバティックに!それはそれは豪快に動き回る姿が捉えられました!
長年ナマコを研究されていても初めてだと仰っていましたが、それはどういう時だったかと言うと…。
えーまずカクレウオっていう魚がいまして、これはナマコのお尻に住んでる魚で…
えっとナマコってまずお尻に人間でいう肺のようなものがあって、その気管的なところにすぽっと入って共生しているのがカクレウオなんですって…
もうなんかアレですよね…
面白情報渋滞してますよね。面白過ぎてキャパオーバーみたいなね(笑)
それで、たまたまとあるナマコから抜け出したカクレウオが、別のナマコに入り込もうとお尻からお尻に…
爆笑\(^o^)/
お尻(つまり尻尾)の方が細いからお尻から入ることがあるんですって、お尻に。
お尻からお尻に。オシリアイ…
それでそのカクレウオがお尻から入ろうとしたその時!アクロバティッククロナマーコ!
もうそれはそれは嫌そうにのたうち回るのです。こんなナマコの姿見たことない!とこの道20年の研究者が言うほどに。
と、いうことは、お尻が感じやすい…あーつまりそこにセンサーがあってそこで振動を感知している可能性があるということで、そこにシューマンを聴かせたら、つまりカナル型イアホンをアナ…えーつまり直接その尻にシューマンを…爆
そういう研究をしてるそうです。

いやー面白かった。みんなもっと研究した方がいいよ、ナマコ。

そのカクレウオは結局そのクロナマコのお尻には入れなくて、ジャノメナマコのお尻に入ったそうです。
ジャノメナマコは嫌がったのかというと・・・・・・・。
まんざらでもなかったそうです。笑

これが大きさの問題なのか、あるいは種類によっての差異なのか、はこれから研究するそうです。

カクレウオとナマコの関係。面白いですね。大きいナマコには4匹とかカクレウオが入ってることもあるそうです。

あ、題名のナマコとスイカというのは、うちの父はスイカに音波を当てて、その反射音で熟度を測るという研究をしていまして、その反射音が非整数倍音であることに気づいて、その非整数倍音を用いて音階と、それに基づいた楽器を開発したのですが、そういう関係で、ナマコの方はうちの父と知り合ったそうです。
ちなみにスイカの音階に基づいた楽器、ポリゴノーラについてはコチラ
かたや植物に、かたや動物に音波を当てている2人。
通じあうところがあるようです。
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櫻井元希へのお仕事のご依頼は以下のメールアドレスまで。
g.sakurai.office@gmail.com
発声・歌唱指導、合唱指導等承っています。
詳細はコチラをごらんください。

新しい音階と礼拝の中のバッハ

今週末は二つのイベントがあります。

ひとつは土曜日、以前のブログでもお知らせいたしました、うちのおやじのイベントです。

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将来音楽史の教科書に載るかもしれない画期的な試みです。
調性が崩壊したあとしばらく何も崩壊しませんでしたが、ここへ来てオクターブを12に分ける音階そのものが崩壊するかもしれません。

微分音のことを言っているのではありません。微分音は半音を何等分かにするというものですので、結局はこの12音からできた音階を離れるものではありません。

12音の音階を崩壊させるものとは何か?

それは、スイカだ!!!!

というわけで、これ以上は超難解なので、ぜひこのイベントに足を運んで、それはそれは詳細にレクチャーを受けてください(笑)。

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翌日曜日には、カンタータクラブの下谷夕礼拝公演があります。

これは毎年この時期に、上野の下谷教会で、夕礼拝の一部としてカンタータを一曲演奏させていただいているもので、今年はカンタータではなく、ミサ曲ロ短調よりグローリアを演奏いたします。

ご存じのとおり、バッハの作曲した教会カンタータは、毎日曜日の礼拝のために書かれ、演奏された音楽です。そして実は、ミサ曲ロ短調も、クリストフヴォルフによると、カンタータの代わりに(抜粋で)礼拝で使われた可能性があるそうで、そういった意味でも非常に興味深い試みと言えると思います。

無料の公演(演奏会ではないので公演というのもはばかれますが・・・)ですので、是非お気軽に足をお運びください!