飢える

飢える

前も同じことを言ったことがあるような気がしますが、ここのところ深刻に音楽に飢えています。

何言ってんだと思われるでしょうが、音楽を生業としていても、音楽に出会えることは本当に稀です。

毎日いろんな現場でいろんな歌を歌って、音楽に溺れたような生活を送っているようにみえるでしょうが、私たちは渇いています。

よく年配の方々に

「昔は音楽といえばラジオくらいしかなかった、私たちは音楽に飢えていた、今は音楽が溢れている、恵まれた時代だ」

というようなことを言われますが、それは違うと思います。

溢れているのは音です。そこに音楽なんかありゃしません。

僕たちこそ、音楽に飢えています。

しかもそうと気付かずに。
恐ろしいですよね。悪夢のようです。

 

もうね、はっきり言って、本気で、全力で音楽に近づこうという気さえない人とは一緒に仕事したくないんですよね。


今週からサリクスの練習が始まります。

いい感じに超ハングリー期に突入したので、ぶつけてこようと思います。

当り散らさないように気をつけます笑


サリクスのコンサートは10/26と29、La Musica Collanaとのジョイントコンサートです。

バッハのカンタータ47番と138番をメインに、前半は、バッハのカンタータの背景となったような作品を集めてプログラムを構成しました。

こんな面白いプログラム他にないと思います。

前半のサリクス単独ステージは、バッハの時代のライプツィヒの礼拝の流れを模した(しかしそのままではない)プログラムになっています。

入祭唱モテット→キリエ・グローリア→コラール→説教→カンタータ

というのが礼拝の流れなのですが、説教以外はだいたいこの流れに沿っています。

入祭唱モテットはイザークのコラーリスコンスタンティヌスから三位一体節後第15主日のためのものを選びました。この主日はカンタータ138番が演奏された主日と同一です。

サリクスはグレゴリオ聖歌からバッハまでの流れを追うという選曲コンセプトがありますので、イザークが元にしたグレゴリオ聖歌も歌うことにしました(これはバッハの時代にはなされなかったことですが)。

そして前半の目玉はパレストリーナ作曲、バッハ編曲のミサ《シネ・ノミネ》です。この曲はバッハが演奏時に使ったであろうパート譜が残っていて、それによるとなんと通奏低音にチェンバロとオルガンとコントラバスが指定されています。

まずパレストリーナに通奏低音をつけるというのが驚きですが、それがバロック時代の習慣でした。

既にビクトリアの作品にも通奏低音を入れた形跡(バスに数字が振ってある)があるものもあるので、それ自体は不思議なことではありません。

しかしチェンバロとコントラバスが入っているというのはなかなか衝撃的です。

まぁせいぜいオルガンとチェロ、あるいはサクバットくらいのもんかと思っていたらその斜め上をいく楽器指定でした。

チェンバロとコントラバス入りのパレストリーナ、必聴です。

キリエ・グローリアのあとは4声体のコラールが歌われたそうなのですが、それだけだとつまらないので、シャインの宗教コンチェルトも加えました。

3人のソロと通奏低音という編成で、鮮やかに装飾されたコラール旋律が印象的です。

サリクス単独ステージの最後はハスラーの単純なコラールで締めます。

この2曲は、後半で演奏するカンタータ2曲に使用されたコラール「なぜ悲しむのか、我が心よ」です。

前半の後半はLa Musica Collanaの単独ステージです。ヴァイマール時代にバッハに多大なる影響を与えたヴィヴァルディのコンチェルト、そしてバッハのコンチェルトを演奏してもらいます。

バッハが作曲に使ったパレットの一つ一つの色について、その出自を明らかにするような演奏会になると思います。

ぜひぜひ演奏会に足をお運びください。

演奏会詳細はこちら↓

http://www.salicuskammerchor.com/#!concert/c2516


それから来シーズンのサリクスのサポート会員の締め切りが近づいてまいりました。

今月末が締め切りです。

まだ目標まで遠く及びません。

目標は定期会員様50名ですが、現段階で25名様のお申込みをいただいております。

この活動は本当になんとしてでも続けていきたいのです。しかし演奏会を満員にしたとしても赤字、というのが今の演奏会チケットの相場です。(5月の第2回定期演奏会も、東京公演は満員を超えるお客様においでいただきましたが、ン十万の赤字でした)

本当に皆様のお力無しには活動を継続することは不可能です。

(そこのところはこちらの記事もご参照いただけると嬉しいです→再びサポート会員募集のお願い!

皆様のご支援心よりお待ちしております。

会員になってくださった方には大変お得な特典もございます。

詳しくは以下のリンクをご覧ください。

http://www.salicuskammerchor.com/#!support/n8wnx

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櫻井元希へのお仕事のご依頼は以下のフォームよりお問い合わせください。

 

ブルガリアンヴォイス→アダム・レナー

ブルガリアンヴォイス→アダム・レナー

今日はアガリアム合唱団主催のワークショップ、「ブルガリアンヴォイス入門」に行ってきました。

アガリアム合唱団は、このような世界の歌、合唱のワークショップを年中企画されていて、私も昨年「西洋クラシック合唱入門〜歴史と実践〜」というタイトルでワークショップの講師をやらせていただきました。

サリクスのホームページの、ワークショップ→アーカイブでこのワークショップの詳細はご覧いただけます↓

http://www.salicuskammerchor.com/#!archive-1/es084

それからこのワークショップシリーズにはうちの伯母も声明と白拍子の講師をしています↓

https://www.facebook.com/events/1664482620498151/?ti=icl
そんな縁の深いワークショップシリーズ、受講するのは二回目で、前回は「インド声楽入門」を受講しました。

これも私がグレゴリオ聖歌を歌う上で大変、非常に、おもっくそ参考になっておりまして、また西洋の音楽の発展を世界の音楽から位置付ける大いなるヒントにもなっております。

あ、縁が深いといえば、アガリアム合唱団のイベントにゲスト出演します!

我が師、徳久ウィリアム

いつもお馴染み佐藤拓

カルグラの達人アイケイイチ

と私櫻井元希

で演奏します!

全員でカルグラします。ヤバいです!激ヤバです笑

イベント詳細はこちら↓(残席僅少です)

https://www.facebook.com/events/1761978210728062/?ti=icl


今回のブルガリアンヴォイスは、余りの人気にあっという間に定員が埋まり、追加日程が組まれるほどで、日本におけるブルガリアンヴォイスの認知度と人気の高さに驚きました。

受講して印象的だったのは、僕たちみんなが知りたい、「どうやってその音色出してんの?」っていうところにほとんど触れられなかったことでした。

ブルガリアンヴォイスのレッスンでは、1に言葉、2にメロディ、3にこぶし、で発声とかなんとかっていうのはその後にくるものなのだそうです。

非常に共感できますよね。そういう声になるのはあくまで結果である、とそういうことなんだと思いました。

ぼくらは「結果として表出している現象」に目や耳が奪われて、すぐにそれを真似ようと小手先のテクニックに腐心しがちですが、それでその音が出たからといって、だからなんなのさ?なわけです。

何のために、そういう声が必要なの?なぜ、その声なの?

ぼくたち、特にクラシックの歌手は、その意味でも、徹底的に、根本から「歌」というものを誤解しているのかもしれません。

それは先日のサマーアカデミーでも強く感じたことですが。

「オーイ、オイオイ!」

とか、

「エート、モシモシ?」

とか、

「うーん、ぼくは今いったい何を聴かされているんだろうか、、、」

とか思うような演奏を本当によく聞きますが、そういう演奏になってしまう一因にはこういったことも挙げられると思います。

「音と音楽との違い、声と歌との違い」

についてぼくらはもっと考えなければなりません。そして反省しなければならないと思います。

それからこれはちょっとまた別の話ですが、ぼくらプロというのは、

「プロとして人前に出せるものとそうでないものを測る基準」

というものを持ってなきゃいけなくて、それを常に自分に課して、その基準を日に日に厳しくしていかなければならないのだと思います。



ブルガリアンヴォイスの講座を泣く泣く中座して、夜はアラミレのリハーサルでした。(写真はレナーと同じ写本に含まれている曲です。イニシャルが好みだったのでスクショしました笑)

今年のアラミレの集大成となる演奏会まであと僅か、少しでも音楽に近づくために、微細にわたるリハーサルを重ねています。「音」が鳴っている時間が限りなく少なくなるように、そこに音楽がある時間が限りなく常に近づくように。

今回はちょっとメンバーの都合もありまして、花井先生が歌い手として復活することになりました。

私はテノールを歌います。

テノールはいつも難しいですが、ルネサンスポリフォニーはまた格別です。

それもアンサンブルリーダーとして全体をリードしながら歌うので、さらに格別です笑

花井先生にはいつも、「試されてるなぁ〜」と思います笑

学部3年かなんかでカペラに入った時もそうでしたし、アラミレのアンサンブルリーダーを任された時もそうでしたし、古楽院のアシスタントを任された時もそうでした。

いつも、自分の実力では、ギリギリ届かないなー!笑っちゃうなー!ということが求められます。だから、また一つ大きくなれます。

今回も笑っちゃうくらい大変ですが、コツコツやっていこうと思います。

本番までまだ二週間ちょっとあるさー。

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アガリアム合唱団イベント【残り僅か!】

アガリアム合唱団イベント【残り僅か!】

先日のブログで書きました、アガリアム合唱団のイベントですが、残りお席わずかだそうです。

http://wp.me/p7Ktcz-ao

以下アガリアム合唱団主宰の徳久ウィリアムさんのコメントです。


<定員まで残り10名>
セアダスフラワーカッフェ(自由が丘)3周年記念イベント
サルデーニャの声「テノーレス」〜特殊発声合唱団『アガリアム合唱団』を迎えて〜

当日のメニューとして、お店のオーナーが「サルデーニャの山の中の村でご馳走になった思い出の」子羊の煮込みを用意するようです。

めちゃ旨そう・・・

そして、アガリアム合唱団も精鋭メンバーで、リハを開始しました。

合唱のプロ2人×特殊発声のプロ2人による4人編成。

私が目指していた一つの完成形が表現できそうで、
とてもとても楽しみです。

私の友人知人関係には、値段は高く感じるかもしれないけど、
記憶に深く残るような演奏にしますよ

(羊の煮込みが旨そう・・・・!!)

イベントの詳細・お問合せ・お申込み先はこちらのページです。

https://www.facebook.com/events/1761978210728062/

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お問い合わせは私のところでも大丈夫ですし、イベントページからアガリアム合唱団の方にご連絡いただいても大丈夫です。

先日のリハの動画を見たのですが、かなり面白いことになりそうです。なにより自分が楽しすぎる(笑)

4人全員でのカルグラで、”Prayer”という曲があるのですが、もう、超凄い音が出てます!ちょっと高いけど必聴です!

でもお料理とお酒もついてるので高いとも言えないか。。。

お店のページはコチラ

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八咫烏×八重桜=?

八咫烏×八重桜=?

今日は9月9日本番のVocal Consort Initiumの演奏会にゲスト出演する八咫烏と八重桜のリハーサルでした。

男声8人で八咫烏

https://www.facebook.com/yatagarasu8v/?fref=ts

女声8人で八重桜

https://www.youtube.com/watch?v=7U-e6sPm4gg

https://www.facebook.com/yaezakura8v/?fref=ts

なのですが、このたびこの16人が16声の合唱曲を1人1パートで演奏します!

Clytus Gottwaldが編曲したG.Mahlerの “Ich bin der Welt abhanden gekommen”

同じくGottwald編曲のM. Ravelの “Soupir”です。

これは凄いですよ。

夢の企画ですね。

今日初めて八重桜と合わせましたが、何しろすこぶるいい声ですねみなさん。

しかしマーラーの曲はなんとダイナミクスpが最大で、最小がpppの曲です。

もはや我慢大会(笑)

1人1パートではかなりしんどいです。

そしてラヴェルの方はほぼ15人が伴奏、1人がソロ、のような曲で、そのソロが各パートに受け継がれます。これまたバランスが死ぬほど難しい。しかもソロのパートの音域がかなり低めなところが多いのでなおさらです。

今回もなかなか挑戦的な選曲。燃えますね。


演奏会詳細

日時: 2016年9月9日(金)19時開演

会場: ルーテル東京教会
(JR新大久保駅より徒歩5分)

チケット:
[一般] 前売3000円 当日3500円
[学生] 前売2000円 当日2500円

チケットは以下のサイトからお求めいただけます。もうかなり僅少だそうですのでお早めにお求めいただくければと思います。

http://chordirigent.wixsite.com/vocalconsort-initium/blank

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ボイトレ、ヴォクスマーナ、アガリアム

ボイトレ、ヴォクスマーナ、アガリアム

今日は午前中ボイトレのレッスン、午後ヴォクスマーナ、夜アガリアム合唱団という日でした。

書くことがあり過ぎてどうしようって感じですけど書きます。

午前中のレッスン生さんはもう2-3年通われている方なのですが、本当に毎回声が変わっていきます。

やっぱり私も相手も生き物なので、毎回毎回違うんですよね。だから毎回レッスンも違う感じになるし、声も違う感じになる。

今まで出たことのない声とか、今までに感じたことのない感覚、とかいうのが得られると嬉しいですよね。

ああ、こういう声も出るのか!とか、おお、こういう感覚もあるのかって思えるのが醍醐味ですね。



午後はヴォクスマーナへ。何の練習かというと、なんと1/12の本番のための練習です。

準備はや!

実はこの演奏会本来は10月が本番のはずだったのですが、やんごとない事情で本番日が移ったのです。

ですが練習予定日はあらかじめ決まっていたので、せっかくだから早めにとりかかるか、ということで今日からスタートしました。

演奏会詳細はコチラ

今回の定期は伊佐治直さんのアンコールピース全曲演奏会。

全曲がアンコールで出来た演奏会なんて凄いですよね!斬新すぎる!

アンコールピースのシリーズについては過去のブログにも書いています。

そもそもこのアンコールピースのシリーズというのは、ヴォクスマーナが伊左治さんに第19回定期演奏会の際に委嘱した作品、Nippon Saudadeがきっかけだったそうです。

ヴォクスマーナに普通のドミソを歌わせたら面白いんじゃないか、というアイデアで伊左治さんがこの作品の最後の部分に、単独でアンコールピースとしても成立するコーダをつけたのだそうです。

それがきっかけで第20回定期ではこのコーダ部分《歳月》をアンコールとして再演、第21回定期からアンコールピース初演のシリーズとなったのだそうです。

そこから前回の定期まで13作品このシリーズは続いてきました。

今日全ての曲の音出しをしてみて思ったのは、これらの作品の多彩さです。

全てがアンコールピースなので、似たような作品の羅列になるんじゃないかなぁと思っていましたがどっこい。大胆さ、繊細さ、ユーモア、アイデア、斬新さに溢れた凄い作品の数々です。

これはなかなか歌いごたえ満載の、どっちかというと消耗系の笑、骨太企画です。なんというか、緩みがないといいますか、いや、雰囲気として緩んだ曲も勿論あるんですが、その芯の部分ではこう、ピリッと締まった、付け入る隙を許さないような厳しい世界がある、という感じでしょうか。

これは、まとめて出版されたりしないんでしょうか。

広く歌われて欲しいですね、、。出版されないとなかなか普通の合唱団では取り上げられませんから。


そして夜はアガリアム合唱団のリハーサルへ。

アガリアム合唱団は私のボイトレの先生、徳久ウィリアムさんの主宰する団体で、特殊発声を使った声楽アンサンブルです。

こういうのやります。

実は私喉詰め発声、カルグラ、できるんです。

一回八咫烏でもカルグラは使いました。

これの最後の音です。

サルデーニャの男声合唱テノーレスはほんと昔から心底憧れていたので、今回自分がその演奏に加われることがマジで嬉しいです。

ちょっと私の専門からは外れるけど、でも価値観の多様さと引き出しの多さは自分のセールスポイントでもあるので、これはこれで本気でやります。

喉詰めとカルグラ、それにオルティンドー、本番までに人前に出せるように鍛えます。

イベント詳細はコチラ

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