Tom Waitsを歌う

来週火曜日6/21、人前で初めてトム・ウェイツを歌います。

徳久さんの企画ライブにお呼ばれしまして、「トム・ウェイシ」というユニット名で出させていただくことになりました。


私とTom Waits

トム・ウェイツは今では私の最も好きな歌手です。

といってもちゃんと知ってると言えるのはsmall changeというアルバムくらいですが。

とにかくこのアルバムが好きすぎて、こればっかり聴いています。

ちなみに好きな歌手ランキング、2位はOidupaa、3位はado、4位はSION、5位はJeff Walkerです。

それはどうでもいいんですけど、多分Tom Waitsを聴いたのはSIONがきっかけだったかもしれない。

SIONの曲に、「酔いどれトムのブルースを聴かせて」って歌詞が出てくるんですよね。

Closing timeという曲名も、Tom Waitsのデビューアルバムから取られています。

それでSIONはどこで知ったかというと、私立探偵 濱マイクというテレビドラマで、これの最終回にSIONが役者としてい出てきて、最後歌が流れたんですけど、それで腰抜かしたんですよね。

あーー永瀬正敏がかっこよすぎる。。

脱線しました。そういうわけで、私の好きな歌手ランキング第1位のトムウェイツを人前で歌う日がついに来ました。

家で録音してアップしたりはしてたんですけどね。


今回の曲目

今回私はsmall changeからThe piano has been drinkinとI wish I was in New Orleansを歌います。普通に。

そしてちょっと変わったところでは、シューマンの歌曲をトム・ウェイツ風に歌います。

もしもシリーズみたいで冗談のようですが、全然普通にいいです。むしろ普通のクラシックの声で歌うよりも良いかもと思っています。

今回共演のピアニスト岡野勇仁さんも「もともとこうだったのかもしれませんねえ」とおっしゃっていました。

徳久さんのほうは、もともとオリジナル曲でトムウェイツの声を使っていて、その曲と、あと私のリクエストで、What a wonderful worldを、サッチモ、トムウェイツ、デス声で歌うというのをやってもらいます。

このネタ好きなんですよねえ。

と思ってyoutube検索しかけて思い出した。。。徳久さんのアカウント、バンされたんだった。。。まったく、、ひどい話だ。

そしてデュオもやります笑

唯一無二の個性、トムウェイツが二人笑

small changeの1曲目、Tom Traubert’s Blues

そしてコエダイ合唱団でいつも合唱やってるので、合唱はどうですかという話になって、合唱曲を1曲やります。

アンジェラアキの「手紙」

多分これが一番面白いです。お見逃しなく!

ご予約は↓

https://www.reservestock.jp/events/710061

自己紹介します

自己紹介します

最近このブログの記事のラインナップを見ても、お前は一体何者だ、結局何がしたいのだと自分でも思いましたので、改めて自己紹介しようと思います。

これが私、櫻井元希です。

この写真いいですよね。昨年のemulsionのコンサートの時に平舘平さんに撮っていただきました。

これだけだとなんだかやばい人だと誤解されそうなので、自意識過剰に自分が写ってる写真を集めてまとめてみました。↓


本業

私の本業は歌手、指揮者です。専門はバロック以前のキリスト教声楽作品です。

その中でも特にフォーカスしているのは、グレゴリオ聖歌、フランドル・ポリフォニー、J. S. バッハです。


歌う方

Ensemble SalicusemulsionEnsemble XENOSThe Cygnus Vocal Octetヴォーカル・アンサンブル カペラ古楽アンサンブル コントラポントなどで歌っています。

大体古楽と呼ばれる1750年以前のクラシック音楽が多いですが、emulsionやThe Cygnus Vocal Octetではもっと新しいものや、バーバーショップなどポップスに近いものなんかも歌っています。

声種はなんなんですかと聞かれることも多いのですが、最近あんまり気にしてません。歌わせてもらえるんであればどこでも歌いますよというスタンスです。

アルトからバスまでならどこでも、という感じですが、シグナスではちょろっとソプラノを歌うことになったこともありました。ホイッスル練習してソプラノも歌えるようになりたいなという希望もあります。

そういうことも滅多に無いのですが、どうしても書類に声種を書かなきゃいけないとかいうときは、間を取ってテノールと書いてます。

最近「声楽家」ではなく「歌手」を名乗っているのは、私の中の声楽家のイメージと、私のやっていることがあまりにも乖離してきたので、「歌手」としています。


指揮の方

指揮は主催しているプロの室内合唱団Salicus Kammerchor、アマチュア合唱団Chor Eleusisと、バッハ・カンタータ・アンサンブルで振っています。

指揮をするようになったのは芸大のバッハ・カンタータ・クラブがきっかけで、モテットやカンタータやミサなんかをやりまして、そこを引退する時に、振るとこなくなっちゃうなあと思って、2015年にSalicus Kammerchorを作りました。

サリクスではまずJ. S. バッハのモテット全曲演奏、全曲録音に取り組み、2019年にモテット全曲録音CDをリリースしました。

現在はJ. S. バッハから時代をさかのぼり、ハインリヒ・シュッツの作品をメインで取り上げるシリーズを進行中です。5月に第7回定期演奏会を行います。

秋にはJ. S. バッハのカンタータを演奏します。直近ではこのシュッツのシリーズとカンタータのシリーズの二本立てとなっております。

Chor Eleusisは2019年に立ち上げたアマチュア合唱団で、サリクス同様グレゴリオ聖歌からJ. S. バッハまでのキリスト教声楽作品をレパートリーとしています。

立ち上げ早々コロナ禍に突入してしまいまして、まだ演奏会が出来ていないのですが、毎週地道に地力向上を目指して練習しています。

バッハ・カンタータ・アンサンブルは師匠花井哲郎がやっている団体で、器楽も合唱もアマチュアでJ. S. バッハのカンタータ全曲演奏を目指している骨の太い団体です。

数年前から花井先生と交互で本番の指揮を振っています。


本業以外(に一見見える方)

ここまでのところはまあ音楽家としてそこそこ普通かなと思う部分なのですが、ここから一見本業とは関係なさそうな活動のお話です。


武術

このブログでもしょっちゅう更新しておりますが、光岡英稔先生のもと武術を稽古しております。

光岡先生は韓氏意拳という中国武術の日本の代表であると同時に、世界の様々な武術を修めて、講座で教えてくださっています。

ほぼ毎回このブログでレポートしているので、詳しくはそちらをご覧いただくとして、なぜ私が武術をやっているのかというところをお話したいと思います。

きっかけは、学部卒業くらいのときに、徳久ウィリアムさんのボイトレを受けに行ったということです。

おそらく7−8年前くらいの話ですが、この時すでに徳久さんは武術からインスピレーションを受けたボイトレをやっていました。

我々が普通にボイトレと言って想像するのは、現状の声を聞いて、それに対してそれをどういう風に変えたいかというところからアプローチするというのが基本かなと思います。

徳久さんのボイトレは、「状態が行為を生む」という発想の元、出ている声をどうこうするのではなく、望んだ声を出すための「状態」の方に着目します、そして声そのものではなく、「状態」にアプローチします。

(あくまで私が徳久さんのボイトレを受けた上での印象なので、気になる方はぜひ徳久さんのボイトレを受けてみてください。)

それでまあ声という現象ばかりを追っていた私にとっては目から鱗でございまして、そのおかげで今の私がいると言っても過言ではありません。

そしてその徳久さんの武術のお師匠が光岡先生ということで、光岡先生の講座に通うようになったというわけです。

ここで学んだことは、歌や指揮のみならず、生きて在るということに関して私の指針となっています。人間とはなにものか、身体とはなにか、自然とはなにか、生きるか死ぬかというあまりに身も蓋もない状況下で生まれた「武術」は、こういった最も根源的な問いに対する示唆をシンプルに、ストレートに与えてくれます。


特殊発声・ノイズボイス

ここでお話するのは、上記の徳久さんにまつわる活動です。

特殊発声というのは、何に対して特殊かというのがめちゃくちゃ曖昧な定義ですが、コエダイr合唱団の活動を想像していただくと大体こういうもんかとわかっていただけるかと思います。

これはイタリアサルデーニャ島のテノーレスという芸能ですが、こんな感じの曲をレパートリーとしています。

他にブルガリアン・ヴォイス、ジョージアの男声合唱、オルティンドー、ホーメイ、ヨーデルなどをやっています。

これをまあなんでやってるかということなのですが、まず第一にこういうのが好きだからです。

特にホーメイやテノーレスは昔から憧れがめちゃくちゃあって、日本でまさかテノーレスを歌える機会があるなんて10年前は想像だにしませんでした。ドリームズ・カム・トゥルーですね。

それでやってみて感じたり、わかってきたのは、こういった特殊と呼ばれる発声方法は、ボイトレ的に普通の声を出すにあたっても良い効果がめっちゃある、ということです。

普通の発想だと、こんな変な声出したら喉を傷めそうとか、声出なくなりそう、とか思いそうですが、真逆です。

ますます健康になりますし、ますます声は出るようになります。

いろんな声出すのが良いことだというのは最近ボイトレ業界でも言われるようになっています。私の経験だけを根拠にしているわけではないです。

ヨーデル、カルグラ、喉詰め、オルティンドー≒ベルティングは私のボイトレのレッスンでは普通にツールとして使います。

そしてノイズボイス。これは徳久さんのオハコです。

今聴いてもエグい。とても、エグい。そして去年の灰野敬二さんとのDUOを聴きに行ったのですが、衝撃的に良かったです。

こういう声(?)を使った企画でノイズボイスカラオケというのに参加しているのですが、ほんとデトックスです。私たちには叫びが足りなかったんだなあと思います。

そしてもちろん喉には良いです。翌日めっちゃ調子いい。出来なかったことが急にできるようになったりします。

呼気にしても吸気にしても、やっぱりノイズボイスが一番気圧がアガります。


ビートボックス

ビートボックスもまず単純に超ハマってます。ただただ好きです。

クラシックの演奏家の中で多分一番ハマってると思います。

ビートボックスについて書いた記事はコチラ

お読みいただければいかに私がビートボックスを愛しているかをわかっていただけると思います。

それでビートボックスの文化って面白くて、オリジナルの技とか自分で作ったらすぐチュートリアル動画出すんですよね。新しいものがすぐオープンソースになる。素敵ですよね。

そういうのを観て私もやってみよーとか思うんですけど、これがね、おっどろくほど何もできない。私かなりいろんな声出してるし、そこそこ発声に関わる筋肉も鍛えてる方だと思うのですが、マジで手も足も出ない。それどころか何を言っているのかさえわからない。

こういうのです。マジで意味がわからん。

ただこういうの観ていくと思うのは、見えるところでも舌の筋肉の盛り上がり方とか異常だというところとか、見えないところではきっと想像もできないことが彼らの体内で起こっているということ。

人間のポテンシャルに関する見方が変わりましたね。

マジで無限大過ぎる。

自分の想像力なんてハナクソみたいなもんですね。

でまあ出来ないなりにビートボックスを練習していくと、まあ出来ないなりに上達はしていって、それに伴って声を支える筋肉もついていってる感じがするんです。

この後紹介する岩崎ひろきさんもビートボックスをボイトレに取り入れているのですが、発声に必要な筋肉を鍛えるのに結構ビートボックスは最適かもしれません。

普通に声を出しているだけでは決してかからない負荷をかけることができる。


将棋

将棋もただただ好きなだけです。趣味です。

けど将棋と音楽の共通点は多いと加藤一二三先生も仰っておりますし、もの凄くコアのコアのところではそのとおりだなと思います。

まっさらではない盤面に二人でせめぎ合いながらいっきょくの世界をアンサンブルして、同じ戦型を何千回指しても全く同じ将棋は一回もない。

特にフランドル・ポリフォニーの世界観に似てると思います。宇宙の真理を探求してる感じですよね。

また、AIについての加藤一二三先生の言葉を引用しましょう。

車は人間が追いつけない速さで走る。しかし、車が登場したからといって陸上競技の百メートル走が廃れることはなかった。百メートル走は、今なお観客を魅了し続けている。

音楽もそうですよね、初音ミクのように正確に歌える人間はいないけど、それはそれ。初音ミクは初音ミクだし、人間は人間。


ボイトレ

私は現在3人のボイストレーナーに習っています。小久保よしあきさん、岩崎ひろきさん、mahoneさんの3人です。

それぞれの先生にそれぞれ違うことを学んでいます。

ポップス系

小久保先生はマイケル・ジャクソンも受けていたメソッドとして有名なSLSバックグラウンドのボイストレーナーで、ポップス系の発声をメインで教えています。

いわゆるミックスボイスというやつを教えてもらっていますが、最近はコーチング的なアプローチが多く、自分が一体どういう声を求めていて、それには何が必要なのかということのディティールを詰めていくのにとても役立っています。

芸大を出てから最初についたボイストレーナーで、私の声を脱芸大化するのにとても力になってくださいました。

一度どっぷりと浸かってしまった価値観の枠の中から出ていくというのはかなり難しいことです。

私もいまだに昔の悪癖に苦しめられることがあります。

なぜひとつの価値観の中から飛び出していくことが私に必要だったのかについては、最後に書こうと思います。


ベルティング

ビートボックスの項にも登場した岩崎ひろきさんには、主にベルティングを教わっています。

ベルティングはゴスペルやなんかでソウルフルに高音を出すために使うテクニックで、結構ミックスとは真逆のテクニックと言えると思います。

岩崎さんにはSalicus Kammerchorのメルマガ、サリクス通信でも記事を書いていただきましたが、舌骨をキーとして全身へと繋がる筋肉の張力に注目したテンセグリティ的な発想によるボイストレーニングをやってらっしゃいます。

クラシックではベルティングは使わないと今は言われておりますが、私はそんなことはないんじゃないかと思っています。

広義でのベルティングは普通に使われていると思いますし、狭義でのベルティングもかつて使われていた可能性は非常に高いと思います。

ミックス的な高音の出し方と、ベルティング的な高音の出し方と、どちらが「自然」かと考えると、ベルティング的な出し方の方がより原始的で、時代が下れば下るほど普通であった可能性が高いと思うんですよね。

あと、使わなかったとしても、当然ボイトレのツールとしてベルティングはめちゃくちゃ有用です。

合唱団の練習でほぼ毎回やってます笑


スクリーム

デスボイスといった方がイメージはしやすいかもしれませんが、より広義にスクリームとしました。

もともとデスメタル、ブラックメタル、グラインドコアあたりをよく聴いていて(といってもCarcassとGorgorothとCephalic Carnageくらいですが)、これも私の人生と分かちがたく好き♡なんですよね。

メタル関連の記事はコチラ

それでずっと自己流でデスボはやってたんですけど、去年からちゃんとレッスン受けるようになりました。

mahoneさんは教えるのも上手いし、物理の理解も桁違いだしその上デタラメにバカテクです。

この動画一発でバカテク具合がわかります。

日本最高難度と言いながら、その難易度をむしろ上げにいってますよね。異常者(褒め言葉)。

スクリームとホイッスルとガナリを習ってて、最近ガナリをメインで教わっているのですが、ガナリというとこういう感じです。

あートム・ウェイツ好き、あーー好き、好き。

一応音程がある歌唱をクリーントーンと呼ぶのなら、その中で一番好きかも、二番目はウラジーミル・オイドゥパーかなあ、次はSentencedのヴィレ・レイヒアラ。

あ、全員仮声帯発声だ。でも音程があるというだけを定義とするならイゴール・コシュケンディとかも入ってくるか。

レッスンを続けて受けていて思うのは、ビートボックスともホーメイともめちゃくちゃつながってくるというところで、それはつまるところ普通のボイトレにも役になっているということです。

また、スクリームのレッスンが一番ギリギリのところを攻めてる感じがします。

これまでの自分の経験から、身体が完全に拒否反応を起こして、「立入禁止」って看板立ててるところをおらーって突っ込んでくんですよね。でそこ行ってみると意外となんともなくて、翌日筋肉痛になっているという、つまり未だ鍛えたことのない筋肉を鍛えることができたということなんですよねえ。

これも、それまでの自分の常識みたいなもんをぶち壊して、その先に可能性が見出だせた例でありまして、得難い経験でございました。


インド音楽

昨年からバーンスリー奏者の寺原太郎さんに個人レッスンしていただいて、インド古典音楽を学んでいます。

これにははっきりした目的がありまして、グレゴリオ聖歌の歌いまわしを探るためです。

グレゴリオ聖歌の歌唱法って、一応10世紀頃に記された古ネウマによって伝えられてはいるのですが、ネウマによる歌唱の伝統が途絶えてしまって、ネウマが意味するところが一部はっきりしないところがあるのです。

特に特殊ネウマと呼ばれる一群のネウマは何らかの特殊な唱法が用いられたということぐらいしかわかってなくて、私たちはその歌い方を想像して再現するしかないんですね。

でなんで古ネウマによる歌唱の伝統が途絶えてしまったのかというと、古ネウマでの記譜の習慣がなくなって、音程と一部古ネウマの名残を残した記譜法に変化してしまったからで、それはやはりポリフォニーの発達も大きく影響していると思います。

西洋音楽は横方向ではなく縦方向に進化した、そう言えると思います。つまり声部が増えていったことで、一つ一つの声部の旋律に対する繊細な感覚は失われていったと。

その点インド音楽は横方向のまま進化したと言えると思います。とにかく一つの旋律に対する感覚というのが、我々からすると異常に繊細で、聞き取ることもできないほんの僅かな変化によってもの凄く多様なラーガの世界を形作っているんです。

だからきっとそこには同じ単旋律の歌であるグレゴリオ聖歌を歌うためのヒントがあると思ったんですね。

まだまだ研究の途上ですが、少なくとも私の中で、グレゴリオ聖歌を歌う時の旋律に対する感度といいますか、繊細さは飛躍的に増しました。

インド音楽の気の遠くなるような世界観についてはこちらの動画をちょっと観ただけでもおわかりいただけるのではないかと思います。


結局何がしたいんだい

というわけで「本業以外(に一見見える方)」という項目がやたら長くなってしまいましたが、私の活動、一見とっちらかってますよね。

しかしまあほとんど本業に直結しているというか、極論言うと人生に無駄はないので、全部つながっているといえばいるのですが、これがほんとに思ったよりつながってるんですね。

というのも私の本業、いわゆる「古楽」の中の特に声楽というジャンルはなかなか曲者でありまして、もちろん録音が残っているわけでもなく、楽器が残っているわけでもないので、実際にどういう声で歌っていたかわからないんです。

インド音楽のところでも書きましたが、グレゴリオ聖歌の場合、古ネウマという歌いまわしを示した記号は残っておりまして、どういう歌いまわしをしていたかは(一部除いて)だいたいわかります。

また歌の教則本のようなものも残っておりまして、例えばヤギが鳴くような声で歌っちゃだめだよーとかこういうときはこういう装飾をつけるんだよーとかそういうことは残っているのですが、やはりテキストで音色を表現するのは難しいということと、書くまでもないことは書かないというところから、実際にどういう音色で歌っていたかわからないんですよね。

ヤギの鳴くような声で歌っちゃだめってそれわざわざ書かなきゃならなきゃいけないようなことかと思うんですけど、そういう声で歌う人がいたからそういうことを書くわけですよね。

そんなわけで、多分今巷でやられてるような、いわゆるオペラ発声のマイナーチェンジでしかない「古楽発声」みたいな声ではなかったと思うんです。

時代を遡れば遡るほど。

また、そもそもわりと新しい作品であっても、今やられてるような発声が本当にふさわしいかどうかというのは甚だ疑問がありまして、特に、わりとみんな「歌詞に即した表現をしましょう」というようなことを言うのですが、その割にみんなずーっとおんなじような音色で歌うんですよね。

「え〜〜〜そんな生々しいエゲツない歌詞歌ってるのにそんなよそよそしい声で歌うの〜〜?」ってよく思うのですよねえ。

音色のバリエーションが極端に少ないというのは、今のクラシックの歌の最も大きな特徴ではないでしょうか。

私は歌を歌う時に、その歌にほんとうにぴったりな声で歌いたいと思うわけです。

気剣体の一致とか剣術では言いますけれど、気声体が一致した歌が歌いたいんです。

特殊発声も、ノイズボイスも、ビートボックスも、ベルティングも、スクリームも、人間の声の可能性のひとつなんです。

これは武術で学んだことですが、「型」というのは身体観の変容を経験することだと。

そして型によって経験した身体観の変容を、型によらずして起こすことが観法だと。

いろんな声を出すということは、型の稽古をしているようなもので、「身体観の変容の経験」を目的としていて、「意」が起きたその瞬間に「意識」のラグを挟まないでその声が「出ている」ということを目指しています。

韓氏意拳では一形一意(意と形の一致)という言葉がありますが、歌の場合「一声一意」です。

そのための型稽古としてのボイストレーニングという感じですね。

特殊発声、ノイズボイス、ビートボックス、スクリームといったあたりは、ただただ好きでやってたらいつの間にかつながってたんですよね、偶然。笑

自分から足を突っ込んでいったのはポップス系の発声、ベルティング、インド音楽あたりです。

これは必要だなと思ったから突撃しました。

武術はこれらで身につけたテクニックをテクニックで終わらせないための土台といいますか、それらと体、心、気を一致させていくために私にとって絶対必要なことです。

あー、将棋だけただの趣味のようですが、うん、いや別にただの趣味でもいいんですけど、ただの趣味と言うには憚られる奥深さ、コアのコアでのつながりを感じます。宇宙とはなんぞや、人間とはなんぞや、ということを追求してますよね。プロ中のプロの将棋の話ですけどね。


いやはや長くなってしましました。

興味ある方はレッスンやってますので私のところに来ていただいてもいいし、私はそれぞれの専門家では全然ないので、それぞれの専門家のところへ行ってください。

武術:光岡英稔先生の講座 BUGAKU 韓氏意拳

特殊発声・ノイズボイス:徳久ウィリアムさんhttps://note.com/voiz

ポップス系発声:小久保よしあき先生http://kokubovoicetraining.com/

ベルティング:岩崎ひろきさんhttp://gospelvoicelab.com/

スクリーム:Mahoneさんhttps://mahone.jp/

インド音楽:寺原太郎さんhttps://srgmtaro.jimdofree.com/class/


所属団体のリンクもここに貼っておきます。

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師走のコンサート情報

Twitterの方に今月のコンサート情報を載せたのですが、あまりにも長くなってしまったので、こちらにも転載しておきます。

普段12月ってだいたい1年で一番暇な時期なのですが、今年はなぜか毎週本番があります。

それも4回ともなかなか弩級なコンサートです。


ICUクリスマスコンサート

https://salicuskammerchor.com/concert

日時:2021年12月11日(土)15時開演
会場:国際基督教大学礼拝堂

こちらオフラインチケットは完売していますが、オンラインはお求めいただけます。とてもお安くなっております。
定期と見まごうばかりの前半プログラムと、キャッチーな後半との対比がお楽しみいただけると思います。

今朝もリハでしたが、ヴィオローネの入ったラターとか最高ですよ!


徳久ウィリアム一門会

https://tiget.net/events/156661

日時:12月18日(土) 13:00開場
会場:公園通りクラシックス

こちらにはコエダイr合唱団としてと、ソロも少し歌います。
合唱団はテノーレスとオルティンドーで新曲を2曲やりますが、両方私が耳コピしました。

A una rosa

オルティンドーはこちら

あとソロの方は、このところ寺原太郎さんにインド古典声楽を習っておりまして、どのように習っているかというと、私がグレゴリオ聖歌を歌ってみて、近しいラーガを示していただいて、そのラーガを習うというやり方で習っています。

それで今回は第5旋法の入祭唱を
タンプーラ流しながら、
1.普通にネウマで
2.サレガマで(!)
3.インド風に(!)
3種類の歌い方で歌ってみようと思います。多分凄い面白いと思います。


emulsion 2nd concert

https://tiget.net/events/156346

日時:2021年12月23日(木)19:15開演
会場:スターツおおたかの森ホール

前回も凄かったですが、今回も凄まじいプログラムです。前半は佐藤拓さんプロデュースの世界の合唱。

1曲だけ私が採譜したサルデーニャの曲も混ぜてもらいました。


これCuncordu de Orosei がやってるのでCuncorduなのかと思いきや、内容が世俗だったのでCoroでした。気づかなかった…。

後半はスティーブさんプロデュースのバーバーショップ三昧。いやーどれももう凄すぎる編曲…笑
もうほんとバーバーショップってやつぁ…笑
掛け値なしに楽しめるプログラムです。


AcappelLabo Concert vol.1

https://tiget.net/events/156349

日時:2021年12月28日(火)19:15開演
会場:スターツおおたかの森ホール

アカペラボというのはトミーの主催する団体の総称?です。
歌譜喜と八重桜とemulsionの3団体の合同演奏会です。
emulsion単独ではバーバーショップ、合同では現代の混声合唱をやります。

日本語の曲もあるのですが、多分舞台上で日本語の曲を歌うのは4年ぶりくらいです。ちょっとソワソワする笑


流石に世界広しと言えどこれだけ豊富な内容のプログラムを一月の間に歌ってる人間はいないと思います笑。

それぞれ毛色が違うコンサートですが、どれもめっちゃ面白いと思います。

来てね♡

『事 ある 事』 声 と 声 ~ 灰野敬二、徳久ウィリアム

『事 ある 事』 声 と 声 ~ 灰野敬二、徳久ウィリアム

昨日、超久しぶりに生演奏を聴いてきました。

覚えてないだけかもしれないけど、下手したら去年の3月以来かもしれない。

その時もノイズのライブだった。

何屋なんだろうか私は。

もっとライブ行きたいな。


ライブを聴いた感想としてまず最初に来るのは「混ざりてえ」ってことなんですが、これは他の演奏会でも思うことと言えば思うこと、でもたいがいは、私だったらこうするのになっていうモチベーションの上がり方であって、このままこの中で一緒に声出したいって思うことは今まで一度もなかったかもしれない。

このままでいい。これはもうこのままにしておいて、そのままこの中に飛び込みたい。

そういう気持ちになったのは初めてかもしれない。


ほとんど全て完全な即興だったようで、後で聞いたところによると、段取りある程度決めようと思っていたけど、始めてみたら必要ないということがわかったので何も決めなかったのだそうです。

それだけ灰野さんに信頼される徳久さんマジですごい。

始まり方、終わり方くらいは決めてたんですか?って聞いたら灰野さんなんて言ったと思います?

「あ!って始まって、うん!で終わる」

やられちゃいますよねえ。いや確かにそんな感じでしたよ。観てても。

休憩挟んで2本のパフォーマンスだったのですが、使用したのはマイクそれぞれ1本、マイクスタンド、ゴザ、灰野さんはピアノ椅子、徳久さんは水、以上でした。

かなりミニマルな編成で、逆にそれが生々しく、没入感がありました。

思考をはさむ余地がないというのはいい演奏の条件かもしれません。

いやほんと、超いい演奏だったんですよ。滅多にないです。こんないい演奏。

本当によかった。

芸術が生まれなおしの営みであるということを再確認しました。こんばんは!世界!


※以下昨日のパフォーマンスについて書いていますが、何しろ個人の感想です。多分演奏者の意図(そんなものがあったのかどうかはともかく)とは全然関係ないです。

1本目は何というか、静か。いや、クソうるさいんですけど。特に徳久さんの出す音っていうのはほとんど全部経験してるので、んーなんというか全然うるさくない。むしろ落ち着く。

灰野さんの声はもう今まで聞いたことない音。もう、はあ?って感じ。なにそれ。その鋭さどうやってんの?

特に、あの、リップハーシュですか?っていうようなきめの細かい超高音でキレ、つまり無音から有音へのスピードが異常なほど速い「声」を多分インヘイルでもエクスヘイルでも出してて、これはマジで今まで一回も聞いたことない音でした。

そう、で1本目は割と静かに、お互いの引き出しを順番に開けていってるという感じで心地よい感じでした。

2本目、これ凄かった。ああああ。今思いましたけどこれアーラープとガットに似てる。インド音楽でですね、タブラを伴わないで非拍節的にラーガを紹介していくようなセクションをアーラープと言いまして、タブラが入って拍節的に演奏される部分をガットというんですが、いや最近バンスリー奏者の寺原太郎さんにインド音楽習ってまして、ほんと自分の演奏にもめちゃめちゃ影響受けてましてですね、リハーサルとかでもキャバテキャバテゆうとりますけど、で太郎さん曰く、ニキル・ベナルジーが言うには、アーラープは奏者がラーガの深海に潜る、ガットはそこへ聴衆を導く、ということなのだそうです。

この二つの要素って自分が何やってるのか、把握するうえですごく大事な指標になりますよね。

で2本目なんですが、もう作ったような完璧な構成でした。後から思えば。

最初徳久さん全く声出さずに、身体の動きだけでシャウトしてて、多分10分くらいそうしてて、そのあと、即興喋りに入ろうとして、言葉にならない、「あっ」とか「えっ」とか「だっ」とかっていうのをやってて、これめちゃくちゃよかった。

即興喋りって徳久さんの一つの必殺技だと私は思っているのですけど、あ、即興喋りってこういう感じです。↓

ノイズボイスって本来意味を持たない超ド級の抽象表現だと思うのですが、この即興喋りはまとまった意味はないものの、ノイズボイスの中で使うと、それでもやっぱり意味の世界に引きずり込むえげつない力があります。

でこの意味の世界に入りそうで入らない、「え」とか「だ」とか何か言葉になりそうでならないというぎりぎりのせめぎあいの中で、あの世とこの世を行ったり来たりするような体験をしました。

あの世とこの世との間はしょっちゅう行ったり来たりしてるわけですけども、こんなスピードで、しかもあの世からこの世へ片足だけ踏み入れてまた戻るような、こんな表現は今まで見たことないかもしれないです。

それでまあ諸々割愛して後半の後半の序盤あたりで、徳久さんが「たとえば」って発した刹那だったかと思いますが、突如として灰野さんが喋りだしたんですよね。

これが凄かった。うわーそれやっちゃうか!やっちゃうのか!って感じ。もうそっからはバチバチの果し合いでした。

これか、真樹子さん(伯母)が言ってたのはこれなのか!っていう灰野さんのヤバいやつが見れました。

でもうこれは取り返しがつかない、収拾がつかんぞこれっていうところで、徳久さんの必殺技その二が飛び出して、その流れを一気に断ち切ったんです。

これが個人的ハイライトでした。すっっっっげえええ。最高でしたね。もう。マジで。ヤバい。


構成についてはそんな感じで、あとは灰野さんのパフォーマンスについて気づいたところをメモしておきたいと思います。(徳久さんはいつも見てるのであえてここでは書きません)

灰野さんのボイスってかなりリズムがあるんですね。後半は特にリズムがない瞬間がほとんどなかったのではないかと思うほど。拍節、周期性といっていいかもれないですが。舞曲的、ガット的。対して徳久さんはほぼ非拍節的、グレゴリオ聖歌的、アーラープ的。

でそのグルーブはまさしく正しく身体に現れていて、特に脊椎の自由度、これっきゃないっていう運動が美しかったです。マイクスタンド使っているときにそれは顕著で、もうマイクスタンドお化けみたいになってました。

あとはゴザをひいてる意味なんですが、そこへあぐらをかいたり、膝をついて声を出したりということもしていて、これは灰野さんのアイデアなのだそうです。

四つん這いみたいになって声を出していた時まさしく四足の身体観だと思わせる声が出てました。

周期性という点でいうと、徳久さんの喋りが意味のない言葉を次々に紡いでいくのに対して、灰野さんの喋りは短いフレーズのリフレインで、喋り方、声のクオリティを変えていくというものでした。

その変え方もえぐくて、一音節ずつノイズになるくらいただただ強く発音する、というのがシンプルですが、ぜってえ出来ねえ。無理。って思いました。凄い技術です。子音と母音の組み合わせで、ノイズにしやすいものとしにくいものとあって、全部のシラブルを同じ強度でノイズ化させるというのはほんと驚異的。

「ず つ う なん て と く い か も く さ」

これだけバリエーションに富んだ子音と母音の組み合わせ、全て綺麗にノイズ化されてました。

あとは衣装ですかね。。

自分もそうなんですが、なかなか音楽に合った衣装って難しい。

どう見えるかということではなくて、その音楽を演奏するのにふさわしい衣装。

つまり衣装によって出る声が違うってことです。

なかなかそこまで気が回らないというか、その前にやることが多すぎてそこまで出来ないんですよね。予算も時間も必要ですし。

そういう点でも灰野さんの出で立ちは身に纏っているものにすら必然性があったように思いました。サングラスとか、髪型とかもそうなんでしょうかね。

どう見えるかというのもまあそこそこ売っていくには重要な要素だと思いますけど、それ以前に純粋に音楽のためにも重要な要素なんですよね。

そういう意味で、徳久さんは裸足かそれに近い履物の方がよかったんじゃないかなと思いました。

私も本番靴新しいの買いたいなあ。


何か他にも忘れてることがありそうですが、思い出したらまた加筆しようかな。

とても重要なことが沢山起こっていたので、これをまた糧にしていきたいと思います。

それにしてもいい演奏だった。

徳久さんとは別れ際いつも握手するんですが、あんなに力ない握手は初めてでした(笑)

そりゃああれだけ出しちゃったらもう何も残ってないよなあと。

ノイズのライブって、なんかうるさそう、怖そう、とか多分思われてると思いますけど、私にとっては新宿線の神保町小川町間の方がよほどうるさいし恐ろしいです。

いざという時は耳ふさいじゃってもいいし、心配なら耳栓持ってってもいいと思います。

私も、人の声なら大丈夫なんですが、電子音のノイズはちょっと苦手で、1回ライブで終始耳を塞いでたということがありました。

何を感じるかは人それぞれだと思いますが、このレベルの演奏ならだれが聴いても何かを感じざるを得ないと思います。是非。

徳久さんってボイストレーナーとしても素晴らしい方で、実際私のように彼に(歌手)生命を救われた人もたくさんいると思いますが、やはり本性はパフォーマーなのだと思いました。

あの灰野さんと、(しかも声で)わたりあえる音楽家、そんなに沢山はいないですよ。

コエダイr合唱団WS&演奏会

コエダイr合唱団WS&演奏会

1月に予定していた公演の延期公演です。

緊急事態宣言が発出されたのを機に延期した本公演ですが、緊急事態宣言が延長されても今回はやります。

時間も早めですしね。

今回はWSと演奏会の二本立て!大変そう〜笑

1時間半で何かしら特殊発声ができるようになって、夕方からの公演では一声出せるかも??

演奏会ではいつものように、

トゥバのホーメイ

サルデーニャのテノーレス

モンゴルのオルティンドー

ビザンチン聖歌

ヨーロピアン倍音唱法

日本民謡

ブルガリアン・ヴォイス

ジョージアの男声合唱

ヨーデル

をやります。

その上ソロコーナーもあって、私はグレゴリオ聖歌を3種類の声で歌います。

わたしにとっては実はこれが一番チャレンジングかもしれない。

限定15名様なのでお申込みはお早めに!

お申し込みはこちら↓

https://www.reservestock.jp/events/523024?fbclid=IwAR3dDIV4U9YzfP15CWG9YloqnWPh_35HZ00bCYuAMYS9kzf56l1cU-TVPHo


Ensemble XENOS音源配信!

第2回演奏会の演奏録音、演奏動画を配信しております!

結構凄い演奏だと思います。ぜひ、注意深く聴いていただきたいです。

https://xenos.thebase.in/


Salicus Kammerchor第6回定期演奏会チケット発売中!

シュッツのシリーズの第1回です。

今まで聴いたことのないようなシュッツになると思います。ぜひ!

【日時・会場】

2021年5月16日(日)14:00開演(13:30開場)
千葉市生涯学習センターホール
予約:https://tiget.net/events/114695​

ライブ配信:https://twitcasting.tv/salicus_kc/shopcart/51713

2021年5月21日(金)19:00開演(18:30開場)
豊洲シビックセンターホール

予約:https://tiget.net/events/114696

(2019-21年定期会員の方は両公演ともご招待となりますので、誤ってチケットを購入されないようお気を付けください)