夏のおわり2019|前編

夏のおわり2019|前編

今年の夏は大変でした。

いつも8月は忙しいのですが、今年はSalicus KammerchorのJ. S. バッハのモテット全曲録音があったのでなおのこと大変でした。

ブログの更新もすっかり滞ってしまいました。

この夏を振り返っていきたいとおもいます。


Salicus Kammerchorリハーサル

8月前半は録音のためのリハーサルでした。

6・8・9・11・15日とリハをしましたが、その間にエレウシスの練習や、合唱指揮者の堅田優衣さんとの飲み会(めっちゃ盛り上がったのに音楽の話を全くしなかった笑)やノイズボイスカラオケやアラミレの合宿などあってシッチャカメッチャカでした笑

5月に2公演やってるだけあって、これまで絶対にできなかったことが出来たり、また5月にはなかったリュートを加えることで生まれるエモの倍増により楽しい日々でした。

ただやはりローランドのキーボードを携えての移動はなかなか大変です。引っ越して近所でリハできるようになったのでかなり楽になりましたが、それでも前後に予定が入った場合は移動の予定を立てるのが難しいです。

今回は11日に原木中山でバッハカンタータアンサンブルのリハーサルがあって、そのあと瑞江に移動というなかなか近いけど行きづらい移動があって、結局船堀から葛西までタクシー、葛西から東西線、もどりは原木中山から東西線で南行徳まで行ってそこからタクシーという方法で行きました。

ところで皆さんご存知でしたか?都営バスって縦横高さが100センチ以上のもの、また10キロ以上のものって持ち込みダメなんですって。ローランドちゃんはどっちの尺度からでもアウトです。

クラウドファンディング特典のサイン入りクリアファイル
この日は東大島でリハで私なんとチャリで行きましたよ

ノイズボイスカラオケ

8月10日はノイズボイスカラオケ定例会。

今回はがっつりレクチャーを交えながら5時間みっちりやりました。

常連組の上達ぶり、そして名古屋からの新生、ノイズボイス始めてまだ数ヶ月ということでしたが、度肝抜かれました。すんばらしいテクニック。

目標はゴジラだそうです。

妙に納得しました。ゴジラの鳴き声、素晴らしいですよね。待ってましたああ!って感じ。

私はというと、カラオケを使わない純粋なソロの即興に光明がありました。

カラオケから得ていた情報を、視覚情報から得て即興するとこれまでとは違う感じのものが出ました。

コバさんとのデュオで大都会歌いました。やってるときは結構いい感じだと思ったのですが、後で動画見るとそうでもなかった。。このへんのギャップを埋めたいですね。

そしてこの日の最後、徳久さんにリクエストして、一曲披露して頂きました。

これがもう、凄すぎて。なんもいえねーーー。でした。圧巻


Vocal Ensemble Alamire合宿

8月12−14日はアラミレの合宿でした。

アラミレは今年オケゲムのミサ”De plus en plus”に取り組んでいます。

これがもうめっちゃ難しい。なんでこう毎年アラミレは難曲にばかり挑戦してるんですかね笑

やりがいはめちゃめちゃありますが、ほんとに大変です。オケゲム。

ともすると捉えどころのないごちゃごちゃした曲に聞こえてしまうので、全体のプランと、それぞれの旋律の歌いまわしの精度が問われます。

しかしアラミレは毎年確実にレベルアップしてます。今回合宿でグレゴリオ聖歌を聞きながらそう思いました。それぞれの表現する力が去年より格段に上がってます。

9月14日の本番では、成長した我々の姿をお見せできればと思います。

まろやち湖
いつもお世話になっている八ヶ岳中央高原キリスト教会の祭壇
帰りがけに物凄い虹が見れました。

長くなってしまったので8月後半についてはまた次回にします。

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Salicus Kammerchor

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演奏会情報

次回演奏会は

12月19日のEnsemble Salicus第2回演奏会です!

https://www.salicuskammerchor.com/concert

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第3回定期演奏会のライブDVD

をウェブ販売開始しました!

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サリクス通信

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Chor Eleusis 合唱団エレウシス|始動

昨日、合唱団エレウシスの初回練習でした。

申し込んでくれた方ほとんどと、見学にも数名みえてくださいました。ご参加くださいました皆様ありがとうございました。

初回ということでオリエンテーション的なことが多かったですが、来週からはガンガン歌っていきたいと思います。

とにかく毎週練習できる団体って実は私の身の回りにはそんなに多くないので、今回こういう団体を立ち上げることができて本当に嬉しいです。

練習大好きなんですよねー笑
毎日でもやりたい。

昨日の初回練習では、団の方向性を示すために、4つのブロックに分けて説明&練習しました。

  1. 発声
  2. グレゴリオ聖歌(古ネウマ)
  3. ポリフォニー
  4. J. S. バッハ

2~4はサリクスでやってることそのままなのですが、これらを支えるテクニックとしての発声については、実はプロの声楽家にはあまり深入りできないという部分があります。

そこ変えな根本なにも変わらんやろって言われればそれまでで、サリクスでももちろん人間関係を破砕しない程度には突っ込んでますが、なかなか現状徹底はできてません。

毎週練習できるアマチュアだからこそ、こういった本当に基礎的なところからじっくりと積み上げていけるのではないかと思っておりますので、本当にこれから楽しみです。


練習後決起集会兼ねた懇親会を行いました。17人中13人参加の素晴らしい出席率!

演奏団体って練習の次に飲み会が大事ですよね〜

13人だったので最後の晩餐だね、最初だけどね、などと言っておりました。

そこで「合唱団エレウシス」という名前の由来を聞かれたのですが、私うっかり練習中に言いそびれていました。

というか説明するとほんとに長くなっちゃって、今更ながらややこしい名前にしちゃったの若干後悔してるんですが笑、先程団員の皆さんには長文メールで説明しました。

せっかくなのでこちらにも貼っておきたいと思います。

長いので興味ある方だけどうぞ笑


エレウシスはギリシャの都市の名前です。

そこで紀元前15世紀ごろから行われていたとされる宗教的儀式がありまして「エレウシスの秘儀」とか「エレウシスの密儀」などと文献には残っているのですが、何しろ秘儀なので詳しいことはよくわかっていません。

暗闇をさまよい、あらゆる恐怖を感じたのち突然光に満たされ清らかな土地を発見するとかなんかそんな感じなのですが、この儀式についての、古東哲明という人の解釈が非常に面白いです。

この儀式については、一応擬死体験を経て死後の世界を知り、死に対する恐怖を拭うというような側面も見えなくはないのですが、それだけのものではないと古東氏は言います。

プラトンもこの秘儀で奥義を授かったらしいのです。一般に彼の哲学って、地上の空しさを説いて、永遠の彼岸を願うようなどうしようもない二世界論として描かれるんですが、どうもこの秘儀の中身を通しながら彼の哲学を見てみると、そうとも言えないようです。

しかし考えてもみられたい。地上世界のくだらなさを説明するために、あんなに膨大で情熱的な思想を語ることができるだろうか。ー中略ー肉体が墓場だというなら、とっとと死ねばよいからだ。だがそんなことを、プラトンは毛頭考えなかった。ー中略ーそれは、必要なまでの地上王国へのこだわり以外のなにものでもない。

《現代思想としてのギリシャ哲学》古東哲明

エレウシスの秘儀によって擬死体験をした者たちは、実際そこで死ぬことなく、また生の世界へ帰ってくる。つまりそこで行われていて、プラトンが語ろうとしていたのは、こちら側(此岸)からあちら側(彼岸)を夢見ることではなく、あちら側(死)からこちら側(生)を見つめなおすという営みだったということです。


齋藤史が、

“死の側より照明(て)らせばことにかがやきてひたくれなゐの生ならずやも”

と歌ったそのままのことを実体験させるところに、エレウシスの秘儀の目的はあるのです。

死病の床で明石海人が

薔薇が咲き 日が差し それが見えてゐる こんなことさへ ただごとなのか

と歌ったこの世この生のどうしようもない輝きのことを言っているのです。

プラトンの

〈死の道〉が同時に〈愛の道〉にほかならぬからである

という言葉も、以上のことからふまえて捉えると、なんの皮肉もケレン味もない簡素な実体験として腑に落ちるところがあると思います。

で、これってそのまま私芸術のことを言ってると感じるんですね。

生きてるうちは生きてることを忘れてる。生きながらにして生きてることを思い出させてくれるのが芸術なのだと私は思っているのですが、つまりこれはエレウシスの秘儀と同じことですよね。

というわけで、そういう演奏を目指す団体ということで、合唱団エレウシスと名付けたというわけでした。

長文読了ありがとうございました笑


団員は引き続き募集しております。

現在、
S 5名
A 4名
T 3名
B 5名

ですが、目標は各パート10人の合計40名!

40人いればマタイができる・・・。

マタイ、歌いたいでしょう?(何年先になるかわかりませんが)

練習時間ですが、やはりお仕事されている方が18:30に瑞江に来るのは厳しいということで、15分繰り下げて、18:45-21:15とすることにしました。

見学だけでも、お気軽にどうぞ!

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Salicus Kammerchor

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次回演奏会は

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合唱団フォンス・フローリス第12回コンセール・スピリチュエル|終演

合唱団フォンス・フローリス第12回コンセール・スピリチュエル|終演

一昨日、合唱団フォンス・フローリスの公演が終演いたしました。

ご来場くださいました皆様誠にありがとうございました。

私が学部1年生の頃にエキストラで乗せていただいてからもう10年経つんですねえ。

ほんとに年々良くなってきていて、毎年「ここ10年で最高と言われた昨年を上回る出来」を更新してる感じです。

メンバーも少しずつ変わっていくし、これを継続していくのは言うほど簡単ではないです。

皆さんの努力の賜物です。素晴らしい。

ほんと、もう来年辺り私とか西久保さんとかエキストラに入らなくても大丈夫なんじゃないかな。

それくらい今回良かったと思います。

基本的にエキストラは入らないに越したことはないと思うし、エキストラを入れるのは指導者の負けくらいに内心思っているので、ほんとに嬉しいことです。(僕たちの仕事は減りますが笑)

そして共演したコントラポントの皆様も素晴らしく、定期公演の復活を心待ちにしております。

せっかく素晴らしいメンバーが集っているので、定期的に演奏する機会を設けて、より成熟したアンサンブルになったらいいなあと思っております。


倍音唱法&倍音合唱!を聴く・知る・やってみる!体験会

そして昨日はコエダイr.合唱団の倍音体験イベントでした。

受講生の皆さんと団員とが混ざって、ホーメイやテノーレスを体験するというものだったのですが、柳嶋さんが参加されてたり、ノイズボイスカラオケのかれんさんが来てたりして、個人的になかなかアツかったです。

喉詰めもカルグラももっとうまくなりたいです。

ところで私たちがずっと喉詰め発声と言ってきたのは学術的には「喉絞発声」というそうで、今までの私の理解がぶっ飛びました。

しかもですよ、この喉歌に使われているとされている喉絞発声は仮声帯が声帯と同じ周期で振動していると言うじゃあありませんか。

完全に今までの私の理解が覆されました。

仮声帯が声帯と同じ周期で振動する、だと?!?!?!

ちょっと何言ってるかわからない。©富澤

ホーメイの時に仮声帯は接近しているけど振動している感覚は全く無いので、ひょっとして私がホーメイだと思ってやってたのはホーメイではないのかもしれない。

そのくらいのことですが、しかし音を聞いて、仮声帯が振動しているとはどうしても思えないんですよね。

いつも紹介しているこちらの動画、冒頭がホーメイですが、これ仮声帯振動してるって言われても私ちょっと信じられないです。うーむ。

とりあえず国会図書館に行けば論文が読めるらしいので行ってきます。


合唱団エレウシス|始動

さて、先月末から本番が続いておりましたが、ようやく一段落しました。

今月末からエレウシスが始まりますので、その準備を着々と進めてまいりたいと思います。

まだまだ団員引き続き募集しておりますので、よろしければ見学だけでもどうぞ。

【練習予定】18:30-21:00
7/31(水)東部フレンドホール 集会室第1
8/7(水)東部フレンドホール 集会室第2
8/14(水)※お休み
8/21(水)東部フレンドホール 集会室第2
8/28(水)アカデミー音羽 多目的ホール
9/4(水)東部フレンドホール 集会室第1
9/11(水)東部フレンドホール 集会室第1
9/18(水)東部フレンドホール 集会室第1
9/25(水)東部フレンドホール 集会室第1
東部フレンドホール
アカデミー音羽

クラウドファンディングで261万円集めた事例【表現者・トレーナーのためのビジネス事例研究会】

それから来週末には徳久さんの講座で、サリクスの運営についてお話します。
借金20万円からスタートして、ようやく軌道に乗ってきた感のあるサリクスですが、演奏面だけでなく、運営面でとても苦労しました。
その分野の勉強も沢山して、沢山工夫を凝らして運営してきました。

団体運営に興味のある方はぜひお越しください。
かなり面白いと思います。

https://www.facebook.com/events/304455123778542/

Salicus Kammerchor2019−20年シーズンサポート会員募集開始!

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サリクスの運営でかなり鍵を握っているのが、毎年9月末を締め切りにしているサポート会員の募集です。

サリクスの活動は、このサポート会員制度によって成り立っています。
まさにサリクスの命運を分ける季節!毎年ハラハラです。

早めにお申し込みいただけるととっても私の心の健康にとってもいいので、ぜひよろしくお願いいたします。

来年からサリクスは4年計画で定期公演でシュッツに取り組みます。
そして2022年はシュッツ没後350周年ということで、盛り上げていきたいと思っております。

これまでがJ. S. バッハで、これからシュッツなので、集客面でかなり心配しております。やっぱりバッハ強いですからね〜。

シュッツもバッハに勝るとも劣らない魅力を持った作曲家であるということをお伝えできるような演奏をしていけたらと思っておりますので応援どうぞよろしくお願いいたします。

詳細はこちら→https://www.salicuskammerchor.com/support

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演奏会情報

次回演奏会は

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Ensemble XENOS “Vanitas”|終演

一昨日になりますが、Ensemble XENOS第1回演奏会”Vanitas”、満員のお客様に見守られて、終演いたしました。

ご来場くださいました皆様、誠にありがとうございました。

photo by Junko Tomiyama

大森福興教会満員になったことなかったので、響きの変わり方に驚きましたが、それよりそれに動じない共演者に驚きました。さすがです。百戦錬磨とはこのことよ。

コントラポントでヴェスプロをやったとき、櫻田先生がテノールで、同じテノールのトミーや金沢さんが影響を受けまくってレベルがぐっと引き上がったのを目の当たりにしましたが、今回美千子さんと共演できて、私たちみんな引き上げられたと思います。少なくとも私は。自分の持っている今できる限界まで出せたと思います。

狂気と理性の狭間といいますか、この2つ、どちらをとるかということではく、どちらもとりに行く。貪欲に、妥協なく、実直に。

photo by Junko Tomiyama

しかし久しぶりに味わいました、このプレッシャー。なんとも形容しがたい、無理してる感じ。

運営もほとんど自分でやってたので、チケット管理とか、お客さんとのやり取りとか、当日の会計とか、慣れたこととはいえ、今回の歌の方のシビアさとの合わせ技でかなりこたえました。

それで昨日も今日も朝からだったので、ブログの更新が遅れてしまったのでした。まだキャリーケース片付いてないです笑

photo by Junko Tomiyama

けどほんとに沢山お客様に来ていただけてよかった。

満員なんていつぶりだろう。

多分サリクスの第2回定期演奏会のルーテル市ヶ谷公演以来じゃなかな。

やっぱり興行として成立しないと続けられないので。

今回沢山のお客様に来ていただけたので、次回の計画も進められそうです。皆様のおかげです。本当にありがとうございます!一回きりになっちゃったらやだなあと思ってたんですよね。凄く。

やっぱりアンサンブルなので、続けないとできないことってのがほんとにあるんですよね。

今回美千子さんにも言われましたが、僕とトミーってもう10年位一緒に歌ってるんですね。学部の頃から数えると。しかもかなり頻繁に一緒に歌ってる。

そうするともう合わせる必要がないんです。せえのってのが要らない。お互いノーモーションでファって出たらそれで合う。そりゃ合わないこともありますが、合わなくてもストレスにならないんですよね。あ、合わなかったなってだけで。

なかなかそれって難しいことだと思うんです。合わなかったら、やべ、合わなかった。どうしよ。自分が悪かったかな。って通常は思うんですよね。

それで今回私とトミーが両端で歌うことになったんです。

photo by Junko Tomiyama

でも今回自分テクニック的にも音楽的にもまだまだだなってことがいっぱいありました。いっぱい気づかせてもらいました。

いやね。ほんとテクニックなんてクソどうでもいいですってふうに歌うのには、クソほどテクニックがいるんですよ。

呆れるほどの精度を持ってないと、できないんです。それ。

自分はまだリスクを犯せるレベルにまで達してない。

そう思いました。

ということで、少しでも他のところで貢献しようというところがあって、解説も今回私が書かせてもらいましたが、なかなか好評だったようで良かったです。

photo by Junko Tomiyama

アンサンブルの本番はあと9月にアラミレ、10月カペラ、11月もカペラ、12月頭に中世音楽のアンサンブル、12月末にはEnsemble Salicus、来年1月カペラ、2月にはemulsionが決まっています。

ガツガツレベルアップしていきます。
明日はemulsionのリハだ!譜読みします!

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Salicus Kammerchor

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演奏会情報

次回演奏会は

12月19日のEnsemble Salicus第2回演奏会です!

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Ensemble XENOS|”Vanitas”

来週月曜日本番のEnsemble XENOSは、フランス在住のソプラノ歌手、高橋美千子さんにお誘いいただいて結成したアンサンブルです。

昨年の年明けにカペラの演奏会にお越しいただいた時に、何かやりたいですねえというお話をいただき、その秋頃だったか某ワークショップで再開し、本決まりになりました。

そこからメンバーを集めて、今年10月ころ演奏会できたらいいねえみたいな話をしていたらメンバーの予定が合わなすぎて、結局7月に演奏会をやることに。

準備期間が短く、ギリギリまでどうなることかと思いましたがなんとか演奏会にこぎつけそうです。

クセノスというのは私の好きな言葉の一つで、ギリシャ語で「異邦人」という意味です。

これは西洋から見れば外国人である私たちのことでもあり、社会から見ればカタギの道を外れた私たちのことでもあり、ひとりで生まれ、生き、死んでいく私たちのことでもあります。

疎外感や孤独感、私たちにとって大きなテーマだと思いますが、そこから生まれるのが哲学であり芸術なのだと思います。

そして今回の演奏テーマは”Vanitas”、ラテン語で「空」という意味です。そらじゃないです。色即是空の「くう」です。

これって東洋の考え方かと思っちゃいますけどそうではないんですね。

旧約聖書の「伝道の書」第1章第2節には

Vanitas vanitatum omnia vanitas.
「空の空。すべては空」

とあります。

この世のよしなしごとは儚いですよ、煙を追うようなものですよって話です。

そしてこのVanitasをテーマとした芸術作品が16-17世紀には沢山作られました。

まさにこの時代のこの空気感、「空」の空気感を体現しているのがジェズアルドを筆頭としたイタリアの作曲家たちのマドリガーレです。

もう死ぬ死ぬ死ぬ死ぬゆうとります。

この演奏会、moro「死ぬ」morte「死」という単語が50回くらい出てくると思います。

生きることが「生」とは限らない
死ぬことが「死」とは限らない

そこまで言いますか?ってほど、死が身近で、リアルです。

不倫した妻を情夫ともども殺害したジェズアルドにとってはまさに「愛と死」は妄想でなく、現実のものだったんです。

この殺人事件は当時の貴族の慣例に習ったものであったそうですが、現代の我々にどれほどこの感覚がリアルに感じられるでしょうか。

でも、誰の中にもありますよね。こういう要素。
だから共感できるんですよね。


人間の綺麗事じゃないところを表現したい。
人間にはいろんな側面があるんだってこと、それをひっくるめて人間なんだということを言いたい。
私、そういう思いはいつもあって、だからこそいろんな音楽が好きで、いろいろ聞くし、いろいろやるんです。

ある一面だけ捉えて、ほら、これが人間でしょ?って言われても、まあ、そういう面もあるよねって、そのくらいに思っちゃう。

こういう面もあるけど、けどこういう面もあるよね、それも人間だよね、それが人間だよねって、そう言ってる音楽が私は好きです。

ジェズアルドってそうなんです。マレンツィオってそうなんです。ルッツァスキってそうなんです。(個人の見解です。体感には個人差があります)

でもそういう音楽だと自分が思っても、アンサンブルなので、自分がやりたいと思ったことがいつもできるわけではありません。それができない環境がほとんどです。

自分のテクニックが追いついていないということももちろんあるけれど、それ以上に、リスクを犯してまでそういうことに挑戦しようと思わせてくれる場所が、なかなかないんですね。

今回はリハから思いっきりぶつかっていけるメンバーとアンサンブルを組むことができました。

どーんとぶつかって、それを受け止めてくれる度量のあるメンバーです。

と同時に、本番何が起こるかわからない、スリリングで危険なメンバーとも言えると思います。笑

望むところですよね。

小林道夫先生の言葉でベスト5に入るお気に入りの言葉があります。

「崩壊寸前で楽しみましょう」

なんとか崩壊しませんように・・・・汗


Ensemble XENOS 第1回演奏会
Vanitas《空》
〜イタリアルネサンスの不協和的情感〜

日時:2019年7月8日(月)19:00開演(18:30開場)
会場:大森福興教会
チケット料金:
一般4,000円(当日4,500円)
学生2,500円(当日3,000円)

出演:
高橋美千子/佐藤裕希恵/富本泰成/櫻井元希/青木海斗

曲目:
カルロ・ジェズアルド Carlo Gesualdo(1566?-1613)
●”S’io non miro, non moro”「もし見ないでいいなら、私は死なないでしょう」
●”Mille volte il di moro”「日に千回も私は死んでいるのに」 
●”Moro, lasso al mio duolo”「ああ、苦しみの中で息絶えよう」 
●”Deh come invan sospiro”「ああ、なんて虚しいため息」
●”Tribulationem et dolorem”「恐怖と悲しみのどん底に突き落とされた」

ルカ・マレンツィオ Luca Marenzio (1553/54-1599)
●”Care lagrime mie”「私の愛しい涙」 
●”Dolorosi martir”「悶えるほどの苦しみ 抉られるほどの苦難」 
●”Basciami mille volte”「薔薇のように柔らかいあなたの唇で」 
●”E questo il legno”「これが聖なる血のついた木なのか? 」

クラウディオ・モンテヴェルディ Claudio Monteverdi(1567-1643)
●”Piagne e sospira”「その女は泣き ため息をつく」
●”Si ch’io vorrei morire”「ああ 死んでしまいたい」

ポンポニオ・ネンナ Pomponio Nenna(ca.1550/55-1613)
●”Sospir baci e parole”「ため息と口づけと言葉」

ベネデット・パッラヴィチーノ Benedetto Pallavicino(1551-1601)
●”O dolorosa sorte”「ああ 苦悩の定め」

チケットお申込み:tiget.net/events/51150