『スマメとニュウアイ 』KENTARO TAKASHI Exhibition PARTY|終演

昨日、バッハカンタータアンサンブルのゲネプロでカンタータ3曲を通した後、表参道のカフェにて、ノイズボイスデビューをしてきました。

(バッハカンタータアンサンブルの演奏会情報はコチラ

Kentaro Takahashiさんの展覧会の中でのイベントの一つとして、徳久さんに依頼があり、ノイズボイスカラオケの一員として乗っけていただきました。

ノイズボイスカラオケについては、以前の記事で書いていますので詳しくはそちらを御覧ください。

ようはカラオケをかけながら、ノイズボイスをやるということなのですが、これがなかなか奥深い。

カラオケというのは私たちが何をやろうが関係なく淡々と流れ続けるわけなんですね。こちらのやってることに全く影響されない。

絶対不変の音楽に対する即興。

これはまさに絶対不可侵のグレゴリオ聖歌に対して即興で対旋律をつけることから始まった多声音楽の起源そのもの。

ちょっとこじつけっぽいですが、結構腑に落ちてます。

と言えると思うのですが、ノイズボイスカラオケはカラオケと、「歌」というものに対するカウンターカルチャーなんだと思います。


まあゴタクはともかく、これねえ本当に楽しいんですよ。

やってみればわかります。

なぜ古楽を専門とする私がノイズをやるのか。

多分直感的にこれが自分の専門につながっていることがわかっていて、今はなかなか論理的には説明できないけれど、きっと10年後にはちゃんと説明できるんじゃないかな。

しかしね。いいんです。

楽しいからやる。やりたいからやる。


ただ、私がヴォクスマーナで歌っていたことと、少し関わりがあると思います。

ノイズでの即興ってある意味現代音楽のさきっぽにあるようなことだと思います。

バッハにしろジョスカンにしろ、彼らの音楽は、彼らの生きた時代にはキレッキレの現代音楽だったんですよね。

そしてその根っこには即興がある。

このことを忘れて古楽はできんのです。

古い音楽を相手にするときに、その音楽を「古い」と思ってしまったらその音楽の「芯」を見失ってしまうのです。

そういう意味で、古楽演奏家はキレッキレの現代音楽をやったほうがいいと思います。

いまここで生まれる自分でも予想のつかない音楽の流れに身を任せる感覚。

「与えられた楽譜から音楽を読み取って再現する」というだけの姿勢から生まれるものとは全く違うものが見えます。

またゴタクを並べました。

最近読んだ本の中に、

「深く掘るためには広く掘らなければならない」

というような一節がありました。

私がやってることってそういうことなのかなと思います。

掘り方はひとそれぞれなんでしょうけどね。


昨日の動画、徳久さんとのデュオです。

ご笑覧ください。

こちらは最後の曲で、徳久さんのソロに、3人でコーラスをつけています。

筑前琵琶奏者の守矢さんが撮ってくださいました。


さて、今週末はバッハカンタータアンサンブル。

オケも合唱もアマチュアで、バッハのカンタータ全曲演奏を遂行中の団体です。

半年に1回、3−4曲のカンタータを演奏し続けてきて、もう110曲くらい演奏しています。

今回は私が指揮します。

ソリストもいつものメンバーで、更に今回はフルートに同級生岩崎花保、オーボエにカンタータクラブの後輩倉澤唯子がオンステします。

ぜひご来場ください。

曲についてはコチラに少し詳しく書いています。

 

 

――・――・――・――・――

Salicus Kammerchor

――・――・――・――・――

公演情報

次回はEnsemble Salicusの演奏会です!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

――・――・――・――・――

CD・DVD発売中!

昨年10月に開催されたLa Musica CollanaとのジョイントコンサートのライブCD

第2回定期演奏会のライブDVD

をウェブ販売しております!

http://www.salicuskammerchor.com/goods

――・――・――・――・――

サリクス通信

サリクスの最新情報や、ここでしか読めない特集記事を配信しています。

http://www.salicuskammerchor.com/mail-magazine-1

――・――・――・――・――

櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

 

Ensemble Salicus初リハーサル

Ensemble Salicus初リハーサル

今日は午前中Ensemble Salicusのレクチャーコンサートに向けての初練習でした。

曲目は半分は以下の動画とかぶっていますが、このメンバーに更に谷本くんが加わっているのでよりリッチで幅広い表現が可能になっています。

そしてこの動画にはない、今日初めて音出しをしたオッフェルトリウムがもう美しくてメロメロ・・・・

こちらです↓

ちょーっとかすれて見えづらいですが、この画像の右下の部分(alleluiaとかかれているはず)がほんとに最高です!

ここの、ディストロファ→エピゼマ付きクリヴィス→ビヴィルガという部分、私たちのディストロファの歌い方が見事にはまって、物凄い説得力のある歌いまわしとなりました。

特殊ネウマの歌い方についてはコチラをどうぞ!

私たちのたてた仮説が演奏によってより説得力のあるものになっていくのを感じています。


また今回、Ensemble Salicusとしては初めてポリフォニーを演奏します。ジョスカンとイザークという二人のフランドルの巨人の作品です。

いつも一緒に演奏しているメンバーですが、このメンツでポリフォニーを歌うのは実は初めてで、音出しを楽しみにしていましたが、今日はほぼ初見にも関わらずかなり捗りました。

もう、これはうまくいく予感しかしません。凄い演奏できるんじゃないかな。(いや、自分でこれ以上ハードルを上げるのはやめよう笑)

ほんとに楽しみです。必聴ですよ!

それからコンサートを100倍楽しむためにもこちらのワークショップもおすすめです!

Ensemble Salicusで演奏するグレゴリオ聖歌、そして来年のSalicus Kammerchor第4回定期演奏会で演奏するバッハのモテットを取り上げます!

詳細はコチラ

定員まで残り7名様です!


Ensemble Salicusレクチャー・コンサート

グレゴリオ聖歌とフランドル・ポリフォニー

〜単旋律聖歌の魅力とそれに育まれた多声音楽〜

 日時:2017年10月18日(水)19:00開演

 会場:豊洲シビックセンターホール

曲目:

グレゴリオ聖歌 主の昇天の祝日のミサ固有唱 ミサ通常唱1番

Gregorian chant Proprium in ascensione Domini Ordinarium missae I

ジョスカン・デ・プレ 「クレド/あらゆる良いものに満ち」

Josquin des Prez “Credo / De tous biens playne”

ハインリヒ・イザーク 復活節のミサより「アニュス・デイ」

Heinrich Isaac Missa Pascale “Agnus Dei” ​ 他

料金:

一般3,500円(当日4,000円)

学生2,000円(当日2,500円)

2017-18シーズン定期会員の方は各500円引きです。

​定期会員についてはこちら

チケット受付:

[TiGET] (当日精算お取置きでのお申込)

https://tiget.net/events/13176

Ensemble Salicus

(櫻井元希・佐藤拓・谷本喜基・富本泰成・渡辺研一郎)

Salicus Kammerchorから生まれた声楽アンサンブル。グレゴリオ聖歌を主なレパートリーとする。10世紀頃に書かれた「古ネウマ」を手がかりに、グレゴリオ聖歌の歌唱法を模索している。特に特殊ネウマ(装飾ネウマ)と呼ばれる、クィリスマ、オリスクス関連ネウマ、トリゴン、アポストロファの演奏法については、微分音にも着目し、グレゴリオ聖歌における装飾的な演奏法を追求している。

 

――・――・――・――・――

Salicus Kammerchor

――・――・――・――・――

公演情報

次回公演は10月18日、Ensemble Salicusのデビューコンサートです!

http://www.salicuskammerchor.com/concert

――・――・――・――・――

DVD発売中!

第2回定期演奏会のDVDをウェブ販売しております!

http://www.salicuskammerchor.com/goods

――・――・――・――・――

メルマガ会員募集中!

サリクス通信に古楽演奏家 花井哲郎とヴォイスパフォーマー 徳久ウィリアムが登場!

http://www.salicuskammerchor.com/mail-magazine-1

――・――・――・――・――

櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

イザークイヤー開幕に向けて

カペラのリハーサルが始まりました。

来年はイザークの没後500年のメモリアルイヤーで、世界各地でイザークフェスティバルが行われません。

行われるのは僕の心の中でだけです。

イザーク、好きなんですよねー。なぜか肌に合うんですよねー。

1月のカペラで演奏するミサは、イザークイヤーの開幕に相応しい素晴らしく奇想天外摩訶不思議出前迅速落書無用な曲です。

カペラは大体、初回のリハーサルで楽譜が配られて、初見大会が行われるのですが、これがあっし好きでがしてね。知らない音楽が楽譜からふわーっと溢れ出して、楽譜の謎を一つ一つ解きながら音にしていく、というのがえも言われぬ快感でありんす。

イザークって、職人気質で、言われた通りにちゃんと書いて、律儀できっちりしたイメージがありますが、意外とお茶目なところとか、いたずらっぽいところ、シュールなジワジワ系の味わいとかあったりします。

ミファーミファーミファミファーミファミファミファーみたいな、おいおいマジかよなんてシツコイんだ!とか

ゼクエンツといって同じ音形で順次上がっていったりするセクションをやたら長く続けたりして、あーっ恥ずかしい!とてつもなく恥ずかしい!恥ずかしいけどそれが気持ちいい!

という変態的な感覚をくすぐられる部分があったりします。

今回のミサはそんなイザークの面白さがここぞ、というところに現れていて、秀逸です。


例えば見た目で面白さが伝わるのは、


名付けて「ジッパーの音形」です。

img_4837

このように音符をくっつけて書くことを「リガトゥーラ」といいますが、リガトゥーラの元となったのは、グレゴリオ聖歌のネウマなんですね。

もしこれの元になったネウマを名前で呼ぶなら、「ポレクトゥスフレクススレスピヌスフレクススレスピヌスフレクススレスピヌス」ということになるのでしょう。最っ高に面白いですよね!

(この面白さがわかりたい方は、是非フォンスフローリス古楽院のグレゴリオ聖歌入門を受講下さい。詳細はコチラ

続きまして、


二度上がって四度下がる、を4回繰り返した末にオクターブ跳躍してロンガで順次進行!おもろい。


溢れ出す「谷」感。


あとこのミサにはカノンが沢山あります。カノンというのは現代ではカエルの歌みたいな、追いかけっこのことを言いますが、もともとは、演奏に際しての但し書き、あるいはモットーのようなものでした。

img_4833

例えばこれは”fuga in diapente pausando unum tempus”「五度下で、1テンプス(1ブレヴィス)休んでフーガ(追いかけること)せよ」


これは”fuga in diatesseront pausando unum tempus”「四度下で、1テンプス(1ブレヴィス分)休んでフーガ(追いかけること)せよ」


そしてこれは、”Qui me barritonare cupit in decimis intonabit”「10度の音程でバリトナーレすること」とでも訳すんでしょうか。ソプラノの10度下で、ずーっと平行でバスが歌います。これ、このミサのいっとう最後の部分、第2アーニュスです。これでこのミサおしまいです。

最早パンクですね、反骨精神すら感じます。

4度、5度のカノンはよく見ますが、10度で平行せよ、というのは初めて見ました。

オモロイやないか。イザークさん。

このミサの他に、イザークの代表作、コラーリス・コンスタンティヌスより固有唱を歌い、そこにない固有唱(GradualeとOffertorium)をグレゴリオ聖歌で歌います。そして最後に、モテットを1曲歌う予定です。

いやー楽しみですねーイザークイヤー!


演奏会詳細はコチラ

――・――・――・――・――

演奏動画公開中!

Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonis / Salicus Kammerchor

Ensemble Salicus : Gregorian chant from “Proprium in ascensione Domini” / “Ordinarium missae I”

――・――・――・――・――

主宰団体Salicus Kammerchorホームページはコチラ

――・――・――・――・――

櫻井元希へのお仕事のご依頼、チケットのお求め等は以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。