ロ短調ミサ→ジョスカン→イザーク

ロ短調ミサ→ジョスカン→イザーク

今日は錦糸町のすみだトリフォニーホールでバッハのミサ曲ロ短調BWV232を演奏した後、アラミレのリハーサルという日でした。

最近ロ短調はあちこちで演奏されてますね。

私は合唱エキストラで伺ったのですが、テノールパートを通して歌ったのは初めてなのでした。

いやはや。テノールってほんと凄いですよ。バスと比べて消費カロリー3倍くらいじゃないでしょうか。

ダイエットしたい人はテノール歌えばいいと思う笑。私今日だけで2・3キロ痩せたんじゃないでしょうか笑

あとバッハの場合、報われない難しさがあって、こんなとこでこんな超難しい音型やってるの誰も気づかないだろうなー!と思われるところに命かけるの萌えます笑

でも気づかれないから間違ってもいいとかいうことではなく、間違えなかったら気づかれないんですね。間違えたら気づかれますので笑

ロ短調やるのは実は昨年のカンタータクラブ定期演奏会以来だったのですが、テノールを通して歌うことで、その時には全く気づけなかった細かい細かい面白さをいっぱい発見できて嬉しかったです。

やっぱりバッハ最高。ほんとに素晴らしい。

テノールのソリストは我が師、櫻田亮先生だったのですが、もう最高でした。背中から沢山のことを学ばせていただきました。

あと恐るべきはソプラノ2のソロを歌われた澤江さん。昨日青木洋也さん指揮のロ短調の本番があったそうで、2日続けて別の団体でロ短調の本番という超人的なスケジュールだったようです。


ロ短調終演後、半蔵門線錦糸町駅16:36発の電車に飛び乗り、ギリッギリ17:30のアラミレのリハーサルに間に合いました。

アラミレは今2/11のフォンスフローリス古楽院の発表会に向けてリハーサルしています。

曲目はジョスカンのStabat Mater、一般にはあまり知られていませんがほんとびっくりするくらい名曲です。

後半の3分割と2分割が目まぐるしく入れ替わりながら祈りの言葉を畳み掛けるところなど鼻血ものです。

ジョスカンってほんと天才だと思います。バッハ以前の作曲家の中で、彼ほどの閃きとインスピレーションを持ちえた作曲家はいないと思います。

底知れなさ、いつまでも理解しきれない未知の部分があるような気がする、という点で2人は共通しています。深遠です。

アラミレは9月の演奏会のためのリハも始めていて、今日はMissa comme femmeのキリエを譜読みしました。

イザークとジョスカンは同じ時代の作曲家なのですが、全然違います。対照的と言ってもいいかも知れません。

この2人のキャラクターの差を示すエピソードとして、フェラーラのエステ家の家臣が当主にこの2人を紹介した書簡がありました。

曰く「イザークは注文すればすぐ書いてくれるし人柄も良い。ジョスカンの方がいい曲を書くが、気が向いた時にしか書いてくれず、報酬も2倍近く要求する」のだそうです笑

当主はジョスカンを採用したそうです。

私はイザークとジョスカンは、確かに違うが、ジョスカンの方が優れている、と言うのはちょっと言い過ぎじゃないかなぁと思います。

2人とも違った意味で素晴らしいです。

今日リハーサルしたミサはほんとにシンプルで構造がわかりやすく、すっきり爽やかで、喉越し最高なビールのようです。

対してジョスカンはものすごーく渋みの強いが香りの奥深いワインとでも言いましょうか。ワインそんなに知らないですけど笑。

ちなみに僕はワインよりもビールの方が好きです。はい。誰も興味ないですねー( ̄∇ ̄)

9月の演奏会では、イザークのミサに、ジョスカンのスタバトも演奏予定ですので、2人の作曲家の違いをお楽しみいただける演奏会になろうかと思います。

日程が近づいてきましたらまた紹介しますが、こちらもお勧めの演奏会ですので、よろしければご来場くださいませm(_ _)m

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Salicus Kammerchor第3回定期演奏会

『J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズvol. 3 〜詩編モテットと葬送モテット〜』

チケット発売中!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

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Salicus Kammerchor主催第3回ワークショップ

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ご好評いただいておりますサリクスのワークショップです。毎回早い段階で応募上限に達しております。

お申込みはどうぞお早めにお願いいたします。

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櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

イザークとジョスカン

昨日は午後カペラでイザークを歌い、夜アラミレでジョスカンを歌いました。

以前の記事でも紹介しましたが、カペラでお正月に歌うイザークのミサはほんと聴き所満載で歌いごたえ満点な曲です。

この曲には珍しいメンスーラ、テンプスインペルフェクトゥム・プロラツィオマヨール・ディミヌートゥムが登場します。

以下の写真の箇所(第2キリエ)です。 

美しいカリグラフィーのKのあとにクレフがあり、調号のフラットがあって、その隣りにあるのがメンスーラ記号です。Cに棒に点ですね。

Cに棒というのは現代の拍子記号にも名残を留めるいわゆるAlla Breveの記号ですが、これはテンプスインペルフェクトゥム・プロラツィオミノル・ディミヌートゥムです。

点がつくとプロラツィオがミノルからマヨールに変わるんですね。これがなかなか珍しい。はない先生も20年やってきて初めて見たと仰っていました。

詳しくはこちらのサリクスのブログ記事をご覧ください→第13回 記譜法の歴史(その2)

ま、ようは現代の感覚でいうところの8分の6みたいな感覚ですね。ざっくり言うと。

この画像の右の方見ていただくと白塗りの8分音符みたいな記号(フーサといいます)が現れているのがわかると思います。

これはプロラツィオがマヨールな時に特有かと思います。プロラツィオが3分割なので、セミブレヴィスとミニマがコロルになる可能性があって、ミニマがコロルになってしまうと、見た目上セミミニマと同じになってしまうんです。ですがミニマがコロルになってところで音価は変わらないので、ミニマより小さな音価を表すためには旗をつけるしかないと。その結果白塗りフーサになってしまうということなんですね。

はい。上の文章は人類の1%位にしかわからないと思いますので、わからない方は是非、フォンスフローリス古楽院の講座を受講してください笑

来年度から、アシスタント講師から、講師になります!

フォンス・フローリス古楽院2017年度 東京講座案内


夜間のアラミレで練習したジョスカンのStabat materは、2月の古楽院発表会で演奏します。

以下の演奏、団体名がかぶってますが、私たちじゃない方のアラミレです笑

JOSQUIN DESPREZ: Stabat mater dolorosa

ALAMIRE, directed by David Skinner

https://www.youtube.com/watch?v=Y9PVPY1mGeg

バンショワのシャンソンComme femmeを定旋律とした5声のモテットです。

以前の記事でも書きましたが、以下がバンショワの原曲です。

commefemme

このモテット、お聴きになって、わかると思いますが、とんでもない名曲です。

もう心臓鷲掴み、血の気も失せるような名曲です。

こんなに静かに心をかき乱されることはありません。

もうこの、定旋律の凛とした佇まい。宿命的とでも言えばいいんでしょうか、絶対的なナニカに対する真摯な祈り。諦観にも似ているけれど、喜んでそれを受け入れるような、海のような音楽です。

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演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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来年のアンサンブル・アラミレ

来年のアンサンブル・アラミレ

今日はアンサンブル・アラミレのリハーサルでした。

来年のアラミレは、イザーク没後500年を記念して、イザークのミサを取り上げます。

取り上げるミサは、Missa “Comme femme”というバンショワのシャンソンを元にしたミサ曲です。

例によって典礼形式で、「聖母マリアの七つの御苦しみの祝日」のミサ固有唱をグレゴリオ聖歌で歌います。

この祝日には有名なセクエンツィア、Stabat materが歌われますが、それを今回はジョスカンのポリフォニーで歌います。このジョスカンの作品には、ミサの定旋律と同一のComme femmeのシャンソンが定旋律として使われています。

今日初めて音出ししましたが、凄い曲です。もう、天才!笑

そして最後にイザークのAngeli Archangeliを歌いますが、この6声の大規模なモテットも、定旋律はComme femmeです。イザークと言うと、どっちかというと地味っていうか、滋味っていうか、じんわり系?スルメ系?な作風を想像しますが、この曲は全然違います。ものごっつい壮麗で、躍動的です。

あ、上の画像がそのComme femmeです。

今回の演奏会はこのシャンソンで統一された演奏会になりそうです。

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演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

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Salicus Kammerchor サリクス・カンマーコア第2回定期演奏会

ガッツリ宣伝です!イェィ!

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サリクス・カンマーコア、今回は『Melete Thanatouー死が照らし出す生の輝きー』と題しまして、死をテーマとした選曲をしています。

人間にとって最も重いテーマだと思いますが、タイトルの通り、死の側から生を見ることで、生がより輝いて見えるような、そんな希望に満ちた演奏会になることうけあいです!
僕個人の死生観は、一般にキリスト教で言われるそれとはちょっと違うのですが(だからこそ、Melete Thanatouというキリスト教とは全く関係ないタイトルをつけました)、根底では繋がっていると感じています。
それはバッハやシュッツやジョスカンやオケゲムやグレゴリオ聖歌の音楽からも感じられます。
宗教って人を徹底的に謙虚にするものなのに、実際はそうなってないことの方が多い。
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昨日初回練習でした。
今回初めてのメンバーもいるので、初めての古ネウマに戸惑っている人もいましたが、本番には素晴らしく感動的に歌えるようになってますので是非ご期待下さい。
今回グレゴリオ聖歌は1曲だけですが、これがなかなか手強い!
サリクスだらけ(笑)
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この画像の1番最後にあるのが、シメオンの台詞の冒頭部分で、そこにはサリクスが2連ちゃんになってるのがわかるとおもいます。その直前もサリクスですしね。

いやー楽しみです。凄く特別な時間になるんじゃないかな。
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Salicus Kammerchor 第2回定期演奏会
『Melete Thanatou―死が照らし出す生の輝き―』
【曲目】
H. シュッツ(1585-1672)「音楽による葬儀」op. 7, SWV 279–281
H. Schütz “Musikalische Exequien” op. 7, SWV 279–281
グレゴリオ聖歌 聖母お清めの祝日のためのアンティフォナ
「シメオンは聖霊からお告げを受けていた」
Gregorian chant : Antiphona in Purificatione Beate Mariae Virginis
“Responsum accepit Simeon a Spiritu Sancto”
J. オケゲム(ca.1410-1497)「憐れみたまえ/死よ、お前は傷つけた」
J. Ockeghem : “Miserere / Mort, tu as navre”
J. デ・プレ(ca.1440-1521)「オケゲムの死を悼む挽歌」
J. des Prez  : “La deploration de Johan.Ockeghem”
J. S. バッハ(1685-1750)「来給え、イエスよ、来給え」BWV 229
J. S. Bach : “Komm, Jesu, komm” BWV 229
J. S. バッハ「恐れるな、我はともにあり」BWV 228
J. S. Bach : “Fürchte dich nicht, ich bin bei dir” BWV 228
演奏:Salicus Kammerchor
指揮:櫻井元希
【千葉公演】
日時:2016年5月21日(土)
14:00開演(13:30開場)
会場:千葉市生涯学習センター ホール(2階)
アクセス:
〒260-0045 千葉市中央区弁天3-7-7
TEL. 043-207-5811(代)
・JR千葉駅東口または北口から徒歩8分
・千葉モノレール「千葉公園駅」から徒歩5分
【東京公演】
日時:2016年5月25日(水)
19:00開演(18:30開場)
会場:ルーテル市ヶ谷ホール
アクセス:
〒162-0842 東京都新宿区市谷砂土原町1-1
TEL. 03-3260-8621
◆各線市谷駅下車◆
・JR総武線地上出口徒歩7分
・都営地下鉄新宿線A1出口徒歩7分
・東京メトロ有楽町線5,6番出口徒歩2分
・東京メトロ南北線5,6番出口徒歩2分
入場料:【全席自由】一般3500円/学生2000円(当日:一般4000円/学生2500円)
チケットのご要望:090-3238-0364/salicus.office@gmail.com(星野)
後援:フォンス・フローリス
メンバー:
ソプラノ
金成佳枝
鏑木 綾
根本真澄
山口紗知
アルト
岩渕絵里
小巻風香
野間 愛
眞弓創一
テノール
金沢青児
富本泰成
沼田臣矢
渡辺研一郎
バス
青木海斗
大津康平
谷本喜基
西久保孝弘
通奏低音
森田叡治(チェロ)
田宮 亮(オルガン)
上田朝子(リュート)
イベントページ
【千葉公演】
https://www.facebook.com/events/992597647500339/
【東京公演】
https://www.facebook.com/events/1554262211556001/
【サリクス・カンマーコアホームページ】
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詳細はコチラをごらんください。

中嶋朋子がいざなう 音楽劇紀行|第一夜 → ラフォルジュルネ

表題の公演にカペラとして出演します。

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公演詳細

今日はその初リハーサルでした。
主催公演ではないので、詳しくはわからないのですが、中世の典礼劇から現代のミュージカルまでを、様々な歌手が歌い継いでいくというような趣向の演奏会のようです。
既に夜の公演が完売となり、急遽昼公演が追加となりました。
カペラはこの公演の最初の部分で、グレゴリオ聖歌と典礼劇、ジョスカンのVictime Paschali laudesを演奏します。
ちょっと演技が付くみたいです。
典礼劇は単旋律で、イエスの復活の一場面を演奏します。
ポリフォニーは最後のジョスカンだけで、それまでずっと単旋律ですので、ジョスカンのポリフォニーがより鮮やかに感動的に聴こえると思います。
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これと似たような感じで、単旋律中心の演奏を、実は5/3にラフォルジュルネでもやります。
公募枠なんだと思いますが、縁あって機会をいただくこととなりました。
今年のラフォルジュルネは自然や季節がテーマだそうで、季節といえば教会音楽的には教会暦がそれにあたると思います。
ということで季節のグレゴリオ聖歌を、シェフの気まぐれ風にはしないで、4人でがっちり硬派に歌います。
メンバーはいつもの人たち、富本泰成、渡辺研一郎、佐藤拓、そして私櫻井元希です。
地下の広場のようなところでやるそうで、マイクを使っての演奏だそうです。
本当は5/3のミサを歌おうと思ったのですが、あまりにマイナーだったので、有名なキリストの昇天ミサ(今年は5/5)をやることになりました(今日決まりました)。
2日違いですが、季節のグレゴには違いありません。えっへん
ラフォルジュルネでマイクで30分グレゴって、わくわくしますよね。
多分今までのラフォルジュルネでこれだけがっつりグレゴリオ聖歌が歌われたことはないんじゃないかなぁと思うので、どんな反応になるか、ちょっと楽しみです。
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